高浜原発の延命は「新しい判断」か?/原発事故の真相(142)
原子力規制委員会が、運転四十年を超える関西電力高浜原発(福井県)の延長を認可した。
東京電力福島第一原発事故の後、原発の運転期間を原則40年とする制度ができてから初めてだ。
例外」とされてきた運転延長が他原発でも相次ぐ可能性が高い。
安倍首相が、消費増税再延期を表明する際、今までの説明との整合性と矛盾することから、「新しい判断だ」と言った。
規制委も「新しい判断」に変わったのであろうか?
規制委は高浜1、2号機について、劣化しつつある一部の配管や電気ケーブルの補強や交換を条件にした上で、60年の時点でも安全機能が維持できると判断。1号機は2034年11月、2号機は35年11月までの運転を全会一致で認めた。ただ、関電はケーブルの交換など安全対策工事に3年以上かかるとみており、再稼働は早くても19年秋以降になる見通しだ。
今の制度では、原発の運転期間は規制委が認めれば1度だけ最長20年延長できる。1、2号機の場合、経過措置で猶予された7月7日の期限までに三つの許認可を受ける必要があった。
関電は15年3月に新基準に基づく審査を、翌月に延長認可を申請。規制委は、期限までに許認可がそろわず「時間切れ」で廃炉を迫られる事態を避けるため、他の原発を後回しにする形で審査し、今年4月に新規制基準に基づく許可を出した。重要設備を実際に揺らして耐震性を確かめる試験を先送りして、今月10日に工事計画を認可した。
福島の事故後、電力各社は40年前後の老朽原発6基の廃炉を決めたが、35年以上の原発は高浜以外に5基ある。関電は美浜原発3号機(福井県)についても延長を申請しているが、主な審査は終わり、期限の11月末までに認可される可能性が高まっている。
40年超の高浜原発、初の運転延長認可 例外が続く恐れ
40年という原発の法定寿命は、原子炉の圧力容器の内部が劣化する目安だという。
福島第一原発が未だ原子炉を確認できていない以上、安全サイドで考えるべきなのは当然であろう。
電力会社も原子力規制委員会も、説明責任を十分に果たしているのだろうか?
四国電力は、来年9月で運転開始40年になる伊方原発(愛媛県)1号機の廃炉を決めた。
老朽原発を廃炉にするのは世界の潮流だといわれる。
無理な延命をして得られるメリット・デメリットをどう評価したのか?
一方、運転差し止めを命じた仮処分の3、4号機について関電による執行停止の申し立ては却下された。
山本善彦裁判長は「決定を取り消す明らかな事情がない」と理由を述べた。
関電にこそ、「新しい判断」が求められるのではないか。
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