日本をダメにする日本会議という存在(2)/日本の針路(288)
八月八日に天皇陛下が「象徴天皇としての務め」についてのお気持ちを、ビデオメッセージとして公表された。
天皇陛下が生前退位の意向 1年以上前から
受け止め方は人によって異なるだろうが、私は、全身全霊で象徴天皇の務めを果たしてこられたこと、高齢化でそれが困難になりつつあることを率直に語られて、深い感銘を受けた。
⇒2016年8月 9日 (火):天皇陛下のお気持ちと護憲/日本の針路(285)
ところが、お気持ちを改憲に利用しようとするフジ産経グループには仰天させられた。
「天皇陛下の生前退位『制度改正急ぐべき』70・7% 『必要なら憲法改正してもよい』84・7%」(産経ニュース8日付)
「『生前退位』可能となるよう改憲『よいと思う』8割超 FNN世論調査」(FNNウェブサイト8日付)
天皇がビデオメッセージで「お気持ち」を表明したその日、こんな驚愕の見出しをぶったのは、産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)だ。
フジ産経が「天皇の生前退位のために改憲が必要」のデマにもとづく詐欺的世論調査を実施! 安倍政権もグルか
生前退位は皇室典範の問題であって、憲法改正の必要などまったくない。
安倍政権周辺は、生前退位に反対らしい。
実は7月にNHKが「生前退位ご希望」の第一報を打った際、菅義偉官房長官は報道に激怒し、そのあとも政府関係者からは「生前退位は難しい」という慎重論ばかりが聞こえてきていた。「国務を減らせば済む話」「摂政で十分対応できる」、さらに「天皇が勝手に生前退位の希望を口にするのは、憲法違反だ」という声も上がっていた。
また、安倍政権を支える「日本会議」などの保守勢力からはもっと激しい反発が起こっていた。たとえば、日本会議副会長の小堀桂一郎氏は産経新聞で「生前退位は国体の破壊に繋がる」との激烈な批判の言葉を発している。
「何よりも、天皇の生前御退位を可とする如き前例を今敢えて作る事は、事実上の国体の破壊に繋がるのではないかとの危惧は深刻である。全てを考慮した結果、この事態は摂政の冊立(さくりつ)を以て切り抜けるのが最善だ、との結論になる」(産経新聞7月16日付)
安倍政権の御用憲法学者で、日本会議理事でもある百地章・日本大学教授も朝日新聞にこう語っていた。
「明治の皇室典範をつくるときにこれまでの皇室のことを詳しく調べ、生前退位のメリット、デメリットを熟考したうえで最終的に生前譲位の否定となった。その判断は重い。生前譲位を否定した代わりに摂政の制度をより重要なものに位置づけた。そうした明治以降の伝統を尊重すれば譲位ではなくて摂政をおくことが、陛下のお気持ちも大切にするし、今考えられる一番いい方法ではないか」(朝日新聞7月14日付)
天皇が「お気持ち」で生前退位に反対する安倍政権や日本会議へ反論! 象徴天皇を強調して戦前回帰けん制も
「国体の破壊」などというアナクロニズムを、現在堂々と発言するのも驚きである。
百地章・日本大学教授は、集団的自衛権合憲説を唱えた例外的な学者(?)であるが、このような人たちと思考を一にしているのが安倍政権である。
⇒2015年6月23日 (火):不可解な百地章教授の憲法九条解釈/日本の針路(184)
小堀桂一郎や百地章などがリーダー的地位にある日本会議は、やはり亡国的だ。
⇒2015年12月26日 (土):日本をダメにする日本会議という存在/日本の針路(268)
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- スキャンダラスな東京五輪/安部政権の命運(94)(2019.03.17)
- 際立つNHKの阿諛追従/安部政権の命運(93)(2019.03.16)
- 安倍トモ百田尚樹の『日本国紀』/安部政権の命運(95)(2019.03.18)
- 平成史の汚点としての森友事件/安部政権の命運(92)(2019.03.15)
- 内閣の番犬・横畠内閣法制局長官/人間の理解(24)(2019.03.13)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 藤井太洋『東京の子』/私撰アンソロジー(56)(2019.04.07)
- 内閣の番犬・横畠内閣法制局長官/人間の理解(24)(2019.03.13)
- 日本文学への深い愛・ドナルドキーン/追悼(138)(2019.02.24)
- 秀才かつクリエイティブ・堺屋太一/追悼(137)(2019.02.11)
- 自然と命の画家・堀文子/追悼(136)(2019.02.09)
「日本の針路」カテゴリの記事
- Happy New Year(2019.01.01)
- 沖縄知事選の対決の構図/日本の針路(411)(2018.09.10)
- 不気味な日本列島の地殻変動/日本の針路(410)(2018.06.18)
- 佐川証言の虚偽/日本の針路(409)(2018.04.01)
- 麻生大臣の軽さと不見識/日本の針路(408)(2018.03.31)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
あまりに偏った誤解に基づくブログ。
投稿: | 2016年8月20日 (土) 15時47分
自分と異なる考え方は認めない、このブログのような姿勢こそが危険思想。ダイバーシティの時代に旧態依然とした脳ミソの人間がいたものだ。誰かを批判するなら、その人の考え方や主張の中身をちゃんと勉強しなさいね。
投稿: | 2016年8月20日 (土) 15時56分
確かに、自分とは異質の人の思想を否定するのは、天皇陛下の生き様やお気持ちとは真逆のような気がします。
投稿: | 2016年8月20日 (土) 17時45分
てか、日本人じゃないのではブログの主。どちらかの一神教崇拝者でしょ?八百万の神を理解できない民族の人でしょう。
投稿: | 2016年8月20日 (土) 17時50分