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2016年3月

2016年3月31日 (木)

それでも安保法に反対する・続/アベノポリシーの危うさ(45)

安保法制は施行されたが、違憲であることは変わりがない。
法律家や市民団体でつくる「安保法制違憲訴訟の会」が、4月中にも集団的自衛権の行使差し止めや損害賠償を求めて東京地裁に集団提訴する方針だという。
原告は数百人~1千人規模になる見通しで、集団的自衛権をめぐる違憲訴訟では最大となる見通しで、自衛隊員の家族なども原告に含まれるとしている。

また、民進党に合流する前の旧民主、維新両党と共産、社民、生活の計5党が共同提出した安保関連法廃止法案が棚晒しになっている。
自民、公明両党の幹事長らが30日会談し、廃止法案の審議には応じないことを決めた。
このことを国民はキモに刻み込んで次の国政選挙に臨むべきだろう。

安倍首相は、日米同盟の絆が強化されたという。
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東京新聞3月30日

それが良いことだと信ずるなら、堂々と対案の審議に応ずるべきだ。
戦後日本が貫いてきた「専守防衛」政策を転換し、他国同士の戦争に加わる集団的自衛権を行使できるようにすることは、「国のかたち」を大きく変えることになる。
歴代内閣が長年、憲法違反だとして禁じてきた集団的自衛権の行使を、一内閣の判断で認めた新しい憲法解釈で済ませていいはずがない。
しかも、国民のかなりの部分が疑問を抱いているのである。
首相は、「廃止すれば、日米の同盟の絆は大きく毀損される」と強弁するが、同盟国の意向と国民の理解のどちらを優先するのだろう。
というか、国民の理解が得られないならば、法律の実効性に疑問がつきまとう。

安倍政権は廃止法案の審議に堂々と応じるべきだろう。
審議に応じないのは、審議すれば安保関連法の問題点が次々と明らかになって、夏の参院選や4月の衆院補選に影響が出るからだろう。
「国のかたち」よりも政局を優先するような自公両党に国政を委ねるわけにはいかない。

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2016年3月30日 (水)

地方からの発信・夏樹静子/追悼(83)

推理小説で知られる作家の夏樹静子(なつき・しずこ、本名:出光静子)さんが3月19日午前3時10分、心不全のため福岡市内で死去した。
77歳だった。

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夏樹静子さん死去 「蒸発」「Wの悲劇」などの推理小説作家

トリック構成と女性心理や母性本能の微妙な描写に優れた本格派の推理作家だった。
湖畔の別荘で起きた殺人事件を描く1982年の「Wの悲劇」はエラリー・クイーンの三部作を意識した野心的な試みだとされる。

福岡に腰を落ち着けて文筆活動を続けた。
夫の新出光社長の出光芳秀氏は、出光佐三の甥である。

 山口県下関市在住で、長年の執筆仲間だったという直木賞作家の古川薫さん(90)は弔辞で「東京一極集中の時代に福岡に居を移し、まぶしいばかりの活躍ぶりだった。どれほど励まされたことか」と別れを惜しんだ。式後には「不妊治療などいろいろな事象に関心を寄せ作品を書き続けた『社会派推理作家』だった」と功績をたたえた。
 夏樹さんは慶応大在学中から執筆活動を始めたが、結婚を機に福岡に移った。喪主を務めた夫で新出光会長の出光芳秀さん(78)は「好きな小説を書き、皆さんに愛されて、充実した幸せな人生だった」と声を震わせながらあいさつした。
夏樹静子さん葬儀に1200人 古川薫さん、福岡での活動に「励まされた」

私は腰痛がひどかった時、夏樹さんの『椅子がこわい-私の腰痛放浪記』を読んで、参考にさせてもらった。
同書は、精神的原因から来る身体の不調について広く知らしめ、日本で心療内科が広まるきっかけを作った。
合掌。

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2016年3月29日 (火)

それでも安保法に反対する/アベノポリシーの危うさ(44)

戦後貫いてきた専守防衛政策を転換し、集団的自衛権を行使できるようにする安全保障関連法が施行された。
しかし違憲の声が高い中で必ずしも適正とは言えない手続きで可決された法律である。
施行後といえども反対の声を上げ続けるべきだろう。

今日の東京新聞の社説は、「無言館からの警鐘」と題されている。
無言館は、水上勉の子息・窪島誠一郎氏が建てた戦没画学生の遺作のための美術館だ。
訪れると、画業を中断しなければならなかった画家の卵たちの無念さを感じて、声を失う。
⇒2012年9月 3日 (月):無言館再訪
⇒2012年9月 7日 (金):信濃デッサン館
⇒2007年12月 8日 (土):血脈…②水上勉-窪島誠一郎

安倍晋三首相は、特定秘密保護法と安保関連法を強行成立させると共に、報道への圧力を強めている。
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東京新聞3月29日

何重にも「知らしむべからず」を講じて、戦前のようなレジームに逆行させることを目論んでいるのだろう。
一刻も早く打倒しなければならない。

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2016年3月28日 (月)

原子力ムラ、不遜なり!/原発事故の真相(139)

関西電力高浜原発について、大津地裁(山本善彦裁判長)は3月9日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止める判断を下した。
「安全性が確保されていることについて(関電側は)説明を尽くしていない」などが理由である。
⇒2016年3月10日 (木):高浜原発に停止命令/アベノポリシーの危うさ(33)

この判断にについての意見は、さまざまであろう。
例えば、岸博幸慶應大学大学院教授は次のように述べている。

 その一つは、今回の決定は運転中の原発を止める初の司法判断でしたが、仮処分で停止させるのが果たして適切であったかということです。
・・・・・・
 第二は、民間企業である電力会社に国の原発規制の妥当性の立証責任を課すのはおかしくないかということです。
・・・・・・
 第三は、個人的にはこれが一番問題と思っているのですが、大津地裁は原発に関して行政が定めている“地元”の概念を、仔細な検討もなしに仮処分のレベルで拡張してしまっている点です。これはちょっと乱暴過ぎるのではないでしょうか。
高浜原発運転差し止めの論拠はここがおかしい

私は、基本的に原発に頼らないでも必要な電力は賄えるのではないかと考えている。
福島第一原発事故により、今なお10万人近い人が避難を強いられているのである。
冷温停止などという欺瞞的なレトリックに頼らないで、率直に「収束した」というコンセンサスが得られるまでは再稼働は控えるべきだ思う。
⇒2011年12月17日 (土):フクシマは「収束」したのか?/原発事故の真相(14)
⇒2011年12月18日 (日):収束と終息/「同じ」と「違う」(37)
つまり岸氏とは、見解も立場も異なるが、岸氏の言い分は尊重したい。

「政府」「国会」「民間」「東電」等々の事故調によっても、事故の全容が解明されたとは思われない。
事故の真因が未解明では、審査基準の適否さえ分からないではないか。
何よりも、審査基準のサイトには「これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではありません」と明記されているのである。
つまり審査基準に適合することは、必要条件ではあるが十分条件ではないのだ。
なおかつ原子炉等の設計に関する基準であり、運転について定めたものではない。
安倍政権の言いうように、「世界で最高レベルの安全審査基準をクリヤした」からと言って、「原発を稼働させるべきだ」ということにはならない。
審査基準は技術的な設計基準であり、再稼働すべきか否かは社会的な意思決定である。

それはともかく、三権の一つの裁判所の判断には重みがあると考えるのが、順法精神というものだろう。
しかるに大津地裁の仮処分決定について、関西経済連合会の森詳介会長(関電会長)や角和夫副会長(阪急電鉄会長)らが公然と批判している。

 角副会長は17日、関経連の記者会見で「憤りを超えて怒りを覚えます」と切り出した。「なぜ一地裁の裁判官によって、(原発を活用する)国のエネルギー政策に支障をきたすことが起こるのか」と述べ、「こういうことができないよう、速やかな法改正をのぞむ」と訴えた。再稼働で電気料金が値下げされると、鉄道事業の電気代が年5億円安くなるとみていたという。
怒る関経連「なぜ一地裁の裁判官が」 高浜原発差し止め

関経連という団体はアウトローなのか?
三権分立という小学生でもわきまえている仕組みを理解していないと言わざるを得ない。
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東京新聞3月24日

「一地裁の裁判官によって」という言い草は、「巫女さんのくせになんだ」という大西英男議員と同根である。
人間としてクズであることを自ら表白しているようなものだ。
なおかつ関西電力の八木誠社長は、大津地裁による運転差し止め仮処分決定で停止している高浜原発3、4号機(福井県)に関し、不服申し立てを経て上級審で勝訴するなどし最終的に確定した場合の対応として「一般的に(原発停止に伴う)損害賠償請求は、逆転勝訴すれば考えられる」と述べている。
原発停止に伴う損害賠償請求?
アウトロー顔負けの威嚇と言うべきであろう。

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2016年3月27日 (日)

浜岡原発撤退の論理と倫理(2)/技術論と文明論(43)

脱原発を訴える大規模な市民集会が26日、東京都渋谷区の代々木公園で開かれ、約35000人(主催者発表)が参加した。

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 東京電力福島第一原発事故から五年が経過した中、原発再稼働ストップなどを呼び掛ける大規模集会が二十六日、東京都渋谷区の代々木公園で開かれた。主催者発表で約三万五千人が集まり、参加者らは「原発のない未来へ」「つながろう福島」などと訴えた紙を掲げ、脱原発への思いを新たにした。
 作家の沢地久枝さんが登壇し、原発輸出推進や安全保障関連法施行など安倍政権の政策に触れ、「私たちはなめられている」「それが日本人の意思であるように言う政治家らを、このままにしておいていいとは思わない」と憤った。東電元幹部らの刑事責任を追及している福島原発告訴団副団長の佐藤和良さんも「福島を切り捨てる政権の原子力推進政策を許すわけにはいかない」と怒りをぶつけた。
 生後十一カ月の長女を連れて参加した横浜市の主婦戸原貴子さん(39)は「五年前の事故で原発や放射能の怖さを知った。事故処理も終わっていない中で原発を再稼働することには反対」ときっぱり。祖母が広島で被爆したという東京都練馬区の元教師西田昭司さん(69)も「核兵器だけでなく、原発も絶対やめなければならない」と訴えた。
 参加者らは集会後、代々木公園周辺をデモ行進し、脱原発への理解を呼び掛けた。
再稼働止める 代々木で大規模集会

