高市早苗総務相の問題発言/アベノポリシーの危うさ(19)
高市総務相が、放送法に基づく「電波停止」をテレビ局に発する可能性に言及している。
御用メディア化が進んでいるというのにまだご不満のようだ。
こんな不遜な人に投票するのは、良識が問われるだろう。
民主党の奥野総一郎議員が、安倍政権に批判的とされる民放キャスターの降板が相次いでいる状況を指摘し、「電波停止が起こり得るのではないか」と質問。すると、答弁に立った高市大臣は「将来にわたり可能性が全くないとは言えない」とし、さらに「(放送法は)単なる倫理規定ではなく法規範性を持つ」と踏み込んだのである。
安倍政権では、一昨年12月の総選挙の際に民放記者を呼びつけて「公平中立」の報道を要請したり、自民党勉強会で「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番」といった発言が飛び出したりと、テレビ局に対する数々の「政治圧力」が問題になった。
高市総務相が「電波停止」言及 テレビ局への政治圧力加速か
高市氏は、NHKの「クローズアップ現代」に関し文書でNHKに厳重注意をしたりして、BPOから「個々の番組の内容に介入する根拠がない」と批判された。
放送法は「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」という原則を定めているが、これを誤解しているというのだ。
⇒2015年11月13日 (金):安倍政権のイヤな感じ(7)放送番組への介入・続/日本の針路(254)
まったく図に乗っているとしか言いようがない。
テレビ朝日の「朝まで生テレビ」のやらせ問題にみるように、安倍政権はメディア支配を強めている。
⇒2016年1月19日 (火):「朝まで生テレビ」のヤラセ疑惑/ブランド・企業論(47)
高市氏は、BPOの批判など全く意に介していないようである。
それは政権全体がそういう考え方だからであろう。
高市氏は歴代の総務相らも同様の発言をしていると指摘するが、発言の趣旨は全く違うことを意識してか、無意識にかは分からないが理解していない。
2007年当時の総務相の増田寛也氏は、「表現の自由を制約したりする側面もあることから、極めて大きな社会的影響をもたらす」とし、2010年当時の総務相の片山善博氏は、「至って謙抑的でなければならない」としているのである。
増田、片山の両氏は権限があることを認めつつも、行使には慎重な姿勢を示しているのであり、大臣の権限を前面に打ち出した高市氏の発言とは全く異なっていることを理解すべきだ。
既にメディアや行政の自己規制や忖度が目立つ。
再び清沢洌『暗黒日記』の時代が来るのだろうか。
そんなことはないだろう。
ネットの良心を根こそぎ縛るのは不可能である。
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