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2016年7月

2016年7月31日 (日)

都知事選の暫定総括/日本の針路(282)

東京都知事選は首長を選ぶ選挙ではあるが、日本の将来を占う性格も持っている。
私は有権者ではないが、関心をもって選挙戦を見ていた。
結果は小池百合子氏の圧勝であった。
投票が終わると瞬時に当確が報じられた。
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小池百合子氏が公約に掲げた“都議会解散” 実現は難しく


私は前回に続いて、暗い気持ちにならざるを得ない。
⇒2014年2月11日 (火):都知事選の結果と暗い予感/花づな列島復興のためのメモ(306)
東京都民は、知事選びにおいて3度間違ったであろう。
私の関心は主に次の点であったが両方とも有権者にとっては大きな問題ではなかった。
・猪瀬、舛添を支援した自民党についての評価
・野党共闘の効果

そもそも今回の選挙は、舛添前知事の余りにも無慚な醜悪な姿に端を発している。
その舛添氏を支援したのが自公両党であることが原点のはずであった。
⇒2016年5月15日 (日):舛添都知事の醜態と支援責任/アベノポリシーの危うさ(65)
⇒2014年2月11日 (火):都知事選の結果と暗い予感/花づな列島復興のためのメモ(306)

にも拘わらず、そのことはメディアからは見事に消されていた。
それだけでも、政権与党のメディア・コントロールの危険性は明らかであろう。
さらに加えて、週刊文春誌の白色テロとも言うべき選挙妨害報道があって、安倍政権の本質が浮き彫りになった一幕もあった。
⇒2016年7月24日 (日):真昼の暗黒か、ゲスの極みか/日本の針路(279)
かつての自民党良識派を代表する白川勝彦氏は、次のように言っている。

『週刊文春』の“鳥越報道”をみて、私は平成21年3月4日の小沢一郎民主党代表の公設第一秘書逮捕を想起した。マスコミは、小沢代表の政治資金問題を、これでもかこれでもかと、執拗に報道した。小沢氏は同年5月12日に民主党代表を辞任した。この小沢事件を、私は,「検察を使って政敵を抹殺する行為」と厳しく断罪し、これを激しく非難した。マスコミは、検察の共犯者として小沢一郎という政治家の抹殺に血道をあげた。
今回の構図は、『週刊文春』の発信情報を、他のマスコミが拡散するというやり方である。『週刊文春』という媒体は、それなりの知名度と重さがある。さっそく今朝、私も『週刊文春』を買って読んだ。書いてある記事は、伝聞が殆んどであるし、疑問点も多くある。問題は、このような内容の記事を掲載した『週刊文春』を、なぜこの時期に発刊したかである。
それぞれの報道機関が、“この事件”を自分たちの責任で報道するとしたら、まず多くの時間と労力が必要である。とても報道できる“事件”ではないと判断する新聞社やテレビ局も多いであろう。ところが、『週刊文春』にこのような記事が載ったと報道すれば、同じ目的が果たせるのである。ずるいやり方である。鳥越氏の弁護団は、名誉棄損および選挙妨害罪で告訴すると言っているのだから、上記のような報道の仕方も選挙妨害罪に加担しているのである。
・・・・・・
鳥越氏を推薦した野党4党およびこれに呼応した市民・国民に対して、私は訴えたい。今回の“鳥越報道”は、野党共闘を潰すために、政府与党が仕掛けてきた極めて卑劣な攻撃と認識するが重要である。これはもう理論や理屈ではない。ただ闘うのみである。政府与党も必死なのである。だから、こっちも必死に闘うしかないのだ。この戦いに負ければ、大変なことになる、と私は憂慮している。
政府とマスコミの合作で、政敵を抹殺する行為である。…『週刊文春』の鳥越報道

普通の良識を持ってすれば、白川氏の言に頷くであろうが、いまや絶対的少数のようである。
巨大自民党は割れた(ように見えた)。
しかし、都連が決めた候補以外の候補を、親族を含め支援したら除名という滑稽な締め付けを行ったにも拘わらず、当の小池氏にはお咎めなしというまことに奇妙・不可解な対応であった。
公然と支援していた若狭勝衆議院議員についても同様である。
まともな政党とも思えないが、そんなことは織り込み済みなのだろう。

日本人の判官贔屓的な感情を旨く利用して、ことさらに「悲劇の主人公」を演じてみせたのが小池百合子氏だ。
組織的な応援がなければ、とてもあれだけの選挙戦ができないことは、素人の私にも明らかだった。
にもかかわらず、鉄面皮に組織的支援が無いことを演じていた。
今までの主張を少しでも調べてみれば、とんでもない反動的なタカ派であるが、それと真逆なエコ派を偽装し続けた。
⇒2016年7月22日 (金):緑を冒涜する小池百合子/日本の針路(277)

B層あるいはヤンキー層を取り込めない限り、大きな選挙では勝てないということであろう。
⇒2016年7月26日 (火):マジョリティとしてのB層とヤンキー/日本の針路(280)
私は再び暗い気持ちにならざるを得ない。

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2016年7月30日 (土)

相模原大量殺人事件と優生思想/日本の針路(282)

相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で入居者19人が刺殺された事件には言葉を失う。
⇒2016年7月27日 (水):相模原障害者施設大量殺人事件/ケアの諸問題(26)
障害者の大量殺害計画を記した手紙を安倍晋三首相にも提出しようとしていた。
知人に朗読して内容を伝えており、断念するよう勧められた際は激しく抵抗したという。

 捜査関係者によると、植松容疑者は1月ごろ、知人らに「障害者を殺したい」と相次いで連絡。重複障害者を多数殺害する計画と具体的手口をまとめたメモを読み上げ、安倍首相に送る考えを伝えた。だが主張を否定されると「考えが分からないのか」と激怒。最終的に送付は断念したというが、その後友人と連絡を絶っていた。
 2月になり、植松容疑者は、障害者を大量殺害する計画などを記した衆院議長宛ての手紙を公邸に持参。この手紙の内容は1月に朗読していた計画と酷似していた。
 捜査本部は自宅の家宅捜索で手紙の下書きとみられるメモを押収しており、関連を調べている。
 家宅捜索では自宅から微量の植物片も見つかった。大麻の可能性があるとみて鑑定する。
 植松容疑者は措置入院中、「ヒトラー思想が降りてきた」とし、「抹殺事件をきっかけに法律が変わればいい。世界経済のためになる」と話していたことも判明。
相模原殺傷 犯行予告は首相へ送付計画 容疑者、知人に手紙朗読

大麻による影響が、どういう形で、どの程度あるのか?
「ヒトラー思想が降りてきた」とは、どういうことか?
恐ろしいと思うのは、この事件が狂気の結果ではなく、正気として行われたと考えられることである。
殺傷の対象は障害者に限定されており、職員は結束バンドで拘束されることはあっても殺傷のターゲットではなかった。

植松容疑者は確信犯として実行したのである。
「ヒトラー思想が降りてきた」という言葉から窺われるように、優生思想に基づく行為であることは間違いあるまい。
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優生学についてのWikipediaの解説を見てみよう。

生殖管理により人種を改良する、という発想は、プラトンにまで遡ることもできるが、優生学の直接的な起源は、1865年のフランシス・ゴルトンの報告である。彼は従兄弟のチャールズ・ダーウィンが1859年に著した『種の起源』から影響を受けた。優生学はアレクサンダー・グラハム・ベルのような当時の有力者らによって支持された。
優生学の目的は様々であるが、「知的に優秀な人間を創造すること」、「社会的な人的資源を保護すること」、「人間の苦しみや健康上の問題を軽減すること」などが挙げられる。これらの目標を達成するための手段として、産児制限・人種改良・遺伝子操作などが提案された。この考えは、強権的な国家による人種差別と人権侵害、ジェノサイドに影響を与えた。
1930年代、エルンスト・リューディンが優生学的な言説をナチス・ドイツの人種政策に融合させる試みを開始した。当時は、アメリカや北欧諸国でも、同様の政策、研究が盛んに進められていた。例えば、カーネギー、ロックフェラーなどの財閥系企業も、アメリカの優生学協会に資金援助を行っていた。
第二次世界大戦の終結以降、優生学は、「民族衛生」や「絶滅政策」といったナチスによる蛮行と結びつけて認識されるようになり、廃れた。
イギリス、北欧、日本などで福祉政策の一環として取り入れられていた優生学的施策も20世紀末までに撤廃され、現在、公的な制度として優生学を取り入れている国は、シンガポールを例外としてほぼない。

戦後世代の私たちには余り馴染みがないが、戦後半世紀にわたり実施されてきたハンセン病患者に対する日本の強制隔離政策がある。
沼津市に生まれた明石海人は天才歌人として知られるが、ハンセン病に罹患し、隔離生活を余儀なくされた。
⇒2015年10月11日 (日):明石海人@千本松原/文学碑を訪ねる(2)

優生学は、個々人が誕生以前よりその遺伝形質に規定された不平等性を有する、という「人間不平等性論」を前提として構築されている。
人間を「尊厳 Würde」においてではなく、「価値 Wert」の優劣において理解するもので、異人種間の価値的優劣を主張する「人種主義・人種差別主義」と、同一民族内における価値的優劣を問題化する優生学は、その人間理解において思想的に通底するとされる。
日本を「神の国」などと特別視する傾向とベクトルは同じと言えよう。

植松容疑者が障害者は「安楽死」させるべきだと言っていたのは、ナチス・ドイツが障害者を「価値なき生命」と決めつけ、「国家的安楽死」と称して大量に殺害したことに影響されているのであろう。
「一億総活躍社会」とは言うが、「活躍」とはあくまで「生産活動」のことを指している安倍政権の思想がこのような犯罪を生む土壌になっているのではないか。

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2016年7月29日 (金)

同時代の輝く才能・中村紘子/追悼(90)

国際的ピアニストの中村紘子(本名・福田紘子)さんが26日大腸がんのため亡くなった。
1944(昭和19)年7月25日生まれだから、72歳の誕生日を迎えたばかりということになる。

Ws000000 山梨県生まれ、東京都育ち。桐朋学園の前身「子供のための音楽教室」の1期生として、井口愛子に師事。全日本学生音楽コンクールの小・中学校両部を制して「天才少女」と呼ばれた。1959年、史上最年少の15歳で現・日本音楽コンクールの1位・特賞に。全額奨学生として米ジュリアード音楽院で学び、65年にはショパン国際コンクールで4位と最年少者賞を受けた。当時の演奏ぶりを毎日新聞は「その音色は新鮮で、若さに輝く」と報じている。
 以来、日本を代表するピアニストとして活躍し、チャイコフスキー国際コンクールなどの審査員も歴任。経験をつづったエッセー集「チャイコフスキー・コンクール」で89年の大宅壮一ノンフィクション賞を受けるなど、文筆家としても名をはせた。
国際的ピアニストの中村紘子さん死去、72歳

「子供のための音楽教室」の同期には、小澤征爾、堤剛、江戸京子などがいる。
きらきら輝く才能が集っており、まさに黄金時代である。
1954年、全日本学生音楽コンクールピアノ部門小学生の部で全国第1位入賞を獲得した。
慶應義塾中等部に進み、1958年、全日本学生音楽コンクールピアノ部門中学生の部で全国第1位入賞し1959年、日本音楽コンクールで第1位特賞を受賞した。
プロの演奏家としては、1960年に岩城宏之指揮の東京フィルハーモニー交響楽団の演奏会にソリストとしてデビューし、同年、NHK交響楽団初の世界ツアーのソリストに抜擢された。

