日経平均という指標の代表性/アベノミクスの危うさ(62)
11月16日に発表されたGDP統計では、2015年7-9月期の実質経済成長率は、年率換算で-0.8%のマイナス成長となった。
4-6月期に続いて2四半期連続のマイナス成長である。
⇒2015年11月18日 (水):虚妄の景気回復シナリオ/アベノミクスの危うさ(59)
安倍首相が胸を張るように、アベノミクスは大きな成果を上げているとはとても言えないのが実体だ。
年率換算の経済成長率は以下のように推移している。
2014年4-6月期 -7.7%
2014年7-9月期 -1.1%
2014年10-12月期 +1.2%
2015年1-3月期 +4.6%
2015年4-6月期 -0.7%
2015年7-9月期 -0.8%
米国の定義では、2四半期連続のマイナス経済成長に陥った場合、「リセッション=景気後退」としている。
アベノミクスは落第だったというべきである。
これに反して、日経平均株価は高い。
日経平均株価の推移は以下のようである(5年間)。
今年8月の下落はイレギュラーのように見えるが、株式市場は常にイレギュラーであると言うべきであろう。
安倍政権が発足した12年末以来の上昇は、GPIF等の動員によるものであり、それが限界に近づいている。
⇒2015年12月 1日 (火):究極の公私混同と言うべきGPIFの資金運用/アベノミクスの危うさ(61)
ここでは、そもそも日経平均という指標が、株価全体を代表するものではないことを、塚澤健二『そして偽装経済の崩壊が仕組まれる』 ビジネス社(2015年11月)から引用しよう。
下図は、日経平均の株式市場への寄与度である。
1980年には日本の株式相場=日経平均株価と言っても良かったが、逐年寄与度は低下していき、現在は1/3程度なのである。
日経平均の上昇をアベノミクスの成果というのは、二重の誤りということになる。
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