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2016年8月30日 (火)

いつまでも「道半ば」の経済政策/アベノポリシーの危うさ(95)

日銀は先月末の政策声明で、金融政策の「総括的な検証」を実施する方針を示した。
2160831
東京新聞8月29日

2013年4月3日、4日の日本銀行金融政策決定会合で、「2年で2%、物価を上げる」ことで、デフレ脱却、日本経済の再生を目指すと断言した。
「PDCAサイクル」を考えれば、目標期限の途中のチェックが重要であるが、アベノミクスと称する経済政策には「PDCAサイクル」が考えられていない。
⇒2016年5月14日 (土):PDCAなき安倍政権の政策/アベノポリシーの危うさ(64)

「2年で2%、物価を上げる」ため、「異次元金融緩和政策」の導入が決定された。
日本銀行の黒田東彦総裁が、「量的にみても質的にみても、これまでとは全く次元の違う金融緩和」を行う」と胸を張った緩和政策である。
目標とした2年後の状況はどうであったか。
経済が活性化したとはとても言えず、実体経済に対しては効果はなかったと考えられる。
⇒2015年4月 5日 (日):異次元金融緩和の効果と限界/アベノミクスの危うさ(50)

異次元金融緩和から3年半が過ぎようとして、ようやく「総括的な検証」だが、おそらくは目標未達の言い訳に終わるであろう。

日銀としては今までの政策はうまくいっているが、いろいろな事情が重なり、物価目標は達成できていない。要するに物価目標未達成の理由(というか言い訳)を論理的に説明する準備をしているものと予想される。
9月日銀会合の「総括的検証」が苦しい言い訳になる理由と本当の結論

安倍政権は「アベノミクスは失敗ではなく、道半ば」という。
目標期限を設定しているにも拘わらず、道半ばとは言い訳以外の何ものでもあるまい。
納期に間に合わないビジネスパーソンが、顧客に対して「実はまだ道半ばでして・・・」といえば、直ちに信用を失墜するであろう。

しかし、7月の参院選でも、「道半ば」のレトリックが成功した。
吉田徹『時間かせぎの政治』(「世界」9月号)によれば、それは「期待値の操作」だという。
景気回復の実感がない人ほど、いつかは自分にも恩恵が及ぶはずという思い込みである。
甘利明前経済再生担当相が、2014年11月の記者会見で、「アベノミクスの基調が頓挫したわけではないが、トリクルダウンがまだ弱い」と語っていたのは、トリクルダウンの刷り込みに一役買ったという点で罪深い。
それにしても、「トリクルダウンがまだ弱い」と「アベノミクスは道半ば」は良く似ている。

稲田朋美防衛相は、自民党政調会長職にあった5月15日、「安倍政権としてはトリクルダウンという考え方はとっていない」と発言した。
⇒2016年6月11日 (土):トリクルダウンの幻/アベノポリシーの危うさ(79)
そのうち、「安倍政権としてはアベノミクスという考え方はとっていない」と言い出すのではないか。

しかし、安倍首相は、アベノミクスのエンジンをさらに吹かすと言っている。
「二世、三世で、繁栄を受け継ぐのに疲れた人たちが「これしか道はない。みんなのためにはこれしかないんだ」と早送りボタンを押し続けている」という藻谷浩介氏の指摘が的を外していることを願う。
⇒2015年1月14日 (水):LOHASと「早送り」/日本の針路(97)

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コメント

いつまで高度成長の夢見てんの?現状維持でいいじゃん。現状維持できてるのはアベノミクスのおかげ。民主党政権の地獄には二度と戻るまい。

投稿: | 2016年8月30日 (火) 22時58分

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