1965年、第7回ショパン国際ピアノコンクールで、第4位入賞と最年少者賞を併せて受賞した。
このコンクール入賞以後、世界各国で演奏活動を続ける一方で、ショパン、チャイコフスキー、アルトゥール・ルービンシュタインはじめとする様々な国際コンクールの審査員を務める。
日本では第3回浜松国際ピアノコンクールから審査委員長を務め、コンクール創立10年たらずで国際ピアノコンクール連盟に加盟させるなど一級レベルの国際ピアノコンクールにまで持ち上げた。

1974年9月に芥川賞作家庄司薫(本名・福田章二)と結婚した。
福田章二は、東大闘争のあった1969年、庄司薫の名義で『赤頭巾ちゃん気をつけて』を発表し、第61回芥川賞を受賞した。
同年8月に中央公論社から単行本として刊行され、大ベストセラーになった。
私としては同時代を生きた才能が亡くなったことになり、喪失感が大きい。
合掌。

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2016年7月28日 (木)

日本の夜明けは沖縄と福島から/日本の針路(281)

先の参院選で、自民党は沖縄選挙区の島尻安伊子沖縄北方担当相、福島選挙区の岩城光英法相の閣僚2人が落選した。
沖縄は在日米軍基地、福島は東京電力福島第一原発事故の問題を抱えている。
奇しくも、安倍政権の政治の矛盾の集約的に表れている場所で、有権者の不満が鮮明に表れた。
昔、「日本の夜明けは京都から」というスローガンがあったが、日本の夜明けは沖縄と福島から、であろう。

沖縄選挙区は、自民現職の島尻安伊子沖縄北方担当相が、新基地建設反対派が支援する元宜野湾市長で無所属新人の伊波洋一氏に敗れた。
新基地建設を巡っては、仲井真弘多知事(当時)が2013年12月に辺野古の埋め立てを承認した。
仲井真氏は2014年11月の県知事選で翁長雄志知事に敗北し、翁長氏は埋め立て承認を取り消した。
自民党は沖縄で、2013年参院選、14年衆院選の4小選挙区に続き国政選挙で3連敗である。
衆院選では比例復活しているが、全選挙区で議席を失った。
沖縄の民意は疑う余地がない。

福島選挙区は前回から改選数が減り、自民現職の岩城光英法相が民進現職の増子輝彦氏に敗れた。
福島では、事故から5年以上たった今も9万人超の県民が県内外で避難生活を続けている。
政府は14年4月以降、放射線量が下がった原発周辺の市町村の避難指示を解除しているが、「除染が不十分」との住民の不安は根強い。

除染で出た放射性廃棄物を保管する中間貯蔵施設も用地取得交渉が難航し、確保できた敷地は予定地全体の2%程度で、積み上げられた汚染土などは復興の妨げになっている。
安倍首相は参院選公示日の22日に福島県郡山市で街頭演説し、「復興は確かに進んでいる」と強調したが、原発事故への直接の言及はなかった。

増子氏がこの日強調したのが、やはり震災復興の課題だ。「原発事故の収束と震災からの復興に全力を尽くす。皆さんと一緒に戦い、一緒に考え、素晴らしい福島を作っていきたい」と強調。岩城氏の追い上げに対し、「私が戦っているのは安倍総理。私の政治活動でもありえなかったほどの執念だ。我々が福島で勝てば、安倍政権にノーを突きつけることになる」と声を振り絞った。
参院選・福島選挙区、小泉進次郎パワーも届かず

安倍政権に対する烽火はようやく点火したのではなかろうか。
安倍首相が直接応援に入った選挙区は1勝10敗だったという。
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週刊ポスト8月5日号

なお、前回参院選からの両選挙区をめぐる動きは以下のようであった。
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沖縄と福島で閣僚苦戦

福島や沖縄の選挙区では、有権者は我がこととして争点を考えている。
未来の状況を先取りしているのではなかろうか。

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2016年7月27日 (水)

相模原障害者施設大量殺人事件/ケアの諸問題(26)

何とも遣り切れない陰惨な事件が起きた。
7月26日午前2時50分、神奈川県相模原市緑区にある障害者施設の職員に男が侵入し、入居者が殺された。
同日8時30分時点の報道によると、相模原市消防局が19人の死亡を確認、他に26人が負傷(うち20人は重傷)しており、死亡した19人全員が施設の入所者である。
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東京新聞7月27日

相模原市の障害者施設で起きた刺殺事件は欧米メディアも大きく報じた。
欧米では最近、銃乱射事件やテロといった凄惨な事件が相次いでいる。
それだけに、治安の良さで知られる日本でも大量殺人が発生したことは衝撃的だった。

 米CNN(電子版)は現場で救助に当たる救急隊員の映像などを使い、「第二次大戦以降の日本で最悪の大量殺人」と報道。英BBC放送(同)は東京・秋葉原で平成20年に7人が死亡した無差別殺傷事件などにも触れながら、「日本では過去数十年で最悪の事件」と報じた。
 メディアは植松聖容疑者(26)が障害者を殺害するとつづった手紙にも強い関心を示し、独DPA通信は植松容疑者が「障害者の安楽死」を図ったと報じ、AP通信は「憎悪が若者を(犯行に)駆り立てたようだ」と伝えた。
 海外での関心の高さの背景にあるのは、欧米などと比べて日本が「世界で最も安全な国の一つだ」(BBC)とみなされているためだ。ロイター通信は「大量殺害は世界でありふれている」が、「日本では極めて珍しい」と指摘。一方、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は国連の統計を引用し、2011年の人口10万人当たりの殺人発生件数は0.3件だが、「米国はその10倍以上の4.7件だ」と紹介した。
「日本で最悪の大量殺人」欧米メディアも大きく報道

被疑者の属性についてはこれからさまざまな事実が明らかにされていくであろうが、明らかに精神異常を窺わせる。
被疑者は以下のような手紙を用意していたらしい。
手紙はA4のリポート用紙3枚の手書きで書かれていた。
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【相模原事件】大量殺人事件の犯人から大麻の薬物反応!

 駿河台大の小俣謙二教授(犯罪心理学)は「計画性があり、メッセージだと思う」と分析する。植松容疑者は自身のものとみられるツイッターやフェイスブックにも書き込み、今月二十二日にドイツ・ミュンヘンで起きた銃乱射事件などにも言及していた。「障害者とうまくコミュニケーションできないなど、複合的ないら立ちがあったのかもしれない」とみる。
 一方で筑波大の土井隆義教授(社会病理学)は「職場での境遇などが潜在的な動機としてあるのかもしれないが、排除のレトリックばかりで、経験などで障害者は変わり得るということが理解できていない」と解説する。
 手紙ではカジノ建設を求めるなど、支離滅裂な内容が大半を占める。東洋大の桐生正幸教授(犯罪心理学)は「イデオロギーや思想性は感じられず、障害者に対する誤った認識もうかがえる。この手紙をもって犯行予告とは考えられない」との見方を示した。
相模原殺傷容疑者 衆院議長宛ての手紙に障害者への偏見

ケアされるべき人たちが、殺害の対象になるとはひどい世の中になったものだ。
被疑者のツイッターアカウント「聖@tenka333」に事件直後、「世界が平和になりますように。beautiful Japan!!!!!!」というスーツ姿の植松容疑者の写真が添付された投稿があったことが明らかになった。
「beautiful Japan!」というのは、安倍首相の著書『美しい国へ』文春新書(2013年1月)を意識したものであろう。
上記の手紙にもあるように、「安倍晋三様」に深い思い入れがあるようである。
「一億総活躍社会」を謳う安倍首相は、障害者の現状や子に事件についてどう思うのだろうか?

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2016年7月26日 (火)

マジョリティとしてのB層とヤンキー/日本の針路(280)

アメリカの共和党の大統領候補はトランプ氏に決まった。
泡沫のように扱われていたことを思えば、他国のことながら感慨を覚える。

時を同じくして、「ポケモンGO」というスマホを利用したゲームが爆発的人気だ。
日本でも、23日配信が開始された。
多くの観光客が訪れる世界遺産などでもゲームを楽しむ人々の姿がみられ、自治体などは歩きスマホによる事故に注意するなど話題になっている。
私はゲーム全般を否定するものではないが、このフィーバーぶりは異常ではないかと思う。

このような「ポケモンGO]の人気と、トランプ現象、あるいは安倍支持率が高いことには共通するものがあるように思う。
いわゆる「B層」であり、ヤンキーである。

「B層」は以下のように説明されている。

2004年に自民党が広告会社につくらせた企画書に登場する概念です。
そこでは、郵政民営化を実現するための戦略が述べられており、国民がA層、B層、C層、D層に分類されています。



 A層は「構造改革に肯定的でかつIQが高い層」。
 B層は「構造改革に肯定的でかつIQが低い層」であり、その対立概念がC層です。
 C層は「構造改革に否定的でかつIQが高い層」、つまり構造改革のいかがわしさを筋道立てて説明できるそうですね。
なお、D層には特別な説明はありません。
跋扈する愚民「B層」をC層は止められるか

この「B層」が日本の有権者のマジョリティになっている。
⇒2016年7月23日 (土):有権者のマジョリティはB層/日本の針路(278)
⇒2015年7月 4日 (土):柳の下に二匹目のB層はいるか?/日本の針路(189)

一方、政治の世界におけるヤンキーの台頭も指摘されている。
日本の社会全体について、ヤンキー化の傾向を指摘したのは精神科医の斉藤環氏である。
ヤンキー化する日本 』角川oneテーマ21新書(2014年3月)の中に、次のような説明がある。

その場の勢いをなにより大事にし、「深く考えない」ことを美徳とする精神(反知性・教養主義)

ヤンキーは仲間と家族を大事にするのが特徴だが、自分のシンパで政権を固める安倍首相自身がヤンキーであり、またヤンキーに支えられていることは明らかであろう。
⇒2015年7月28日 (火):ヤンキー政治家から日本を取り戻せ/日本の針路(202)
一般論として、次のような意見もある。

日本の政治家にもヤンキーは多い。日本の選挙運動というバッドセンスなものに何の抵抗もないのがヤンキー的な人たちだからです。決起集会では「エイエイオー」なんてやって、たすきを掛けて白い手袋で街頭演説。群衆の中で自分の名前を連呼するという恥辱プレーをしなければならない。普通なら耐えがたいですよ。しかしヤンキー的な人々にとっては自然なこと。これがそういう伝統なんだと言われたら納得してしまう。反知性主義であり、現実思考的なのはヤンキーの特徴です。
ヤンキーってB層?D層?

小池百合子氏などを見ていると、「確かにヤンキーだなあ」と思う。
しかし、それが支持を集めているのが現状である。
トランプ氏にしてもしかりである。
共和党大会でファミリーを次々と登場させた辺りは、まさにヤンキー的である。

そう言えば、「日本会議」も親学を提唱したり、家族の絆を最優先する辺り、まさにヤンキーと共通する。
⇒2015年12月26日 (土):日本をダメにする日本会議という存在/日本の針路(268)
ところで、ヤンキーとB層の関係は重なりそうでもあるが、微妙に違うようにも思える。

ここで判断が難しいのは、縦軸の「IQ」。このフレームワークが問題視される所以なんだけど、「ヤンキーは学歴が高くないから」とD層に“認定”するのは単純すぎる気もする。地元のことに精通して郷土愛もあるのが「ヤンキー」。理論武装は出来なくても、地頭がよくて社会的立ち回りに優れる。マスコミの通り一遍な情報に踊らされない「ヤンキー」だっているだろう。ちなみに筆者の実体験に基づく感覚では、俗にいう「ネット右翼」の方々は歴史的な事実を彼らなりの解釈とはいえ、よく勉強はしているので「C層」との親和性が高いように思えるのだが、一気呵成な行動力がある点で「ヤンキー」とオーバーラップしているのだろうか。田母神さんに投票した“愛国者”の皆さんからすれば「俺たちはヤンキーではない!」と怒られそうだが(怖いよー、汗)、もちろん決め付けたわけではないですよ
ヤンキーってB層?D層?

