脳トレの先駆者・多湖輝/追悼(82)
「頭の体操」シリーズなどで知られる、心理学者の多湖輝さんが、6日、間質性肺炎のため、東京都内の病院で亡くなった。
90歳だった。
「頭の体操」はカッパブックスのシリーズとして、23集まで発行されたという。
第1集は1966年だから、私がまだ大学在学中だった。
今にして思えば、脳トレのハシリといえよう。
インドネシア・スマトラ島生まれ。
東大大学院を修了し、千葉大助教授などを経て、1973年千葉大学教授に就任した。
66年に刊行した「頭の体操」第1集は固定観念からの脱却と発想転換を訴え、265万部を超えるベストセラーに。その後シリーズ化され、2001年の23集までとその他累計で1200万部に達した。
多湖輝さん死去=心理学者「頭の体操」-90歳
千葉大学退職後も、幼児教育から高齢者問題、企業の創造性開発まで幅広く講演や著作活動を続けた。
テレビのクイズ番組やゲームソフト「レイン教授」シリーズの監修なども務めた。
タレント教授としても大きな影響力を持った人だった。
「追いつき、追い越せ」で成長できないことは、バブル以後の失われた25年が示している。
ようやく何かを生み出す力が評価される時代になったのだ。
単なる知識ではなく、創造的「脳」力が必要とされている現在こそ、読まれるべき書のような気がする。
超高齢社会が本格化するこれからの時代に、生きた道標になって欲しかった人だが、天命とあらば仕方がないだろう。
合掌。
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コメント
記憶から薄れていた存在でしたが、最初に手にしたときのことを思い出しました。
父親が好きで何冊か購入していました。当時小学生の私には、えっ!?という驚きと、父親と一緒に考えている状況が楽しく、懐かしく、現在病床に臥せる父親の若かりし頃の姿が蘇ってきました。
思い出させていただきありがとうございました。
多湖先生のご冥福をお祈り申しあげます。
投稿: しゃん | 2016年3月20日 (日) 01時36分
しゃん様
コメント有難うございます。
私も久しく記憶から消えていましたが、以前に仕事を一緒にしたことがある人が懇意にしていました。もう20年ほど前のことです。
父上の回復をお祈りします。
投稿: 夢幻亭 | 2016年3月20日 (日) 12時00分