偽装企業の真打ち・三菱自動車/ブランド・企業論(51)
企業不祥事のニュースが続いている。
財界の中核・三菱グループで、2000年、2004年に大規模なリコール隠しが相次いで発覚した三菱自動車が、燃費データ不正問題で窮地に陥っている。
国が実施する燃費試験で使う「走行抵抗値」は本来、中央値を国に提出すべきところを、意図的に有利な数値を算出。法令外の試験方法でデータを取得していたことも判明。燃費目標は社内会議で繰り返し、上方修正していたという。
当初不正が発覚したのは、2013年6月発売の「eKワゴン」や共同開発相手の日産自動車向けに生産する「デイズ」など軽自動車4車種で、対象は62万5000台だった。
それが今回、標準車や4WD車でも、本来は走行抵抗値をそれぞれ実測すべきところを、先の目標燃費に合わせ、机上で算出していたことが明らかに。不正開始が25年前にまでさかのぼることから、燃費データ不正の車が今後大幅に増えることは間違いない。
相川哲郎社長は、25年前から法令外のデータ取得法を採用していたことについて「私自身、全く承知していなかった。社内で長期間疑わず伝承された可能性がある」と会見で述べたが、“知らなかった”では済まされない。本紙が極秘入手した内部文書には、燃費に関するユーザーの問い合わせが列挙されている。文書は画像で読者にお見せできないが、驚きの内容が記されている。
三菱自動車の燃料データ不正 内部文書に記された驚きの「燃費」実態
三菱自動車工業株式会社は、1970年に三菱重工業から独立した三菱グループに属する自動車メーカーである。
国が法令で定める方法とは異なる手法で燃費データを測っていたのは1991年からだという。
その手口は以下のようであった。
三菱自動車の燃費偽装問題
「組織の三菱」などと称されるが、三菱グループは金曜会という企業グループを形成しており、次のようなヒエラルキーだと言われる。
三菱グループ最高機関「金曜会」は自工をどう救うか
「ギャラン」「ランサー」「パジェロ」等の名車を生んだ自工は、「御三家」「主要10社」の下の序列である。
しかし現社長の相川哲郎氏は、三菱重工の社長、会長を歴任した三菱グループの重鎮の相川賢太郎氏である。
おそらくグループの総力を挙げてサポートするだろうが、三菱自動車はどうなるか?
「組織の三菱」とはいえ、一枚岩とは言えない要素もあるようだ。
「会社全体に『何とかなる』という空気が充満している。上層部の命令は絶対で、出世する人はごますり上手のイエスマンばかり。過去のリコール問題後も体質は変わらず、優秀な技術者は次々と辞めていった」(別の関係者)
そうしたツケが一気に回ってきた形だが、同社には今後“賠償地獄”が待っている。購入者への補償について、同社は対象車の買い取りはせず、燃費偽装分のガソリン代を払う方針だが「購入者がそれで納得するとは思えない。三菱が今回行ったのは詐欺と言っていい。集団訴訟も想定される」(業界関係者)
デイズを販売する日産との関係も見直されそうで、補償費用は数百億円規模に上る。国も動く。今回の問題で、燃費に応じて自動車購入時の税金が安くなるエコカー減税の額が変わることが想定され、その差額分は購入者ではなく、三菱側が負担することになる。
【燃費データ不正問題】内部文書入手!三菱自動車に驚愕クレーム
不祥事というより犯罪という方が適切かも知れない。
相川社長が自ら言うように、企業の存続に係わる問題であることは間違いない。
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