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2016年9月 1日 (木)

ブラックスワンの存在の仕方/知的生産の方法(155)

昔は2学期の始まりであったが、週休2日制のためだろうか、既に授業は始まっているようだ。
そして、防災の日である。
異例のコースを辿った台風10号は、東北・北海道に大きな被害をもたらした。

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大型の台風10号は、岩手県大船渡市付近から上陸し、北海道や岩手県を中心に記録的な大雨を伴い、日本海へ抜けた。
岩手県岩泉町では31日、浸水した高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」付近で9人の遺体が発見されたほか、同町と久慈市で2人が遺体で見つかった。北海道大樹町では、男性が車ごと流されて行方不明になるなど、人的被害も拡大している。
北海道付近では31日、台風10号から変わった温帯低気圧の影響で南から暖かく湿った空気が流れ込み、大気が不安定な状態が続いている。気象庁は土砂災害や河川の氾濫に警戒するよう呼びかけている。
台風10号で浸水被害、高齢者施設で9人死亡

計画降水量以上の、おそらくは1回/100年以上の超過確率の雨が降ったに違いない。
「あり得ない、起こり得ない」とほとんどの人が思っていることも、いつかは起こる。
それは、急激に、過激に進行し、大きな悲劇につながることが多い。

従来全ての白鳥が白色と信じられていたが、オーストラリアで黒い白鳥が発見されたことで、鳥類学者に大きな驚きを与えた。従来からの知見では、黒い白鳥はいないとされていたためだ。黒い白鳥の発見により、鳥類学者の常識が大きく崩れることになった。
タレブ氏は、この出来事を元に、確率論や従来からの知識・経験からでは予測できない極端な現象が発生し、その現象が人々に多大な影響を与えることを総称して「ブラックスワン理論」と呼んだ。
ブラックスワン理論

ナシーム・ニコラス・タレブの望月衛訳『ブラック・スワン』ダイヤモンド社(2009年6月)の紹介は以下のように書いている。

Photoむかし西洋では、白鳥と言えば白いものと決まっていた。そのことを疑う者など一人もいなかった。ところがオーストラリア大陸の発見によって、かの地には黒い白鳥がいることがわかった。白鳥は白いという常識は、この新しい発見によって覆ってしまった。
「ブラック・スワン」とは、この逸話に由来する。つまり、ほとんどありえない事象、誰も予想しなかった事象の意味である。タレブによれば、「ブラック・スワン」には三つの特徴がある。一つは予測できないこと。二つ目は非常に強いインパクトをもたらすこと。そして三つ目は、いったん起きてしまうと、いかにもそれらしい説明がなされ、実際よりも偶然には見えなくなったり、最初からわかっていたような気にさせられたりすることだ。
ブラック・スワン

ブラック・スワン現象は、自然災害等において多い。
それはべき乗分布だからである。
たとえば、ある広がりをもった地域で一定以上の期間内に起こった地震においては、「マグニチュード」と「その発生個数の対数」との間に直線的な関係が成り立つ。
この関係をグーテンベルグ-リヒター(Gutenberg-Richter)の関係という。
  log n(M)=a-bM
Mはマグニチュード、n(M)はマグニチュードMの地震の発生個数、aとbは定数。
bは地域性などにより、bが大きいほど相対的に大きな地震が多くなる。
Photo_2
マグニチュードと発生頻度の関係(グーテンベルグ-リヒターの関係)

ブラック・スワンのようにインパクトが大きいことは予測(prediction)はできないが、何とか予想(forecast)を立てて、減災を図りたいものだ。

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