浜岡原発撤退の論理と倫理(6)/技術論と文明論(52)
大津地裁(山本善彦裁判長)は3月9日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止める判断を下した。
「安全性が確保されていることについて(関電側は)説明を尽くしていない」などが理由である。
⇒2016年3月10日 (木):高浜原発に停止命令/アベノポリシーの危うさ(33)
この決定について、安倍晋三首相は3月10日夕の記者会見で、「関電には、さらに安全性に関する説明を尽くしていくことを期待したい。政府としてもそのように指導していく」と述べた。
⇒2016年3月11日 (金):原発稼働の論理を考え直すべき/アベノポリシーの危うさ(34)
バカの一つ覚えのように、「世界で最も厳しいレベルの基準に適合とすると判断した原発のみ、地元理解を得ながら再稼働を進めるのが政府の一貫した方針だ」と説明しているが、とんでもない誤謬だと言うべきであろう。
審査基準のサイトには「これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません」と明記されている。
つまり必要条件ではあるが十分条件ではないのである。
⇒2014年12月18日 (木):原g発は審査基準に適合すればOKか?/原発事故の真相(122)
⇒2015年12月25日 (金):高浜原発再稼働に慄然とする/技術論と文明論(38)
なおかつ審査基準は原子炉等の設計に関する基準であり、運転について定めたものではない。
原発を運転させるか否かは、技術的な判断であると同時に、というよりも本来的に社会的な判断の問題である。
高浜原発運転差し止めに関しは、関西地方の経済界のトップが中学生レベルの公民の知識も無いことを自ら暴露している。
関西経済連合の森詳介会長(関電会長)や角和夫副会長(阪急電鉄会長)らは17日に行われた記者会見で、関西電力の高浜原発3、4号機に対して大津地裁が運転差し止めの仮処分決定を行ったことを強く批判しました。気持ちは分かりますが、その内容は唖然とせざるを得ないものでした。
角副会長はこの場で「なぜ一地裁の裁判官によって、(原発を活用する)国のエネルギー政策に支障をきたすことが起こるのか」「こういうことができないよう、速やかな法改正をのぞむ」と発言。
三権分立は中学校の公民でも必ず習う近代国家に共通の普遍的な憲法上の基本原理です。例えば衆議院のHPの三権分立の説明は以下の通り。
三権分立日本国憲法は、国会、内閣、裁判所の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する「三権分立」の原則を定めています。
(衆議院 三権分立より引用)権力の分立の基本的要素の第一として挙げられるのが権力の区別分離であり、これは「各権力は原則として他権力に干渉したり自らの権力を放棄することは許されない」ことを指します。
つまり、国(行政)のエネルギー政策がどうあれ、司法はその方針から独立であり、独立していなければならないということ。角副会長はこのことを理解していないばかりか、積極的に三権分立を壊す法改正を望む発言をしています。日本を近代国家でなくそうとしていることを本人は気付いているのでしょうか?
関西経済会のトップが三権分立を理解できていないことが明らかに
今回の判決を受け、全国の原発立地県以外の裁判所で今後もこうした差し止めの仮処分決定が出る可能性が高くなった。
原発再稼働の訴訟リスクが上昇したということであり、コスト計算に加味すべき要素が増えたということである。
原発が本当に経済的な発電方法かどうか、立ち止まって考え直すいいチャンスではなかろうか。
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