人口変化と地域スポンジ化への対応/日本の針路(287)
少子高齢化のトレンドは一朝一夕には変化しない。
現在の出生率、死亡率を基にすれば、2010年に1億28百万人余だった日本の人口は、2060年には87百万人弱まで減少すると推計されている。
東京新聞7月23日
人口増大期には、都市空間が急速に拡大してきたが、今は高齢者施設が次々と作られている。
都市が拡大する過程では、無秩序に拡大するスプロール化が問題になった。
1968年に、新・都市計画法が制定され、開発を促進する地域(市街化地域)と原則的に開発を認めない地域(市街化調整区域)を線引きして対処してきた。
しかし結果的には都市化と共に、土地の細分化が進むことになった。
人口減少期への移行により、都市は細分化されたままで、密度が薄くなっていく。
人口減少化における地域スポンジ化のモデリング
それぞれの所有者の事情に応じ、随時、売却されたり空き家になったりしていく。
すなわちスポンジ化である。
スポンジ化が進むにつれ、インフラ維持は効率が低下する。
そこでコンパクトシティという考え方が重要になってきた。
街の中心部に集中的にインフラ投資をして、周辺部からの移住を誘導するのである。
首都大学東京准教授の饗庭伸氏は『都市をたたむ 人口減少時代をデザインする都市計画』花伝社(2015年12月)で、人口減少社会における都市計画のあり方のキーワードとして「たたむ」を提起している。
「たたむ」の英訳は「shut down」ではなく、「fold up」、つまり風呂敷を「たたむ」の用法である。
いずれまた「開く」かもしれないというニュアンスが込められている。
可逆性をもった計画ということであろう。
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