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2016年9月16日 (金)

経営学における戦略概念/知的生産の方法(160)

軍事における戦略という概念が経営学に導入され、企業の経営戦略が論じられるようになったのは、1950-60年代に入ってからであったという。
黎明期の代表的な研究者に、アルフレッド・チャンドラーがいる。
「組織は戦略に従う」(“Strategy and Structure” 1962)という有名な言葉によって知られる。
,しかしこのテーゼは、以下のような含意であると解説されている。
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経営戦略概史(9)チャンドラーは本当に「組織は戦略に従う」と言ったのか?

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三谷宏治、飛高翔『マンガ経営戦略全史 確立篇 』PHP研究所(2016年5月)

これに対して、「戦略は組織に従う」(“Strategic Management” 1979)というアンチテーゼを提起したのが、アンゾフである。
Ansoffの主張は次のようである。

環境変化の乱気流水準が高まれば、組織的な対応に利用できる時間が短縮される。
「組織⇒戦略」というChandlerとは逆の順序の方が、環境変化対応に必要な時間が削減され、予測可能性の低下に対応できる。
「将来的には、環境変化に先駆けて柔軟性の高い戦略能力を構築するようになると予言しても間違いないだろう」
組織は戦略に従う。そして、戦略は組織に従う。

まあ、戦略を構築する「組織能力」と戦略を実践する「組織構造」と「組織能力」を区分して考えれば、「組織は戦略に従い、かつ戦略は組織に従う」とも言うことはできよう。
しかし、組織と戦略というのは分化できるものではないだろう。
そういう観点から、「Strategy as Practice」という考え方が出てきた。
大森信 編著『戦略は実践に従う-日本企業のStrategy as Practice-』 同文舘出版 (2015年10月)は、その解説書である。

同書の戦略と組織と実践の関係は下図のようである。
Photo_2

企業組織の成長プロセスを一般化すれば以下のように表せる。
Photo_3

しかしこれは成功企業の場合である。
上図の「革命のステージ」で何らかの蹉跌が起きるのが一般的ではなかろうか。
その失敗は果たして学習可能なものなのだろうか?

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