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2016年5月19日 (木)

震災を緊急事態法に使う改憲論者/アベノポリシーの危うさ(68)

産経新聞は熊本地震で川内原発の運転停止求める署名活動を「反原発派 熊本地震を利用」と見出しをつけた。
⇒2016年5月11日 (水):ひたすら政権追随の産経新聞批判/アベノポリシーの危うさ(62)

一方、安倍首相に近い改憲派が地震を改憲に利用しようとしている。
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緊急事態条項は必要か

菅義偉官房長官

緊急事態条項は自民党が2012年に発表した改憲草案に盛り込まれた。大規模災害時などに首相が緊急事態を宣言すれば、内閣は法律と同じ効力を持つ政令を制定でき、国民には政府の指示に従うことを求められる。菅義偉官房長官は15日の記者会見で、熊本地震に関連し「大規模災害の発生のような緊急時に、国民の安全を守るために国家や国民がどのような役割を果たすべきかを、憲法にどう位置づけるかは極めて重く大切な課題」と述べた。
緊急事態条項は必要か

礒崎陽輔首相補佐官

自民党憲法改正推進本部の事務局長を務める礒崎陽輔首相補佐官は22日、大分市での自身の政治資金パーティーで、憲法改正について、大災害などを想定した緊急事態条項の新設から取り組むべきだとの考えを示した。「最初はできる限り合意が得られるところで行い、次からもう少し難しい問題を議論すれば良い」と2段階論を唱えた。
礒崎首相補佐官、憲法改正「まず緊急事態条項から」

櫻井よし子氏

ジャーナリストの櫻井よしこ氏ら早期の憲法改正を求めるグループが2016年4月26日、都内で記者会見し、「緊急事態条項」の制定に向けた憲法論議を改めて求めた。特に櫻井氏は、仮に緊急事態条項があれば、熊本地震は「最初から国が前面に出て」「事態に対処することができたであろうと思われる」と主張。現行憲法が災害対応の妨げになっているとの持論を改めて主張した。
   だが、会見に同席していた百地章・日大教授は、熊本地震は現行の法律内で対応できたとの立場を表明。登壇者間の温度差も浮き彫りになった。
櫻井よしこ氏、憲法改正して「緊急事態条項」を 「熊本地震」に触れつつ「国がパッと対処できる」

緊急事態条項は災害対策に必要か?
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県42自治体へのアンケートでは、条項が必要だと感じたという回答は1自治体だけであった。
被災自治体の多くは現行の法律や制度で対応できると考えているのである。

憲法改正の是非が夏の参院選の争点に浮上し、緊急事態条項は安倍晋三首相が改憲のテーマと考えているとされる。5月3日の憲法記念日を前に毎日新聞は今月、岩手12市町村、宮城15市町、福島15市町村の担当部署にアンケートを送付。37自治体が回答した。

  初動対応で「もっと適切に対処できたと感じる場面があったか」と聞いたところ、30自治体が「あった」と回答。この30自治体に対処が不十分だった原因を選択肢(複数回答可)で聞くと、(1)「震災の規模が事前の想定を超えていた」が26自治体と最も多く、(2)「法律制度に不備があった」が5自治体、(3)「憲法で保障された個人の権利(移動や経済活動の自由、財産権など)が障害になった」は2自治体、(4)「その他」は3自治体だった。
緊急事態条項被災3県で「必要」1町

折しも安倍首相は、私は立法府の長だと言った。

民進党・山尾志桜里政調会長が安倍首相の政策を批判し、「女性活躍どころか“男尊女卑”政権だ」と突きつけた同じ委員会でのことだ。山尾議員は安倍首相に、なぜ保育問題に前向きに取り組まないのかと訴えたのだが、安倍首相は「山尾委員は議会の運営ということについて少し勉強していただいたほうがいいと思います」と前置きして、こう述べたのだ。
「議会についてはですね、私は立法府、立法府の長であります」
 国会中継を見ていた人は、思わず耳を疑い、フリーズしたに違いない。総理大臣は行政府(内閣)の長ではあるが、立法府(国会)の長では断じてないからだ。勉強したほうがいいのは間違いなく、安倍首相のほうである。
安倍首相がまた「私は立法府の長」発言! たんなる言い間違いではない、三権分立を破壊する安倍政治の本質

確かに単なる言い間違いではないようだ。
かつて麻生太郎副首相兼財務相、憲法改正をめぐり戦前ドイツのナチス政権時代に言及する中で、「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と言ったことがある。
⇒2013年8月 4日 (日):撤回では済まされない麻生副総理の言葉

第1次大戦後の1919年、ドイツでは帝政に代わり、ワイマル憲法を柱とする共和政となった。
ワイマル憲法は、法制史において人権概念の萌芽とされる基本的人権の尊重が定められるなど、きわめて民主的なものであった。
しかし1929年に発生した世界恐慌によってドイツ経済は最悪の状態になり、ベルサイユ体制の破棄を訴えるナチスの支持率が上昇していった。
1933年、ヒトラーが首相に就任した直後のドイツ国会議事堂放火事件によって、緊急大統領令を発令し、憲法の基本的人権を停止するとともに、実質的に他の政党の抵抗力を奪った。
ヒトラーは全権委任法を制定し、憲法に違背する法律を制定する権限を含む強大な立法権を掌握した。
これが緊急事態法の真髄なのである。
麻生氏の言葉が口が軽いでは済まされなくなる。

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