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2015年12月

2015年12月31日 (木)

表現の自由と志/知的生産の方法(140)

今年も間もなく暮れる。
1年の印象としてさまざまな出来事が思い浮かぶが、やはりテロ事件が今年を象徴するものだろう。
正月気分の抜けきれない1月7日、フランスの風刺マンガを主に掲載する「シャルリ-・エブド」の本社がイスラム過激派に襲撃された
⇒2015年1月11日 (日):フランス連続テロ事件の衝撃/世界史の動向(30)

2015年1月7日に発売されたシャルリー・エブドには、イスラム過激派挑発する風刺画が掲載されていた。
それは「フランスではいまだに襲撃が全くない Toujours pas d'attentats en France」という見出しの下に、ジハディスト戦士を(茶化すように、目線が左右バラバラになっているように)描き、ロシア製の自動小銃「AK-47」を肩にかけて立った状態で「待ってろ! 新年の挨拶なら1月末まで間に合うだろ Attendez! on a jusqu' à la fin janvier pour présenter ses vœux.」と言っている風刺画であった。同画の右下隅には風刺画家「CHARB シャルブ」の署名があった。
シャルリー・エブド襲撃事件

1月の事件の後、日本人ジャーナリストが拘束され、殺害された。
⇒2015年1月21日 (水):日本人をターゲットとしたテロと安倍政権/世界史の動向(31)
⇒2015年2月 1日 (日):「イスラム国」が後藤健二氏を殺害/世界史の動向(33)
残念ながら、安倍政権の基本的な姿勢は「自己責任」というものであった。
⇒2015年2月 2日 (月):人命軽視の積極的平和主義/世界史の動向(34)

パリのテロ事件は、11月にさらに大規模な形で再び起こった。
⇒2015年11月15日 (日):パリ・惨劇の拡大再生産/世界史の動向(38)

安倍首相は「テロには屈しない。価値観を共有する国と共に戦う」としているが、戦いの展望をどう描いているのか?
出口戦略を持たないで戦うのでは、大東亜戦争の教訓が生かされていない。

難民問題は、21世紀の大きな課題である。
積極的平和主義を掲げるなら、真っ先に取り組むべきテーマではないか。
ユダヤ難民に大量のビザを発給したことで知られる杉浦千畝の映画が話題になっているが、積極的平和主義は、戦争とセットではなく人道とセットで考えるべきであろう。

FB上の「安倍総理を支える会」の中心的な人物とされる「はすみとしこ」という漫画家は、自身のFBに「そうだ 難民しよう!」というイラストを投稿した。
自称難民の実質経済移民が大勢いることが事実だとしても、このコピーと絵柄はどうなのか?
私は不快である。
⇒2015年10月12日 (月):難民問題にどう対処するのか?/世界史の動向(36)

「はすみとしこ」氏は、同名の著書を出したらしい。
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私には、クリエイティブというよりも売名行為に思えるが、Amazonのレビューでは大きな支持を得ているようだ。
恐ろしい気がする。

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2015年12月30日 (水)

岐路に立たされた立憲主義/日本の針路(269)

今年の総括として忘れてはならないのが、立憲主義の危機であろう。
安倍首相を取り巻く人たちを見れば、立憲主義など端から問題にしていない。
例えば、沖縄の新聞は潰した方がいいと公言する作家の百田尚樹。
⇒2015年7月 2日 (木):百田尚樹という存在の耐えられない軽さ/人間の理解(14)

報道機関への圧力を求める自民党代議士の大西英男。
⇒2015年7月 3日 (金):大西英男という安倍チルドレンの「懲りなねえ奴」/人間の理解(15)

スキャンダル続発の武藤貴也というチルドレン。
⇒2015年8月20日 (木):呆れた安倍チルドレン・武藤貴也議員/日本の針路(216)

法的安定性など関係ないと言いきった礒崎陽輔首相補佐官。
⇒2015年7月31日 (金):チーム安倍を象徴する礒崎首相補佐官の暴言/日本の針路(204)

