« 日本とドイツの脱原発/「同じ」と「違う」(89) | トップページ | 「知のあり方」が問われた年/知的生産の方法(139) »

2015年12月28日 (月)

「新三本の矢」批判①介護離職0/アベノミクスの危うさ(66)

安倍晋三首相は、9月の自民党総裁再選後の記者会見において、「アベノミクスは第2ステージに入った」として、アベノミクスの新しい「3本の矢」を打ち出した。
3
アベノミクス「新3本の矢」に見る真相

第1の矢は「希望を生み出す強い経済」であり、具体的には2020年頃に名目GDPを600兆円にすることを目標とするという。
第2の矢は「夢を紡ぐ子育て支援」とされ、これによって希望出生率1.8を2020年代初頭に実現したいとする。
第3の矢は「安心につながる社会保障」であり、2020年代中頃には介護離職をゼロにするという。

これらの目標はすべて望ましいものである。
しかし、第1ステージの総括もなく、唐突にでてきた印象は否めない。
大前研一氏は、次のように解説している。

 この新三本の矢についてはコメントする価値もありません。
・・・・・・
1つは新しい時代を提案し気持ちを切り替えさせることです。これによって集団的自衛権問題ではなく、議論を呼ぶような内容を3つ提案したのでこちらに争点を移してくださいと言うメッセージです。
 もう一つの狙いは、古い三本の矢がうまくいかないので、これを忘れてくださいということです。
アベノミクス「新3本の矢」に見る真相

私も、よくぞ言うものだ、と思う。
第3の矢とされる介護離職0について考えてみよう。
日本の人口構成上問題になるのは「団塊の世代」の動向である。
終戦後の後の1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)に生まれた人たちである。
Photo
団塊の世代とは1947~1949年生まれの世代

つまり、2020年代の初頭とは、団塊世代が一斉に後期高齢者に突入する頃である。
当然、要介護者も増えるので、一般にはむしろ介護離職者の急増を懸念すべきである。
この時期に介護離職者をゼロにするというのは、極めて高いハードルだと言わざるを得ないし、政府はこれまで施設介護から在宅介護へという方向で介護政策を進めてきた。
もし介護離職を0にすると言うなら、今後は施設介護を重視するほかないが、それは従来の方針の大転換である。
同時に、介護のための財政負担の大幅な増加を覚悟しなくてはならない。
財政について触れないのは、絵に描いた餅である。

|

« 日本とドイツの脱原発/「同じ」と「違う」(89) | トップページ | 「知のあり方」が問われた年/知的生産の方法(139) »

アベノミクスの危うさ」カテゴリの記事

ニュース」カテゴリの記事

思考技術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/395349/62960824

この記事へのトラックバック一覧です: 「新三本の矢」批判①介護離職0/アベノミクスの危うさ(66):

« 日本とドイツの脱原発/「同じ」と「違う」(89) | トップページ | 「知のあり方」が問われた年/知的生産の方法(139) »