第三の波の文明論・アルビン・トフラー/追悼(87)
「第三の波」などのベストセラーで知られるアメリカの未来学者、アルビン・トフラー氏が6月27日、ロサンゼルスの自宅で死去した。
87歳だった。
トフラーは1928年、ニューヨーク生まれた。
ニューヨーク大学在学中に知り合ったハイジさんと結婚後、溶接工を経て、ジャーナリストの道に進み、「フォーチュン」誌の記者などを務めた。
溶接工体験が、社会のしくみに対する関心を植え付けた。
1980年に出版された「第三の波」で農業革命、産業革命に続く、「情報革命」が起きると主張した。
インターネットが普及する約20年も前に、情報化社会の到来を予見しており、「世界で最も有名な未来学者」(英フィナンシャル・タイムズ紙)と称賛されている。
人類の歴史は、さまざまな見方ができるが、大きな発展の図式として、次のようなものが広く受け入れられている。
http://ics.doshisha.ac.jp/
このような見方はいずれにしろ検証のしようがない仮説であるが、梅棹忠夫さんこそ世界の識者に先駆けて提示したものだ。
⇒2010年7月 7日 (水):梅棹忠夫さんを悼む/追悼(8)
⇒2009年4月10日 (金):「情報産業論」の先駆性
http://kuwabara03.blogspot.jp/2010/09/blog-post_2372.html
トフラーはジャーナリスティックなネーミングの名手だったともいえよう。
「デジタル革命」、「コミュニケーション革命」、「組織革命」、「技術的特異点」といった表現である。
特に「技術的特異点」の概念は、人工知能の発展によって現実性を高めている。
⇒2014年4月27日 (日):電王戦の結果と2045年問題/知的生産の方法(93)
⇒2014年11月 3日 (月):ロボットが東大に入るようになったら/知的生産の方法(109)
⇒2015年4月22日 (水):教科書デジタル化の功罪/知的生産の方法(119)
技術的特異点は、人間と同等以上のAGIが生まれたときに、そのAGIがさらに洗練されたAGIを自ら設計し、そうして生まれたAGIがさらに洗練されたAGIを設計し…というプロセスがひとたび始まると、知能が爆発的に上昇し、人間が置いて行かれるようになるある瞬間のことをいいます。
知能と技術的特異点
技術的特異点の到来を目にしないで逝ったのは心残りだったかも知れないが、生あるものは何時かは死ぬ。
合掌。
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