まあ、「空気」が支配的なのは昔からのことではあるが。
⇒2008年4月28日 (月):山本七平の『「空気」の研究』

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2016年7月25日 (月)

アベノミクスの帰結としてのヘリコプターマネー/アベノポリシーの危うさ(93)

2016年に入って、「Googleトレンド」における「ヘリコプターマネー」というキーワードの検索回数が急上昇しているという。
「ヘリコプターマネー」とは何か?

あたかもヘリコプターから現金をばらまくように、中央銀行あるいは政府が、対価を取らずに大量の貨幣を市中に供給する政策。米国の経済学者フリードマンが著書「貨幣の悪戯」で用いた寓話に由来。中央銀行による国債の引き受けや政府紙幣の発行などがこれにあたる。
デジタル大辞泉

日本銀行が、今月末にでも「ヘリコプターマネー」を実施するのではないか、と見る向きもある。

 7月上旬に“ヘリコプター・ベン”の異名を持つ、米FRB前議長のベン・バーナンキ氏が来日し、安倍首相と日銀の黒田総裁に会っている。バーナンキ前議長は間違いなくヘリマネ政策を2人に迫ったと市場は感じた。これを機に円安が進行し、株式市場では株高が出現した。
 しかし、本当に「ヘリマネ政策」を実施できるのか。実際には国債買い取り枠の拡大(80兆円→100兆円以上)や、個別銘柄(株式)への直接投資など“ヘリマネのような政策”を行うのが精いっぱいとみられている。マイナス金利の拡大を指摘するアナリストもいる。
「最悪なのはゼロ回答です。現状はポケモンGO効果で株式市場は盛り上がっています。でも過熱感が漂ってきたし、下がるときは一気に下落します。黒田総裁が現状維持を決めたら、ヘリマネへの期待感が強い分、市場の失望はいつも以上に大きい。為替相場は1ドル=100円の円高水準となり、株価は1万6000円をアッサリと割り込む危険性があります」(倉多慎之助氏)
 29日、市場に激震が走る。
7.29市場激震? 黒田日銀はヘリコプターマネー決断するか

「ヘリコプターマネー」の手法は、大きくは「政府紙幣型」と「日銀債務引き受け型」の2種類に分類される。

<「政府紙幣型」の例>
日本の5200万世帯それぞれが、日銀によって20万円がチャージされたデビットカードを受け取る。このカードの残高が1年後には消滅することにして、確実に消費させることで、名目GDP500兆円の2%に相当する10兆円の上昇が期待できる。
<「日銀債務引き受け型」の例>
日銀が政府の国債を直接、引き受ける。引き受けた国債を「無利子永久債」として扱うことで、政府は日銀に利子を払ったり、借金を返済する必要がなくなる。
「ヘリコプターマネー」導入で日本が操縦不能になるシンプルな理由

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東京新聞7月21日

マイナス金利政策が効果がないことで、アベノミクスの失敗は明らかだ。
PDCAという来本をなおざりにし、さらにエンジンを吹かすと称して「ヘリコプターマネー」政策を実施すれば、日本は阿鼻叫喚に陥るのは必至だろう。
⇒2016年5月14日 (土):PDCAなき安倍政権の政策/アベノポリシーの危うさ(64)
⇒2015年4月18日 (土):データからインテリジェンスへ/知的生産の方法(118)

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2016年7月24日 (日)

真昼の暗黒か、ゲスの極みか/日本の針路(279)

混沌とした都知事選の中で、鳥越俊太郎氏に対する激しいネガティブキャンペーンが展開されている。
無党派層を鳥越氏と分け合うと言われている小池百合子氏は、街頭で「政策もない病み上がりの人」と表現した。

小池氏は7月17日に秋葉原駅前で行った街頭演説で「この人なら勝てると言って、政策も何もない人、病み上がりの人をただ連れてくればいいというものではないんです」と発言していた。
小池氏は当初「言ってないです、記憶にないですね」と笑いながら発言自体を否定していたが、鳥越氏に「がんサバイバーに対する大変な差別ですよ、偏見だ」と責められると「もし言っていたならば、失礼なことを申し上げて恐縮です」と謝罪した。しかしその後、小池氏は「これが選挙なんですよ、坂上さん」と述べた上で、「逆にその部分しかご質問はないんですか?」と切り返していた。
鳥越俊太郎氏は「病み上がりの人」 小池百合子氏が発言を謝罪【都知事選】

「これが選挙」かも知れないが、ゲス感は否めない。
参院選に続く野党共闘に相当神経を尖らしていることは間違いない。
スクープを連発してきた週刊文春が、7月28日号で、鳥越氏の疑惑を取り上げた。
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記事を読むと間接的な証言だけの「疑惑」であるが、その影響力は大きいだろう。

「鳥越さんを支援してきた共産党系女性支持者の間で“鳥越嫌い”が広がりつつあります。共産は個人演説会などの箱物イベントを仕切り、動員をかけて盛り上げる。民進は街頭演説などの遊説を担当する、とすみ分けてきた。基礎票があってないような民進と比べ、確実に票読みができる共産の一角が崩れてしまうのは痛い」(都政関係者)
スキャンダルで離れる共産女性票 鳥越氏に起死回生策は?

コアな共産党系女性支持者に影響があるかどうかは疑問であるが、いわゆる「B層」の女性に対しては強く影響するだろう。
私の知り合いの小池批判をしていた女性も鳥越批判を始めた。
裁判になれば、名誉棄損でも公選法違反でも、文春不利とみられるが、それで問題解決というわけではない。

基地問題で安倍官邸に抵抗し続けている翁長雄志・沖縄県知事に関し、官邸が内閣情報調査室や公安に命じて、スキャンダルを必死で探しているという情報がある。

 すると、昨日発売の「週刊文春」(文藝春秋)4月23日号がさっそく「翁長知事を暴走させる中国・過激派・美人弁護士」と題した大特集をトップで掲載したのである。
 もっとも、この特集、タイトルとページ数のわりに中身はスカスカ。「公安関係者」のあやしげなコメントがいくつも登場し、翁長知事をなんとか貶めようという意図は見えるのだが、肝心の事実がまったく書かれていない。
官邸情報で翁長知事バッシング!「週刊文春」編集長と安倍、菅の知られざる"関係"

鳥越氏や翁長氏のネガティブ情報を流すのは積極的な官邸への加担ということだが、沖縄記事をさておいて、ポケモン情報を一面トップに据えた朝日新聞は消極的な加担ということだろう。
オピニオン紙からの転落の道を一直線だ。
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高瀬毅のツイッター投稿

メディア支配が完了すればアーサー・ケストラーの『真昼の暗黒』の世界になるだろう。
⇒2012年2月22日 (水):小沢強制起訴裁判で墓穴を掘るのは誰か?
⇒2012年11月15日 (木):小沢無罪判決/花づな列島復興のためのメモ(158)

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2016年7月23日 (土)

有権者のマジョリティはB層/日本の針路(278)

安倍政権が非論理的であっても(あるが故に)、選挙で勝つのは、日本の有権者のマジョリティが「B層」だからである。
日本をダメにしたB層の研究(講談社+α文庫(2015年9月)の著者適菜収氏は、週刊新潮160728日号で、郵政民営化との関係で「B層」を次のように説明している。

B160728
「具体的なことはよくわからないが小泉純一郎のキャラクターを支持する層」:主婦層やシルバー層など。
B層は、構造改革の内容など知らないし、知ろうともしない。ただ、変革、改革、刷新などの言葉に引きずられていく。
「改革なくして成長なし」「聖域なき構造改革」などの言葉がB層に向けて発せられ、見事に功を奏した。

かくしてB層はますます跋扈する。
「それでも自民党は民主党よりマシだ」「安倍さんの他に誰がいるのか」「対案を示せ」・・・・・・
今やB層は戦略的ターゲットというよりも、首相あるいは政権そのものである。

自民党比例代表で当選した元アイドル歌手の今井絵理子氏は、沖縄出身であるが、米軍基地問題を質問され、「わからない」「これから勉強します」と答え、選挙中は「選挙で忙しいので、政策の話をしている暇がない」と語った。
いずれ神奈川選挙区で当選した三原じゅん子氏のように、「八紘一宇」を「日本が建国以来、大切にしてきた価値観」と言い、「神武天皇は実在した」と言うようになるのだろうなあ。
⇒2015年3月18日 (水):確信的「無知」の「無恥」・三原じゅん子/人間の理解(10)
⇒2016年7月11日 (月):参院選の結果と今後の課題/アベノポリシーの危うさ(90)

反知性主義がこの国を覆っており、このままでは滅びるだろう。
C層が団結して向かうしかないだろう。
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「B層」が国を滅ぼす(1)

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2016年7月22日 (金)

緑を冒涜する小池百合子/日本の針路(277)

東京都知事選がたけなわであるが、自民党の推薦を得られなかった小池百合子氏が、判官贔屓の大衆心理に乗って、よもやの一歩リードだという。
緑のハチマキを巻き、緑のジャケットを着て街頭に出ている。
緑をシンボルカラーとするのは、東京選挙区に刺客として神戸から落下傘で登場してからだというが、彼女の言動をみていると、緑に対する冒涜のような気がしてくる。

小池氏は、ヘイトスピーチ団体の在特会での講演会、核武装や他国への先制攻撃を主張する幸福実現党との共同演説会、「親の子育てが間違っているから発達障害になる」などと言っている親学推進議員連盟に所属など、改憲・タカ派の旗振り役として知られる。
⇒2009年8月22日 (土):小池百合子氏と幸福実現党が共闘!

緑は東京都の色でもあるらしいが、そもそもは生態系の象徴である。
食物連鎖は、植物の葉緑素による光合成から始まるからである。
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食物連鎖

緑の党と言えば、1970年代から世界各国で台頭してきた、エコロジー、反原発、反核、軍縮、反戦、人種差別撤廃、脱物質主義、多文化主義、消費者保護、参加型民主主義(草の根民主主義も参照)、フェミニズム、社会的弱者の人権などをテーマにした「新しい社会運動」の流れで結成が進んだ政治勢力のことである(Wikipedia)。
アウトドア用品を扱うパタゴニアの主張に重なるといって良いだろう。
⇒2016年7月 9日 (土):パタゴニアの原発についての意見広告/技術論と文明論(59)

緑の党は、環境保護だけでなく平和外交・人権・産業構造・教育・社会保障・労働・食料など幅広い政策をもつオールラウンドな政党である。
平和で持続可能で社会正義のある新しいエコロジー社会を目指すものであって、営利企業の自由を最優先する新自由主義的改革(およびそのグローバル化)、国民国家、ナショナリズム、軍事・治安国家化には批判的である。
小池氏の政治姿勢とは対極的である。

小池氏には金銭疑惑も報じられている。
160714
週刊文春7月14日号

自民党の内部矛盾に目くらまされてはならない。
自民党は、都連が所属する国会議員や地方議員に対し、党が推薦していない候補者を応援した場合に除名などの処分を科すとする文書を配布して締め付けを図っているように見えるが、どうもポーズに過ぎないというか、小池氏が勝てば、都連の執行部を切り捨てるだろう。
小池氏自身が除名されていないのだ。

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2016年7月21日 (木)

ほとばしる無能コンビ、増田寛也と石原伸晃/日本の針路(276)

東京都知事選(7月14日告示、7月31日投開票)は、盛り上がっているのかどうか?
自民都連(石原伸晃会長)は岩手県知事や総務相を務めた増田寛也氏を擁立した。
既に出馬を表明していた元防衛相の小池百合子衆院議員が、推薦がなくても立候補すると表明していたにも拘わらず、である。
私は、小池百合子氏の政治姿勢は「No」である。
⇒2009年8月22日 (土):小池百合子氏と幸福実現党が共闘!

