地質年代にチバニアン誕生か?/知的生産の方法(143)
養老渓谷といえば、関東の紅葉の名所である。
市原のコンビナートに勤めていた時代から馴染みがあったが、ゴルフをやっていた頃にはゴルフ場にも何回か出かけたことがある。
その養老渓谷が地学的に脚光を浴びている。
養老川に沿った地層は、磁気の南北が何度も逆転を繰り返してきた46億年の地球史の中で、最後の逆転があった約77万年前の地層と言われる。
この年代境界の国際標準はなく、市原とイタリア2カ所の3つが標準となる「模式地」の候補になっている。
「模式地」とは、「ジュラ紀」や「白亜紀」などの固有の名称で呼ばれる地層が、特徴的に分布する地域である。
「ジュラ紀」や「白亜紀」などのこれらの区分は地層と化石の研究から名づけられたもので、ジュラ紀はアンモナイトや爬虫類が栄え、大形恐竜や始祖鳥が出現した時代だが、この時代の地層が発達しているフランス〜スイスに広がる「ジュラ山脈」から名付けられた。
白亜紀は、アンモナイト・恐竜などが大繁栄した時代で、イギリスとフランスの間のドーバー海峡地域のチョーク(白亜)を含む地層から命名された。
養老渓谷は、地質学上「更新世」と呼ばれる時代の前期と中期の境目で、地球の磁場のN極とS極が最後に逆転した重要な節目とされる。
地球では、過去に何度も磁場が逆転する現象が起こっているが、逆転は一気に起こるわけではなく、逆転したり戻ったりと不安定な変化を経て安定するとされる。
日本の研究グループは11月、養老渓谷の地層を、「千葉の時代」を意味する「チバニアン」の名前で国際学会に申請する。
養老渓谷は山と山にはさまれた形状の谷ではなく、千葉県中央部に盛り上がった上総丘陵の侵食谷で、実際に行ってみると比較的平坦に続く土地から下に落ち込み、めり込むように形成された谷間です。
上総丘陵は300万年前、それまで深海にあった海底谷から泥砂が東に運ばれて「海底扇状地」が形成され、その後、250万年から40万年前にかけて砂・泥が堆積して出来上がりました。
・・・・・・
そしてこのほど、正式に第四紀更新世前期・中期境界の地磁気逆転地層の時代の国際標準模式地として、名称「チバニアン」が国際学会に登録の申請がなされました。2016年の万国地質学会議で「千葉セクション白尾層」が国際標準模式地に選定されるとその時代は「チバニアン」、千葉時代として登録されることになるのです。そうなれば日本では初めての認定となり、その証として地層に「ゴールデンスパイク」(国際標準模式地を証徴する金色の鋲)が打たれることになるそうです。「チバニアン」が認定されれば世界遺産以上の快挙。何しろゴールデンスパイクは世界でも今まで65ヶ所にしか打たれていないのです。場所は養老川の穏やかな渓流沿いの切り立った崖。にわか見物客が大挙してしまうかも。
地球の歴史にチバニアンが来る!? 千葉・養老渓谷が地球の歴史に名を刻むかも?と話題に!
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コメント
クルミが血管や血流改善に効果があるそうです。
知り合いの高血圧の方が「クルミ」でかなり改善されたそうです。血管を柔らかくして悪玉コレステロールを取ってくれるそうです。効果を高めた「アイクルミ」というクルミのサプリメントも販売されているそうです。
投稿: ムーン | 2016年3月 9日 (水) 15時49分