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2016年3月28日 (月)

原子力ムラ、不遜なり!/原発事故の真相(139)

関西電力高浜原発について、大津地裁(山本善彦裁判長)は3月9日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止める判断を下した。
「安全性が確保されていることについて(関電側は)説明を尽くしていない」などが理由である。
⇒2016年3月10日 (木):高浜原発に停止命令/アベノポリシーの危うさ(33)

この判断にについての意見は、さまざまであろう。
例えば、岸博幸慶應大学大学院教授は次のように述べている。

 その一つは、今回の決定は運転中の原発を止める初の司法判断でしたが、仮処分で停止させるのが果たして適切であったかということです。
・・・・・・
 第二は、民間企業である電力会社に国の原発規制の妥当性の立証責任を課すのはおかしくないかということです。
・・・・・・
 第三は、個人的にはこれが一番問題と思っているのですが、大津地裁は原発に関して行政が定めている“地元”の概念を、仔細な検討もなしに仮処分のレベルで拡張してしまっている点です。これはちょっと乱暴過ぎるのではないでしょうか。
高浜原発運転差し止めの論拠はここがおかしい

私は、基本的に原発に頼らないでも必要な電力は賄えるのではないかと考えている。
福島第一原発事故により、今なお10万人近い人が避難を強いられているのである。
冷温停止などという欺瞞的なレトリックに頼らないで、率直に「収束した」というコンセンサスが得られるまでは再稼働は控えるべきだ思う。
⇒2011年12月17日 (土):フクシマは「収束」したのか?/原発事故の真相(14)
⇒2011年12月18日 (日):収束と終息/「同じ」と「違う」(37)
つまり岸氏とは、見解も立場も異なるが、岸氏の言い分は尊重したい。

「政府」「国会」「民間」「東電」等々の事故調によっても、事故の全容が解明されたとは思われない。
事故の真因が未解明では、審査基準の適否さえ分からないではないか。
何よりも、審査基準のサイトには「これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません」と明記されているのである。
つまり審査基準に適合することは、必要条件ではあるが十分条件ではないのだ。
なおかつ原子炉等の設計に関する基準であり、運転について定めたものではない。
安倍政権の言いうように、「世界で最高レベルの安全審査基準をクリヤした」からと言って、「原発を稼働させるべきだ」ということにはならない。
審査基準は技術的な設計基準であり、再稼働すべきか否かは社会的な意思決定である。

それはともかく、三権の一つの裁判所の判断には重みがあると考えるのが、順法精神というものだろう。
しかるに大津地裁の仮処分決定について、関西経済連合会の森詳介会長(関電会長)や角和夫副会長(阪急電鉄会長)らが公然と批判している。

 角副会長は17日、関経連の記者会見で「憤りを超えて怒りを覚えます」と切り出した。「なぜ一地裁の裁判官によって、(原発を活用する)国のエネルギー政策に支障をきたすことが起こるのか」と述べ、「こういうことができないよう、速やかな法改正をのぞむ」と訴えた。再稼働で電気料金が値下げされると、鉄道事業の電気代が年5億円安くなるとみていたという。
怒る関経連「なぜ一地裁の裁判官が」 高浜原発差し止め

関経連という団体はアウトローなのか?
三権分立という小学生でもわきまえている仕組みを理解していないと言わざるを得ない。
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東京新聞3月24日

「一地裁の裁判官によって」という言い草は、「巫女さんのくせになんだ」という大西英男議員と同根である。
人間としてクズであることを自ら表白しているようなものだ。
なおかつ関西電力の八木誠社長は、大津地裁による運転差し止め仮処分決定で停止している高浜原発3、4号機(福井県)に関し、不服申し立てを経て上級審で勝訴するなどし最終的に確定した場合の対応として「一般的に(原発停止に伴う)損害賠償請求は、逆転勝訴すれば考えられる」と述べている。
原発停止に伴う損害賠償請求?
アウトロー顔負けの威嚇と言うべきであろう。

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