昨年8月、川内原発が再稼働するまで、稼働している原発は0だったが、電力不足に陥ったことはなかった。
再生可能エネルギー開発、節電、供給の広域的な調整が進んだためである。
⇒2015年8月11日 (火):なぜ川内原発を再稼働させるのか?/日本の針路(211)
⇒2015年8月14日 (金):原発再稼働とメディアの姿勢/原発事故の真相(133)

代々木公園の集会は、東京電力福島第1原発事故以降、原発ゼロに向けて活動している「さようなら原発1000万人アクション」や「首都圏反原発連合」などが呼びかけたものである。
主催者発表とはいえ、35000人が参加したことは、脱原発の民意の底堅さを示すものであろう。

四国電力が、来年9月で運転開始から40年を迎える伊方原発1号機(伊方町)の廃炉を決めた。
廃炉作業は完了まで30年ほどかかるとされる。
解体、撤去の際に大量に発生する放射性廃棄物の処分など、安全に十分に配慮して作業を進めて頂きたい。

四電の廃炉の決断は評価したいが、一方で3号炉は7月下旬の再稼働を目指すことに変わりはない。
長期的な視点に立てば、現在の原発は割に合わない。
政府は2030年の電源構成比率目標で、原発を20~22%としたが、老朽化原発を考慮すると、新増設も想定していると考えられる。
エネルギー政策の神話からの転換を大胆に進めるべきである。
 

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2016年3月26日 (土)

乙武氏の不倫報道対応に関する違和感/アベノポリシーの危うさ(43)

参院選に自民党から出馬を言われていた乙武洋匡氏が、「週刊新潮」3月31日号で、に妻以外の女性との不倫旅行に出掛けたことを報じられた。
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私は、自民党から出馬と聞いたとき、先ず違和感があった。
しかし、思想・信条は人それぞれであるから、私は応援しないけれど、ご自由にどうぞという気持ちだった。
“新潮砲”を被弾した乙武氏は、活動休止を表明したが、それが何を、いつまでかは不明である。
乙武氏自身が、「週刊新潮」の報道を事実であると認めている。
「乙武よ! お前もか」という気もするが、生まれながらのハンディキャップを考えて、同情論もあるようだ。

乙武氏がいち早く謝罪文を公表したことについては、危機管理の観点から是認する見方があることは承知している。
しかし、大きな違和感を覚えるのは、乙武氏本人のコメントとは別に、妻である仁美さんからのファックスで、「このような事態を招いたことについては、妻である私にも一端があると感じております」と記されていたことである。

コメンテーターの宋美玄さんはオンナの勘でこう分析した!
宋「乙武さんは炎上の百戦錬磨だから、対応がものすごく早い。バレる前に自分の口から話すことによって、事態が早く沈静化するのが分かっているのでは?」
さらに、返す刀で妻の謝罪文についても…
宋「奥さんに謝らせるなよ!と思ってしまうかもしれないが、こうすることで“家族の問題”になってしまって、一般の人は批判しにくくなる」
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乙武洋匡氏が5人の女性との不倫認める…妻も謝罪でスタジオ大激論!

経緯は分からないが、「夫の不始末を妻も一体となって謝罪する」のは、いかにも自民党的価値観だとは言えよう。
これで、弱者の代表と思われてきた乙武氏の、見えにくい本質が分かったとは言える。
乙武氏は、参院選に出るのだろうか?
有権者はどう考えるのであろうか?

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2016年3月25日 (金)

暴力と暴言の自民党は末期的/アベノポリシーの危うさ(42)

自民党にお粗末議員が多いのは今に始まったことではないが、いよいよ末期的な感じがする。
今月18日に開かれた自民党の「農林水産業骨太方針策定プロジェクトチーム」で、山田俊男参院議員(69)がJA関係者に暴力を振るった。

 山田氏はJAグループの組織内候補として2007年に初当選し、2期目。18日は党の「農林水産業骨太方針策定プロジェクトチーム」の会合で、加工食品の原産地表示についてJA全農などからヒアリングを実施。関係者によると山田氏は会合後、農業政策をめぐってJA関係者と口論になり、相手の腹部を拳で殴ったという。
 伊達氏によると、山田氏は参院執行部の事情聴取に対し、「迷惑を掛け、申し訳ない」と謝罪。ただ、「相手は親しい元同僚であり、暴力という認識はなかった」とも釈明したという。執行部はさらに事実関係を確認した上で、処分を検討する。
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山田俊男・参院議員、JA関係者に暴力 自民が事情聴取

親しい元同僚であったなどということが、理由になるとも思えない。
また暴言で数々の武勇伝がある大西英男衆院議員がまたトンデモ発言をした。

4月の衆院北海道5区補選の応援で現地入りした際、道内の神社の巫女(みこ)から「自民はあまり好きじゃない」と言われた出来事を紹介。「おい、巫女さんのくせになんだと思った」と発言した。朝日新聞デジタルなどが報じた。
大西氏は、神社で出会った巫女に自民公認候補への支援を依頼したが、断られたという。「巫女さんを誘って、札幌の夜、説得しようと思った」などと以下のように述べた。
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大西英男議員「巫女さんのくせに」女性蔑視の発言とは

驚いたことに、この発言が出た会合では、大西氏をとがめると言うよりも、笑い声が満ちていた。
タガが緩んでいるとしか思えない。

大西氏と言えば、安倍首相に近い議員の勉強会「文化芸術懇話会」で報道機関への圧力を求める発言をして厳重注意処分を受けたことを思い出す。
しかし、自らの発言について「問題があったとは思わない」と、確信的である。
⇒2015年6月26日 (金):亡国の自民党「勉強会」の中身/日本の針路(185)
⇒2015年7月 3日 (金):大西英男という安倍チルドレンの「懲りなねえ奴」/人間の理解(15)

こんな連中を選出した有権者は己を恥ずべきであろう。
安倍政治を終焉させないと、この国はとんでもない国になるのではないか。

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2016年3月24日 (木)

国民大衆から浮き上がっている安倍政権/アベノポリシーの危うさ(41)

政府は23日、3月の月例経済報告を発表し、5カ月ぶりに下方修正した。
2月は「このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」だった。
マイナス金利という奇策にまで手を染めながら、いっこうに効果は見られない。
あれほど「この道しかない」と叫んでいたアベノミクスとは何だったのか。

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 個別の項目をみると、個人消費について「消費者マインドに足踏みがみられる」としてこれまでの「底堅い動き」との表現を七カ月ぶりに弱めた。年明けからの金融市場の混乱が家計の不安を呼び、消費を冷え込ませたほか、新車販売低迷も続いているためだ。
 企業の収益は「改善している」との表現を続けてきたが「非製造業を中心に改善傾向にある」として製造業の収益状況が悪化しているとの認識を示した。判断引き下げは一年七カ月ぶり。中国での販売が停滞、円の急伸で製造業の輸出採算も悪くなっているため。
 一方、設備投資は「持ち直しの動きがみられる」、輸出全般は「おおむね横ばい」とし、いずれも前月から判断を引き上げた。
 景気判断引き下げに関しみずほ証券の上野泰也氏は「アベノミクスの行き詰まりがさまざまな角度から露呈している」と指摘する。
 来年四月に予定する消費税増税をめぐっては景気停滞から政府内や有識者から延期論が出ている。今春闘のベアも大手製造業の多くで過去三年で最低水準にとどまっており、景気がさらに減速すれば、政府・与党内の増税延期論が強まる可能性がある。
景気の減速、政府認める 5カ月ぶり下方修正 3月月例報告

GDPの約6割が個人消費であることを考えれば、なぜ「消費者マインド」が弱いのかを考えてみればいいだろう。
結局、「将来に対する不安」が、流動性の高い現金選好を強めているのだ。
いくら安倍首相が、「待機児童を0にします」と言っても、「#保育園落ちた」を匿名だから確認のしようがないと答えたことで、さすがに世の女性たちも愛想を尽かしたのだろう。
⇒2016年3月12日 (土):匿名を理由に正面から答えない安倍首相/アベノポリシーの危うさ(35)

「#保育園落ちた」は敏感なリトマス試験紙として、反動と革新を分けつつある。
⇒2016年3月18日 (金):「保育園落ちた」ブログはリトマス試験紙だ/アベノポリシーの危うさ(37)
炙り出されてきているのは、安倍首相のオトモダチもしくはシンパの文化人(?)、津川雅彦氏や曽野綾子氏たちである。
津川雅彦氏は、3月20日に放送された『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)で、暴言を吐いた。

 じつは、問題を矮小化しようと躍起のパネラー陣のなかで、女優の北川弘美は「(日本死ねという)表現が悪いっていうのもわかるんですけど、この言葉でしか表現できなかったお母さんの気持ちはすごくわかる」「ほんとうはみんな思っていたこと」「ヤジを飛ばす議員の方を見ていると、ほんとうに(待機児童問題を)重要視しているのだろうか?とすごく疑問に思えて」と真っ当な見解を述べたのだが、そこに津川が「死ねって言葉は許せないでしょ? 許せるの?」と割って入った。そして、こう言ったのだ。
「書いた人間が○○ばいいよ」
 ○○の部分は音が被せられ放送されなかったが、話の流れを考えればあきらかなように、津川は「死ねばいい」と言ったのだろう。
「日本死ね」というのは怒りを国の政策にぶつけたものだが、「書いた人間が死ねばいい」というのは個人に対する明白な暴言である。しかも津川の発言が恐ろしいのは、「日本に逆らうような者は死ねばいい」と言っているに等しいことだ。
偏向番組『そこまで言って委員会』が「保育園落ちた」ブログを総攻撃! 津川雅彦は「書いた人間が死ね」

曽野綾子氏は、BS日テレ「深層NEWS」と言う番組での発言が物議を呼んでいる。

「政府に全部を叶えてもらおうなんて無理」 「言葉が汚くて、アタシ嫌だわ」 「自分の子どもが入れないと日本死ねとかいう自己中心」
曽野綾子さん「保育園落ちた日本死ねは自己中」「4畳半一間で暮らせば奥さん働く必要ない」

汚い言葉遣いであっても、大衆の胸に響く表現だったということが理解できないらしい。
かつての才媛もお嬢さんのまま老境に達して、感性が柔らかさを失っているのだろう。
寄る年波には勝てないということか。

 

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2016年3月23日 (水)

浜岡原発撤退の論理と倫理/技術論と文明論(42)

