パナマ文書と日本政府と消費税/アベノポリシーの危うさ(52)
「パナマ文書」が全世界を震撼させている。
まだ一端だけしか報じられていず、予震と言うべきだろうが、すでにアイスランドの首相は辞任し、欧州や米国司法省、そしてシンガポールまでもが徹底的に調査し、厳正に対処する姿勢を示している。
一方、日本の菅官房長官は「日本政府としては調査しない」ことを明言した。
安倍政権の姿勢が明瞭に出ている。
パナマはパナマ運河で有名であるが、租税回避のためのオフショア金融センターの1つでもある。
少し乱暴に言えば、オフショアとは国家として非居住者の節税を助ける地域で、多くは産業がない小国に「ペーパー・カンパニー」を設立し、合法的スキームを組み上げ、顧客の税金の支払いを軽減する機能を持っています。
このスキームを作っていた大手のひとつが、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」です。
このスキームを作っていた大手のひとつが、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」です。
なにしろ、「ペーパー・カンパニー」と呼ばれるくらいですので、その書類を作る人たちがスキームのキーマンとなります。ちなみに「モサック・フォンセカ」は、国際的にオフショアを利用する金融関係者なら誰でも知る有名な法律事務所で、「あのモサック・フォンセカ」から情報が漏洩してしまったことが、本件を重大にしているのです。
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「モサック・フォンセカ」から漏出した文書は大量だ。
匿名の告発者から南ドイツ新聞に届けられた文書は、全部で1,150万件、電子データにして2.6テラバイトにのぼる。1977年から2015年末までの40年近くにわたり、モサックの本社及び全世界に35以上もある事務所と20万人/社に及ぶ顧客との間で交わされた480万通の電子メール、100件の画像、210件のPDF文書が含まれていた。2010年にスノーデンが米外交文書などを持ち出してウィキリークスで暴露した時に世界はその膨大さに驚いたのだったが、その量は1.7ギガバイトで、今回の文書はその1,500倍ほどもある。
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もちろん租税回避していた企業や人に、日本関係もある。
現時点では必ずしも違法行為とは言えないであろうが、一般国民は利用など考えつきもしないだろう。
日本企業等が回避した税額は、パナマだけで1年で55兆円とも61兆円とも推定されている。
企業名も一部明らかにされているが、安倍政権による法人税率軽減や円安によって恩恵を受けている企業が多い。
これを捕捉できれば、消費税アップも、介護や保育の問題も解消できそうである。
ハーバード大学の白熱教室として、サンデル教授の『正義とはなにか?』を考える講義が話題になったことがある。
翻訳書『これからの「正義」の話をしよう』早川書房(2010年/5月)も売れたはずだ。
税の公平性は、「正義」という意味でも大きなテーマだろう。
公平性が担保されなければ、納税意欲も減退するというものだ。
愛国心が売り物の1つのはずの安倍政権が、政府としも「積極的に調査する」と明言すればと思うが、世界の潮流の真逆をいくからなあ。
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