焼け跡闇市派のダンディズム・野坂昭如/追悼(78)
作家の野坂昭如さんが、9日、心不全のため亡くなった。
1930年、鎌倉に生まれたが、間もなく母が亡くなり、神戸市内の親類の養子となった。
昭和20(1945)年の神戸大空襲で家を焼かれ養父も亡くなり、義妹は疎開先の福井県で栄養失調で亡くなった。
代表作『火垂るの墓』は、このような体験を元にして生まれた。
反戦の姿勢は生涯を貫くバックボーンだった。
http://www.asahi.com/culture/news_culture/images/TKY201203150222.jpg
2003年に脳梗塞で倒れた。
「焼跡闇市派」を自任し、本業の作家以外にも作詞や政治など多彩な活動で話題を集めた。
参院議員にもなったが、脳梗塞後はリハビリを続けながら執筆活動を行なっていた。
昭和25(1950)年、早稲田大文学部仏文科に入学。
私の親しくさせて戴いていた先輩が同期生だったが、やはり今年亡くなった。
逞しく生きてきた「焼跡闇市派」も鬼籍に入る歳になったのだなあ、と思う。
昭和37(1962)年に刊行した『プレイボーイ入門』で「元祖プレイボーイ」として脚光を浴びた。
昭和38(1963)年に、「おもちゃのチャチャチャ」で第5回日本レコード大賞童謡賞を受賞するなど、作詞家としても活躍した。
昭和42(1967)年には、『火垂るの墓』『アメリカひじき』で直木賞を受賞し、作家・文筆家としての地位を確立した。
サングラスを愛用したのは、シャイの表れだったのだろう。
斎藤龍鳳流に言えば『何が粋かよ』であろう。
脳梗塞で倒れた後も旺盛な好奇心を持ち続けていたように思われる。
とかく厄介者扱いされたり、自分が積極性を無くしたりしがちである。
同病の先輩として見習うこと多しである。
合掌。
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