このところスクープ連発の「週刊文春」だが、3月17日号に、池澤夏樹氏の『3.11を読む』という書評が載っている。
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取り上げられているのは、小松左京『日本沈没』、石黒耀『死都日本』、北野慶『亡国記』である。
いずれも、地学的な変動が日本国を滅亡の淵に追い詰めるというストーリーだ。
発行は『日本沈没』が1973年。
1970年の大阪万博を終え、成長という物語の末路が見えてきた時期である。
⇒2011年7月28日 (木):小松左京氏を悼む/追悼(13)
⇒2011年7月27日 (水):大阪万博パラダイム/梅棹忠夫は生きている(2)

亡国記』は2015年で、東日本大震災を体験した後である。
⇒2015年12月 3日 (木):核燃料サイクルは延命させるべきか/技術論と文明論(35)
⇒2015年12月25日 (金):高浜原発再稼働に慄然とする/技術論と文明論(38)

死都日本』はが2002年で、ワールド・トレードセンタービルへの航空機の突入という衝撃的な映像で幕を開けた新世紀になって間もない時期であり、変人・小泉純一郎政権の時期だ。
日本沈没』と『亡国記』は発行後さほど間がない時期に読んでいたが、『死都日本』は存在すら知らなかった。
仕事の危機的状態ともいうべき時期であったので、小説に目配りするゆとりがなかったのだと思う。

池澤氏の書評に触発されて、『死都日本』を読んでみようという気になった。
舞台は、鹿児島県と宮崎県にまたがる霧島連山である。
私は2012年の4月~5月に、約40日間、鹿児島大学病院霧島分院で過ごした。
評判のリハビリの施術を受けるためである。
申し込みをしてから半年位の待ち行列があり、それでも入院できたのは幸運だと言われた。
⇒2012年4月18日 (水):川平法に期待して再入院/闘病記・中間報告(41)

入院中に、沼津から観光がてら見舞いに来てくれた知人と、霧島周辺をドライブしたことがあった。
私の興味は日本神話のハイライトの1つである天孫降臨の候補地を見ておきたいということだった。
ニニギノミコトが降臨した地としては、九州南部の霧島連峰の一山である高千穂峰(宮崎県高原町)と、宮崎県高千穂町の双方に伝承がある。
⇒2012年4月19日 (木):入院しました/闘病記・中間報告(42)
⇒2012年7月 9日 (月):天孫降臨の高千穂峰/やまとの謎(66)

どちらの場所かなど決定しようもないが、せっかく一方の近くに来ているのだから行かない手はない。
昔、鹿児島通いをしていた時にも、台風で飛行機が飛べず、近くのホテルに待避したことはあったが、観光はしたことがなかった。

東日本大震災によってすっかり影が薄くなってしまったが、その直前は鹿児島連山の新燃岳の噴火の話題が全国区の関心事であった。
病院のスタッフから、病院付近にも降灰があったという話を聞いた。
湯煙に囲まれていて、リハビリ専門病院なので、風呂は温泉であって快適な入院だったと言えよう。
⇒2012年5月 8日 (火):火山活動との共生/花づな列島復興のためのメモ(62)

聖徳太子虚構論で有名な大山誠一氏の『天孫降臨の夢―藤原不比等のプロジェクト』NHKブックス(2009年11月)は、2010年に伊豆山中の回復期病院に入院中から気になっていた。
⇒2012年12月25日 (火):天孫降臨と藤原不比等のプロジェクト/やまとの謎(73)
霧島が活火山という認識はあったが、何でニニギは霧島に降臨したのだろうか?
神武天皇の東征の出発地も日向である。
神話には過去の歴史が投影されていると考えるのは自然である。

『死都日本』は、霧島連山が大噴火をして日本が滅亡する(かも知れない)というSFである。
著者名の石黒耀は、石器の材料として有名な黒曜石のアナグラム(文字の入れ換え)である(黒曜石は黒耀石とも表記される-Wikipedia)。
沼津市文化財センターの池谷信之氏が、黒曜石の研究で、2011年の日本考古学協会賞大賞を受賞したという新聞記事を読んだことがある。
また、沼津高専の物質工学科望月研究室は黒曜石研究で有名である。
また沼津工業高等専門学校(沼津高専) 物質工学科望月明彦研究室は、蛍光X線分析を用いた黒曜石の産地同定の研究で知られる。
その意味で、沼津は黒曜石研究のセンターと言ってもいいだろう。
⇒2011年6月26日 (日):沼津は黒曜石研究のセンター

長野県の霧ヶ峰高原東北端に位置する鷹山は黒曜石の原産地である。
そこの星糞峠という奇妙な名前の峠付近に「黒「耀」石体験ミュージアム」がある。
約27万年前の噴火でできた黒曜石は、考えられない位の広い交易圏を持っていた。
⇒2012年9月19日 (水):黒曜石の産地を訪ねる

石黒耀氏はもちろん沼津とは無関係である。
広島県生まれで兵庫県で育ち、現在は大阪府で内科勤務医をしている(Wikipedia)。
つまり本業は医師である。
少年時代から火山に魅了され、宮崎大学医学部卒とあるから、霧島は熟知している。
『死都日本』は処女作であるが、メフィスト賞というエンタテインメント作品を対象とした文芸賞の第26回(2002年)受賞作である。
また日本地質学会から表彰され、宮沢賢治賞奨励賞も受賞している。
宮沢賢治は羅須地人協会という私塾を作ったほど地質学にのめり込んだことが有名である。

つまり石黒氏は本格的な地質学の造詣をバックグランドとしているのである。
それは、火山学者によって、本書のタイトルを冠したシンポジウムが開かれたということでも分かる。

霧島火山の下に眠る加久藤カルデラが30万年ぶりに巨大噴火(破局的噴火)し、南九州は火砕流に飲み込まれて壊滅する。
本州でも大量の降灰で交通・ライフラインが途絶して、日本国は1日のうちに存亡の危機に瀕するという物語である。
東日本大震災によって、地学的な破壊力を目の当たりにしたので、『死都日本』の描写は決して大げさとは思えない。
御嶽山噴火の様子は至近距離でビデオに撮されたが、火山噴火の規模としてはささやかなものだ。
本書を読めば、日本列島は原発不適であると認めざるを得ないだろう。

なお、本書が出版されたのは、もちろん「3.11」以前であるが、川内原発の危険性ついても触れられている。
しかし、「3.11」を体験しても、何事も無かったかのように再稼働されている。
静岡県の浜岡原発は、東海地震の想定震源域の真上にあるが、再稼働の準備を進めている。
薩摩川内市で、原発周辺の放射線監視装置(モニタリングポスト)のうち、ほぼ半数の48台中22台が事故発生時の即時避難の基準となる高い放射線量を測定できないというニュースがあったばかりだ。

 昨年再稼働した九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)周辺の放射線監視装置(モニタリングポスト)のうち、ほぼ半数の四十八台中二十二台が事故発生時の即時避難の基準となる高い放射線量を測定できないことが、同県への取材で分かった。監視態勢が不十分なまま、再稼働したとの批判が出そうだ。
川内原発周辺 装置の半数、即避難線量を測れず 監視不十分で再稼働
自然をなめているとしか思えない。
恐ろしいことではなかろうか。

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2016年3月22日 (火)

清水昶『開花宣言』/私撰アンソロジー(41)

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気象庁は3月21日、東京・靖国神社にある桜標本木を観察し、東京都心のソメイヨシノの開花を宣言した。
平年より5日早く、昨年より2日早い観測という。
関東で最初に開花である。

清水昶の<デジタル版 日本人名大辞典+Plus>の解説は以下にようである。

1940-2011 昭和後期-平成時代の詩人。
昭和15年11月3日生まれ。清水哲男の弟。同志社大在学中「現代詩手帖」に投稿,昭和39年「暗視の中を疾走する朝」を発表,40年正津勉(しょうづ-べん)と詩誌「首」を創刊。41年現代詩手帖賞。「長いのど」「少年」などに時代の意識をうたう。「詩の根拠」などの評論集でも知られた。平成23年5月30日死去。70歳。東京出身。

私より少し早い生まれだが、ほぼ同時期の空気を吸っていた人である。
村上一郎は、吉本隆明、谷川雁とともに雑誌『試行』の創刊メンバーであった。
私は学生時代、学校の近くの古書店で二束三文で購入した春秋社の「現代の発見」シリーズの第3巻に収載されていた『日本軍隊論序説』でこの人の名前を知った。
日本浪漫派に通ずるパセティックな文章だった記憶がある。

村上一郎が、武蔵野市の自宅で日本刀により頸動脈を切り自刃したのは、1975年3月29日であった。
つまりこの年の開花宣言は、平年よりやや遅かった。
全共闘運動の活動家だったという清水昶は、村上一郎の感情過多のような生き方(死に方)にシンパシーを抱いていたと思われる。

絢爛と咲き誇って、すぐに散ってしまうというはかなさが大和魂と共通すると思われてきた歴史がある。

敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花

そして、それが死のイメージを呼び起こす。
死者が埋められた場所の桜は成長が早いともいう。

21日の日の夕方、房総へのバスツアーの一員として、暗くなる頃、アクアラインを通って東京駅に帰着した。
開花宣言を記念して、東京タワーがピンク一色のダイヤモンドヴェールのイルミネーションで彩られるのに遭遇した。
一夜限りというイベントであるところが桜らしいと言えようか。
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一夜限定!東京タワーがピンクダイヤモンドに染まる

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2016年3月21日 (月)

学歴詐称は安倍首相もか?/アベノポリシーの危うさ(40)

発売中の「週刊文春」(文藝春秋)3月24日号が、経営コンサルタントの“ショーンK”ことショーンマクアードル川上氏の経歴詐称をスクープした。
私は報道ステーションで見たことがあるが、良く知らないままだった。
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テレビ局も調査しなかったのかと思うが、経営コンサルタントに資格は要らない。
竹内一郎『人は見た目が9割』新潮新書(2005年10月)という本があるが、経営コンサルタントはその典型であろうか。

タレントまがいのショーンK氏のことはさておき、安倍晋三首相にも学歴詐称の疑いがあるという。

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 しかし、実は、政界にはこのショーン氏と同様の学歴詐称をしながら、今も権力の座に居座る厚顔の人物がいる。ほかでもない、安倍晋三首相だ。
 安倍首相もまた、嘘の海外留学歴を公言し、自らの箔付けを行っていたことがあるのだ。  この事実が発覚したのは、安倍氏が自民党幹事長時代の2004年。当時、安倍氏は自らの経歴をこう称していた。
〈1977(昭52年)3月 成蹊大学法学部政治学科卒業、引き続いて南カリフォルニア大学政治学科に2年間留学〉
  事務所のホームページ、後援会向けに作成したプロフィールはもちろん、新聞や雑誌のインタビュー記事などでも同様の記述がされていた。
 南カリフォルニア大学は、1880年設立と、アメリカ西海岸の私立大学では最古を誇る名門校。成蹊大学卒という学歴にコンプレックスをもっていた安倍氏は、この留学歴を前面に出し、箔付けにおおいに利用していたというわけだ。
学歴詐称はショーンKだけじゃない! 安倍首相も「南カリフォルニア大学政治学科留学」を詐称しこっそり削除

国会論戦などをテレビで視聴していると、この人の「知・情・意」に疑問を感ずることが多い。
カンペがない場合、次のような発言が出てくる。
1月21日の参議院決算委員会におけるおおさか維新の清水貴之議員への答弁である。

税収というのは国民から吸い上げもので・・・
【暴言】安部総理が「税収というのは国民から吸い上げもので・・・」と発言、本音か、普段から使っている言葉なのか?本性が出たという意見も!

