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2016年6月 2日 (木)

精神鑑定が必要な安倍首相/アベノポリシーの危うさ(75)

安倍晋三首相は1日、国会閉会を受けて首相官邸で記者会見し、来年4月に予定していた消費税率の引き上げについて、「内需を腰折れさせかねない。延期すべきだと判断した」と述べ、2019年10月に再延期する方針を表明した。

Ws000000_2 首相は14年11月、15年10月に予定していた10%への引き上げを1年半延期する方針を表明した際、「再び延期することはない。はっきり断言する」と述べた。その後、国会答弁などで「リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り確実に実施する」と繰り返してきた。1日の会見では、「現時点でリーマン級の事態は発生していない」として、従来の発言と整合性がないことを認め、「批判も含めて(参院選で)審判を仰ぎたい」と述べた。
参院選の日程については「6月22日公示、7月10日投開票」を2日の閣議で決定するとした。参院選について「アベノミクスを加速するか、それとも後戻りするか。これが最大の争点だ」と指摘。そのうえで、秋に臨時国会を召集し、消費増税を再延期する関連法案を提出するとした。
 一方、増税再延期の信を問う手段として参院選と同時に衆院選を行う同日選について、首相は、民進など野党4党が国会最終盤で内閣不信任決議案を提出した際に「私の頭の中をよぎったことは否定しないが、熊本地震を考慮し、参院選で信を問いたいと判断した」と語った。
安倍首相 増税再延期を表明…「約束と異なる判断」

「この道しかない」と大見得を切ったが、とんでもない悪路だった。
⇒2014年12月25日 (木):「この道しかない」という硬直性/アベノミクスの危うさ(45)
普通は、引き返すなり、速度を緩めてみるのだろうが、「アベノミクスを加速する」と言う。
伊勢志摩サミットで、各国に財政出動を要請するため、リーマン級の経済危機とも言った。

安倍総理は「世界の商品価格」「新興国・途上国の経済指標の伸び率」「新興国への資金流入」「各国の成長率予測の推移」という4つのデータを「26日の主要国首脳会議で唐突に示した」(27日付日経電子版)と報じられている。
「世界の商品価格」の2014年後の下落率がリーマン・ショック後と同じ約55%に達したことや、2015年に入り「新興国への資金流入」がリーマン・ショック以来の流出になったことを示したようだが、「経済音痴安倍」の面目躍如といった内容。
それは、原因と結果を混同しているところ。「世界の商品価格の下落」も「新興国からの資金流出」も、リーマン・ショックの「結果」起きたもので、リーマン・ショックを引き起した「原因」ではない。
アベノミクス失敗の原因を「リーマン級危機」に責任転嫁した安倍総理=近藤駿介

さすがに各国首脳は同意せず、実質的な言質は得られなかった。
すると茶坊主のような世耕官房副長官がカバーしようとした。

世耕弘成官房副長官は31日午後の記者会見で、世界経済の現状を「リーマン・ショック前に似ている」とした主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)での安倍晋三首相の発言について、実際には首相のものではなく、記者ブリーフでの世耕氏自身の発言だったと釈明した。
安倍首相「リーマン前似ている」発言せず=世耕副長官が釈明

ところが、平成28年5月27日の「G7伊勢志摩サミット議長記者会見」で、安倍首相は繰り返しリーマンショックという言葉を口にしている。
何が何だか分からなくなっているのではなかろうか。
前回の延期の時の言葉を振り返ってみよう。

来年10月の引き上げを18ヵ月延期し、そして18ヵ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします。平成29年4月の引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。3年間、3本の矢をさらに前に進めることにより、必ずやその経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています。
増税延期の安倍総理に必要なのは二枚舌でなく「謝ること」(上)

どう考えても、アベノミクスと称するものは失敗だった。
⇒2016年5月23日 (月):消費税再延期はアベノミクスの失敗/アベノポリシーの危うさ(69)
謙虚に反省するべきである。
⇒2016年5月14日 (土):PDCAなき安倍政権の政策/アベノポリシーの危うさ(64)

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