震災が炙り出す安倍政権の無責任性/アベノポリシーの危うさ(54)
熊本、大分地方で起きている地震は、通説・経験則といわれているものおよびそれに基づく想定の危うさを浮き彫りにした。
地震そのものは天災であるが、地震関連死と言われるものには、救えたものも多いのではないか。
地震が起きた翌日、政府は屋内避難を指示したが、その後の「本震」により屋内で受難した人が少なくない。
地震が発生したら屋外避難が常識だと言われるが、明らかに判断ミスであろう。
日刊ゲンダイ4月21日
現に 熊本県の蒲島郁夫知事はこの指示に対して、「現場の気持ちが分かっていない」と反発したと伝えられている。
現場を知らずして中央で指示を出す危うさである。
揺れの頻度は史上最多のペースである。繰り返される揺れによる被害も大きい。
現在の耐震基準は、連続した地震を想定していないという解説もあった。
自然史的過程は1回性なので、帰納的な経験則に限界があるのは当然である。
自然現象には、われわれが「無知」のことも多いのは、竹田茂夫氏が東京新聞の「本音のコラム」欄で言う通りであろう。
国内で唯一運転中の川内原発は、熊本県益城町から約100km余離れている。
「週刊文春」4月28日号
川内原発は、現時点では基準地震動以下の揺れで、運転が継続している。
TVで正常に運
転していることを報じているが、正常であることがニュースになるのは本末転倒であろう。原子力規制委は予防的な停止は政治判断とするが、丸川珠代原子力防災担当相は「規制委は停止の必要はないと言っている」と他人事である。
⇒2016年4月19日 (火):丸川大臣の(不)見識と「想定の限界」/技術論と文明論(50)
責任が循環する典型的な無責任の構造である。
川内原発では基準内ではあっても、益城町では基準の約2.5倍の震動を記録しているのである。
幸いにして回送中であったが、九州新幹線が脱線した。
新幹線を利用する避難計画も当然見直しが必要になる。災害時にこそ政治のリーダーシップが求められよう。
東日本大震災時の長谷川櫂氏の歌集『震災歌集』中央公論新社(2011年4月)の表現を借りよう。
かかるときかかる首相をいただきてかかる目に遭ふ日本の不幸
首相のままでも、大臣でも政権でもいいようだ。
⇒2011年7月 3日 (日):長谷川櫂『震災歌集』/私撰アンソロジー(3)
菅元首相は、浜岡原発を停止させたし、東電にも乗り込むなど体を張ったと評価することもできるが、現政権は・・・。
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