しかし、ムリに学歴を詐称することもないだろう。
山尾志桜里氏に低劣なヤジを飛ばしたことを認めた平沢勝栄氏が家庭教師だったというが、何を教えていたのだろうか?
⇒2016年3月18日 (金):「保育園落ちた」ブログはリトマス試験紙だ/アベノポリシーの危うさ(37)

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2016年3月20日 (日)

渾身の安倍批判by報ステ・古館氏/アベノポリシーの危うさ(39)

3月18日に放送された『報道ステーション』(テレビ朝日)が、大きな話題を集めている。
降板が決まっている古館氏による渾身の安倍批判である。

安倍首相が改憲の入口として新設を目論んでいる「緊急事態条項」について、ヒトラーが独裁のために悪用した「国家緊急権」と重ね合わせて批判した。
古舘伊知郎キャスター自らがドイツへ渡りレポートした。

独裁の道に走らせたのは第1次大戦の反省で生まれた理想的なワイマール共和国憲法に入っていた「国家緊急権」だと言われる。
ワイマール共和国についてのデジタル大辞泉の解説は以下のようである。

第一次大戦後成立したドイツ共和国の通称。十一月革命(ドイツ革命)を指導した社会民主主義勢力が、1919年にワイマールで国民議会を開き、ワイマール憲法を制定して、18の連邦からなる共和国として成立。1933年、ナチス政権の樹立によって消滅。

かつて麻生副首相が、次のように言ったことがある。
「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。
⇒2013年8月 4日 (日):撤回では済まされない麻生副総理の言葉

この言葉を、いま安倍首相は着実に実行しているのだろう。
自民党による憲法改正草案の該当箇所には、こうある。

(緊急事態の宣言)
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。

災害が理由にならないことは、被災地の首長の意見が証明している。
⇒2016年3月17日 (木):何のための緊急事態条項か?/アベノポリシーの危うさ(36)

草案では、緊急事態宣言は国会の承認が必要だが事後でもいいことになっており、これは事実上、事後承認でやりたい放題できる、ということだ。
夏の参院選で与党が3分の2以上の議席を獲得し、緊急事態条項の新設となれば、いよいよ本当に安倍首相はヒトラーのように独裁にひた走ることを思い描いていることだろう。

ヒトラーは、「独裁」を「決断できる政治」と言い換えた。
 安倍総理も「決断できる政治」という。
ヒトラーは「戦争の準備」を「平和と安定の確保」と称した。
 先日制定された法律は「平和安全法制」という。
ヒトラーは「強いドイツを取り戻す」と国民に約束し
 「この道しかない」 と訴えた。
 安倍総理も「日本を取り戻す」「日本を強くする」と約束し
 「この道しかない」と訴えている。
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泥憲和氏のFacebook投稿

安倍さん、どうしますか?
激怒?
名誉棄損?
お好きなように。騒ぎが大きくなるだけだろう。
古館氏、最後の一太刀である。
お見事!

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2016年3月19日 (土)

民・維新党に湧き上がる山尾待望論/アベノポリシーの危うさ(38)

待機児童問題で鋭く安倍首相を追及した民主党の山尾志桜里議員の活躍が目立つ。
まだ当選2回と言うことだが、私は民主党は自虐などしていないで、こういう人を積極的に登用すべきだ、と書いた。
⇒2016年2月18日 (木):待機児童に関し安倍首相の認識糺す山尾議員/アベノポリシーの危うさ(23)
⇒2016年3月12日 (土):匿名を理由に正面から答えない安倍首相/アベノポリシーの危うさ(35)

民主党と維新の党が合流して結成する新党の名称は「民進党」に決まったというが、斬新感ゼロである。
世論調査でも、新党に「期待する」は31%、「期待しない」は57%と、国民の期待は広がっていないと言ってよい。

 新党名から「民主」の文字が消えたうえ、国民の支持も広がらないことで、民主党の若手中堅議員は、岡田執行部に対して不満タラタラだ。
「党名も綱領もロゴも変えるのなら、代表も代えるべきだ」「執行部は即刻辞任だ」「岡田代表では選挙に勝てない」と、岡田退陣を求める声が噴出している。
 実際、岡田代表では、夏の参院選は苦しい。衆参ダブル選挙になったら、「民進党」は結党から3カ月で瓦解する恐れがある。自民党の伊達忠一参院幹事長にまで「党名より代表が代わることを心配していた」とバカにされる始末だ。民主党議員がこう言う。
「自民党に選挙で勝利するためには、岡田さんに代表を辞めてもらうしかない。本人は、参院選に負けたら責任を取る、と宣言していますが、負けてからでは遅い。一番いいのは、3月27日の結党大会の時、岡田代表に『私の責任は新党結成までだ』『代表を辞任したい』『皆さんで新しいリーダーを選んで欲しい』と語ってもらうことです。新しい顔を選ぶとなったら、新党に対する国民の期待も膨らむはずです」
 いま、民主党議員が密かに期待しているのは、なんと、まだ当選2回の女性衆院議員、山尾志桜里(41)の代表就任だという。安住淳国対委員長代理あたりが、擁立に動いているという。
 たしかに、山尾議員が新代表に就けば、「民進党」にブームが起きる可能性がある。なにしろ、衆院予算委員会に4回立ち、毎回、安倍首相をタジタジにさせている。「保育園問題」に火をつけたのも、山尾議員だ。
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首相への刺客 民進党新代表に山尾志桜里議員の仰天プラン

「週刊文春」に連載中の『飯島勲の激辛インテリジェンス』は看板に偽りありで少しも辛くはないが、3月24日号に『民主“救いの女神”山尾志桜里』において、新党の政調会長に抜擢すべし、と書いている。
確かに華もあるし旬であることは間違いない。
野田佳彦のような戦犯に出る幕はない。
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東京新聞3月18日


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2016年3月18日 (金)

「保育園落ちた」ブログはリトマス試験紙だ/アベノポリシーの危うさ(37)

「保育園落ちた」のブログは、一種の政局的要因になりつつあるようだ。
ブログが匿名だったことを理由に、安倍晋三首相は2月29日の衆院予算委員会で、山尾志桜里議員の質問に、「本当に起こっているのか確認しようがない」と真面目に答えようとしなかった。
現実に大勢の待機児童が発生しているのだから、「匿名」であるか否かを問題にすることが、立ち位置を端的に示している。
⇒2016年3月 1日 (火):筋の通らない安倍首相の強弁/アベノポリシーの危うさ(28)

案の定、即座にツイッターで「♯保育園落ちたの私だ」というハッシュタグの投稿が飛び交い、「♯保育園落ちたの私と私の仲間だ」という署名が広がった。
与党席から「誰が書いたんだ」「本人を出せ」などのヤジが飛んだが、これに反応した当事者たちが「私だ」と声を上げ始めたのだ。
⇒2016年3月12日 (土):匿名を理由に正面から答えない安倍首相/アベノポリシーの危うさ(35)

慌てた安倍首相は、3月14日の参議院予算委で、新党改革・荒井広幸議員の質問に対して、「叙勲において、保育士や介護職員を積極的に評価していくことについても検討していきたい」とトンチンカンな答弁をした。

この安倍首相の答弁にはたちまちネット上でこんな声が巻き起こった。
「叙勲てなによ。それで食ってけるの?」
「給料上げろって言ってんのになんで勲章なんだよ。頭おかしいだろ」
「勲章やるから、保育に介護にがんばれってか。いらねぇ」
「発想が完全にやりがい搾取のブラック企業だな」
「叙勲のニュースを知って今の職場をとっとと退職しようと決意しました」
 また、病児保育などに関するNPO法人フローレンス代表理事・駒崎弘樹氏も自身のツイッターで〈僕は、給与も8〜10万円上げて、「叙勲も」してくれるんだったら、それは良いと思います。「叙勲だけ」とか「月4000円アップで叙勲」とかはダメですよ、という話〉と苦言を呈すなど、専門家や実際に保育に携わる人々からも安倍答弁へのダメ出しが噴出している。
安倍首相が「保育士に勲章授与を」とトンデモ答弁! これは待機児童問題ゴマカシのための“天皇の政治利用”だ

もちろん、保育士や介護士がリスペクトされるようになることは必要だが、先ず第一は待遇の改善である。
誰もが勲章を貰って喜ぶと思っているところが滑稽でさえある。

「週刊文春」3月24日号が早速取り上げている。
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ヤジを飛ばしたことを認めている平沢勝栄議員は、安倍首相の家庭教師だったことがあるそうだから、応援するつもりのヤジだったのだろうが、墓穴を掘っている。

このブログに対する反応は鋭く分裂している。
拒否感を露わにしているのは、先ず曽野綾子氏である。

昨日(注:3月13日)の産経新聞に曽野綾子が「貧しい表現力が招く不幸」という批評を書いていた。
例の「保育園落ちた日本死ね」のブログについての批判である。
「このブログ文章の薄汚さ、客観性のなさを見ていると、私は日本人の日本語力の衰えを感じる」とボロクソ である。
「亡国の徒」曽野綾子の老化した感性

確かに洗練はされていない文章だろうが、それが人の胸に響いたということが分からないらしい。
かつての才女も確かに老化したのか、それともエリート臭がそのまま持続しているのか?

