原発再稼働の前に汚染水統御を/技術論と文明論(36)
安倍首相は、2020年の五輪招致演説で、福島原発事故の汚染水は、アンダーコントロール(統御)さっれていると言った。
⇒2015年6月14日 (日):「福島原発事故を乗り越えた」という安倍妄言/原発事故の真相(130)
⇒2014年5月17日 (土):汚染水は完全にブロックされている?/原発事故の真相(113)
⇒015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)
しかし汚染水対策はトラブル続きである。
再稼働を急ぐ前に、汚染水の統御を急ぐべきだ。
東京電力福島第一原発で、配管の劣化や工事ミスにより、汚染水が漏えいするトラブルが相次いでいる。いずれも漏れた量は多くはなく、周辺の堰(せき)内で食い止められた。ただ、事故から五年近くがたち、機器の劣化が進むことから、大きなトラブルが起きる前に芽を摘んでおく必要がある。
最近、漏えいが集中的に起きているのが、淡水化装置。建屋地下の高濃度汚染水から放射性セシウムを除去した処理水から、特殊な膜を通して塩分を除去する装置だ。二〇一一年六月に稼働し、事故収束用に設置された機器の中で最も古い部類に入る。
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十月には塩化ビニール製の配管が破断し、一リットル当たり五五〇ベクレルの放射性セシウムを含んだ汚染水約一トンが漏れた。配管の端に切れ込みを入れ、この部分を挟み込んで装置に固定していたが、ポンプの振動が切れ込み部に伝わり続け、配管全体が割れた。十一月にも、ステンレス製配管同士をつなぐ金具から汚染水が約〇・三トン漏えいしていた。
淡水化装置以外では、十一月五日、2号機にたまる高濃度汚染水を別の建屋に移送する樹脂製の配管から漏れた。その後の調査で、五月下旬に建屋の配管貫通部周りを止水材でふさぐ工事をした際、白熱灯が配管に接触。そのまま作業を続け、配管の表面が過熱して溶けた。その後、弱くなった部分に力が集中して割れた。狭い場所で、ミスに気付かなかったという。
福島第一汚染水漏れ続く 機器劣化も進行 トラブル温床に
政府や電力会社は原発再稼働に前のめりだ。
私は、東京電力や東芝の例を見ても原発ビジネスは成立し難いと考える。
まして、核燃料サイクルが砂上の楼閣であって見通しが立っていない状況である。
早く見切って、再生エネルギー(地上資源)にシフトすべきだと思う。
⇒2015年12月 3日 (木):核燃料サイクルは延命させるべきか/技術論と文明論(35)
⇒2015年11月12日 (木):原発再稼働は誰のため/原発事故の真相(136)
⇒2015年11月 6日 (金):もんじゅは廃炉にして原発政策を見直すべき/原発事故の真相(135)
⇒2015年1月29日 (木):「地上資源文明」の可能性/技術論と文明論(15)
福井県高浜町の野瀬豊町長が、関西電力高浜原発3、4号機の再稼働への同意を表明した。
福井地裁は4月に運転差し止めの仮処分を決定しているので、現状では動かすことはできない。
関電が申し立てた異議は審理を終えた段階であって、結論が出るのはまだ先になる。
町長はなぜそんなに急ぐのか?
いわゆる原発マネー(原子力発電を受け入れた地域に、その危険性に引き換えに交付されているお金)のためであろうが、町長として本末転倒というべきであろう。
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