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2016年7月14日 (木)

イギリスによるイラク戦争の総括/世界史の動向(46)

多くの犠牲者を出したイラク戦争。
米国に追随して参戦したイギリスの独立調査委員会が最終報告書を提出した。
一方、わが国はお座なりの検証しかしない。
反省がないのは、原発事故や経済政策も同様である。
⇒2016年7月 3日 (日):福島原発事故の調査はまだ途上だ/原発事故の真相(143)
⇒2016年5月14日 (土):PDCAなき安倍政権の政策/アベノポリシーの危うさ(64)

イギリスでは、機密文書も閲覧できる強い権限を持つ独立調査委員会が、ブレア元首相ら150人以上から聞き取りを重ねた。
7年の歳月と14億円をかけて書き上げた全12巻の報告書である。

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チルコット卿と調査委員会は、アルファベットで260万字にわたる報告書で、ブレア氏を丸裸にした。綿密に書かれた正確な証拠にもとづく報告書は、ブレア政権の大量破壊兵器をめぐるリポートは根拠がなかったと断定した。
チルコット卿の声明は静かに、ブレア政権の軍事面、そして情報戦略の失敗を断罪した。そしてブレア氏自身、調査委員会に対し、占領政策を事前に策定していなかったと述べていたことが明らかにされた。
「それは結果論だという話には同意しない」。チルコット卿はここで最も辛辣になった。「イラクの国内紛争のリスク、隣国のイランが自国の利益を求める活動、地域の不安定化、そしてイラク国内におけるイスラム過激派組織『アル・カイダ』の動き、これらは武力侵攻の前に、すべて事前に把握されていた」
これは、ブレア氏が常々述べている「私を批判する人は、単に結果論で言っているに過ぎない」という批判に反論するものだ。
イギリスは、なぜ間違えたのか。調査報告書が審判した「根拠なきイラク戦争」

イラク戦争は2003年3月20日に始まった。
ブッシュ米大統領は生物・化学などの大量破壊兵器を開発・保有するイラクの脅威から米国や国際社会を守ることを大義に掲げたが、私などの目から見ても、大義なき戦争っであることは明白だった。
結局、大量破壊兵器は結局発見されず、戦争は国際社会に深い傷痕を残す。
今日のイスラム国(IS)もイラク戦争によって生み出されたものと言えよう。
戦争を支持した日本政府も、その判断が正しかったのかを検証する必要がある。

しかし、安倍政権はイラク戦争に関し、米英の武力行使を支持した当時の小泉純一郎首相の判断を「妥当」とする立場を今後も維持するという。

 政府筋は七日、小泉氏の支持表明を妥当とする日本政府の立場に関し「現時点でも変更する必要はない」と強調した。理由について「イラクは当時、大量破壊兵器を保有していない事実を証明しようとせず、査察受け入れを求める国連安全保障理事会決議にも違反した」と説明した。
 世耕弘成官房副長官も六日の記者会見で、小泉氏の判断を巡り「今日でも妥当性を失うものではない」と表明。川村泰久外務報道官は同日の会見で、英国の動きを踏まえて政府見解を修正する可能性を問われると「わが国はイラクで人道復興支援と後方支援のみを行った。(参戦した)英国と同列に論じるのは適切でない」と否定した。
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安倍政権、イラク戦争の判断変えず 「支持は妥当」 英の対応と違い

イラク戦争ばかりではない。
福島原発事故をしっかりと検証し、公開する義務があるはずだ。
⇒2016年7月 3日 (日):福島原発事故の調査はまだ途上だ/原発事故の真相(143)
検証なしに再稼働など、本来あってはならないことだろう。

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