杉並区議の田中ゆうたろう氏である。
自身のオフィシャルブログに次のように書いている。

巷では、インターネット上に「日本死ね」などと書き込む不心得者や、そんな便所の落書きをおだてる愚かなマスコミ、便所の落書きにいちいち振り回される愚かな政治家があとをたちません。
事情はどうあれ、「死ね」というほど日本が嫌なら、日本に住まなければ良いのです。
たった5年前の震災で2万人近くの方が無念のうちに命を落とされたにもかかわらず、よくも「日本死ね」などという暴言を思いつくものです。
2016年03月13日震災犠牲者に恥じない日本を

田中氏は自民党籍だという。
きっと愛国者の積もりなのだろうが、愛国者が国を滅亡に導くのである。

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2016年3月17日 (木)

何のための緊急事態条項か?/アベノポリシーの危うさ(36)

安倍晋三首相はボキャブラリーが貧困だと思う。
彼の好みらしい言葉に、「挑戦」「チャレンジ」がある。
最も挑戦したいのは憲法改正だろう。
永田町では「緊急事態条項」を新設する改憲論が浮上している。
戦争や大災害などが起きた場合、首相に権限を集中させるというが、災害を盾に使うのはとんでも無いことが、被災地の首長の意見でも明らかである。
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東京新聞3月15日

緊急事態条項は、大災害や有事の際、内閣に権限を集中し、財産権など個人の権利を制限することなどを定める。
震災後に自民党幹部などから憲法に規定するよう求める声が上がり、2012年の党改憲草案に盛り込んだ。

ところが、東日本大震災で大きな被害があった岩手、宮城両県沿岸部の7首長に、自民党が改憲テーマの一つに挙げる緊急事態条項の必要性などを聞いたところ、条項が必要としたのは1人だけで、「むしろ現場に権限を下ろしてほしい」など否定的な回答が複数あった。
緊急事態条項は、被災自治体のニーズではないのである。

 この条項を盛り込んだ自民党の憲法改正草案を確認しよう。条項の概略は、武力攻撃や大災害などが起きた場合、首相が閣議で「緊急事態」を宣言すると▽法律と同じ効力を持つ政令の制定が可能になる▽国民には国や公共機関の指示に従う義務が生じる−−というものだ。
 だが「憲法に緊急事態条項を入れる必要性は全くありません」と断言するのは、災害の法律に詳しい弁護士の小口幸人(おぐちゆきひと)さんだ。小口さんは2010年春、岩手県宮古市へ赴任。震災後、市職員らに法律の助言をするなかで、災害対策基本法などの法律が効果的に運用されていないと痛感した。その例が、津波で破壊された家屋の所有者が、行方不明者の捜索を拒んだ時の対応だった。悩む市職員への助言は「災害対策基本法では、市長の判断で建物の一時使用や収用、除去までできると定めてあります。必要なら、当然立ち入りもできます。立ち入り検査に関する条文もあります」。
本当に必要? 「緊急事態条項」

大日本帝国憲法では、議会にかけずに緊急勅令などが発令され、多くの災いの原因となった。
関東大震災(1923年)では政府が戒厳を布告し、軍や警察などによる無政府主義者などへの弾圧につながった。
戦後レジームを否定する安倍政権は、大日本帝国憲法への回帰を目指しているのだろう。

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2016年3月16日 (水)

脳トレの先駆者・多湖輝/追悼(82)

「頭の体操」シリーズなどで知られる、心理学者の多湖輝さんが、6日、間質性肺炎のため、東京都内の病院で亡くなった。
90歳だった。
「頭の体操」はカッパブックスのシリーズとして、23集まで発行されたという。
第1集は1966年だから、私がまだ大学在学中だった。
今にして思えば、脳トレのハシリといえよう。

インドネシア・スマトラ島生まれ。
東大大学院を修了し、千葉大助教授などを経て、1973年千葉大学教授に就任した。

Photo66年に刊行した「頭の体操」第1集は固定観念からの脱却と発想転換を訴え、265万部を超えるベストセラーに。その後シリーズ化され、2001年の23集までとその他累計で1200万部に達した。
多湖輝さん死去=心理学者「頭の体操」-90歳

千葉大学退職後も、幼児教育から高齢者問題、企業の創造性開発まで幅広く講演や著作活動を続けた。
テレビのクイズ番組やゲームソフト「レイン教授」シリーズの監修なども務めた。
タレント教授としても大きな影響力を持った人だった。

「追いつき、追い越せ」で成長できないことは、バブル以後の失われた25年が示している。
ようやく何かを生み出す力が評価される時代になったのだ。
単なる知識ではなく、創造的「脳」力が必要とされている現在こそ、読まれるべき書のような気がする。

超高齢社会が本格化するこれからの時代に、生きた道標になって欲しかった人だが、天命とあらば仕方がないだろう。
合掌。

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2016年3月15日 (火)

日本古代史へ東アジアの視点・上田正昭京都大学名誉教授/追悼(81)

日本古代史研究の巨頭・上田正昭京都大学名誉教授が、13日亡くなった。
88歳だった。
兵庫県豊岡市城崎町に生まれた。
1950年京大文学部卒、京都府立高校教諭、京大助教授等を経て1971年京大教授に就任し、1991年名誉教授。

 太平洋戦争を学徒として経験し、天皇制とは何か、成立過程を解明することから古代史研究が始まったという。初めての単行本である「神話の世界」(56年)や毎日出版文化賞を受賞した「日本神話」(70年)などで神話を手がかりにしたほか、中国の土着宗教である道教や仏教、日本の神道といった宗教、さらに神楽や舞楽などの古代芸能などを東アジアの中で比較しながら、幅広い視点で古代日本の成立について論じた。
 「大和朝廷」(67年)では、日本の古代王権は単系で発展したのではなく、奈良県の三輪地域で4世紀前半に三輪王権が成立し、5世紀の河内王朝へと王権が受け継がれたとする河内王朝論を説いた。
 古代の日本で朝鮮半島、中国大陸から渡来した人々が果たした役割を検証した「帰化人」(65年)で、戸籍がない段階に「帰化人」は存在しないと指摘したのがきっかけとなり、ほとんどの教科書が「帰化人」という言葉をやめて「渡来人」と表記するようになった。
 中央の大和からみた中央史観ではなく、地域からの視点で歴史と文化を考えることを説き、江戸時代の朝鮮通信使や部落史の研究でも知られた。
訃報 上田正昭さん 88歳=京大名誉教授

最晩年の『日本古代史をいかに学ぶか』新潮選書(2014年9月)は、この分野では異例とも言うべき5万部のベストセラーになっている。
上田史学とも言われる学風は、偏狭で民族主義めいた「島国史観」から自由だった。
日本古代史を朝鮮半島や中国とのかかわりを通して、実像に迫るバランス感覚の優れたものだった。

Ws000001「古代史」ではなく、総合的な「古代学」をめざす。最初にこの言葉を使ったのは、師である折口信夫だという。
「国学院時代は三年間、一番前の席で受講し、懸命にノートをとりました。先生はメモを手に歩きながら講義されるんですが、三年間で二回、『今日の講義は失敗です。ノートを破ってください』と言われたことがあります。それぐらい毎回、真剣勝負の講義をされたんですね」
 敬愛する師は、国文学と民俗学を統合したが、自身は古代史や考古学、民俗学、文化人類学、言語学、東アジア研究なども幅広く視野にとらえてきた。
「古代史」から、総合的な「古代学」へ

日本古代史には謎が多い。
私は古田武彦氏等の異端も好きだが、この人の総合的なアプローチは、まさに王道ではなかろうか。
できれば沼津の高尾山古墳等に関する見解もお伺いしたかった。
合掌。

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2016年3月13日 (日)

考える技術・書く技術/知的生産の方法(144)

バーバラ・ミント『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』ダイヤモンド社(1999年3月)は、業務で文章を書く人に支持されてきた名著である。
著者は、多くの人がわかりやすい文章を書けないのは、論理構造に問題があるからだ、と指摘する。
論理構造を明快に示す方法として、「ピラミッド原則」と呼ばれる考え方を提示し、文章法もそれに則ればいいとする。

ピラミッド構造とは何か。
理解しやすく説得力ある文章を書くためには、メッセージをピラミッド状に構成するとよいという考え方である。
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ピラミッド原則!図にすると、上手く話せる

最終的に“何が言いたいのか”という「結論」を一番上に置き、その下に、上の結論を具体化するメッセージを置き、さらにその下に、詳細化されたメッセージを置く。
こうしたルールに従ってメッセージを構造化して表す方法と言ってよい。

ようするに全体の構成要素にヒエラルキーを意識せよ、ということである。
それはロジカル思考の概要を示す下図を見ればタテとヨコの関係に行きつくことが分かる。

現実のピラミッドは3次元構造をしているが、われわれの認識力は2次元的である。
つまり、ピラミッド原則とは。タテ・ヨコの関係の論理である。
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ロジカルシンキングを鍛える一石二鳥のメール術

ロジカル・シンキングを一言で表現すると、ピラミッドをつくることであり、ピラミッドを2次元で表現すると、タテ・ヨコが構成要素となるということである。
ピラミッド原則とは2次元思考と言い換えてもいいだろう。

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2016年3月12日 (土)

匿名を理由に正面から答えない安倍首相/アベノポリシーの危うさ(35)

保育園への入所選考に落ちた母親が「保育園落ちた日本死ね!!!」と題して怒りをつづったブログが波紋を広げている。
ブログが匿名だったことを理由に、安倍晋三首相は2月29日の衆院予算委員会で、山尾志桜里議員の質問に、「本当に起こっているのか確認しようがない」と真面目に答えようとしなかった。
現実に多数の待機児童が発生しているのだから、首相の答弁態度には真摯さが感じられなかった。
⇒2016年3月 1日 (火):筋の通らない安倍首相の強弁/アベノポリシーの危うさ(28)

