「新三本の矢」批判③安心につながる社会保障/アベノポリシーの危うさ(27)
川崎市幸区の老人ホームで、入所者3人が転落死した事件は衝撃的であった。
安倍首相が「新・3本の矢」として掲げた「安心につながる社会保障」が、空疎なスローガンに終わらないことを願う。
事件は、逮捕された23歳の元職員の犯行とみられるが、介護の現場の一端が露呈したと考えるべきであろう。
東京新聞2月17日
まだ、全容が解明されたわけではないが、多くの人たちが、こんな事件がいつか起きるかもしれないことをどこかで、なんとなく予想していたと言われる。
背景に苛酷な介護現場の労働がある。
そこが改善されない限り、「あってはならない事件」は再び起こるだろう。
過去にも、老人に熱湯をかけた事件、ストーブに押しつけて火傷をさせた事件、階段から突き落として重傷を負わせた事件など、「あってはならない事件」は起きている。
⇒2015年2月18日 (水):高齢者虐待を防ぐために/ケアの諸問題(22)
過酷な現場でストレスを抱えた職員の発作的な犯行であったことが報告されており、そこが根本的な問題であることは、関係者はみな承知している。
だから、現場の労働条件を改善し、働く職員のストレスの軽減が図ることが必要なのは当然である。
2025年には、団塊の世代が後期高齢者入りを完了する。
当然、要介護者は増えていくだろう。
総介護社会というような時代がそこまで迫っているのである。
⇒2014年11月11日 (火):高齢化進展と介護の複雑化/ケアの諸問題(17)
⇒2014年5月19日 (月):総介護社会への準備を急げ/ケアの諸問題(11)
総介護社会か総活躍社会か?
トレードオフではないだろうが、総活躍社会は今のところスローガンであり、総介護社会は趨勢である。
介護の現場で働く人たちの多くは使命感に燃え、人一倍、命や人間の尊厳に敏感で、共感力も高い人たちである。
それは疑い得ない。
恵まれない条件にもかかわらず、身近な人間が要介護状態になったことなどを契機に介護職に就いた人も多い。
しかし、事件は「あんなに親切で、思いやりがあり高い使命感をもって働いていた人がなぜ、あのような事件を起こしたのか?」という場合が少なくないのである。
「とてもそんなことをするとは考えられない」人が起こしてしまうという介護の仕事を考えた施策を講じないと、同じような事件は根絶できないと思う。
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