甘利明と野々村竜太郎/「同じ」と「違う」(92)
号泣記者会見で時の人となった野々村竜太郎元県議の初公判が開かれた。
野々村氏は2014年、宣伝会議が発行する広報専門誌「広報会議」のネットユーザーが選ぶ今年の「印象に残った不祥事ランキング」(調査対象は20~80代の男女500人)で2位にランクされた。
⇒2014年12月31日 (水):今年を振り返る/日本の針路(93)
私も号泣する姿をテレビで視聴して、「何でこんな人が県議に?」と不審に思った記憶がある。
元々2015年11月24日に初公判が予定されていましたが、野々村竜太郎被告が「精神的に出廷できる状況にない」「マスコミと鉢合わせしてパニックになった」などという理由で裁判を欠席し延期。
これに対して神戸地裁は、強制的に裁判所へ出廷させる「勾引手続き」に踏み切り、本日1月26日午前、無事初公判が開かれました。
野々村竜太郎被告はスキンヘッドになっており、公判では「政活費の交付は受けたが、虚偽の記載はしていない」と号泣することなく冷静に否認したということです。
野々村竜太郎被告が公の場で発言するのは世界中が注目した号泣会見から約1年半ぶりということもあり、現場の神戸地裁には報道陣が殺到。
裁判が開かれる直前の午前9時前後にかけて、現場は野々村竜太郎被告の姿を写そうとする報道陣らで一時騒然としました。
野々村竜太郎被告、神戸地裁で初公判-スキンヘッドで小太り 号泣県議
野々村氏が問われているのは、詐欺と虚偽有印公文書作成・同行使の罪である。
このお粗末な地方議会議員と現職の重要閣僚を対比するのは失礼だとは思うが、野々村氏の初公判のニュースで、甘利大臣のことを連想した。
東京新聞1月23日
甘利氏は、疑惑が報じられているだけで、起訴されているわけではない。
しかし報じられている内容からして、「あっせん利得処罰法」が適用されるのか否かという事案である。
「あっせん利得処罰法」は、国会議員等の政治家が、行政機関等に「口利き」をして金品を受け取る行為を処罰する法律だ。政治家が「口利き」をし、その見返りとして「報酬」を受け取るという行為は、政治家と行政との腐敗の象徴としてかねてから批判されてきたが、2000年に中尾元建設大臣が、公共工事発注の口利きの見返りに建設会社から賄賂を受領して受託収賄事件で逮捕されたのを契機に、改めて国民から批判が高まったことを受け、2002年に法律が制定された。その後も、「政治とカネ」をめぐる問題が表面化する度に、国民の政治不信が高まり、政治家のモラルが問われ、政治資金の透明化のため政治資金規正法の強化・改正も行われてきた。このような流れの中、2003年に施行された「あっせん利得処罰法」が実際に適用されて摘発された事例としては、市町村議会議員が公共工事の発注に関して「口利き」をして利益供与を受けた事件が数件ある程度で、国会議員や秘書が関わる事件が摘発された例はない。
甘利大臣、「絵に描いたようなあっせん利得」をどう説明するのか
自民党の高村副総裁は、「罠に掛けられた」と弁護しているようである。
⇒2016年1月26日 (火):甘利大臣は罠に掛かったのか?/アベノポリシーの危うさ(4)
しかし、「罠に掛けられた」かどうかというような問題か?
情報をもたらした人物については分からないが、甘利氏とは親密な関係であったことは間違いないようである。
週刊文春1月28日号
国会の審議が停滞したとすれば、甘利氏を追及する野党の責任ではない。
自民党総裁選で安倍首相の選対本部長を務めた盟友中の盟友である。
安倍首相も他人事で済ますわけにはいかない。
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