TVで放映されたこともあって、即座にツイッターで「♯保育園落ちたの私だ」というハッシュタグの投稿が飛び交い、「♯保育園落ちたの私と私の仲間だ」という署名が広がった。
与党席から「誰が書いたんだ」「本人を出せ」などのヤジが飛んだが、これに反応した当事者たちが「私だ」と声を上げ始めたのだ。
「私活躍出来ねーじゃねーか」という嘆きは、多くの待機児童の親や介護離職をせざるを得ない人びとの怨念の声とも言える。
5日には、認可保育園などから子供の入所を断られた当事者らが、国会前で政府に対する抗議集会を開いた。
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保育園落ちたの私だ ブログに共感、国会前で抗議集会

安倍首相は、アベノミクスの第2ステージとして「1億総活躍社会」を標榜しているが、その胡散臭さが露呈したのである。
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保育園落ちた 匿名ブログが波紋拡大 首相「頑張ってる」

反響の大きさに安倍首相も「一生懸命頑張っている」「保育士の待遇改善も図りたい;などと鎮静化に躍起であるが、いまさら取り返しがつかないであろう。
覆水は盆に返らないのである。
安倍政治が終焉を迎えるかどうか、野党結集如何である。
野田佳彦氏のように「小沢氏抜きが条件だ」などと、自分が野党転落のA級戦犯であることを棚に上げて、トンマなことを言っている人間は、大衆的に追放すべきだろう。
野合でもなんでもいいから、多数派にならなければならないノダよ。

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2016年3月11日 (金)

原発稼働の論理を考え直すべき/アベノポリシーの危うさ(34)

安倍首相は、高浜原発の運転停止命令に対しても、関電が適切な説明さえすればOKのように考えているらしい。

 安倍晋三首相は10日夕の記者会見で、関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県)に対し滋賀県住民が求めていた運転差し止めの仮処分を大津地裁が認めたことに関し、「関電には、さらに安全性に関する説明を尽くしていくことを期待したい。政府としてもそのように指導していく」と述べた。
 また、原子力規制委員会が定めた新規制基準に適合した原発を再稼働する政府方針について「世界で最も厳しいレベルの基準に適合とすると判断した原発のみ、地元理解を得ながら再稼働を進めるのが政府の一貫した方針だ」と説明。「この方針に変わりはない」と述べ、原発の再稼働を進める考えを重ねて示した。
安倍首相「関電に安全性の説明尽くすよう指導」 高浜原発運転差し止め

ここには救いがたい論理の逆立ちがある。
先ず第一に、原発を稼働させなければならないような電力需給の状態ではない。
福島原発事故の直後は、確かに計画停電をする必要があったかもしれない。
しかし、その後節電が進み、再生可能エネルギーの供給も拡大し、広域的な電力調整も可能になった。
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東京新聞3月11日

今の時点で、電源として原発に頼らなければならない理由は何か?
福島第一原発事故から5年経つが、事故はいまだに解明できていないのだ。
にもかかわらず「世界最高水準の安全審査基準」は気休めにしかならない。
しかも運転により発生する核廃棄物の処理方策もメドがついていないのだ。

驚くべきことに、九州電力は川内原発再稼働後に、事故が起きた際に対策所を置くとしていた免震重要棟の新設計画を撤回した。

川内原発の免震棟は原子力規制委員会の審査でも設置が前提とされていたが、対策所の広さが三分の一以下の暫定施設を使い続けるとしている。
 九電は「方針変更は総合的に判断した。費用面も全く無関係ではない」としている。規制委幹部は「一度設置すると約束したものをやめるのならば説明が必要だ」として、九電に経緯や機能の説明を求める方針だ。
九電、免震棟新設を撤回 川内原発 再稼働の前提ほご

免震重要棟については、事故当時、東電社長だった清水正孝氏が国会事故調査委員会の参考人質疑で「今回の私どもの一つの教訓だと思いますが…、もし、あれがなかったらと思いますと、ゾッとするくらい」と話している。
こんな実質的な非合法を持ち出すのも、安倍政権が原発推進派であるからである。

原発事故の影響は私企業では償いきれない。
自他共に認める優良企業だった東電も、延命措置を講じた状態である。

「東電は福島の住民から一生、許されることはないでしょう。それでも福島の(事故処理の)責任を果たすために生かされている。できるのは、会社の責任を背負った一人一人の社員が誠意を尽くしていくことだ」
 事故によって東電は莫大な賠償責任を負ったが、国は破綻処理を選ばず、賠償資金を支援する枠組みをつくった。東電では復興本社の社員以外も全国から被災地に赴き、被災者の家の片付けや草むしり、道路の除雪作業などにあたっている。
東電、終わらぬ償い 「生かされている」 宿命

160311
日本経済新聞3月11日

事故の教訓は既に風化しつつある。
事故報告書もすっかり忘れ去れている。
⇒2012年7月25日 (水):政府事故調の報告書/原発事故の真相(41)

再度福島原発事故の教訓を見直すべき時だ。

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2016年3月10日 (木)

高浜原発に停止命令/アベノポリシーの危うさ(33)

明日で東日本大震災から5年になる。
この間、民主党政権の余りのレベルの低さに愛想を尽かした国民は、再び自民党に回帰した。
政権に復帰した安倍晋三氏は憑かれたように危険な政策を続けている。
原発再稼働もその一つである。

安倍政権の言い分は、世界で最高レベルの安全審査基準をクリヤした原発は稼働させる、である。
安全審査基準があたかも唯一無二の評価基準のようである。
しかし、安全審査基準は、原発という施設に限定したものであって、原発の置かれている社会の状況を合わせて評価しなければならないことは当然であろう。
原発は、今の時点でどうしても稼働させなければならないのか?
電力は不足しているのか?
万が一過酷災害が発生した場合の対策は十分か?

特に高浜原発は再稼働してすぐに停止を余儀なくされた。
「ハインリッヒの法則」からしても、厳密に考えなければならないはずである。
⇒2016年3月 3日 (木):高浜原発のインシデントを憂慮する/アベノポリシーの危うさ(30)

多くの疑念を、「安全審査基準」の枠内に閉じ込めて再稼働を急ぐ背景は何か?
大津地裁(山本善彦裁判長)は9日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止める判断を下した。
「安全性が確保されていることについて(関電側は)説明を尽くしていない」などが理由である。
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東京新聞3月10日

これは画期的なことと言えよう。
福島原発事故については、政府や国会、民間、東京電力がそれぞれ調査委員会をつくり、2012年、相次いで結果を発表した。
⇒2012年7月25日 (水):政府事故調の報告書/原発事故の真相(41)

政府事故調は一部だが、調書を公開したが、国会事故調の資料は公開されていない。
調査にあたって非公開を前提としたヒヤリングを行っているのかも知れないが、国民主権という小学校で教えられた言葉は何だったのか。
福島の児童の甲状腺のデータなども含めて、可能な限りオープンにすべきである。
事故の全容に蓋を被せていて、安全などとどうして言えるのだろうか?
恐るべき知的劣化が進んでいる。

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2016年3月 9日 (水)

政府の辺野古是正指示は遺憾/アベノポリシーの危うさ(32)

政府は4日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設を巡る代執行訴訟について、移設工事を中止する福岡高裁那覇支部の和解案を受け入れることを決めた。
⇒2016年3月 5日 (土):普天間基地の県内移転は断念すべきだ/アベノポリシーの危うさ(31)
しかし和解とは何だろう?

政府は7日、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設を巡る訴訟での県との和解を受け、翁長

知事に対し、名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消し処分を是正するよう指示した。
是正指示は和解条項に基づく一連の手続きの一つだが、辺野古移設を推進する国と、反対する県の主張に変わりはない。
舌の根も乾かないうちに、一度の協議もしないままに是正措置を指示するのでは、対立構図が鮮明になるだけではないか。
新たな訴訟に発展する公算が大きいが、そうなれば何のために和解を受け入れたのか?
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辺野古、きょう是正指示

和解により、政府は辺野古での工事を中断し、県と円満解決に向けて協議する事となっている。
政府が早々と次の段階に進んだことに翁長氏は反発し、「結論をよい方向に出そうという中で、入り口でこういう形でやるのは大変残念だ」と述た。
和解成立の3日後に、何の協議も行わないで是正指示を出すことは、沖縄側から見れば次のように映る。

仲介者に促され、もめ事は話し合いで解決することを目指すと約束してみせる。だが、舌の根も乾かぬうちに相手方に短刀を突き付け、あるいは足を踏み付けながら、こちらに従えと威圧する。それでいて、世間には笑顔を見せて善人ぶる。そんな厚顔極まる神経を持っているとしか思えない。
<社説>辺野古是正指示 独善と強権に対抗しよう

確かに安倍首相は、「辺野古移設が唯一の選択肢という考え方に変わりはない」と言い続けている。
しかし、それでは対立の構図は変わらないのではないか。
安倍首相に工事中断を決断する度量があるのなら、辺野古新基地を断念し、国外・県外移設を米側に提起したらどうか。

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2016年3月 8日 (火)

地質年代にチバニアン誕生か?/知的生産の方法(143)

養老渓谷といえば、関東の紅葉の名所である。
市原のコンビナートに勤めていた時代から馴染みがあったが、ゴルフをやっていた頃にはゴルフ場にも何回か出かけたことがある。
その養老渓谷が地学的に脚光を浴びている。

養老川に沿った地層は、磁気の南北が何度も逆転を繰り返してきた46億年の地球史の中で、最後の逆転があった約77万年前の地層と言われる。
この年代境界の国際標準はなく、市原とイタリア2カ所の3つが標準となる「模式地」の候補になっている。
「模式地」とは、「ジュラ紀」や「白亜紀」などの固有の名称で呼ばれる地層が、特徴的に分布する地域である。

「ジュラ紀」や「白亜紀」などのこれらの区分は地層と化石の研究から名づけられたもので、ジュラ紀はアンモナイトや爬虫類が栄え、大形恐竜や始祖鳥が出現した時代だが、この時代の地層が発達しているフランス〜スイスに広がる「ジュラ山脈」から名付けられた。
白亜紀は、アンモナイト・恐竜などが大繁栄した時代で、イギリスとフランスの間のドーバー海峡地域のチョーク(白亜)を含む地層から命名された。

養老渓谷は、地質学上「更新世」と呼ばれる時代の前期と中期の境目で、地球の磁場のN極とS極が最後に逆転した重要な節目とされる。
地球では、過去に何度も磁場が逆転する現象が起こっているが、逆転は一気に起こるわけではなく、逆転したり戻ったりと不安定な変化を経て安定するとされる。

日本の研究グループは11月、養老渓谷の地層を、「千葉の時代」を意味する「チバニアン」の名前で国際学会に申請する。

 養老渓谷は山と山にはさまれた形状の谷ではなく、千葉県中央部に盛り上がった上総丘陵の侵食谷で、実際に行ってみると比較的平坦に続く土地から下に落ち込み、めり込むように形成された谷間です。
上総丘陵は300万年前、それまで深海にあった海底谷から泥砂が東に運ばれて「海底扇状地」が形成され、その後、250万年から40万年前にかけて砂・泥が堆積して出来上がりました。
・・・・・・
そしてこのほど、正式に第四紀更新世前期・中期境界の地磁気逆転地層の時代の国際標準模式地として、名称「チバニアン」が国際学会に登録の申請がなされました。2016年の万国地質学会議で「千葉セクション白尾層」が国際標準模式地に選定されるとその時代は「チバニアン」、千葉時代として登録されることになるのです。そうなれば日本では初めての認定となり、その証として地層に「ゴールデンスパイク」(国際標準模式地を証徴する金色の鋲)が打たれることになるそうです。「チバニアン」が認定されれば世界遺産以上の快挙。何しろゴールデンスパイクは世界でも今まで65ヶ所にしか打たれていないのです。場所は養老川の穏やかな渓流沿いの切り立った崖。にわか見物客が大挙してしまうかも。
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地球の歴史にチバニアンが来る!? 千葉・養老渓谷が地球の歴史に名を刻むかも?と話題に!

