日本の夜明けは沖縄と福島から/日本の針路(281)
先の参院選で、自民党は沖縄選挙区の島尻安伊子沖縄北方担当相、福島選挙区の岩城光英法相の閣僚2人が落選した。
沖縄は在日米軍基地、福島は東京電力福島第一原発事故の問題を抱えている。
奇しくも、安倍政権の政治の矛盾の集約的に表れている場所で、有権者の不満が鮮明に表れた。
昔、「日本の夜明けは京都から」というスローガンがあったが、日本の夜明けは沖縄と福島から、であろう。
沖縄選挙区は、自民現職の島尻安伊子沖縄北方担当相が、新基地建設反対派が支援する元宜野湾市長で無所属新人の伊波洋一氏に敗れた。
新基地建設を巡っては、仲井真弘多知事(当時)が2013年12月に辺野古の埋め立てを承認した。
仲井真氏は2014年11月の県知事選で翁長雄志知事に敗北し、翁長氏は埋め立て承認を取り消した。
自民党は沖縄で、2013年参院選、14年衆院選の4小選挙区に続き国政選挙で3連敗である。
衆院選では比例復活しているが、全選挙区で議席を失った。
沖縄の民意は疑う余地がない。
福島選挙区は前回から改選数が減り、自民現職の岩城光英法相が民進現職の増子輝彦氏に敗れた。
福島では、事故から5年以上たった今も9万人超の県民が県内外で避難生活を続けている。
政府は14年4月以降、放射線量が下がった原発周辺の市町村の避難指示を解除しているが、「除染が不十分」との住民の不安は根強い。
除染で出た放射性廃棄物を保管する中間貯蔵施設も用地取得交渉が難航し、確保できた敷地は予定地全体の2%程度で、積み上げられた汚染土などは復興の妨げになっている。
安倍首相は参院選公示日の22日に福島県郡山市で街頭演説し、「復興は確かに進んでいる」と強調したが、原発事故への直接の言及はなかった。
増子氏がこの日強調したのが、やはり震災復興の課題だ。「原発事故の収束と震災からの復興に全力を尽くす。皆さんと一緒に戦い、一緒に考え、素晴らしい福島を作っていきたい」と強調。岩城氏の追い上げに対し、「私が戦っているのは安倍総理。私の政治活動でもありえなかったほどの執念だ。我々が福島で勝てば、安倍政権にノーを突きつけることになる」と声を振り絞った。
参院選・福島選挙区、小泉進次郎パワーも届かず
安倍政権に対する烽火はようやく点火したのではなかろうか。
安倍首相が直接応援に入った選挙区は1勝10敗だったという。
週刊ポスト8月5日号
なお、前回参院選からの両選挙区をめぐる動きは以下のようであった。
沖縄と福島で閣僚苦戦
福島や沖縄の選挙区では、有権者は我がこととして争点を考えている。
未来の状況を先取りしているのではなかろうか。
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コメント
沖縄と福島を一緒くたに語るのは当事者に対してあまりに失礼。特に沖縄の歴史、ちゃんと勉強してから物を言いなさい。
投稿: | 2016年8月31日 (水) 23時36分