AIはクリエイティブ分野でもヒトに勝つか?/技術論と文明論(41)
AIのニュースが賑わっている。
とうとう、グーグルの人工知能(AI)が囲碁のプロ棋士と対戦して初勝利を挙げた。
将棋の電王戦では、プロ棋士と好勝負を続けている。
⇒2014年4月27日 (日):電王戦の結果と2045年問題/知的生産の方法(93)
AIの名称は、英グーグル・ディープマインド社の「アルファ碁」。昨年10月に欧州チャンピオンと5戦し、全勝。1月28日付の英科学誌ネイチャーで結果と論文が発表された。欧州覇者は中国の囲碁団体所属のプロ二段だった。
「ついにきたか。この日が……」「今来るとは」。報道を見た棋士たちは次々とツイッターで心境を書き込んだ。コンピューター囲碁はまだ発展途上のはずだと思われていたからだ。
プロと戦うには碁石4個をあらかじめ置くハンディ戦が妥当。アマ六段の実力とも評価されるが、プロに勝つのに10年はかかるといわれていた。棋譜を見た井山裕太名人は「これほどのレベルとは衝撃的」と語る。コンピューターとの対戦経験が多い大橋拓文(ひろふみ)六段は「打つ手がより人間ぽくなった」と驚く。
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盤上の頭脳戦でコンピューターが人間を破って大きな衝撃を与えたのは、IBMのディープブルーが1997年に世界王者を破ったチェスが最初といえる。将棋では2013年に初めて現役棋士を破った。
ゲームを題材としたAI研究で、囲碁は開発者たちの高い壁だった。終局までの手順は、チェスが10の120乗、将棋が10の220乗、囲碁は10の360乗通りあるといわれる。変化の数が桁違いなのだ。しかもチェスや将棋は駒の役割が明確で、飛車10点、歩1点など駒を点数化して局面の評価に役立てることができる。陣地の大きさを争う囲碁は石それ自体に役割の差はなく、状況によって石の価値が変動する。近年「モンテカルロ法」とよばれる手法が有効であることが発見され、乱数を用いた確率的な立場から打つ手を決めることで、アマ高段者のレベルまでにはなっていた。
アルファ碁はさらに「ディープラーニング(深層学習)」という手法を採り入れた。人間の脳のように、過去の棋譜から学習したり、自分自身で対戦を繰り返したりして進化し続けているという。元本因坊の王銘エン(おうめいえん)九段は「これまでのコンピューターより3子(置き石3個分)は強くなったと言える」。普通のアマ高段者が瞬く間にプロレベルに達したようなものだ。
人工知能が囲碁のプロ棋士に勝利 どこまで進化する?
ゲーム(賭け事、ギャンブル)にはスキルの要素と運の要素が絡んでいる。
賭けの分類-再考
麻雀は将棋や囲碁よりも運に依存する要素が大きいと考えられるが、「爆打」というAIがプロと好勝負するまでに強くなったという。
東京新聞2月21日
芸術とかビジネスの戦略など、クリエイティブな思考が重要な分野で、「深層学習」がどの程度威力をはっきするであろうか?
楽しみな知りたくないような気分である。
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