「化血研」の血液製剤を不正製造/ブランド・企業論(42)
国内有数の薬品メーカー「化学及血清療法研究所」(化血研、熊本市)が、40年以上にわたり血液製剤を不正製造していた。
「化血研」に対する第三者委員会報告が、2日公表された。
報告は不正製造の大きなきっかけとして、1980年代後半から90年代前半の薬害エイズ問題を挙げる。
輸入された非加熱製剤が原因で多くの感染者が出たため、政府は血液製剤を国内生産に切り替える方針を打ち出し、化血研もこの波に乗ろうとした。
血液製剤は感染リスクをなくすため、国が認めた承認書通りに製造することが厳格に求められている。
しかし、化血研は89年以降、新薬の製造工程で止血効果がなくなるなどの問題が生じた際、発売の遅れを恐れた担当理事の指示で製造工程を変更し、承認書にはない方法で添加物を投入することで問題を解決した。
組織ぐるみの隠蔽に事実上の「ゴーサイン」を出したのは、96年9月の常勤理事会だった。血液製剤の製造部門の担当者が、承認書と実際の製法が異なることを説明。国の査察では虚偽の製造記録を提示することも示唆し、出席した理事から疑義は出なかった。
同じ時期に医薬品業界では、国際化の流れに合わせ、国による査察の厳格化の動きが強まっていた。製造部門の幹部は98年、部下からの相談に、「このままでは(国に)見せられん。製品供給継続を第一に、しばらくは見せられる記録で対応しよう」と応じた。
製造部門では、過去の記録も査察で示す必要が生じたため、古く見えるように紫外線を紙に浴びせて変色させたり、筆跡を過去の関係者に似せたりした。査察に見せる虚偽の記録は字体を変えて取り違えを防ぐ念の入れようだった。
不正はその後も放置され、昨年に新薬の承認を受ける際も、添加物を不正に投入することを隠した。
化血研、発売遅延恐れ不正…常勤理事会で隠蔽ゴーサイン
「化血研」は、1945年に旧熊本医科大の実験医学研究所を母体に設立された。
血液製剤の売上高は国内2位である。
インフルエンザワクチンでは、国内シェアの3割を占める。
このため、同社の出荷自粛のより供給不足になり、出荷自粛を解除した。
東京新聞12月4日
しかし薬害エイズ訴訟中に不正製造を継続していたとは驚きである。
「他社製品に比べて突出して副作用は認められない」という厚労省担当者の説明は腑に落ちない。
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