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2016年3月 3日 (木)

高浜原発のインシデントを憂慮する/アベノポリシーの危うさ(30)

関西電力高浜原発4号機は、再稼働してすぐに停止を余儀なくされた。
⇒2015年12月25日 (金):高浜原発再稼働に慄然とする/技術論と文明論(38)
⇒2015年4月15日 (水):福井地裁が高浜原発再稼働に不許可の仮処分/日本の針路(137)
⇒2015年2月13日 (金):高浜原発の再稼働を許すな/技術論と文明論(20)

再稼働に伴う気がかりなトラブルが相次いでいた。

先月26日に再稼働した関西電力高浜原発4号機(福井県)の原子炉が、3日後に緊急停止した。発送電を始めた途端、送電線側から想定を超える電流が流れたという。機器の点検や整備などに不備はなかったか。安全対策の検証と原因究明、情報公開の徹底に努めるべきだ。
 4号機の不具合はこれだけではない。先月20日には放射性物質を含む1次冷却水漏れがあった。ところが関電は月内再稼働の予定を見直さず、発覚2日後に配管のボルトの緩みが原因だったと公表すると、延期していた起動試験をその日の夜のうちに開始。重要作業は日中に行うとの方針を曲げてまで再稼働を急いだ姿勢に、スケジュールありきとの印象を強くする。
 関電は電力小売り自由化による競争激化に対応するため、5月から電気料金を引き下げると発表している。すでに営業運転に移行した3号機に加え、4号機の早期の営業運転を見込んでいたのは想像に難くない。安全対策より経営戦略を優先したとすれば、批判は免れまい。
 問題のボルトを最後に点検したのは、東京電力福島第1原発事故より前の2009年だ。4号機は10年にも、配管内の圧力異常が原因とみられる冷却水漏れを起こしている。それでも再稼働前の点検対象にならなかったというから、安全意識が希薄と言わざるを得ない。
不具合続く高浜原発 安全対策検証と原因究明を急げ

安全性の問題については、有名な「ハインリッヒの法則」がある。
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⇒2011年4月 9日 (土):福島原発事故の失敗学

つまり重大な事件・事故の背後には、事件・事故に至らない「ヒヤリ・ハット現象」がある。
「ヒヤリ・ハット現象」は重大な事件・事故の警告でもあるのだ。
これをインシデントという。

高浜原発はインシデントが発生していたのである。
にもかかわらず、再稼働を急いだ。
急ぎ過ぎである。
なぜ、そんなに急ぐのか?
原発ゼロで過ごした約2年の間、日々の暮らしに大きな支障は出なかった。
あの拙劣な「計画停電」の必要性も疑問である。
速やかに再生可能エネルギーへ舵を切るべきである。

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