戦後70年という節目にあたって、安倍首相は談話を発表した。
入念に推敲を重ねたことが窺われるものであったが、全体的な印象としては、口では反省しているものの、本心としてどうなのか、という感じが拭えないものだった。
⇒2015年8月15日 (土):安倍首相の「70年談話」を読む/日本の針路(213)
韓国との慰安婦問題が妥結をみたことは良いことだと思うが、同様の印象であることも事実である。

戦後70年という節目の年に大きく右旋回したことは間違いないだろう。
安倍政権は昨年7月に、閣議決定により憲法解釈を変え、2月に立憲主義を否定する考えを表明していた。
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そして今年9月19日、集団的自衛権の行使を可能にすることを国会で強行可決した。
⇒2015年9月20日 (日):安倍首相の功罪/日本の針路(232)

昨年12月の衆院選では、巧妙に争点化が回避された。
消費税増税を延期することについて、国民の信を問うと言って解散したのである。
詐欺の手口であるが、騙された方にも落ち度はあるのかも知れない。

しかし、安保法制についての批判はそう簡単には終わらせない。
12月20日に、来年夏の参院選に向け、安全保障関連法廃止を訴える野党統一候補を支援すべく、市民団体が連合体を結成した。
学生グループの「SEALDs(シールズ)」の他、「ママの会」「学者の会」「立憲デモクラシーの会」「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」5団体の有志が呼びかけて発足したものだ。
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祝 市民連合=「安全保障法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」結成!

かつての「ベ平連のように広範な広がりに発展するかどうかは分からないが、安倍政権に不安と不満を持っている人は多い。
来年は、その勢力が実体としてどれだけ結集できるかが問われるだろう。

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2015年12月29日 (火)

「知のあり方」が問われた年/知的生産の方法(139)

今年も残すところ、今日を含めて3日になった。
さまざまな出来事があったが、特に「知のあり方」が問題になることが多かったように思う。

文部科学省が国立大学改革の方向性として“文系不要論”を打ち出した。
即戦力になるかならないか?
⇒2015年6月19日 (金):文科省の国立大学改革通知はナンセンス/日本の針路(181)
こういう発想は、産業界からも批判されている。

 日本経済団体連合会(経団連)はこのほど、文部科学省が6月に各国立大学に通知した、文系学部の見直しを求めた通知について、「即戦力を求める産業界の意向を受けたものとの見方があるが、産業界の求める人材像はその対極」との声明を発表し、安易な見直しへの懸念を表明した。
“即戦力だけ”は「産業界の求める人材とは対極」 経団連、国立大の文系学部見直しに声明

科学技術が発展すればするほど、文系の重要性も増加する。
J.ネイスビッツの『ハイテクハイタッチ』ダイヤモンド社(2001年6月)の指摘する通りである。
⇒2015年9月14日 (月):文系学部狙い撃ちの愚/知的生産の方法(126)

知の拠点といえば図書館である。
公共図書館の民間委託が話題になった。

 ビデオレンタルショップ「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、2013年から運営している佐賀県武雄市図書館が話題を呼んでいる。全国的にも注目され、その経済効果は20億円にも達したと報じられたが、一方で図書館業務を安易に民間委託することへの批判も少なからず巻き起こっていた。
 そこへきて、購入図書の選定方法や仕入れ方法などに疑惑が湧き上がり、市民団体が同図書館のCCCへの委託を推進した前市長を相手取って損害賠償を求める事件にまで発展している。
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ツタヤ図書館だけじゃない!公共施設、民間委託のトンデモ実態 違法行為オンパレード

世の中全体が反知性主義化しつつある。
その典型というか象徴が、NHK会長であろう。
安倍首相肝いりの人事によって、NHKは報道機関としての生命を失った。
⇒2014年3月 3日 (月):不適格な籾井NHK会長の任命責任/アベノミクスの危うさ(28)
⇒2015年11月22日 (日):安倍政権のイヤな感じ(9)NHK私物化/日本の針路(258)
その実態は、前経営委員の上村達男さんの『NHKはなぜ、反知性主義に乗っ取られたのか』東洋経済新報社(2015年10月)で窺うことができる。