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2016年3月 7日 (月)

安倍チルドレン秘書の不可解な死/アベノポリシーの危うさ(31)

安倍チルドレンの1人・山田賢司衆議院議員の元秘書が不可解な自殺を遂げたという。
遺体発見時の状況は以下の通りだ。

野田氏は西宮市久保町の路上に駐車してあった車の中で同日の午前11時頃遺体となって発見されたのだが、そのときの野田氏は運転席にいて、そこから後部座席の練炭の中に顔を突っ込む形の状態だったという。そのため野田氏の顔は遺族も確認できないほど破損していた。
安倍チルドレン議員の元秘書“自殺”に直前取材した記者が「議員を刑事告訴する準備していたのに自殺は不可解」

山田議員は2012年の衆院選で安倍チルドレンとして初当選した議員の1人である。
同期には、育休不倫騒動で議員辞職した宮崎謙介、未公開株トラブルの武藤貴也、不倫路チューの中川郁子などがいる。
恥の12年組と言えようか。

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公式ホームページ

山田議員は、14年8月に行われた自民党のヘイトスピーチ対策等に関する検討PT初会合で、次のような発言をしている。

「国連に“チンコロ”しているのはどんな団体か。ネットで調べると、ほとんどが朝鮮総連など朝鮮系の団体だ」
「右翼車両よりもむしろ左翼のほうがうるさい。取り締まりや、排除をすべきではないか」
また、かの「文化芸術懇談会」の発起人でもあるという。
⇒2015年7月12日 (日):「文化芸術懇話会」におけるリベラルアーツの欠落/日本の針路(195)
まさに諸悪の根源「文化芸術懇談会」である。

それにしても不可解な情報である。
西宮署は、後部座席に七輪が置かれ、野田氏は運転席で死亡していて、後部座席の練炭に顔を突っ込むという不自然な体勢で死亡したという。
普通練炭自殺は一酸化中毒によるものであろうから、遺体の損傷は考えられない。
後部座席に七輪が置かれ、遺体が運転席にあるというのも不自然だろう。

しかも野田氏は山田議員との間にトラブルを抱えていた。
野田氏は秘書退職後、15年4月投開票の西宮市議選に出馬して落選したが、7月発売の「週刊現代」で秘書時代に給料を毎月10万円ピンハネされたと実名告白していた。
山田議員側は否定しているが、野田氏は神戸地検に告訴状を提出した。
告訴状を提出した人間がその直後に自殺をするだろうか?

以下のような情報もある。

「神戸地検の担当検事との話がうまく進んでいると機嫌良く話していた直後ですし、自殺する理由は思い当たりません。週末には高校生のお嬢さんが出場する試合を応援しに行くとも言っていて、〈その後に一杯やろうか〉なんて話していたんですよ」(野田氏と親しい知人)
また「自民2回生」…山田賢司議員の元秘書が練炭自殺か

しかも死の直前にブログへ書き込んでおり、それが削除されているという。
何から何まで不可解というべきだろう。
納得できる捜査を期待する。

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2016年3月 6日 (日)

保育・介護職員の賃金を上げよ/アベノポリシーの危うさ(32)

「保育園落ちた日本死ね!!!」とする匿名ブログを取り上げて、民主党の山尾志桜里氏議員が、首相の認識を厳しく問うた。
首相は「就業者が増えたことを言っている。待機児童が増えたことを『うれしい』というわけがない。当たり前のことが分からないのか。ことさら曲解して揚げ足を取ろうとしているが、空振りしている」と気色ばんだが、全体の流れを見れば、山尾氏の論及が決して揚げ足取りではないことは明らかである。
⇒2016年2月18日 (木):待機児童に関し安倍首相の認識糺す山尾議員/アベノポリシーの危うさ(23)
⇒2016年3月 1日 (火):筋の通らない安倍首相の強弁/アベノポリシーの危うさ(28)

保育と並んで現下の問題として介護職員の増強が課題である。
川崎市の老人ホーム転落死事件は例外的であろうが、根底には介護職員の厳しい労働条件がある。
これを何とかしないと根本的な解決はできない。
⇒2016年2月29日 (月):「新三本の矢」批判③安心につながる社会保障/アベノポリシーの危うさ(27)

民主、共産、維新、社民、生活の5野党が、2日、介護や障害者福祉分野で働く人たちの賃金を平均で月1万~6千円引き上げる処遇改善法案を衆院に共同提出した。

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 法案では、介護や障害者福祉の事業者が職員の賃上げに充てる費用を全額政府が助成する。介護分野ではホームヘルパーら介護職に対象を絞る場合は一人平均で月一万円、それ以外の事務員らにも広げる場合は六千円のアップを想定している。対象の範囲は事業者が選ぶ。月一万円の対象者は約百二十二万人、月六千円だと約百六十六万人と見込んでいる。必要額は年約千八百億円。
 五党の代表者は提出後に会見し、維新の党の初鹿明博衆院議員は「安倍政権は『介護離職ゼロ』を打ち出しているが、このまま処遇を放置していたら『介護職がゼロ』になる」と法案の意義を訴えた。
 厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、介護職の平均賃金は、すべての産業の平均より約九万円低い月約二十一万円。将来の生活への不安から就職を避けたり、辞めたりするケースも多い。川崎市の老人ホームでの転落死事件は、介護職の勤務のきつさや処遇が十分ではないことにも注目が集まった。厚労省は、介護人材がこのままでは二〇二五年度に約三十八万人不足すると推計している。
野党5党、介護職賃上げ法案提出 人手不足の解消狙う

軽減税率のような、公明党のご機嫌伺のような政策に費やす財源を、何で保育や介護職員の待遇改善に回せないのか?
日本の将来のことを考えれば、軽減税率と保育・介護とどちらが効果的か、明らかであろう。

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2016年3月 5日 (土)

普天間基地の県内移転は断念すべきだ/アベノポリシーの危うさ(31)

政府は4日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設を巡る代執行訴訟について、移設工事を中止する福岡高裁那覇支部の和解案を受け入れることを決めた。
県は既に和解案の受け入れを裁判所に伝えており、県幹部は「和解が成立した」と述べた。

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沖縄の人って、辺野古への基地移設に反対なの?賛成なの?過去の問題なの?

しかし、計画自体を変えたわけではない。
6月には沖縄県議選があり、夏には参院選もある。
安倍政権が工事中断を含む和解案を受け入れた背景には、強硬姿勢を貫けば選挙に悪影響が出るとの政治的判断もあったと思われる。

 安全保障関連法や新基地問題に反対を訴える若者グループSEALDs RYUKYU(シールズ琉球)のメンバーで、国際基督教大四年の元山仁士郎さん(24)=東京都杉並区=は「政府が工事を一時止めると決めたことは評価できるが、基地建設が白紙撤回されたわけではない」と冷静に受け止める。
 六月に沖縄県議選、七月に参院選が控える。「政府が、何が何でも辺野古に基地をつくりたいなら、地元にしっかり説明し、選挙で争点化して沖縄の意見を問うべきだろう」と主張。安保関連法の審議が続いていた昨夏、国は工事を延期し、法成立後に着工した。「今回も選挙で基地問題を問われないための争点外しを狙っているのだったら、あまりに沖縄の人たちをばかにしている」と話す。
 「和解というと解決をイメージしがちだが、今回は単なる仕切り直し。政府が本気で沖縄のことを考えての決断なら、今後の県との協議で辺野古基地閉鎖の道を探るべきだ」と訴える。
 日本基督教団の牧師、平良愛香(あいか)さん(47)=相模原市=も国が和解に応じたことは「選挙目当てじゃないか」と疑う。「沖縄の基地問題で、国はこれまで平気で約束を破ってきた。政府のすることには裏があるから、和解で浮かれていては駄目だ」と警戒心をあらわにする。
 工事中断については「つかの間でも、ボロボロになって基地建設の阻止行動をしている人たちが、体を休めることができるのはよかった」と話す。
 沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック事務局長の木村辰彦さん(63)=杉並区=は「翁長雄志(おながたけし)知事が裁判を通じて頑張ってきたことと、沖縄県民がオール沖縄でずっと怒ってきたことを政府が無視できなくなった」と工事中断を評価する。
辺野古 工事中断 首都圏の沖縄出身者「選挙対策」「いずれ着工」

今回の和解が、選挙をしのぐ時間稼ぎであってはならないだろう。
首相に埋め立て工事中断を決断する度量があるのなら、普天間飛行場の県内移設を断念し、国外・県外移設を米側に提起すべきである。

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2016年3月 4日 (金)

東電強制起訴の意味と意義/原発事故の真相(138)

東京電力の勝俣恒久元会長ら旧経営陣3人が強制起訴された。
業務上過失致死傷容疑で告訴・告発され、2回にわたり不起訴処分となっていたが、東京第5検察審査会の再審査で、「起訴すべきだ」と議決したものである。
Photo
http://newskey20xx.net/blog-entry-368.html