しかし増田寛也氏が好ましいとは思えない。
直前まで東京電力の社外取締役だというのは、余りに無節操ではなかろうか。
⇒2016年7月15日 (金):脱原発派の都知事を誕生させよう/アベノポリシーの危うさ(92)

増田氏は、実務型という触れ込みであるが、果たしてどうか?

増田さんが岩手県知事時代、不採算が問題となっていた岩手県の森林公社を整理することになったのですが、日当たりの良い条件の良い山林を県に残し、それ以外の生育の悪い山林を民間に返すという謎の施策を行っております。当然、地方行政をヲチしている人たちからすると「何だあれはという話になりますが、そんなもの高値で買い取る民間などあるわけないです。その結果、材木流通価格の値下がりなどもあり、870億円ほどの公債が残り、岩手県の一般会計から毎年25億円の支出を強いられたりしています。
増田寛也「ほとばしる無能」を都知事候補に担ぐ石原伸晃&自民都連

良く分からない人選であるが、それが自民党東京都連の判断力であろう。
石原会長はまるで小役人のようである(公務員の人、ゴメンナサイ)。
およそリーダーシップというものが感じられない。
東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する国の中間貯蔵施設の建設をめぐる住民説明会後の記者会見で、「最後は金目でしょ」と何とも身も蓋もない発言をしたことがある。
⇒2014年6月20日 (金):品位を欠く政治家にレッドカードを!/花づな列島復興のためのメモ(332)

政治とカネの問題で都知事を辞職した猪瀬直樹氏が、5年前に自民党都議(樺山たかし氏)が自ら命を絶った理由を、「都議会のドン」と呼ばれる内田茂氏への“抗議の死”だったと明かし、評判になっている。
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都議会のドンに“爆弾”投下 猪瀬元知事「遺書」告発の狙い

猪瀬氏の暴露は、小池氏へのエールだと言う見方もあるらしい。
何ともクサイ田舎芝居のようだが、それが首都の顔を選ぶ選挙の実態なのだ。
増田氏は「「ほとばしる無能」と評されているが、石原都連会長も同様である。

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2016年7月20日 (水)

昭和の才人による畢生の安倍批判・大橋巨泉/追悼(89)

「11PM」や「クイズダービー」のテレビ司会で知られる元参院議員の大橋巨泉(本名・大橋克巳)さんが12日、急性呼吸不全のため死去した。
82歳だった。
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タレントの大橋巨泉さん 死去

高校卒業後、ジャーナリストになってアメリカへ行こうと早稲田大学政治経済学部新聞学科へ進学したが中退して、当時ブームだったモダンジャズ・コンサートの司会者の道を歩み始める。
早稲田大学在学中に俳人としての活動もしており、「巨泉」という芸名はこの時期に付けた俳号で、アイデアが泉のように湧き出るようにということと、大の巨人ファンということから「巨泉」と号したという。
2年後輩の寺山修司と出会った時に「こいつにはかなわん」と思って俳句の道から足を洗った。

1973年、カナダのバンクーバーに日本人観光客が日本語で買い物できる土産物店「オーケーギフトショップ」を開店し実業家の顔も持つようになった。
「オーケー」は大橋巨泉のイニシャルから名付けた。
オーケーギフトショップは、カナダ以外にもニュージーランドとオーストラリアに進出している。
これはカナダとは季節が逆の南半球に出店することで、観光客が激減する冬季の売上を補う必要があったためだという。

11月から翌年4月までオーストラリアとニュージーランドに、6月から9月までカナダに滞在し、経営するギフトショップの管理の傍ら、ゴルフを楽しむなどの生活を送っていた。
太陽の動きに合わせ居住地を移動するので、ひまわり生活と呼んでいた。
私はオーストラリアのリゾートのゴルフ場で一緒になったことがあり、「プラクティス、プラクティス・・・」と言いながら、熱心にアプローチやバンカーショットの練習に取り組んでいた姿を覚えている。

 軽快な女声スキャットで始まるテレビ界初の深夜ワイドショー「11PM」(日本テレビ系)は衝撃的だった。それまでテレビではタブー視されていたマージャン、競馬といったギャンブル系の遊びや、釣り、ゴルフ、ボウリングなどのレジャーが次々登場した。カバーガールがにっこりほほ笑み、当時15歳の由美かおるが歌って踊る清潔なお色気路線も魅力の番組だった。
 「俗悪番組」とたたかれながらも1965年11月から90年3月まで25年続き、そのうち20年間、司会を務め番組の顔となったのが大橋巨泉さんだった。
 当初は構成作家として参加した。「夜でなければできないものを」と相談を受けて作ったのがマージャンのコーナー。「非難ごうごうで1〜2回で終わると思っていたら、もっとやろうとなって、お前が司会もやれと。裏文化、サブカルチャーを初めてマスメディアに乗せた存在価値があったと思います」。99年秋に放送された一晩だけの復活特番の直前、あの笑いを含んだ陽気な声で誇らしげに語った。
 「お色気番組の元祖」と言われがちだが、巨泉さんの真骨頂は、落首や狂歌のように、軟派番組の中に政治や社会への批判を突きつける硬派企画を挟み込んだ反骨精神だ。
大橋巨泉さん死去 テレビ育て…硬軟自在、「反骨」示す

2001年に、民主党幹事長・菅直人からのが出馬依頼を受け、第19回参議院議員選挙の比例代表候補として立候補し当選した。
当選後すぐにアメリカ同時多発テロ事件が起き、これを非難する国会決議に、「アメリカを支持する」との文言を理由に民主党でただ1人反対した。
また、インド洋への自衛隊派遣に伴う事後承認にも反対し、当時の党執行部との考えの違いが鮮明になったため、わずか6か月で辞職した。
民主党が保守に寄り過ぎており、自民党化することに警鐘を鳴らしたのは先見性があったと言えよう。

20年近く続けてきた「週刊現代」(講談社)の連載コラム「今週の遺言」で、痛切な安倍批判を行っている。

今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。だが今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずな事が連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許して下さい。しかしこのままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい。最後のお願いです〉〈今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。だが今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずな事が連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許して下さい。しかしこのままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい。最後のお願いです。

その願いは叶わなかったが、安倍政権の危うさが明確になって来ている。
巨泉氏の言葉はきっと生き続けるだろう。
合掌。

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2016年7月19日 (火)

原子力を死守する東芝の未来/ブランド・企業論(55)

東芝は7月6日、機関投資家やアナリストに対して、「カンパニー別IR説明会」を開催した。
4つの社内カンパニーの各社長が事業計画を説明し、業績目標を「コミット」した。

 改めて鮮明になったのは、東芝における原子力事業の重みが増していることだ。エネルギー部門を担当する「エネルギーシステムソリューション社」の社長に就任したダニー・ロデリック氏は、「原子力事業におけるシェアを守り続ける」と述べ、国内外で廃炉ビジネスを積極展開するとした。
 米ウエスチングハウス(WH)の会長も兼務するロデリック氏は「WHが2015年度に過去最高益を更新した」と強調し、他社が建設した原子力発電所に対してもサービス・燃料事業を拡販することで、今後も利益を伸ばすと意気込んだ。原子力事業では2016年度に400億円の営業利益を見込むが、2018年度には670億円を稼ぐ計画を掲げている。
 原発の新規受注に関しては今年6月、インドのモディ首相と米国のオバマ大統領が会談。WHがインド国内に6基の原発を新設することで基本合意した。この件についてロデリック氏は「2017年に最終契約する予定」だとした。
 説明会ではさらに、英国でも3基を受注できる予想を明らかにした。トルコや中国でも受注活動を強化しているという。東芝は2030年までに45基以上の受注を目標としているが、WHは「もっとアグレッシブな計画を掲げている」(ロデリック氏)。
東芝初の事業部門別IR、「原子力のシェア守る」

東芝は、不適切会計(粉飾)の発覚により屋台骨が揺らいでいる。
⇒2015年8月 2日 (日):東芝の粉飾と原発事業の「失敗」/ブランド・企業論(37)
⇒2016年1月 4日 (月):経営危機にまで追い詰められた東芝/ブランド・企業論(46)
⇒2016年5月 1日 (日):原発事業によって生じた東芝の深い傷/ブランド・企業論(52)

IR説明会は、日立製作所、ソニー、パナソニック、三菱重工など、多角化事業では当たり前に行われているが、東芝では初めての試みだという。

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実際、冒頭の挨拶を行った綱川智代表執行役社長は、今回のIR説明会の位置付けを「情報開示の充実とカンパニーの自主自律経営の強化により、カンパニー自らが市場と対話しコミットすることにある」と説明しました。
特に注目されたのは、“質疑応答”も含めた説明会の内容を、開催翌日からIRサイトの動画配信でも行うとした点です。こうしたミーティングでは、会社側と証券アナリストとの対話に、より価値があるからです。IR説明会に参加できなかった個人投資家の皆さんも、ぜひ視聴してみてください。
このイベントに関する新聞等のメディア報道は原子力と半導体に関連するものばかりでしたが、これまであまり注目もされず、情報発信の機会も少なかったインフラシステムソリューション社(空調、昇降機、鉄道、水処理等)や、インダストリアルICTソリューション社(システムインテグレーション、デジタルソリューション等)についても詳細な説明が行われています。
厳しい実態をありのまま示した東芝、そこに希望はあるか?

半導体は市況のブレが激しいし、原子力はもはや花形ではないだろう。
巨艦・東芝の前途は容易なものではないだろうが、ナショナルフラッグ企業である。
何とか立ち直って欲しいものだ。

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2016年7月18日 (月)

中央構造線と伊方原発/原発事故の真相(146)

四国電力は7月17日、再稼働に向けた準備が大詰めを迎えている伊方原発3号機(愛媛県)で、1次冷却水を循環させるポンプに不具合が見つかったと発表した。

Photo_2 四国電力と愛媛県は十七日、再稼働に向け最終作業が続く伊方原発3号機(同県伊方町)で、一次冷却水のポンプに不具合が発生するトラブルがあったと発表した。部品交換が必要で、四国電は「七月中の再稼働は難しい」と説明し、八月以降にずれ込むとの見通しを示した。再稼働は七月二十六日を予定していた。作業員の被ばくや、放射性物質の外部への漏えいはなかったという。
 四国電によると、十七日午前七時半ごろ、原子炉を流れる一次冷却水のポンプ内を洗浄するための純水が、専用の配管に過度に漏れ出たことが判明。この配管には若干量が流れるように設計されているが、流れを調整する部品の不具合で、短時間に数リットルが流れ込んだ。部品は今春に交換したばかりで、四国電が原因を調べる。過去に同じようなトラブルはなかった。純水に放射性物質は含まれておらず、全て専用のタンクで回収した。
 部品の交換は一般的には一週間程度で済むが、作業をいつ始めるかまだ決まっていないという。この日はポンプの調整運転中で、今回のトラブル発生で運転を止めた。県原子力安全対策課は「スケジュールありきではなく安全第一で作業を進めてほしい」とした。
伊方再稼働 8月以降に 四国電力 冷却水ポンプ不具合

