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2016年6月23日 (木)

経済政策の前提としての現状認識/日本の針路(273)

参院選の争点として、与党は経済政策(アベノミクス)を前面に掲げている。
野党共闘側は、改憲阻止などを打ち出している。
私は、野党共闘側(B)の主張の方を支持するが、与党の経済政策で国民の支持を得ないと、次回国政選挙までに改憲に手を付けるのは必至だと思う。
従って、経済政策においても支持を広げる必要がある。

アベノミクスは順調か?
安倍晋三首相は消費税再延期の記者会見で「確実に成果を上げているが、デフレ脱却を確かなものにするため」と説明した。
稲田朋美自民党政調会長も「順調だが道半ばでまだ目標は達成していない」と言った。

アベノミクスは計6本の矢を主張している。
しかしまともに放たれたのは「第一の矢」の金融政策だけであると言えよう。
⇒2016年6月22日 (水):今回参院選の意義/日本の針路(272)

黒田東彦日銀総裁は2013年4月、「2年で2%の物価上昇を目指す」として大胆な金融緩和に踏み切った。
インフレ誘導による投資・消費の喚起が狙いである。
しかし黒田総裁は6月20日の講演で「2%の物価上昇は2年ではできなかった」と言った。
つまり失敗を認めたのである。
安倍首相は稲田政調会長は、「失敗」を「道半ば」とすり替えているのである。
期限内に目標を達成できないのは、「道半ば」ではなく「失敗」と言うのではないか。

順調なのは大企業だけである。
資本金10億円以上の大企業が抱える内部留保が300兆円を超え、過去最高に達している。
一方、物価上昇を差し引いた実質賃金は、安倍政権が発足した2012年からの3年間でマイナス4.8%である。
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大企業内部留保300兆円超 大幅賃上げで景気回復を

大企業が収益をあげれば、中小企業に波及し、やがて労働者の賃金にまで滴り落ちるという「トリクルダウン」の説明は、起こるはずがない。
元旦の「朝まで生テレビ」で、竹中平蔵氏が「トリクルダウンなど起きるはずがない」という趣旨の発言をしたのは、その通りであるが、「お前が言うなよ」ということだろう。
⇒2016年1月17日 (日):いかさま経済政策の破綻(続)/アベノミクスの危うさ(68)
⇒2016年6月11日 (土):トリクルダウンの幻/アベノポリシーの危うさ(79)

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