ディープラーニングの発展と脳のしくみ/知的生産の方法(150)
AI(人工知能)に関する話題が賑わっているが、人の脳に関する関心も盛り上がっているようだ。
最近手にした雑誌でも、「週刊エコノミスト」(毎日新聞出版)の5月17日号が『人工知能・AIの破壊と創造』という特集を、「一個人」(KKベストセラーズ)の6月号が、『脳を鍛える』という特集を組んでいる。
グーグルの人工知能(AI)「アルファ碁」が囲碁のプロ棋士と対戦して初勝利を挙げたのが大きい。
「アルファ碁」は、ディープラーニングによって急速に腕を上げたと言われる。
⇒2016年2月21日 (日):AIはクリエイティブ分野でもヒトに勝つか?/技術論と文明論(41)
ディープラーニングについて、4月10日の日経新聞に解説記事が載っていた。
ディープラーニングとは、コンピューターによる「機械学習」の一種で、人間の脳をモデルに考えられた「ニューラルネットワーク」を改良し、画像や音声などの認識や、自動運転などの複雑な判断に有効な方法である。
機械学習とは、人間がプログラムコードをすべて書くのではなく、学習するシステム(ここではニューラルネットワーク)を作り、それにさまざまな情報を与えて認識などの処理を行うシステムを構築することとされる。
脳は、生物とともに進化してきた。
長さ2mm、直径0.2mmほどのチューブである「神経管」がつくられることから、脳の形成は始まる。
神経管の内側で神経細胞がつくられ、膨らんで脳がつ くられていくが、神経管はどの脊椎動物でも共通で、その起源をさかのぼっていくと、約5億年前に出現した原索動物であるホヤの幼生に行き着くという。
魚類、両生類、爬虫類では、脳幹が脳の大部分を占めている。
脳幹は反射や、えさを取ったり交尾するといった本能的な行動をつかさどっている。
小脳は、小さ な膨らみにすぎず、大脳も小さく、魚類と両生類では、生きていくために必要な本能や感情をつかさどる「大脳辺縁系」のみである。
大脳辺縁系は、進化的に 古いことから「古皮質」と呼ばれる。爬虫類では「新皮質」がわずかに出現する。
鳥類や哺乳類になると、小脳と大脳が大きくなる。
特に大脳の新皮質が発達し、「感覚野」「運動野」といった新しい機能を持つようになる。
霊長類では新皮質 がさらに発達して大きくなり、「連合野」が出現し、より高度な認知や行動ができるようになった。
ヒトでは、新皮質が大脳皮質の90%以上を占めている。
脳の進化は、基本構造が変化するのではなく、新しい機能が付け加わるように進化してきた。
つまり、ヒトの脳には生物の進化の歴史が刻まれているのである。
⇒2013年4月20日 (土):脳の3層構造とコミュニケーション/知的生産の方法(49)
これらの概略は、回復期リハビリ専門病院における主治医から教えられた。
⇒2010年4月25日 (日):「恐竜の脳」の話(1)最近の政局をめぐって
「もう6年」と言うべきか、「まだ6年」と言うべきか分からないが、まだ右手は使えないがADLは何とかしている。
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