マネタリーベースとマネーストック/「同じ」と「違う」(93)
日銀がマイナス金利政策を導入した。
私はアベノミクスと称する政策パッケージの失敗を示す以外の何ものでもないと考える。
⇒2016年1月30日 (土):日銀のマイナス金利政策/アベノポリシーの危うさ(6)
黒田東彦日銀総裁は、量・質に加え、3次元で金融政策を進めると説明した。
説明のパネルにも3次元の図が描かれている。
マイナス金利導入は泥沼化のリスクがある
私には、量、質に加える軸がマイナス金利というのが、バランスが悪いように思えるが、アベノミクスとは何だったのか、もう一度復習してみよう。
官邸のサイトの図を再掲しよう。
⇒2014年6月16日 (月):成長戦略の中身について/アベノミクスの危うさ(34)
そして、自ら「異次元の金融緩和」を実行してきた。
異次元にさらに別次元を加えるというのである。
ここで、金融政策の基礎も復習しよう。
世の中に出回っているカネの総量をマネーストックという。
日本銀行を含む金融機関全体から、経済全体にお金がどの程度供給されているかを見るのに利用される指標で、民間部門(金融機関と中央政府を除く、一般法人、個人、地方公共団体)の保有する通貨量残高を集計したものである。
マネー・ストック
マネーストックと世の中の景気は連動すると考えられるから、マネーストックを増やせ政策が金融政策である。
そこで安倍政権と黒田日銀総裁は、異次元金融緩和と称して、大量のマネーを供給してきた。
日銀の供給するマネーがマネタリーベースである。
マネタリーベース
しかし、肝心のマネーは日銀の当座に積まれていて市中に流通してこなかった。
現今の経済状況等について H26/3期業務報告書より
大企業が内部留保を積み上げている現状では、借入してまでの資金需要はない。
国民は生活防衛に必死で消費意欲は高くない。
業を煮やして日銀の当座に入れるとマイナスですよ、ということだが抜本的な解決にはならないだろう。
GDPの6割は国民の消費であるが、今のような状態では生計を将来にわたって維持することに集中せざるを得ないからである。
安倍首相には生活実感がないから分からないのだろうが。
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