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2016年4月11日 (月)

浜岡原発撤退の論理と倫理(5)/技術論と文明論(47)

福島第一原発の事故については、「政府」「国会」「民間」「東電」等々の事故調査委員会が組織され、それぞれ報告書が発表された。
⇒2012年7月25日 (水):政府事故調の報告書/原発事故の真相(41)

しかし事故の真因は未解明である。
炉心溶融が短時間で起きていたことが最近になって公表された。
⇒2016年2月25日 (木):背信の東京電力メルトダウン評価/原発事故の真相(137)

隠ぺいなのかあるいは当事者意識の欠如なのか。
どちらにせよ、原発の運転資格はないだろう。

福島の事故を受けて、原子炉等の設計審査基準が見直された。
新規制基準について
政府はこの新審査基準を錦の御旗として、「合格したら速やかに再稼働」という短絡した判断である。
しかしそれは論理の誤りというものである。
まず第一に、適合性審査は必要条件であって、十分条件ではない。
⇒2014年12月18日 (木):原発は審査基準に適合すればOKか?/原発事故の真相(122)⇒2015年8月14日 (金):原発再稼働とメディアの姿勢/原発事故の真相(133)

第二に、審査基準は原子炉の設計等の関するものであって、運転について定めたものではない。
しかも原子力規制委員会自身が「これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません」と明記しているのである。
原発を運転させるか否かは技術的な問題ではなく、社会的な問題である。

いま浜岡原発の電力に頼るべきか否か。
浜岡原発の防波堤は典型的なカミソリ堤のように見える。
Photo_2
<不安>浜岡原発ご自慢の防潮堤はペラペラの塩分に弱い鋼鉄製

南海トラフ地震が発生すれば、静岡県は無論、首都圏も含めて壊滅的被害が発生するであろう。
もう決して想定外とは言えないのだ。

全原発が停止している間、電力不足は発生しなかった。
既に世界の風力発電は、原発よりも発電量が多い。

 世界の風力発電の発電能力が二〇一五年末に一四年末比17%増の四億三千二百四十二万キロワットに達し、初めて原子力の発電能力を上回ったことが、業界団体の「世界風力エネルギー会議」(GWEC、本部ベルギー)などの統計データで二十日、明らかになった。
Photo_3
世界の発電能力、風力が原発抜く

もちろん安定出力など課題は残っている。
しかし再生可能エネルギー開発と節電の進展は必然的なトレンドである。
広域的な供給調整を行えば、危険な浜岡原発に頼らないで済むはずではなかろうか。

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