つまり安倍首相そのものが反知性主義の人と言わざるを得ない。
取り巻きの面々をみれば、結局「裸の王様」なのである。
⇒2015年12月12日 (土):続続・安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(64)
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)
⇒2014年11月27日 (木):続・安倍首相は裸の王様か?/日本の針路(76)

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2015年12月28日 (月)

「新三本の矢」批判①介護離職0/アベノミクスの危うさ(66)

安倍晋三首相は、9月の自民党総裁再選後の記者会見において、「アベノミクスは第2ステージに入った」として、アベノミクスの新しい「3本の矢」を打ち出した。
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アベノミクス「新3本の矢」に見る真相

第1の矢は「希望を生み出す強い経済」であり、具体的には2020年頃に名目GDPを600兆円にすることを目標とするという。
第2の矢は「夢を紡ぐ子育て支援」とされ、これによって希望出生率1.8を2020年代初頭に実現したいとする。
第3の矢は「安心につながる社会保障」であり、2020年代中頃には介護離職をゼロにするという。

これらの目標はすべて望ましいものである。
しかし、第1ステージの総括もなく、唐突にでてきた印象は否めない。
大前研一氏は、次のように解説している。

 この新三本の矢についてはコメントする価値もありません。
・・・・・・
1つは新しい時代を提案し気持ちを切り替えさせることです。これによって集団的自衛権問題ではなく、議論を呼ぶような内容を3つ提案したのでこちらに争点を移してくださいと言うメッセージです。
 もう一つの狙いは、古い三本の矢がうまくいかないので、これを忘れてくださいということです。
アベノミクス「新3本の矢」に見る真相

私も、よくぞ言うものだ、と思う。
第3の矢とされる介護離職0について考えてみよう。
日本の人口構成上問題になるのは「団塊の世代」の動向である。
終戦後の後の1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)に生まれた人たちである。
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団塊の世代とは1947~1949年生まれの世代

つまり、2020年代の初頭とは、団塊世代が一斉に後期高齢者に突入する頃である。
当然、要介護者も増えるので、一般にはむしろ介護離職者の急増を懸念すべきである。
この時期に介護離職者をゼロにするというのは、極めて高いハードルだと言わざるを得ないし、政府はこれまで施設介護から在宅介護へという方向で介護政策を進めてきた。
もし介護離職を0にすると言うなら、今後は施設介護を重視するほかないが、それは従来の方針の大転換である。
同時に、介護のための財政負担の大幅な増加を覚悟しなくてはならない。
財政について触れないのは、絵に描いた餅である。

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2015年12月27日 (日)

日本とドイツの脱原発/「同じ」と「違う」(89)

福井地裁の林潤裁判長は24日、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働について、別の裁判長が行った再稼働を即時差し止め仮処分決定を取り消した。
⇒2015年12月25日 (金):高浜原発再稼働に慄然とする/技術論と文明論(38)

高浜3、4号機は2月に原子力規制委員会から新規制基準を満たすと認められ、福井県の西川一誠知事も今月22日に再稼働に同意した。
西川知事は、政府が前面に立って原子力政策を担うことが確認できたと、再稼働への同意を表明し、林経産相は会談で「ご英断に感謝を申し上げます」と述べるなどの茶番的手続きであることを晒している。
「規制委の判断=お墨付き=錦の御旗」の如く捉える考え方が問題である。

日本とドイツは、第二次大戦の敗戦国でありながら、戦後70年の間に世界有数の工業国としての地位を確立している。
その点は似たようなものであろう。
しかし、工業立国の基盤となるエネルギー政策については、かなりベクトルが違ってきているのではないか。

ドイツは、2011年に発生した、東京電力・福島第一原子力発電所の炉心溶融事故をきっかけに、エネルギー政策を根本的に変えた。
世界中で、ドイツほど福島事故の教訓を真剣に自国にあてはめ、政策を大幅に転換させた国は1つもない。
アンゲラ・メルケル首相は、今年3月のインタビューで、「ドイツは再生可能エネルギー拡大の道を歩んでいる。日本にもそうなってほしい」と述べた。