あれだけの大事故で、未だに苦しんでいる人が大勢居るのだから、国策としての問題は別としても、事業者が責任を問われないというのは市民感覚としても許されない。
強制起訴を受けて、法廷の場で可能な限り審理を尽くして欲しい。

論点はいろいろあるだろうが、最大の論点は「予見可能性」であろう。
160301
東京新聞3月1日

東電と国は、巨大地震や大津波は「想定外」と主張してきた。
国際原子力機関(IAEA)が作成した福島第一原発事故の最終報告書でも、「『日本の原発は安全』との思い込みにより、関係機関には、安全レベル(向上)に挑もうとしない傾向があった」と記されている。
要するに、「大津波は来ないだろう」という根拠のない楽観論=神話である。
大東亜戦争でも、最後には神風が吹いて戦局は好転する、と真面目に、本気で考えられていたのだ。
⇒2015年8月19日 (水):福島原発事故の予見可能性/原発事故の真相(134)

せっかくだから、東電の瑕疵についてはもちろんだが、エネルギー政策や近代文明のあり方をも視野に入れて審理して頂きたい。
原発事故については、事業者の責任だけでは捉えられない。
ひとたび事故が起きれば、一私企業だけで対応できないことは、福島原発事故で明らかである。
にもかかわらず原発再稼働を急ぐ安倍政権や電力会社の思考様式が問われているのではなかろうか。

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2016年3月 3日 (木)

高浜原発のインシデントを憂慮する/アベノポリシーの危うさ(30)

関西電力高浜原発4号機は、再稼働してすぐに停止を余儀なくされた。
⇒2015年12月25日 (金):高浜原発再稼働に慄然とする/技術論と文明論(38)
⇒2015年4月15日 (水):福井地裁が高浜原発再稼働に不許可の仮処分/日本の針路(137)
⇒2015年2月13日 (金):高浜原発の再稼働を許すな/技術論と文明論(20)

再稼働に伴う気がかりなトラブルが相次いでいた。

先月26日に再稼働した関西電力高浜原発4号機(福井県)の原子炉が、3日後に緊急停止した。発送電を始めた途端、送電線側から想定を超える電流が流れたという。機器の点検や整備などに不備はなかったか。安全対策の検証と原因究明、情報公開の徹底に努めるべきだ。
 4号機の不具合はこれだけではない。先月20日には放射性物質を含む1次冷却水漏れがあった。ところが関電は月内再稼働の予定を見直さず、発覚2日後に配管のボルトの緩みが原因だったと公表すると、延期していた起動試験をその日の夜のうちに開始。重要作業は日中に行うとの方針を曲げてまで再稼働を急いだ姿勢に、スケジュールありきとの印象を強くする。
 関電は電力小売り自由化による競争激化に対応するため、5月から電気料金を引き下げると発表している。すでに営業運転に移行した3号機に加え、4号機の早期の営業運転を見込んでいたのは想像に難くない。安全対策より経営戦略を優先したとすれば、批判は免れまい。
 問題のボルトを最後に点検したのは、東京電力福島第1原発事故より前の2009年だ。4号機は10年にも、配管内の圧力異常が原因とみられる冷却水漏れを起こしている。それでも再稼働前の点検対象にならなかったというから、安全意識が希薄と言わざるを得ない。
不具合続く高浜原発 安全対策検証と原因究明を急げ

安全性の問題については、有名な「ハインリッヒの法則」がある。
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⇒2011年4月 9日 (土):福島原発事故の失敗学

つまり重大な事件・事故の背後には、事件・事故に至らない「ヒヤリ・ハット現象」がある。
「ヒヤリ・ハット現象」は重大な事件・事故の警告でもあるのだ。
これをインシデントという。

高浜原発はインシデントが発生していたのである。
にもかかわらず、再稼働を急いだ。
急ぎ過ぎである。
なぜ、そんなに急ぐのか?
原発ゼロで過ごした約2年の間、日々の暮らしに大きな支障は出なかった。
あの拙劣な「計画停電」の必要性も疑問である。
速やかに再生可能エネルギーへ舵を切るべきである。

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2016年3月 2日 (水)

認知症の監督注意義務について/アベノポリシーの危うさ(29)

認知症の人の家族あるいは介護関係者が注視していたJR事故の最高裁判断が示された。
2007年愛知県大府市のJR共和駅構内で、91歳の男性が列車にはねられて死亡した事故である。
JR東海はこの事故で受けた損害の賠償を遺族に求めた。
一審、二審では賠償責任が認められたが、最高裁で個別の事情を勘案すべきとの理由から賠償責任はないと判断されたのである。
160302
東京新聞3月2日

論点は多いが、いわゆる市民感覚に沿った判断であろう。
民法では責任能力の無い者の不法行為による損害は、法的監督義務者が賠償責任を負う旨定められている。
事故の当事者の91歳の男性に責任能力が無いことは明らかであるが、直接介護をしていた当時85歳の要支援の妻や遠隔地に住む子供の監督義務が問われた。
JR東海が損害を受けていることは事実であるが、その賠償を遺族がどこまで負うべきであろうか?

最高裁は、個別の事情を勘案すべし、ということであって、このケースでは遺族の責任はないとされた。
加齢と共に認知能力が衰えるのは避けられないことであり、超高齢社会に入った現在、認知症は重大な社会問題である。
有吉佐和子さんが老人介護を扱った『恍惚の人』を発表したのは1972年であり、まだ「上げ潮」の時代だった。
その問題意識の先駆性は並のものではない。

有吉佐和子、曽野綾子、原田康子、山崎豊子さんらが文壇を席巻し、文芸評論家の臼井吉見氏をして「才女時代」と言わしめたのが1957年である。
曽野さんをを除き皆鬼籍に入られた。
曽野さん独り健筆を振るっておられるが、1月24日付の産経新聞に「利己的な年寄りが増えた」という文章を発表して、論議を呼んだ。

以下は同趣旨の「週刊ポスト2月12日号の『高齢者は「適当な時に死ぬ義務」を忘れてしまっていませんか?』を参照する。
曽野さんは「~~し倒す」、つまり制度が倒れるまで持っている権利を使い尽くすという風潮を批判する。
しかし私もれっきとした高齢者であるが、「~~し倒す」というような意識を持った高齢者は例外ではないか。
もちろん極論を考えてみるという思考方法はあり得るが、あくまでシミュレーションである。

むしろ救急車を呼ぶのが気が引けるというような人の方が一般的であろう。
確かに曽野さんはお元気のようで、救急車の世話にもなっていないようだが、救急救命の社会的しくみを使うこと遠慮するようであってはマイナスである。
私の脳卒中の体験からしても、早ければ早いほど軽度で済む。
疑わしい時は迷わず救急車の世話になるべし、というのが私の意見である。
手当が遅れて寝たきりになるよりも、社会的コストも安くなる。
⇒2010年4月18日 (日):闘病記・中間報告(4)初動対応と救急車の是非

2025年には団塊の世代が後期高齢者入りを完了する。
その時点で高齢者の5人に1人、7百万人が認知症になると予測されている。
先日「保育園落ちた。日本死ね」というネット上の書き込みが国会でも話題になったが、保育と高齢者介護という人生の始期と終期の問題が大きな課題になっている。
共通するのは、当事者性が弱い存在だということである

アベノミクスの第2ステージとして示された「新三本の矢」の的にも文言としては取り上げられている。
しかし空中を飛んでいく矢のように、地に足がついていない。
企業で企画書としてプレゼンを受けたら、却下されるのは必至である。

知能ロボットの可能性が取りざたされているが、保育も介護も、基本は人の充実である。
現場に使命感を持った人が存在し、その人たちの献身によって支えられている。
しかし共に恵まれない待遇にあることもよく知られた事実である。
川崎市の老人ホームは例外であろうが、夜中に90回もコールされる勤務は何とかしなければならないだろう。

親などの介護を理由に退職する人は年間10万人に上り、しかも働き盛りが多い。
安倍晋三首相が「介護離職ゼロ」打ち出したが、現に行っていることは介護報酬のカットである。
介護職員が損害賠償のリスクに脅えるようでは健全な社会とは言えまい。
介護に対する社会的考え方を刷新していく必要がある。

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2016年3月 1日 (火)

筋の通らない安倍首相の強弁/アベノポリシーの危うさ(28)

「保育園落ちた日本死ね!!!」とする匿名ブログが話題になっている。
よしりんこと小林よしのり氏も自身のブログで以下のように書いている。

「何なんだよ日本。一億総活躍じゃねーのかよ。
昨日見事に
保育園落ちたわ。」
「子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金
納めてやる
って言ってるのに日本は何が不満なんだ?」
まるでわしが子供産んだ女性になった気になって、
怒りがこみあげて来るストレートな意見だ。
保育園落ちた日本死ね

ストレート過ぎるという声もあるだろうが、必死で悲痛な母親の声を感じるのが普通の感性であろう。
29日の
衆院予算委員会でこの問題をめぐり激論が交わされた。

民主党山尾志桜里氏が、「首相が昨年11月の講演で「待機児童は前年より増えた。第2次安倍政権発足以来、女性の就業者が90万人以上増えたから無理もない。その意味でうれしい悲鳴ではあるが、待機児童ゼロは必ず成し遂げなければならない」などと述べたこと紹介。「待機児童が増えたことをうれしい悲鳴だと言う。理屈の面でも感情の面でも不適切だ」と批判した。
 これには首相は「就業者が増えたことを言っている。待機児童が増えたことを『うれしい』というわけがない。当たり前のことが分からないのか。ことさら曲解して揚げ足を取ろうとしているが、空振りしている」と気色ばんだ。
「保育園落ちた日本死ね」ブログで激論 安倍首相「匿名である以上確かめようがない」

質疑の内容は以下で視聴できる。
Ws000000
https://youtu.be/O6y1IShdb5o

この問題については前にも取り上げたことがある。
⇒2016年2月18日 (木):待機児童に関し安倍首相の認識糺す山尾議員/アベノポリシーの危うさ(23)
前後の文脈からして、「うれしい悲鳴」が「就業者が増えたこと」を指すというのは無理がある。
「嬉しい悲鳴」は想定外の事態だった時に使う。
就業者が増えたことが想定外だったというのだろうか?
あるいは、
「就業者が増えたこと」を「悲鳴」というのだろうか?
少なくとも安倍首相は自分の表現が至らなかったとすべきであろう。
批判に対して強弁で押し切ろうとするところに、衣の下に鎧が透けて見える。

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