都知事選の暫定総括/日本の針路(282)
東京都知事選は首長を選ぶ選挙ではあるが、日本の将来を占う性格も持っている。
私は有権者ではないが、関心をもって選挙戦を見ていた。
結果は小池百合子氏の圧勝であった。
投票が終わると瞬時に当確が報じられた。
小池百合子氏が公約に掲げた“都議会解散” 実現は難しく
私は前回に続いて、暗い気持ちにならざるを得ない。
⇒2014年2月11日 (火):都知事選の結果と暗い予感/花づな列島復興のためのメモ(306)
東京都民は、知事選びにおいて3度間違ったであろう。
私の関心は主に次の点であったが両方とも有権者にとっては大きな問題ではなかった。
・猪瀬、舛添を支援した自民党についての評価
・野党共闘の効果
そもそも今回の選挙は、舛添前知事の余りにも無慚な醜悪な姿に端を発している。
その舛添氏を支援したのが自公両党であることが原点のはずであった。
⇒2016年5月15日 (日):舛添都知事の醜態と支援責任/アベノポリシーの危うさ(65)
⇒2014年2月11日 (火):都知事選の結果と暗い予感/花づな列島復興のためのメモ(306)
にも拘わらず、そのことはメディアからは見事に消されていた。
それだけでも、政権与党のメディア・コントロールの危険性は明らかであろう。
さらに加えて、週刊文春誌の白色テロとも言うべき選挙妨害報道があって、安倍政権の本質が浮き彫りになった一幕もあった。
⇒2016年7月24日 (日):真昼の暗黒か、ゲスの極みか/日本の針路(279)
かつての自民党良識派を代表する白川勝彦氏は、次のように言っている。
『週刊文春』の“鳥越報道”をみて、私は平成21年3月4日の小沢一郎民主党代表の公設第一秘書逮捕を想起した。マスコミは、小沢代表の政治資金問題を、これでもかこれでもかと、執拗に報道した。小沢氏は同年5月12日に民主党代表を辞任した。この小沢事件を、私は,「検察を使って政敵を抹殺する行為」と厳しく断罪し、これを激しく非難した。マスコミは、検察の共犯者として小沢一郎という政治家の抹殺に血道をあげた。
今回の構図は、『週刊文春』の発信情報を、他のマスコミが拡散するというやり方である。『週刊文春』という媒体は、それなりの知名度と重さがある。さっそく今朝、私も『週刊文春』を買って読んだ。書いてある記事は、伝聞が殆んどであるし、疑問点も多くある。問題は、このような内容の記事を掲載した『週刊文春』を、なぜこの時期に発刊したかである。
それぞれの報道機関が、“この事件”を自分たちの責任で報道するとしたら、まず多くの時間と労力が必要である。とても報道できる“事件”ではないと判断する新聞社やテレビ局も多いであろう。ところが、『週刊文春』にこのような記事が載ったと報道すれば、同じ目的が果たせるのである。ずるいやり方である。鳥越氏の弁護団は、名誉棄損および選挙妨害罪で告訴すると言っているのだから、上記のような報道の仕方も選挙妨害罪に加担しているのである。
・・・・・・
鳥越氏を推薦した野党4党およびこれに呼応した市民・国民に対して、私は訴えたい。今回の“鳥越報道”は、野党共闘を潰すために、政府与党が仕掛けてきた極めて卑劣な攻撃と認識するが重要である。これはもう理論や理屈ではない。ただ闘うのみである。政府与党も必死なのである。だから、こっちも必死に闘うしかないのだ。この戦いに負ければ、大変なことになる、と私は憂慮している。
政府とマスコミの合作で、政敵を抹殺する行為である。…『週刊文春』の鳥越報道
普通の良識を持ってすれば、白川氏の言に頷くであろうが、いまや絶対的少数のようである。
巨大自民党は割れた(ように見えた)。
しかし、都連が決めた候補以外の候補を、親族を含め支援したら除名という滑稽な締め付けを行ったにも拘わらず、当の小池氏にはお咎めなしというまことに奇妙・不可解な対応であった。
公然と支援していた若狭勝衆議院議員についても同様である。
まともな政党とも思えないが、そんなことは織り込み済みなのだろう。
日本人の判官贔屓的な感情を旨く利用して、ことさらに「悲劇の主人公」を演じてみせたのが小池百合子氏だ。
組織的な応援がなければ、とてもあれだけの選挙戦ができないことは、素人の私にも明らかだった。
にもかかわらず、鉄面皮に組織的支援が無いことを演じていた。
今までの主張を少しでも調べてみれば、とんでもない反動的なタカ派であるが、それと真逆なエコ派を偽装し続けた。
⇒2016年7月22日 (金):緑を冒涜する小池百合子/日本の針路(277)
B層あるいはヤンキー層を取り込めない限り、大きな選挙では勝てないということであろう。
⇒2016年7月26日 (火):マジョリティとしてのB層とヤンキー/日本の針路(280)
私は再び暗い気持ちにならざるを得ない。
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