反戦のレジェンド・むのたけじ/追悼(94)
反戦平和を訴え続けた反骨のジャーナリストむのたけじ(本名武野武治)さんが、21日老衰のため死去した。
101歳だった。
アジア・太平洋戦争で大本営発表をそのまま報道した責任に向き合って、敗戦を機に朝日新聞社を辞めた。
1948年2月、故郷の秋田でタブロイド判2ページの週刊新聞「たいまつ」を創刊した。
同紙は米国占領下の検閲に屈せず、教育や農業問題を中心に社会の矛盾を掘り下げた。
戦後の時代を見事に生きた「反戦のレジェンド」と言えよう。
東京新聞8月22日
1936年に東京外国語学校(現・東京外大)卒業後、報知新聞、朝日新聞の社会部記者として活躍した。
1942年にインドネシア上陸作戦に従軍し、終戦日の45年8月15日に退社した。
一度は捨てたペンを握り「たいまつ」を創刊したのは、その前年の連合国軍総司令部(GHQ)が出した2・1ゼネスト中止命令への怒りだった。
「どんな悪い平和でもいい戦争に勝る。平和は意識的な戦いの中でしかつかめない」と説いた。
原点は、戦争中に3歳のまな娘を病気で亡くした経験だった。
私の高校時代からの友人で、某新聞社でジャーナリストとして活躍し、働き盛りに亡くなった友人が、高校時代に尊敬する人として、むのさんの名前を挙げていたのを思い出す。
その頃読んだ『たいまつ十六年 』が岩波現代文庫で復刊されている。
100歳を超えていたのだから、天寿を全うしたと言えよう。
合掌。
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