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2016年7月26日 (火)

マジョリティとしてのB層とヤンキー/日本の針路(280)

アメリカの共和党の大統領候補はトランプ氏に決まった。
泡沫のように扱われていたことを思えば、他国のことながら感慨を覚える。

時を同じくして、「ポケモンGO」というスマホを利用したゲームが爆発的人気だ。
日本でも、23日配信が開始された。
多くの観光客が訪れる世界遺産などでもゲームを楽しむ人々の姿がみられ、自治体などは歩きスマホによる事故に注意するなど話題になっている。
私はゲーム全般を否定するものではないが、このフィーバーぶりは異常ではないかと思う。

このような「ポケモンGO]の人気と、トランプ現象、あるいは安倍支持率が高いことには共通するものがあるように思う。
いわゆる「B層」であり、ヤンキーである。

「B層」は以下のように説明されている。

2004年に自民党が広告会社につくらせた企画書に登場する概念です。
そこでは、郵政民営化を実現するための戦略が述べられており、国民がA層、B層、C層、D層に分類されています。



 A層は「構造改革に肯定的でかつIQが高い層」。
 B層は「構造改革に肯定的でかつIQが低い層」であり、その対立概念がC層です。
 C層は「構造改革に否定的でかつIQが高い層」、つまり構造改革のいかがわしさを筋道立てて説明できるそうですね。
なお、D層には特別な説明はありません。
跋扈する愚民「B層」をC層は止められるか

この「B層」が日本の有権者のマジョリティになっている。
⇒2016年7月23日 (土):有権者のマジョリティはB層/日本の針路(278)
⇒2015年7月 4日 (土):柳の下に二匹目のB層はいるか?/日本の針路(189)

一方、政治の世界におけるヤンキーの台頭も指摘されている。
日本の社会全体について、ヤンキー化の傾向を指摘したのは精神科医の斉藤環氏である。
ヤンキー化する日本 』角川oneテーマ21新書(2014年3月)の中に、次のような説明がある。

その場の勢いをなにより大事にし、「深く考えない」ことを美徳とする精神(反知性・教養主義)

ヤンキーは仲間と家族を大事にするのが特徴だが、自分のシンパで政権を固める安倍首相自身がヤンキーであり、またヤンキーに支えられていることは明らかであろう。
⇒2015年7月28日 (火):ヤンキー政治家から日本を取り戻せ/日本の針路(202)
一般論として、次のような意見もある。

日本の政治家にもヤンキーは多い。日本の選挙運動というバッドセンスなものに何の抵抗もないのがヤンキー的な人たちだからです。決起集会では「エイエイオー」なんてやって、たすきを掛けて白い手袋で街頭演説。群衆の中で自分の名前を連呼するという恥辱プレーをしなければならない。普通なら耐えがたいですよ。しかしヤンキー的な人々にとっては自然なこと。これがそういう伝統なんだと言われたら納得してしまう。反知性主義であり、現実思考的なのはヤンキーの特徴です。
ヤンキーってB層?D層?

小池百合子氏などを見ていると、「確かにヤンキーだなあ」と思う。
しかし、それが支持を集めているのが現状である。
トランプ氏にしてもしかりである。
共和党大会でファミリーを次々と登場させた辺りは、まさにヤンキー的である。

そう言えば、「日本会議」も親学を提唱したり、家族の絆を最優先する辺り、まさにヤンキーと共通する。
⇒2015年12月26日 (土):日本をダメにする日本会議という存在/日本の針路(268)
ところで、ヤンキーとB層の関係は重なりそうでもあるが、微妙に違うようにも思える。

ここで判断が難しいのは、縦軸の「IQ」。このフレームワークが問題視される所以なんだけど、「ヤンキーは学歴が高くないから」とD層に“認定”するのは単純すぎる気もする。地元のことに精通して郷土愛もあるのが「ヤンキー」。理論武装は出来なくても、地頭がよくて社会的立ち回りに優れる。マスコミの通り一遍な情報に踊らされない「ヤンキー」だっているだろう。ちなみに筆者の実体験に基づく感覚では、俗にいう「ネット右翼」の方々は歴史的な事実を彼らなりの解釈とはいえ、よく勉強はしているので「C層」との親和性が高いように思えるのだが、一気呵成な行動力がある点で「ヤンキー」とオーバーラップしているのだろうか。田母神さんに投票した“愛国者”の皆さんからすれば「俺たちはヤンキーではない!」と怒られそうだが(怖いよー、汗)、もちろん決め付けたわけではないですよ
ヤンキーってB層?D層?

まあ、「空気」が支配的なのは昔からのことではあるが。
⇒2008年4月28日 (月):山本七平の『「空気」の研究』

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