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2016年7月11日 (月)

参院選の結果と今後の課題/アベノポリシーの危うさ(90)

想定されていたとはいえ、参院選の結果は残念であった。
32ある1人区で成立した野党共闘は、初めての試みとしてはまずまずというところであろう。
野党は11勝(21敗)だったが、いかんせん1人区の善戦だけではどうにもならない。
自民党は56議席、公明党は14議席、おおさか維新は7議席を確保し、3党で77議席である。
非改選の無所属議員のうち改憲賛成議員を加えると、自公プラス改憲勢力が参院で3分の2を制したことになる。
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国民が葬った民主主義…改憲へ衆参独裁政権誕生の絶望

衆参両院で3分の2を確保したので、安倍政権はやりたい放題である。
この選挙でも暗黙裡に存在感を示したのが日本会議であろう。
例えば、神奈川選挙区で当選した自民党の三原じゅん子氏である。
10日の「池上彰の参院選ライブ」という選挙特番における当選者へのインタビューで、「神武天皇は実在の人物」と語っていた。

三原じゅん子氏と言えば、昨年、参院の予算委員会で、「八紘一宇」という戦前・戦中のスローガンを、「日本が建国以来、大切にしてきた価値観」とまで言ってのけた人である。
皇国史観の確信犯である。
⇒2015年3月18日 (水):確信的「無知」の「無恥」・三原じゅん子/人間の理解(10)
日本会議の明治憲法(大日本帝国憲法)の復活というアナクロニズムが、静かに動き始めているのである。

自民党に投票した有権者の何割が、大日本帝国憲法を希求したのか?
あるいは棄権した人の何割が、自分が日本会議を利する行為に加担していると自覚していたのだろうか。
まさに麻生副首相兼財務相が言っていたように、「ナチスの手口」をなぞっているのである。
⇒2013年8月 4日 (日):撤回では済まされない麻生副総理の言葉

悔やまれるのは、比例区で野党共闘が成立しなかったことである。
共闘で、5議席が逆転することは十分可能だったであろう。
差し引き10議席である。

石田純一氏が、都知事選への出馬を打診されて「野党の統一候補なら出たい」と言った。
ちょっと聞くと、「エラそうな態度で」と聞こえるが、現時点では、野党共闘が成立しないと無意味になるのであって、そう考えれば彼の言っていることはまったく正しい。
もし他の人が共闘の候補者になるなら、自分は応援に回ると言っているのである。
ここは民進党が、生き残るかどうかの分岐点だと思って、野党をまとめる責任がある。
でなければ、民進党に存在意義はないのだ。

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コメント

安倍政権はやりたい放題、・・・全く、私は気がクサクサします。
どうして、日本はこんな風になってしまったのでしょう。自由、とか、平等、とか、何かそういう、義務教育で普通に教えられてきた、と思っていたことが、全然、違っていたんだなぁ、と、思ってしまう。
鳥越さんには、是非、都知事になって欲しいと思います。

投稿: 五節句 | 2016年7月12日 (火) 15時49分

五節句様

コメント有り難うございます。
本当に、どうして日本はこんな風になってしまったのでしょうね?
まあ、究極的には有権者の選択の問題ではありますが、メディアの責任も大きいと思います。投票日までは「アベノミクスを問う選挙」と言っていながら、投票が終わると改憲勢力が3分の2を占めた、と変わっているのですから・・・。
野党が都知事選で一矢報わなければ、本当にイヤになってしまいます。

投稿: 夢幻亭 | 2016年7月13日 (水) 10時41分

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