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2016年3月18日 (金)

「保育園落ちた」ブログはリトマス試験紙だ/アベノポリシーの危うさ(37)

「保育園落ちた」のブログは、一種の政局的要因になりつつあるようだ。
ブログが匿名だったことを理由に、安倍晋三首相は2月29日の衆院予算委員会で、山尾志桜里議員の質問に、「本当に起こっているのか確認しようがない」と真面目に答えようとしなかった。
現実に大勢の待機児童が発生しているのだから、「匿名」であるか否かを問題にすることが、立ち位置を端的に示している。
⇒2016年3月 1日 (火):筋の通らない安倍首相の強弁/アベノポリシーの危うさ(28)

案の定、即座にツイッターで「♯保育園落ちたの私だ」というハッシュタグの投稿が飛び交い、「♯保育園落ちたの私と私の仲間だ」という署名が広がった。
与党席から「誰が書いたんだ」「本人を出せ」などのヤジが飛んだが、これに反応した当事者たちが「私だ」と声を上げ始めたのだ。
⇒2016年3月12日 (土):匿名を理由に正面から答えない安倍首相/アベノポリシーの危うさ(35)

慌てた安倍首相は、3月14日の参議院予算委で、新党改革・荒井広幸議員の質問に対して、「叙勲において、保育士や介護職員を積極的に評価していくことについても検討していきたい」とトンチンカンな答弁をした。

この安倍首相の答弁にはたちまちネット上でこんな声が巻き起こった。
「叙勲てなによ。それで食ってけるの?」
「給料上げろって言ってんのになんで勲章なんだよ。頭おかしいだろ」
「勲章やるから、保育に介護にがんばれってか。いらねぇ」
「発想が完全にやりがい搾取のブラック企業だな」
「叙勲のニュースを知って今の職場をとっとと退職しようと決意しました」
 また、病児保育などに関するNPO法人フローレンス代表理事・駒崎弘樹氏も自身のツイッターで〈僕は、給与も8〜10万円上げて、「叙勲も」してくれるんだったら、それは良いと思います。「叙勲だけ」とか「月4000円アップで叙勲」とかはダメですよ、という話〉と苦言を呈すなど、専門家や実際に保育に携わる人々からも安倍答弁へのダメ出しが噴出している。
安倍首相が「保育士に勲章授与を」とトンデモ答弁! これは待機児童問題ゴマカシのための“天皇の政治利用”だ

もちろん、保育士や介護士がリスペクトされるようになることは必要だが、先ず第一は待遇の改善である。
誰もが勲章を貰って喜ぶと思っているところが滑稽でさえある。

「週刊文春」3月24日号が早速取り上げている。
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ヤジを飛ばしたことを認めている平沢勝栄議員は、安倍首相の家庭教師だったことがあるそうだから、応援するつもりのヤジだったのだろうが、墓穴を掘っている。

このブログに対する反応は鋭く分裂している。
拒否感を露わにしているのは、先ず曽野綾子氏である。

昨日(注:3月13日)の産経新聞に曽野綾子が「貧しい表現力が招く不幸」という批評を書いていた。
例の「保育園落ちた日本死ね」のブログについての批判である。
「このブログ文章の薄汚さ、客観性のなさを見ていると、私は日本人の日本語力の衰えを感じる」とボロクソ である。
「亡国の徒」曽野綾子の老化した感性

確かに洗練はされていない文章だろうが、それが人の胸に響いたということが分からないらしい。
かつての才女も確かに老化したのか、それともエリート臭がそのまま持続しているのか?

杉並区議の田中ゆうたろう氏である。
自身のオフィシャルブログに次のように書いている。

巷では、インターネット上に「日本死ね」などと書き込む不心得者や、そんな便所の落書きをおだてる愚かなマスコミ、便所の落書きにいちいち振り回される愚かな政治家があとをたちません。
事情はどうあれ、「死ね」というほど日本が嫌なら、日本に住まなければ良いのです。
たった5年前の震災で2万人近くの方が無念のうちに命を落とされたにもかかわらず、よくも「日本死ね」などという暴言を思いつくものです。
2016年03月13日震災犠牲者に恥じない日本を

田中氏は自民党籍だという。
きっと愛国者の積もりなのだろうが、愛国者が国を滅亡に導くのである。

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