原発と地震の関係について警鐘を鳴らしてきた広瀬隆氏は、伊方原発について次のように言っている。

 広瀬さんは日本列島の成り立ちや、活断層の存在が知られていない場所でも大地震が起きてきたことを紹介し、「日本は全ての土地が活断層の上に存在する。日本に原発を建てる適地はない」と説明。中でも中央構造線は日本を縦断する巨大断層で、南海トラフと連動して大地震を起こす危険性があるとした。
 伊方原発そばの海域を走る中央構造線は「太平洋側からの力を受けて傾斜している。原発の真下に向かって活断層が延びており、直下型地震が起こる」とし、「震源からの距離が近いので、(原子炉を)止める時間がないのが一番怖い」と語った。
 熊本・大分地震で震度7を観測した熊本県益城町では、上下動の最大加速度(揺れの強さ)が地表面で1399ガルだったとも説明。伊方原発の耐震設計の目安となる基準地震動は最大650ガルだが、これは水平動で、上下動は377ガルの想定にとどまる。「岩盤上に立つ原発でも耐えられるはずがない」と強調した。
「日本に原発適地ない」 中央構造線の危険強調 伊方原発

伊方原発は、中央構造線の直上に位置している。
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四国電力・伊方原発1号機の廃炉申請を決定

内田康夫氏の浅見光彦シリーズの1冊に『中央構造帯』角川文庫(2011年9月)という作品がある。
いわゆる「将門塚の祟り」をテーマにした推理小説であるが、将門関連本として、村上春樹『平将門伝説』汲古書院(2001年5月)が紹介されている。
小説家とは同姓同名の別人であるが、以下のように紹介されている。
⇒2015年1月24日 (土):将門塚の祟り?/やまとの謎(98)

この本の巻末には、都県別に将門ゆかりの地とそこに伝わる史実・伝説のたぐいが列挙しされてあった。それを地図上の地名と引き合わせながら辿ってゆくと、将門が活躍し終焉した史跡は、まったく中央構造線上に重なることが見えてきて、ちょっとした感動を覚えた。

伊方原発にも「将門の祟り」が起きないうちに、廃炉すべきである。

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2016年7月17日 (日)

ヨーロッパにおけるテロとクーデターの連鎖/世界史の動向(47)

7月1日に、バングラデシュのダッカで、日本人7人を含むテロが起きた。
日本人がターゲットにされる時代になったことを改めて思い知らされた。

ヨーロッパでもテロが頻発している。
7月14日に、ニースで、84人死亡、202人が負傷、うち52人が重体というテロが起きた。
ニースは地中海・コート・ダジュールに面する、世界的に有名な保養地・観光都市だ。Photo
Wikipedia

革命記念日(Bastille Day)の花火の見物客にトラックが突っ込み少なくとも84人が死亡した事件について、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が16日、犯行声明を出した。
 IS系の通信社アマック(Amaq)を通じて出された声明は「IS掃討作戦に関わっている有志連合への参加国を攻撃せよ」との呼びかけに応じて「戦士」の1人が14日夜、攻撃を実施したとしている。
仏ニースのトラック突入、ISが犯行声明

一方、トルコでクーデター未遂事件が発生した。
首都アンカラや最大都市イスタンブールなどで展開されており、かなり周到に計画されたものだったことを窺わせる。
エルドアン大統領は南西部で静養中で、このタイミングを突いたものと考えられる。

 ただ、クーデターとは呼べない。トルコではこれまで3回、クーデターが成功しているが、いずれも内政が混乱した末に軍が政権を奪取した。その際は参謀総長がトップとなり、陸海空軍と憲兵隊が結束して政治に介入した。だが、今回はあくまで一部の軍人による反乱でしかなかった。
 トルコ軍は、イスラム教の政治介入を認めない「世俗主義」の原則を支持してきた。エルドアン政権は最近、これをやめる方向を打ち出し、反発した軍の一部が反乱を起こした可能性はある。だが、多くの国民は支持しないだろう。
 エルドアン政権の近年の独裁化、強権化を嫌う国民も多く、反乱側はそうした人たちの支持を期待したのだろうが、直前の政権支持率は約5割に上る。特に貧困層には手厚い政策をとっており、支持は盤石だ。
トルコのクーデター未遂、理由は?今後は? 識者の見方

イギリスのEU離脱も含め、世界は液状化しているように見える。
それが必然的な動向なのだろうか?
人間の理性は、秩序を維持する力を持ちえないのだろうか?

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2016年7月16日 (土)

森喜朗と君が代斉唱/人間の理解(17)

東京・代々木の体育館で3日行われたリオデジャネイロ五輪の代表選手団の壮行会で、森喜朗氏がトンチンカンなイチャモンをつけた。
選手を激励すべき立場なのに、「口をモゴモゴしているだけじゃなくて、声を大きく上げ、表彰台に立ったら、国歌を歌ってください」「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」とクレームを言ったのだ。
Ws000000
「国歌歌えない選手、日本代表じゃない」森喜朗氏

しかし、場内アナウンスは「国歌独唱」と説明し、ステージ上のモニターにも「国歌独唱」と表示されていた。
要は、森氏の斉唱と独唱の勘違いである。
勘違いは誰にでもあるが、偉そうにお説教するところが、サメの脳みそと評されるゆえんであろう。

森氏と言えば、神の国発言を思い出す。
2000年5月15日、神道政治連盟国会議員懇談会結成三十周年記念祝賀会において、「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知をして戴く」と発言して物議を醸したのだ。
森首相は2000年4月5日に小渕恵三首相の急死により、首相に就任したばかりであった。
この発言などから急速に内閣支持率を一ケタまで落とし、6月2日に衆議院を解散した。
⇒2014年2月21日 (金):浅田真央選手の大健闘と森東京五輪組織委会長の愚劣な発言

神の国発言は、この人の脳が、戦前・戦中のままであることを満天下に晒した。
いや、サメの脳と言われているように、戦前・戦中というよりも、進化論的に哺乳類以前の段階なのだ。
⇒2013年4月20日 (土):脳の3層構造とコミュニケーション/知的生産の方法(49)

相次ぐ不祥事と言い、この人が組織委員会委員長というのはいかにも危うい。
⇒2014年1月22日 (水):先行き不安な森五輪組織委員会会長/花づな列島復興のためのメモ(298)
更迭すべきだと思うが、ガチガチの利権構造で固められているのだろうなあ。

というか、安倍首相の、福島原発事故の汚染水は完全にコントロールされているという虚偽発言からして、「大丈夫か?」と思うのが普通の感覚ではないのかなあ。
⇒2013年9月24日 (火):「嘘も方便」首相と日本の将来/花づな列島復興のためのメモ(264)
⇒2015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)

東京都知事選は、告示直前まで東電の社外取締役だった増田寛也氏を自公両党が推薦するという分かりやすい事態になった。
⇒2016年7月15日 (金):脱原発派の都知事を誕生させよう/アベノポリシーの危うさ(92)
こんな閉鎖的なサークルの人間が牛耳っていていいはずがない。

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2016年7月15日 (金)

脱原発派の都知事を誕生させよう/アベノポリシーの危うさ(92)

東京都知事選の基本的な構図は、「4野党共闘VS自公」である。
参院選に引き続いての第2幕である。
Ws000000
東京新聞7月15日

幸いなことに自民党が分裂したので、野党共闘側は絶対に勝たなければならない。
自公の推薦候補が、いずれも「政治とカネ」で2代続けて失職した。
3度目はナシにしないと、都民の判断力が問われよう。

自公が推薦している増田寛也氏は、人口減少問題のインパクトの重要性を広く訴求し、NHKのクローズアップ現代でも、「極点社会~新たな人口減少クライシス~」という番組で放映された。
そのことは評価できる。
⇒2014年5月10日 (土):人口減少の過程と問題/ケアの諸問題(7)
⇒2014年5月12日 (月):人口減少の過程と問題②/ケアの諸問題(8)

しかし、都知事選立候補の直前まで、東京電力の社外取締役を務めていた。
社外取締役に就任すること自体は個人的な自由の範疇である。
しかし東京電力が、福島原発事故について、炉心溶融(メルトダウン)を判定する基準が明記されていたが、その存在に5年間気付かなかったと発表し、謝罪したのは2月24日のことであった。
⇒2016年2月25日 (木):背信の東京電力メルトダウン評価/原発事故の真相(137)

これはどう見ても隠蔽であるが、社外取締役として、どう対処したのか?
東京電力が設置した第三者検証委員会(委員長・田中康久弁護士)は、調査報告書を公表し、当時の清水正孝社長が炉心溶融という言葉を使わないよう指示していたことがわかった。
なお、これに関して首相官邸からの圧力の可能性も指摘した。
⇒2016年6月19日 (日):炉心溶融と第三者委員会/原発事故の真相(141)

この件については、当時の政権側の民進党との間で争いがある。
⇒2016年7月 3日 (日):福島原発事故の調査はまだ途上だ/原発事故の真相(143)

この件についても増田氏の見解はどうなのか?
そもそも、東京都は東京電力の大消費地である。
利益相反的であることは間違いない。
辞任するにしても経緯を明らかにすべきだろう。

小池百合子氏に関しては、2009年総選挙で、カルト教団を母体とする幸福実現党と共闘した事実を指摘するだけで、十分であろう。
⇒2009年8月22日 (土):小池百合子氏と幸福実現党が共闘!

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2016年7月14日 (木)

イギリスによるイラク戦争の総括/世界史の動向(46)

多くの犠牲者を出したイラク戦争。
米国に追随して参戦したイギリスの独立調査委員会が最終報告書を提出した。
一方、わが国はお座なりの検証しかしない。
反省がないのは、原発事故や経済政策も同様である。
⇒2016年7月 3日 (日):福島原発事故の調査はまだ途上だ/原発事故の真相(143)
⇒2016年5月14日 (土):PDCAなき安倍政権の政策/アベノポリシーの危うさ(64)

イギリスでは、機密文書も閲覧できる強い権限を持つ独立調査委員会が、ブレア元首相ら150人以上から聞き取りを重ねた。
7年の歳月と14億円をかけて書き上げた全12巻の報告書である。

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チルコット卿と調査委員会は、アルファベットで260万字にわたる報告書で、ブレア氏を丸裸にした。綿密に書かれた正確な証拠にもとづく報告書は、ブレア政権の大量破壊兵器をめぐるリポートは根拠がなかったと断定した。
チルコット卿の声明は静かに、ブレア政権の軍事面、そして情報戦略の失敗を断罪した。そしてブレア氏自身、調査委員会に対し、占領政策を事前に策定していなかったと述べていたことが明らかにされた。
「それは結果論だという話には同意しない」。チルコット卿はここで最も辛辣になった。「イラクの国内紛争のリスク、隣国のイランが自国の利益を求める活動、地域の不安定化、そしてイラク国内におけるイスラム過激派組織『アル・カイダ』の動き、これらは武力侵攻の前に、すべて事前に把握されていた」
これは、ブレア氏が常々述べている「私を批判する人は、単に結果論で言っているに過ぎない」という批判に反論するものだ。
イギリスは、なぜ間違えたのか。調査報告書が審判した「根拠なきイラク戦争」

イラク戦争は2003年3月20日に始まった。
ブッシュ米大統領は生物・化学などの大量破壊兵器を開発・保有するイラクの脅威から米国や国際社会を守ることを大義に掲げたが、私などの目から見ても、大義なき戦争っであることは明白だった。
結局、大量破壊兵器は結局発見されず、戦争は国際社会に深い傷痕を残す。
今日のイスラム国(IS)もイラク戦争によって生み出されたものと言えよう。
戦争を支持した日本政府も、その判断が正しかったのかを検証する必要がある。

