伊勢志摩でサミットをやるならば/技術論と文明論(57)
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開幕した。
安倍晋三首相は26日午前、三重県伊勢市の伊勢神宮で、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に参加する主要7カ国(G7)首脳らを出迎えた。
G7開幕、各国首脳が伊勢神宮に
議論すべき課題は山積しているが、最大のテーマとされるのは世界経済である。
昨年来の中国の景気減速や原油価格の低下を背景に不透明感が増す中、いかに力強い成長への道筋を示すか。
「パナマ文書」がえぐり出したタックスヘイブン(租税回避地)と課税逃れの問題も避けては通れまい。
伊勢志摩は風光明媚な場所であり、世界の首脳を迎えるに相応しい場所だ。
「ひととき」2016年6月号
1946年、戦後初の国立公園に指定された。
「志摩のリアス海岸」「伊勢の神宮林」という豊かな自然に恵まれ、伊勢神宮の代表されるように、神の住まうところであった。
また、海の宝石である真珠の養殖技術は、志摩のリアス海岸で確立されたが、真珠は、自然の力を生かす努力を怠らなければ、いつまでも生み出すことができる。
伊勢神宮といえば、式年遷宮で有名だ。
直近では2013年に行われた。
⇒2013年10月 3日 (木):伊勢神宮の起源/やまとの謎(88)
伊勢神宮には常若(とこわか)という考え方があり、二十年に一度、内宮、外宮の正殿はもとより、六十棟に及ぶ神殿をすっかり新しくする。
その式年遷宮のために木を植えて、山を手入れする。解体で出る廃材は再利用される。
木を切り、建てて、土に返す、そこにまた新しい命が宿り、芽を吹き、育つ…。こうして伊勢神宮は千数百年にも及ぶ循環と再生の歴史を築いてきた。
伊勢志摩は、つまり、循環する自然の力を生かし、持続可能な風土を築いてきたのである。
オバマ米大統領の広島訪問が決まって内外の注目を集めるが、かといって、伊勢志摩という舞台の意義を忘れてはなるまい。
そもそも、なぜ、サミットを開くのだろう。それは結局、世界を持続させるためではないのか。
議題があふれんばかりとなった日程表は、G7各国も今の世界の先が見通せない、つまり、持続可能性にそれぞれ不安があることを象徴しているのかもしれない。
伊勢志摩サミット 「持続可能」の決意示せ
日本精神などと抽象的なことを言わずに、伊勢志摩の持つ現代的意味を伝えるべきだろう。
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