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2016年4月14日 (木)

パナマ文書漏出が示す断末魔の資本主義/世界史の動向(44)

日銀がマイナス金利まで踏み切ったが、依然として政策の意図は達せられていない。
水野和夫さんは、『資本主義の終焉と歴史の危機』集英社新書(2014年3月)で、「現在、世界的に歴史上でも有数の低金利時代であるが、それは資本を投下しても利潤の出ない資本主義の「死」を意味する。資本主義にそれでもしがみつき、かりそめの「成長」を目指すことは、「国民なき国家」を作り上げ、破局への道を整えているにすぎない。」という趣旨のことを書いていた。
⇒2015年1月 3日 (土):福島第一原発事故と新しい文明/技術論と文明論(12)

その意味では、マイナス金利政策は、資本主義の「死」を追認するものであり、なおかつ安倍首相がアベノミクスの第2ステージと称し、「新3本の矢」の第一に、「希望を生み出す強い経済」としてGDP600兆円を掲げるのは、矛盾しているし、滑稽でもある。
そして、リーマンショック級のことが起こらない限り、消費税の再延長はないと言っている。
リーマンショック級というのは、はなはだ曖昧な表現であるが考えようによっては常態がリーマンショック級であるとも言えるのではないか。

パナマ文書の漏出問題がこれからどう展開して行くことになるのか、現時点では不明であるが、おそらく超弩級の激震となると思われる。

 その40年間の顧客約1万4千人の1千万件超の文書が流出したモサックは、ペーパーカンパニー設立に特化した、パナマでも珍しい法律事務所。現地の法曹界からは「海外の銀行などに頼まれ合法的に設立しただけ。非難されることをしたとは思えない」と擁護の声も漏れる。キャメロン英首相の亡父、ロシアのプーチン大統領の友人、中国の習近平国家主席の親族など文書が暴露した「顧客」とは「会ったこともなく、会社設立の意図もあずかり知らないだろう」。
 在ニューヨークのある弁護士は「ペーパーカンパニーの設立はタックスヘイブンの専門の法律事務所に頼み、会社の住所もその事務所にするのが通例」と明かす。電話や電子メールでやり取りし、あとは書類上で手続きするだけで「会社としての実態はない」という。
 そのためかパナマ市中心部の金融街やホテルのバーなどで、節税を頼んだ顧客本人はおろか、欧米の銀行などタックスヘイブンに群がる人たちの姿を見つけることは難しい。パナマ市民には「雲の上の話」(40代男性)、「庶民には関係ない」(20代男性)と今回の騒動に冷めた空気が広がる。
Photo
パナマ文書「震源地」に捜査の手 現地ルポ

世の中には絶対と言うことはあり得ないのだ、と改めて思う。

■資金洗浄防止 国際協調が必要
 ICIJがこれまでに公開した情報にざっと目を通すと、一部の政治家の取り巻きや親族がいかに資産を増やしたかがわかり、衝撃的だ。アゼルバイジャンのアリエフ大統領の娘たちはひそかに複数の金鉱を支配しているようだし、南アフリカのズマ大統領のおいは、南アが1000人以上の平和維持部隊を送り込んだコンゴ民主共和国の石油契約でうまいことやった。
 一般市民は激怒している。ズマ大統領は私邸を建設するのに公金を流用し、返済を拒んだとの申し立てをめぐり4月第2週、弾劾手続きにかけられた。
 アイスランドでは、グンロイグソン首相が辞任に追い込まれた。破綻した同国の銀行に、同首相の妻がオフショア企業を通じて投資していたことが明るみに出て、怒り狂った国民の抗議に抗しきれなかったのだ。
 腐敗は世界を貧しくし、格差を広げる。政治家が公金を流用すれば、道路や学校の建設や補修に使われるお金は減る。親しい友人が有利な条件で契約できるようにすることは納税者をだまし、企業に自国への投資を思いとどまらせることを意味する。これらすべてが経済成長を阻害する。
パナマ文書が示す教訓

断末魔の様相に見えなくもない。

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