しかし、安倍政権はイラク戦争に関し、米英の武力行使を支持した当時の小泉純一郎首相の判断を「妥当」とする立場を今後も維持するという。

 政府筋は七日、小泉氏の支持表明を妥当とする日本政府の立場に関し「現時点でも変更する必要はない」と強調した。理由について「イラクは当時、大量破壊兵器を保有していない事実を証明しようとせず、査察受け入れを求める国連安全保障理事会決議にも違反した」と説明した。
 世耕弘成官房副長官も六日の記者会見で、小泉氏の判断を巡り「今日でも妥当性を失うものではない」と表明。川村泰久外務報道官は同日の会見で、英国の動きを踏まえて政府見解を修正する可能性を問われると「わが国はイラクで人道復興支援と後方支援のみを行った。(参戦した)英国と同列に論じるのは適切でない」と否定した。
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安倍政権、イラク戦争の判断変えず 「支持は妥当」 英の対応と違い

イラク戦争ばかりではない。
福島原発事故をしっかりと検証し、公開する義務があるはずだ。
⇒2016年7月 3日 (日):福島原発事故の調査はまだ途上だ/原発事故の真相(143)
検証なしに再稼働など、本来あってはならないことだろう。

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2016年7月13日 (水)

対立図式がはっきりしてきた都知事選/アベノポリシーの危うさ(91)

参院選は、残念ながら自公与党側の勝ちであった。
比例での野党統一名簿ができなかったことが悔やまれるが、この流れにどこかでピリオドを打たないと、日本の国は本当に危うくなる。
その直近の大きなイベントが、東京都知事選である。

もとより国政と一地方自治体の首長選挙は異なる。
しかし東京都は日本の首都である。
東京都知事選の帰趨は、国政に響かないわけがない。
野党勝利のためには、参院選1人区と同じような野党共闘の枠組みが必須である。

混迷していた野党側の候補者が絞られてきた。
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東京新聞7月13日

問題は、宇都宮健児氏との調整が成るかどうかであった。
宇都宮氏は過去2回出馬し、それぞれ100万票近く獲得している。
宇都宮氏の調整がつかず、分裂選挙になれば、野党に勝ち目はなかったが、宇都宮氏が断念して4野党の推薦という形になった。
途中のプロセスはドタバタしたが、結果が良ければ構わない。

注目ポイントは小池氏が降りるかどうかであるが、たとえ降りても自民党で冷遇されるのは目に見えている。
分裂選挙になるのではなかろうか。
自民党の締め付けが始まっている。
自民党東京都連が所属する国会議員や地方議員に対し、党が推薦していない候補者を応援した場合に除名などの処分を科すとする文書を配布した。

 文書は「都知事選における党紀の保持について」と題し、都連会長の石原伸晃経済再生担当相や都連幹事長の内田茂都議らの連名で出された。党公認・推薦候補者以外の者を応援してはならない▽各級議員(親族含む)が非推薦の候補を応援した場合は除名等処分の対象となる−−などとしている。
 小池氏の選挙区である東京10区(練馬区の一部と豊島区)の自民党関係者からは「こんな文書は初めて見た」という驚きや、「支援するなというなら小池さんを除名にするのが筋では」との声も上がる。
 選挙戦ではポスター張りや演説会の手伝いに参加するかが「踏み絵」となる。豊島区の女性党員は「文書は党が地元の動きを怖がっている証拠。みっともない」と話した。
都知事選 自民、増田氏以外の応援処分

滑稽なくらいの締め付けであるが、恐怖感の表れであろう。
しかし、ぶざまに途中辞職した猪瀬、舛添氏が、共に自公の推薦であったことの反省が明確になっていない。
まずその反省から始めるべきだ。

安倍首相は例によって「民共合作」などと訳の分からないことを言い出すだろう。
「民共合作」がなんで悪いのか私には理解できない。
政治は合従連衡しながら争うものだ。
日本国がこのまま、反動政治になってしまうのは耐え難いことだ。
反動包囲網を形成すれば、国政の流れも変っていくに違いない。

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2016年7月12日 (火)

テレビ草創期からのマルチタレント・永六輔/追悼(88)

放送作家、タレント、エッセイストなど、多分野で活躍した永六輔(本名・永孝雄)さんが亡くなった。
83歳だった。

Ws000000 東京・浅草の寺の息子として生まれた。中学生のころからNHKラジオ「日曜娯楽版」に投稿を始める。早稲田大在学中に同番組を手がけていた三木鶏郎に見いだされ、放送作家、司会者としてデビューした。
 作曲家の中村八大に誘われ、作詞家業を開始。中村・永のコンビで1960年代に「こんにちは赤ちゃん」など数々のヒット曲を手がける。なかでも坂本九が歌う「上を向いて歩こう」は大きな反響を呼んだ。
 作詞した曲はほかに、作曲家いずみたくと組んだ「いい湯だな」「見上げてごらん夜の星を」、中村と組んだ「黄昏(たそがれ)のビギン」などがある。
 60年代半ばからは軸足をラジオの世界に移した。67年から2013年9月まで放送されたTBSラジオ「永六輔の誰かとどこかで」は放送回数が1万2629回に達し、同一人物が出演する同局の番組としては最長寿となった。同局の「永六輔その新世界」も91年から15年9月まで続いた。好きな旅で得た話から時事問題まで縦横無尽に語り、ラジオパーソナリティーとして活躍した。
 94年には老いや死を巡る言葉を集めたエッセー「大往生」が200万部を超えるベストセラーになった。96年9月〜16年2月の間、毎日新聞朝刊でコラムを執筆(15年10月以降は東京都内版掲載)。00年には菊池寛賞を、14年には毎日芸術賞特別賞を受賞した。60年安保反対闘争に参加し、尺貫法の復活を唱え、市民運動家としても知られた。
訃報 永六輔さん83歳=放送作家、ラジオタレント

テレビの草創期から活躍してきた人だった。
今の時代「大往生」と言うにはいささか早いような気もするが、やりたいことはほとんどやったのではなかろうか。
中村八大、坂本九と組んだ「六八九」トリオも全員冥界に入ったことになる。
あちらでも賑やかに活躍するような気もする。
合掌。

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2016年7月11日 (月)

参院選の結果と今後の課題/アベノポリシーの危うさ(90)

想定されていたとはいえ、参院選の結果は残念であった。
32ある1人区で成立した野党共闘は、初めての試みとしてはまずまずというところであろう。
野党は11勝(21敗)だったが、いかんせん1人区の善戦だけではどうにもならない。
自民党は56議席、公明党は14議席、おおさか維新は7議席を確保し、3党で77議席である。
非改選の無所属議員のうち改憲賛成議員を加えると、自公プラス改憲勢力が参院で3分の2を制したことになる。
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国民が葬った民主主義…改憲へ衆参独裁政権誕生の絶望

衆参両院で3分の2を確保したので、安倍政権はやりたい放題である。
この選挙でも暗黙裡に存在感を示したのが日本会議であろう。
例えば、神奈川選挙区で当選した自民党の三原じゅん子氏である。
10日の「池上彰の参院選ライブ」という選挙特番における当選者へのインタビューで、「神武天皇は実在の人物」と語っていた。

三原じゅん子氏と言えば、昨年、参院の予算委員会で、「八紘一宇」という戦前・戦中のスローガンを、「日本が建国以来、大切にしてきた価値観」とまで言ってのけた人である。
皇国史観の確信犯である。
⇒2015年3月18日 (水):確信的「無知」の「無恥」・三原じゅん子/人間の理解(10)
日本会議の明治憲法(大日本帝国憲法)の復活というアナクロニズムが、静かに動き始めているのである。

自民党に投票した有権者の何割が、大日本帝国憲法を希求したのか?
あるいは棄権した人の何割が、自分が日本会議を利する行為に加担していると自覚していたのだろうか。
まさに麻生副首相兼財務相が言っていたように、「ナチスの手口」をなぞっているのである。
⇒2013年8月 4日 (日):撤回では済まされない麻生副総理の言葉

悔やまれるのは、比例区で野党共闘が成立しなかったことである。
共闘で、5議席が逆転することは十分可能だったであろう。
差し引き10議席である。

石田純一氏が、都知事選への出馬を打診されて「野党の統一候補なら出たい」と言った。
ちょっと聞くと、「エラそうな態度で」と聞こえるが、現時点では、野党共闘が成立しないと無意味になるのであって、そう考えれば彼の言っていることはまったく正しい。
もし他の人が共闘の候補者になるなら、自分は応援に回ると言っているのである。
ここは民進党が、生き残るかどうかの分岐点だと思って、野党をまとめる責任がある。
でなければ、民進党に存在意義はないのだ。

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2016年7月10日 (日)

街角景気が示すもの/アベノポリシーの危うさ(89)

参院選は、事前の情勢分析に近い結果だったようである。
与党は争点を経済政策に絞って、それが奏功したのだろうか?
しかし、経済の実態は、経済政策が「結果を出している」状況とは程遠い。

内閣府が8日発表した6月の景気ウオッチャー調査は、現状を示す指数が前月より1.8ポイント低い41.2だった。
第2次安倍政権発足前の2012年11月(40.0)以来の水準に落ち込んでいる。
つまり、アベノミクスという空騒ぎは、何の効果ももたらさなかったということだ。
英国の欧州連合(EU)離脱決定に伴う円高・株安もあって、景気の先行きに対する不安心理も強い。

Photo タクシー運転手や販売員ら約2千人に景況感を聞いた。調査期間は6月25日から月末で、24日判明した英国民投票によるEU離脱決定の影響を反映した。
 現状判断指数は3カ月連続で悪化し、景況感の節目の50を11カ月連続で下回った。ただ基調判断は「引き続き弱さがみられる」に据え置いた。
 街角景気に重くのしかかるのが、英離脱決定で拍車がかかった円高・株安だ。北陸のテーマパークによると「増加傾向にあったインバウンド客が円高などの影響で2けたの減少になっている」という。
 東海の百貨店は「高所得者層の一部に買い控えがうかがえる」と株安に伴う消費の「逆資産効果」を懸念した。
 企業部門でも「円高で輸出採算が悪化している」(東北の一般機械器具製造業)などと業績悪化への不安が広がる。
街角景気、アベノミクス前に逆戻り 6月1.8ポイント低下 

各種経済指標は著しい傾向を示している。
株価や大企業の日銀短観はアベノミクス開始前に比べ高い水準を維持しているのに対し、家計関連の指標が悪化しているのだ。
160709
東京新聞7月9日

GDPの約6割を占める家計消費に日があたらない経済政策では、景気が良くなるはずがないのだ。
なお、鹿児島知事選では、「熊本地震の影響を考慮し、川内原発を停止して、施設の点検と避難計画の見直しを行うとともに、情報発信に取り組む」とした三反園訓氏が当選した。
また、沖縄では島尻大臣が落選した。

東京都知事選は、誰が有力候補者なのか混沌とした情勢である・
少しずつではあるが、時代は動いていくだろう。

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2016年7月 9日 (土)

パタゴニアの原発についての意見広告/技術論と文明論(59)

アメリカの登山用品、サーフィン用品、アウトドア用品、軍用品、衣料品の製造販売を手掛けるパタゴニアという会社がある。
環境に配慮する商品で知られている。
ミッション・ステートメントは以下の通りである。

最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する。
http://www.patagonia.jp/patagonia.go?assetid=2047

CSR(企業の社会的責任)に関心を持つ人には、つとに知られた企業である。
参院選に合わせ、新聞に意見広告を出している。
Ws000001
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東京新聞6月22日

