真っ黒な甘利を取り逃がすのか/アベノポリシーの危うさ(77)
あっせん利得処罰法違反のど真ん中だった甘利明氏が不起訴処分になった。
⇒2016年6月 1日 (水):甘利不起訴という現実/アベノポリシーの危うさ(74)
ザル法であることを満天下に周知する効果はあっただろうが、法治国家としてそれで良いわけがない。
甘利氏と元秘書の男性2人をあっせん利得処罰法違反容疑などで告発した市民団体「政治資金オンブズマン」共同代表の上脇博之神戸学院大教授が3日、東京地検特捜部の不起訴処分を不服として、東京検察審査会に審査申立書を郵送した。
申立書では「政権中枢にいる有力政治家の事務所が民間の建設会社の担当者から口利きを依頼され、都市再生機構(UR)とのトラブルに介入し報酬を受け取っており、典型的な犯罪だ」と主張。「起訴相当」の議決を求めている。
甘利・前経済再生担当相 現金授受問題 告発教授、不起訴不服申し立て
事件は、「週刊文春」1月28日号のスクープによって明らかにされた。
⇒2016年1月22日 (金):甘利明大臣に重大疑惑/アベノポリシーの危うさ(2)
テレビの記者会見では、「私の美学に反する」などと大見得を切っていた。
私の周辺にも、TPPで苦労してきたのに・・・と同情的な人もいたが、そもそもTPPが墨塗り資料など怪しいことが多い。
「三河屋、おぬしも悪よのう」
「甘利様こそ…」
そんな時代劇の1シーンが連想されるが、安倍首相の盟友であることを忘れてはならない。
不起訴処分は、検察が、甘利氏側の行為が一般の政治活動の範囲内にとどまると判断したことだという。
メディアは舛添都知事の政治資金問題で、連日大はしゃぎだが、甘利事件の方が悪質とも言える。
このあっせん利得処罰法は、中尾栄一元建設相の収賄事件を機に、職務権限のない議員やその秘書が公共事業で不正を働くことを防止するために制定された法律なのだが、現実には刑法のあっせん収賄罪よりも適用が難しいと言われ、これまで国会議員がこの法律で摘発されたことはない。
しかし、甘利のケースは、要件をすべて満たしており、法律の専門家も「適用は可能」と口をそろえていた。元東京地検特捜部検事の郷原信郎氏は「あっせん利得処罰法のど真ん中のストライクの事案」とまで言っていた。
検察が要件を満たしてなかったとする「権限に基づく影響力の行使」についても、「議会で追及する」といった強い脅しが必要というのは検察の勝手な後付けの解釈であり、事件発覚当初は「甘利氏は有力閣僚であり、国土交通省を通じ、URの予算や人事について影響力を行使することが可能だから要件は満たしている」(郷原氏)という見方が一般的だった。
そして何より、特捜部じたいが国会議員秘書初のあっせん利得法違反を立件すると意気込んで捜査を行い、4月の段階では、東京地検内部でも立件することでコンセンサスがとれていたのだ。
“真っ黒”な甘利明を検察はなぜ「不起訴」にしたのか? 官邸と癒着した法務省幹部の“捜査潰し”全内幕
甘利の元公設秘書は13年8月に一色氏から500万円を受領したが、関連団体の政治資金収支報告書には200万円しか記載がなかった。
これは明らかに「規正法の虚偽記載」にあたる。
企業では、内部統制やコンプライアンスが重要課題になっている。
こんな「ゲスの極み」の政治家が無罪放免など、許されようがない。
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