地震と原発の情報に関する傾向と対策/原発事故の真相(140)
熊本地震が続いている。
16日01時25分マグニチュード7.1、熊本県で最大震度6強で、被害もかなり出ている。
さらに大雨の予報も出ており、現場は救急救命に必死だろう。
そんなところに首相が出かけるのはパフォーマンスにならないばかりか、迷惑になる。
安倍晋三首相は15日午後に首相官邸で開いた地震非常災害対策本部会議で、「明日、私自身が被災地を訪問し、現場を自らの目で確かめて被災された方々の生活、生の声に接し、今後の対策に十分生かしていきたい」と述べ、16日に熊本地震の被災地を視察する考えを明らかにした。
安倍首相、熊本の被災地を16日に視察
被害拡大の報を受けて、さすがに現地に行くのは中止したが、東日本大震災発生時、菅首相(当時)が地震発生の翌日、急遽(!)、被災現場の中の福島第1原発を1時間近く視察したのを思い出す。
そして、午後の与野党党首会談で原発に関し「危機的な状況にはならない」と強調したが、
爆発が起きたのは会談の最中だった。
⇒2011年3月14日 (月):現認する情報と俯瞰する情報
安倍首相は、「自分が最高責任者」という言葉がお好きなようだが、であれば俯瞰的に事態を捉えることが重要で、現地に行けばいいというものではない。
原子力規制庁が、今回の地震で原発に異常がないことなどを一般向けにホームページなどで情報発信したのは、地震発生翌日の15日午前になってからだったが、規制庁は原発周辺で地震が起きた際の原発の安全に関する情報発信の在り方を見直す方針を明らかにした。
安倍首相は、パフォーマンスを考えるよりも、地震が起こる度に、「〇〇原発に異常はありません」などとテレビで報道しなければならないような原発をいかに廃棄して行くかを検討すべきではないか。
今年になってから東京電力が、福島第一原発事故当時の社内マニュアルに、核燃料が溶け落ちる炉心溶融(メルトダウン)を判定する基準が明記されていたが、その存在に(誰も!)5年間気付かなかったと発表した。
⇒2016年2月25日 (木):背信の東京電力メルトダウン評価/原発事故の真相(137)
隠蔽していたのではないかと疑われても仕方がないだろう。
と思っていたら、事故発生直後に、炉心露出を予測していたが、それを政府にも県にも報告していなかったという。
東京電力福島第一原発事故が起きた二〇一一年三月十一日、東電が地震発生から約二時間半後に、原子炉水位が下がっていた1号機の核燃料が約一時間後にむき出しになると予測しながら、法律で義務付けられた報告を政府や福島県にしていなかったことが分かった。炉心を水で冷やせずメルトダウン(炉心溶融)に至れば、大量の放射性物質の流出につながる。原発事故から五年余りがたつが、検証が必要な事故対応が依然、残されていることが裏付けられた。
福島事故 地震2時間半後に「炉心、1時間後に露出」 東電、予測を国・県に報告せず
原子力ムラの不遜さを示す一例でもある。
⇒2016年3月28日 (月):原子力ムラ、不遜なり!/原発事故の真相(139)
東電は報告しなかった理由は「分からない」とした上で、直前に『非常用炉心冷却装置が注水不能』と報告していると説明している。
その辺の事情を含め、まだまだ検証すべきことは多いのだ。
再稼働すべきかどうかを考えるのはそれからであろう。
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