上図は、原発事故で全町避難が続く福島県双葉町の写真である。
その理由を以下のように説明している。

服が消費者に届くまでには、原材料を育てる生産者から最終メーカーまで多くの関係者がかかわる。電気も同じ。福島の原発でつくられた電気を使っていたのは大都市に住む私たち。参院選を機に、いまも続く避難や廃炉作業などにもう一度、関心を寄せてほしかった。
環境保護で企業から投票呼び掛け 「パタゴニア」辻井支社長に聞く

参院選の争点として、エネルギー問題は顕在的には取り上げられていない。
しかし原発再稼働を急ぐ安倍政権は、この意見広告を見るべきだ。
と言っても感じはしないだろうから、有権者がその意味をよく考えてみるべきだろう。

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2016年7月 8日 (金)

石油元売り再編と出光家の反旗/ブランド・企業論(54)

石油元売り業界が再編成されようとしている。
出光興産と昭和シェル石油が合併による経営統合で基本合意したのに続き、JX日鉱日石エネルギーを傘下に持つJXホールディングス(HD)と東燃ゼネラル石油が統合に向けた交渉に入った。
2つの統合が実現すれば、石油元売りは今の5社体制から3社体制に集約されることになる。
背景にはガソリンの需要低迷で一層のコスト削減を迫られていることや石油以外の事業育成に耐える体力が必要になっている事情がある。
しかし、出光興産が28日に開いた株主総会で、昭和シェル石油との合併に対して創業家が反旗を翻すという予想外の展開になった。

 総会が始まって1時間10分が経過した時だった。「出光と昭シェルの経営統合に意見があります」。元衆院議員で出光家の顧問弁護士を長年務めている浜田卓二郎氏が挙手し、話し始めた。総会で出光名誉会長の出光昭介氏など創業家に代わって質問するためだ。浜田氏は総会直前に創業家の資産を管理する日章興産の代表取締役に就いていた。「質問することも知らなかった」という会社側にとっては青天のへきれきだった。
 「出光と昭シェルの合併に反対する」「2015年11月12日、出光昭介名誉会長にきちんとした説明が行われずに出光と昭シェルの合併を決めた」「異質な企業間の合併の苦労は簡単な話ではない。出光独自で合理化、販売努力をすべき時期だ」。浜田氏は4分にわたって持論を展開した。「質問は短めにお願いします」。会社側が制止するほどの熱弁ぶりだった。
 「出光の良さが統合で失われることはない」。株主総会議長の月岡隆社長はていねいな口調を保ちながらも懸命に反論した。「昭シェルとの統合は日本のエネルギーの安定供給につながる。創業家の皆様にもご理解をいただいていると認識している」
 創業家は約34%の株式を保有し、合併などの重要案件を総会で否決できる立場にあるとする。突然の翻意にみえるが、水面下では昨年12月から約半年にわたって、出光と創業家との間で綱引きが続けられてきた。
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出光家、突然の反旗 合併で影響力の低下危惧か

経営統合に至る経緯は大略次のようである。
14年末ごろまで出光はTOB(株式公開買い付け)方式での昭シェル買収案を軸に考えていた。
しかし昭シェル側に抵抗感が強く行き詰まり、別の方式として、15年7月に出光が英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルから昭シェル株を取得し、経営統合すると発表した。
11月には両社は合併すると発表し、さらに一歩踏み込んだ。
しかし創業家としては、「合併によって(株主としての)影響力をそがれることへの懸念」を拭えなかった。

創業家側は、株式保有比率は日章興産、出光文化福祉財団、出光美術館などを合わせて33.92%に達すると説明する。経営の重要事項を諮る特別決議を株主総会で拒否できる高い保有比率だ。
TOBによる買収なら、出光の発行済み株式数は変わらないが、合併による経営統合なら、存続会社の株式を非存続会社の株主に割り当てるため、発行済み株式数は大幅に増える可能性が高い。
その結果、創業家は株式の「3分の1超」を持つ特別な地位を失い、経営への影響力が薄れる恐れがある。
つまり質的に変わってしまうのだ。

出光興産は百田尚樹の『海賊と呼ばれた男』講談社文庫(2014年7月)がベストセラーになったことで創業家のことが広く知られている。
しかし私は、石原慎太郎の若い時の作品『挑戦』新潮文庫(1971年1月)の方が優れていると思う。
⇒2013年9月19日 (木):海賊と呼ばれた男/戦後史断章(14)

出光興産の歴史は以下のようである。
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出光創業家の乱…「向きあってもらうの遅かった」


出光興産幹部は「経営統合について創業家の理解を得てきたつもりだった。残念だが、引き続き丁寧に説明していきたい」と述べている。 
創業家が納得するかどうか、まあ、出光経営陣の失態だろうなあ。

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2016年7月 7日 (木)

消えた年金の責任は誰に?/アベノポリシーの危うさ(88)

安倍首相は、消費税再延期の理由を説明するのに、「アベノミクスは順調だが、世界経済のリスクに備えるため」と説明した。
アベノミクスと称する経済政策が破綻していることは明らかで、苦し紛れの言い種であるが、リスクに対して慎重ならば、年金原資などの公的資金のリスク市場での運用を拡大しているのか?

7月1日にはGPIFが2015年度の決算で5兆数千億円の運用損失を計上することが明らかになった、と報じられている(公式発表は7月29日の予定)。

Gpif
GPIFの資金流出入状況をみると、リーマン・ショックが起きた2008年度にはネットで7兆円を上回る資金がGPIFに流入している。しかし、リーマン・ショックの翌年2009年度から流出に転じ、2014年度の資金流出額は約4.3兆円となっている。
つまり、リーマン・ショックの際は、リスク資産の下落に見舞われたが、GPIFに新規資金が流入していたため、リスク資産を安値で買い増すことが可能だった。
これに対して資金流出主体に転じている現在のGPIFは、相場状況に関係なく保有資産を売却し年金給付のための資金を確保しなければならない状況にある。
保有資産を売却して年金給付のための資金を確保する必要に迫られているGPIFは、たとえリスク資産が下落し安い価格になっても、保有資産を売却しなければならない。株価が下落するなかで必要な資金を確保するために保有資産を売却するということは、自らの行動がさらなる株価下落を招き、売却する資産の数を増やさなければならないという悪循環に陥ることになる。
・・・・・・
基本ポートフォリオが、国内債券35%(±10%)、外国債券15%(±4%)、国内株式25%(±9%)、外国株式25%(±4%)に変更されたのは2014年10月であり、GPIFが資金流出主体に転じたのは2009年度からである。
つまり、基本ポートフォリオの変更を検討する時点でGPIFは資金流出主体だったのだ。資金流出主体に転じたGPIFのポートフォリオを、株式への投資比率を増やすことでリスクを高めていくという方針は、「成熟度が低い年金はリスクを多めに、成熟度の高い年金はリスクを抑えめに」という年金運用の定石に反するものである。
資金流出主体がリスク資産への配分を増やせば、今回のようにリスク資産が急落する局面で、価格の下落を追いかける形で資産売却に追い込まれることは、「政治的不確実性」とは異なり、「運用上確実なこと」なのである。
GPIFが資金流出主体に転じていたことを考えれば、リスク資産を増やすという投資方針の変更を行うのであれば、もっと慎重な検討と議論が必要だったはずだ。
資金流出主体となっているGPIFは、株価が下落すればするほど必要な年金給付金を確保するために、売却資産の量を増やさなければならないし、それは若い世代の残す資産の量を減らしていくことだからである。
また、次世代に残す資産の量が減るということは、今後市場が落ち着きを見せて元の水準に戻っても、資産の金額は元に戻らないということである。量が減ってしまっているのだから。
日本の財政に関しては「次世代にツケを残すな」と叫ばれているが、公的年金の分野では「次世代にツケを残す運用」が平然と行われている。
巨大機関投資家GPIFは「危機的状況」にある

株高を演出するために勝手にリスク市場に投入された年金原資。
責任者は誰なのか?
将来に禍根を残す政策を取り続ける政権の罪は重い。

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2016年7月 6日 (水)

「争点隠し」に欺瞞されるな!/アベノポリシーの危うさ(87)

参院選も終盤である。
メディア情報では、自公の与党に、おおさか維新、日本のこころを加えた改憲4党で、改憲の発議の必要な2/3を占めそうな雰囲気らしい。
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東京7月6日

もちろん改憲が発議されたとしても、国民投票という関門がある。
しかしBrexit問題で見たように、国民投票の図ることは危険性を秘めていると考えるべきだ。

現憲法を不磨の大典とするわけではない。
しかし自民党の憲法草案はとんでもない代物だ。
憲法の条文の是非以前に、立憲主義という考え方が否定されている。

アンケート調査でも安倍政権下での改憲に反対が、賛成よりも遙かに多い。
にもかかわらず、改憲勢力が2/3を越えそうだというのはどういうことか?

1つは、2/3を占めても直ちに改憲が現実化するわけではない、と考えているからであろう。
あるいは、今回の参院選の争点ではないと考えているか。
特に、公明党は、さすがに改憲を積極的に主張することに躊躇しているように見受ける。
しかしチャンスがあれば、多少強引にでも改憲に動くことは、安倍政権下で繰り返されてきた行動様式である。

安倍首相は、自分の任期中に改憲を行いたいと言っているにも拘わらず、選挙期間中は改憲という言葉を封印している。
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東京新聞7月6日

アベノミクスを前進させるのか、後退させるのか、と問いかけているが、アベノミクスが破綻していることは明らかである。
⇒2016年6月26日 (日):格差拡大経済政策の終焉/アベノポリシーの危うさ(85)

経世済民とほど遠いアベノミクスのエンジンを最大限に吹かすなどという脳天気な政権は「No!」を突きつけなければならない。
⇒2016年6月22日 (水):今回参院選の意義/日本の針路(272)

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2016年7月 5日 (火)

除染廃棄物の再利用について/原発事故の真相(145)

環境省は6月30日、福島第1原発事故に伴う福島県内の汚染土などの除染廃棄物について、放射性セシウム濃度が8000bq/kg以下であれば、公共事業の盛り土などに限定して再利用する基本方針を正式決定した。
8000bq/kgの放射性セシウムが安全と見なされる迄には、170年を要する。
盛り土の耐用年数は70年とされるので、耐用期間後の安全性は、誰が担保するのか?

Ws000000  福島県大熊、双葉両町にまたがる中間貯蔵施設に保管される除染廃棄物は最大2200万立方メートルになると見込まれる。国は2045年3月までに県外で最終処分する方針で、できるだけ再利用して処分量を減らしたい考え。
 基本方針では、再利用は管理主体などが明確な公共事業に限定し、1メートル離れた場所での追加被ばく線量を年間0.01ミリシーベルト以下に抑えると明記。同8000ベクレルの汚染土を使う場合、50センチ以上の覆土をし、さらに土砂やアスファルトで覆う対策を取るという。
 ただし、原子炉等規制法では、制限なく再利用できるのは同100ベクレル以下。環境省の非公式会合で、同5000ベクレルの廃棄物が同100ベクレル以下まで低下するには170年かかる一方、試算が出ていた。
 基本方針では、再利用後の管理期間の設定や、管理体制の構築について触れられておらず、原子炉等規制法との整合性を疑問視する声も上がっている。環境省側は「管理期間や方法については、モデル事業を通じ、今後検討を進める」(井上信治副環境相)との姿勢だ。
原発汚染土 「8000ベクレル以下」なら再利用を決定

安倍晋三首相が小泉内閣の官房長官だった2006年、『美しい国へ』という新書を出版した。
自民党総裁選を見据えた政権構想である。
福島原発事故は、美しい国土を毀損した。
事故後の2012年に再登板すると、アベノミクスと銘打った経済政策を掲げ、止まっていた原発の再稼働の前のめりである。
「美しい国」はどこに行ったのか?

稲が青々と伸びてきて、瑞穂の国を実感する。
モンスーンの賜物としての山紫水明の国土である。
富山和子『水と緑と土』が刊行されたのは1974年のことだった。
高度成長の結果、環境問題が顕在化した頃である。
緑は植物あるいは生態系の代名詞である。
水と土は動植物が生命を維持する基盤である。

日本は「唯一の被爆国」であるがゆえに、核エネルギーとどう向き合うのか、真剣に考えなければならないはずだ。
原発の稼働を続けていけば、先人から受け継いできた美しい国土の至る所に放射性廃棄物が拡散するだろう。
それが「瑞穂の国」なのだろうか?

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2016年7月 4日 (月)

原発事故と甲状腺ガン/原発事故の真相(144)

福島県の子どもの甲状腺検査(本格調査、2巡目)で、3月末までに甲状腺がんと確定したのは30人になった。
前回公表(昨年12月末現在)の16人から14人増えている。
しかし、星北斗座長(県医師会副会長)ら委員は、子どもたちの中でも放射線の影響を比較的受けやすい若い年齢層に多く発症してない状況などを踏まえ、「現時点で放射線の影響は考えにくい」とする見解を改めて示した。

不可解な委員会の判断である。
原発事故の影響を完全に否定し切れる根拠がある場合以外は、その可能性は消し去るべきではない。
放射線の影響はないのかも知れないが、あるかも知れないと考えておくのは当然である。
1606282
東京新聞6月28日

事務局の県によると、「確定」の人数が増えたのは前回公表で「がんの疑い」となっていた多くの子どもの検査結果が確定したためだという。
「疑い」の人数は27人で前回より8人減っているが、「確定」と「疑い」の合計は前回より6人多い57人だった。

福島県の小児甲状腺がんの多発が被ばくの影響だと疑うのは、チェルノブイリ事故の教訓から当然だが、今の段階で断定するのは困難であろう。
県には事故との因果関係を否定しようというバイアスが掛かっているように思う。
被ばく児童に対する県外の忌避感や差別を招かないように、という配慮であろうが、それはまた別の問題である。
Ws000003
週刊現代2014年6月21日号

冷静に情報をオープンにして考えるべき問題だ。

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2016年7月 3日 (日)

福島原発事故の調査はまだ途上だ/原発事故の真相(143)

東京電力が、福島第一原発事故当時の社内マニュアルに、核燃料が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)を判定する基準が明記されていたが、その存在に5年間気付かなかったと発表し、謝罪したのは2月24日のことであった。
⇒2016年2月25日 (木):背信の東京電力メルトダウン評価/原発事故の真相(137)

これに関連して、東京電力が設置した第三者検証委員会(委員長・田中康久弁護士)はに6月16日、調査報告書を公表し、当時の清水正孝社長が炉心溶融という言葉を使わないよう指示していたことがわかった。
なお、これに関して首相官邸からの圧力の可能性も指摘した。
⇒2016年6月19日 (日):炉心溶融と第三者委員会/原発事故の真相(141)

当時の政権は民主党であり、印象操作を感じる。
また、第三者委員会というと公正な第三者というイメージであるが、東電が設置した私的機関であることに留意する必要がある。
委員会メンバーに、舛添氏が「厳格な第三者」にと繰り返した、した「まむしの善三」こと佐々木善三弁護士が入っていることも何やら因縁めいている。

事故については、主要な調査委員会だけでも「国会」「政府」「民間」「東電」の4つが報告書を出している。
⇒2013年9月11日 (水):人災と不起訴の間/原発事故の真相(84)
この内明確に「人災」としたのは国会事故調である。

問題は「予見可能性」であるが、検察のように、「一般通常人の能力を基準」として判断するのは誤りではないか?
原発というのは、高度の専門性に基いて運転されるべきだからである。
国会事故調は、原因の未解明部分の究明や、事故収束のプロセスを審議するため、電力会社や政府から独立した第三者機関「原子力臨時調査委員会(仮称)」を国会に設置するよう提言した。

 だが、設置の動きは鈍い。自民党は、原発事故を含めた東日本大震災の初動対応を再検証する党内のチームが五月に報告書をまとめ、原発事故では「今なお新しい事実が出てきている」と指摘。にもかかわらず、国会への調査機関設置を求める声は一部にとどまり「原発利用を進める議論が優先され、機運が高まらない」(若手議員)という。
 事故をめぐっては六月、東電が弁護士に依頼した調査の報告書で、当時の清水正孝社長が「炉心溶融」という言葉を使わないよう社内に指示していたことが判明。広瀬直己(なおみ)社長は隠蔽(いんぺい)を認めて謝罪した。事故当日、原子炉水位が下がっていた1号機で炉心が露出すると予測しながら、法律で義務付けられた政府や福島県への報告を怠っていたことも、本紙の取材などで明らかになっている。
 政府や国会の事故調による調査時点では、こうした事実は出ていなかった。現在、事故の継続的な検証作業の場は、東電柏崎刈羽原発がある新潟県の「原発の安全管理に関する技術委員会」など一部に限られ、委員を務める田中三彦・元国会事故調委員は「(東電の対応は)重要なことを伝達していなかった点で通底している。国会事故調の提言を速やかに実行し、検証を続けてほしい」と求めた。
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原発事故究明 動かない国会 検証機関設置せず

検証機関も置かず、再稼働に走る神経が私には理解しかねる。

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2016年7月 2日 (土)

第三の波の文明論・アルビン・トフラー/追悼(87)

「第三の波」などのベストセラーで知られるアメリカの未来学者、アルビン・トフラー氏が6月27日、ロサンゼルスの自宅で死去した。
87歳だった。

トフラーは1928年、ニューヨーク生まれた。
ニューヨーク大学在学中に知り合ったハイジさんと結婚後、溶接工を経て、ジャーナリストの道に進み、「フォーチュン」誌の記者などを務めた。
溶接工体験が、社会のしくみに対する関心を植え付けた。
1980年に出版された「第三の波」で農業革命、産業革命に続く、「情報革命」が起きると主張した。

インターネットが普及する約20年も前に、情報化社会の到来を予見しており、「世界で最も有名な未来学者」(英フィナンシャル・タイムズ紙)と称賛されている。
人類の歴史は、さまざまな見方ができるが、大きな発展の図式として、次のようなものが広く受け入れられている。
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http://ics.doshisha.ac.jp/

このような見方はいずれにしろ検証のしようがない仮説であるが、梅棹忠夫さんこそ世界の識者に先駆けて提示したものだ。
⇒2010年7月 7日 (水):梅棹忠夫さんを悼む/追悼(8)
⇒2009年4月10日 (金):「情報産業論」の先駆性
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http://kuwabara03.blogspot.jp/2010/09/blog-post_2372.html

トフラーはジャーナリスティックなネーミングの名手だったともいえよう。
「デジタル革命」、「コミュニケーション革命」、「組織革命」、「技術的特異点」といった表現である。
特に「技術的特異点」の概念は、人工知能の発展によって現実性を高めている。
⇒2014年4月27日 (日):電王戦の結果と2045年問題/知的生産の方法(93)
⇒2014年11月 3日 (月):ロボットが東大に入るようになったら/知的生産の方法(109)
⇒2015年4月22日 (水):教科書デジタル化の功罪/知的生産の方法(119)

技術的特異点は、人間と同等以上のAGIが生まれたときに、そのAGIがさらに洗練されたAGIを自ら設計し、そうして生まれたAGIがさらに洗練されたAGIを設計し…というプロセスがひとたび始まると、知能が爆発的に上昇し、人間が置いて行かれるようになるある瞬間のことをいいます。
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知能と技術的特異点

技術的特異点の到来を目にしないで逝ったのは心残りだったかも知れないが、生あるものは何時かは死ぬ。
合掌。

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2016年7月 1日 (金)

一億総活躍というペテン政策/アベノポリシーの危うさ(86)

安倍晋三首相は、アベノミクスをさらに加速させると言っている。
「3本の矢」が効果が十分でないと思ったのだろうか、『新3本の矢』を掲げた。
(1)強い経済:GDP600兆円達成を目指す。
(2)子育て支援:希望出生率1.8を目指す。
(3)社会保障:仕事と介護が両立できる社会づくり。

「仕事と介護が両立できる社会づくり」の現実はどうか?
特別養護老人ホーム(特養)の入所待機者(要介護3以上)は13年度で約15万人で、厚生労働省の試算では、特養の定員は25年度までに20万人増える見込みだった。
しかし、厚労省は在宅中心の介護に力点を置いており、施設の大幅増設には消極的だ。
⇒2015年10月16日 (金):介護離職対策の理想と現実/ケアの諸問題(25)

在宅化などの結果であろうか、数年間の入所待ちが当たり前だった特別養護老人ホームの待機者が大幅に減り始めた。

 「“営業”しないと入所者数を維持できない」。東京都青梅市の特養「和楽ホーム」の宮沢良浩施設長は打ち明けた。ホームは都心から1時間の山あいにある。かつては都心から希望者が来たが今、待機者は最盛期の300人から100人弱に。このため5人の相談員が毎月、在宅介護の関連施設を回り入所を働きかけている。
 資金も十分で入所要件を満たすのは、100人中3人しかいない。「今は結構です」。入所を告げても断られることが増えた。空きを待つうちに他施設に移る人も少なくない。青梅市は地価が安いため特養が約23カ所も建ち、競争は厳しい。
 待機者が減るとスムーズに入所が進まず、施設に空きが出る。東京都高齢者福祉施設協議会の調査では、回答の4割にあたる95の特養が「稼働率が下がった」と述べた。昨年4〜10月の平均稼働率は94・9%で、都内で2200人分のベッドが空いていた計算になる。
要介護者、奪い合い 施設空き出始め

特別養護老人ホーム(特養)は、寝たきりや認知症などで常に介護が必要で、自宅での生活が難しい高齢者を対象にした施設のことだ。
社会福祉法人や自治体が運営する公的な施設で、生活全般の介護を受けながら、人生の最期まで長期間入所できる。
都の待機者減が明らかになるのは初めてのことである。

Ws000000 (高齢者福祉施設)協議会は原因に▽要介護1、2の人が昨年4月から原則、入所できなくなった▽有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅が激増した▽特養の自己負担額が高くなった−−をあげる。西岡修会長は「要介護度が低くても世話の大変な人の行き場がなくなった」という。中部地方の女性(60)の母(84)は認知症だが要介護2で、特養に入れる見込みはない。一切家事ができず1人にはしておけない母を「どこに入れるというのか」と悩む。
 厚生労働省高齢者支援課は「要介護3以上に(入所を)『重点化』したのは限られた資源を真に必要な人に使ってもらうためだ」と説明した。2016年2月時点で全国に9498施設あり、14年3月の入所待機者は約52万4000人。複数の施設に申し込む人も含み、実際の待機者はこれより少ないとみられている。
待機者が急減 「軽度」除外策、介護難民増加か

口先だけの「一億総活躍社会」である。
在宅化の名目で、公的施設の充実を図らず、介護人材の育成にも力を入れないので、家族の負担は重くなる一方である。
私の知っている介護福祉士養成校は、どこも入学希望者が集まらず、苦戦している。
卒業しても、苦労が目に見えているからだ。

「仕事との両立」とまったく逆の方向性なのだ。
「一億総活躍社会」どころか「介護棄民」が大きな問題になってくるはずである。
アベノミクスのエンジンを吹かすというのは、公害というべきであろう。

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