ドイツの原発と再生エネルギーの推移は下図のようである。
Kumagai_toru6
脱原子力を選択したドイツの現状と課題

なぜ、ドイツは脱原発の方向に進み、日本は再稼働の方向に進むのだろうか?
下記は、原発稼働ゼロの時点で書かれたものだが、既に原発再稼働の動きは現実のものとなっている。

 アクター(参画者)面では、ドイツでは「緑の党」が結成され、主流の政党CDU,SPDへの影響も大きかった。これに対して、日本では学生運動が社会改革につながらず、環境政党も結成されなかった。
 反核の運動体に関しては、東西ドイツが核戦争の最戦線になる恐れから、反核兵器運動と反原発運動の共同があったのに対して、日本には反原発の強力な全国組織はなく、原水禁運動の分裂のなかで、反核兵器運動と反原発運動の連合が形成されることはなかった。
 発電会社と原子力については、ドイツは電力会社の判断が大きかったが、日本は「国策民営」推進体制で、政府と電力会社の持たれあいと責任の不明確があり、丸山真男の指摘する無責任体制の問題が依然として残っている。
 原発推進体制については、ドイツは、地方分権制度によって各州の許認可権限が強いのに対して、日本は国の計画と許認可権限が大きく、さらに電源3法で地域開発(田中角栄型)、公共事業としての原発開発立地が推進された。
 原子力をめぐるイデオロギーとしては、「ハイテクとしての原子力」はドイツも大きく違わず、日本では「夢の原子力」と「鉄腕アトム」のイデオロギーが効果を発揮した。
 原子力開発の歴史的分岐点を見ると、ドイツはチェルノブイリで直接に国内被害を受け、SPDと緑の党連立で脱原発へ進んだが、日本は外国の重大事故から教訓を学ばず、過酷事故対策を怠った。
 日本は福島の事故を反省の鏡としなければならない。ヒロシマとナガサキの2発の原爆でやっと戦争が終結したと同じく、フクシマと第2の大事故がなければ、原発を段階的にも止められないとすれば、それは日本の悲劇である。
 原子力の関する規制制度では、日本はこれまで電力会社のいいなりであり、それが活断層問題にもあらわれており、電力会社に規制側が取り込まれた。福島事故を踏まえた規制改革の方向性と内容が試されている。
 原子力と経済団体の関係については、ドイツが再生可能エネと省エネに経済的チャンスを見るのに対して、日本は個々の技術要素をもつものの、原発への投資額と既得権益が多く、脱原発に新方向を見いだせず、新政権はイノベーションを強調せず、東芝社長(原子力専門家)が経済諮問員会民間委員となった。中国と韓国は原子力を続けるものの、他方で風力発電にも力を注ぎ、いまや中国は世界1の風力発電設備をもつ(26%)現実を直視すべきである。
なぜドイツで脱原発がすすみ、日本では進まないのか?

上記の分析はそれぞれもっともだと思うが、世論調査では約7割が脱原発である。
にもかかわらず、選挙結果はそうなっていない。
もちろん単一の論点ではないのでそういうこともあり得るのであるが、小異をすてて大同で一致しなければ、いつまでも政府の言いなりである。
「私は反対でしたが」は通用しないことは、安倍政権の実像で明らかになっている。
「オリーブの木」でもいいから、野党が結集しなければダメなのだ。

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2015年12月26日 (土)

日本をダメにする日本会議という存在/日本の針路(268)

日本会議という団体がある。
Wikipediaでは次のように説明されている。

公式ホームページには「美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、政策提言と国民運動を行っている民間団体」とある。
1997年5月30日に「日本を守る会」(以下「守る会」)と「日本を守る国民会議」(以下「国民会議」)とが統合して組織された。
「守る会」は、円覚寺貫主・朝比奈宗源が神道・仏教系の新宗教に呼びかけて1974年4月に結成、政治課題に対して様々な政治運動を行っていた。一方、「国民会議」は、最高裁判所長官を務めた石田和外らの呼びかけによって財界人・学者中心で、元号法制定を目的に1978年7月に結成された「元号法制化実現国民会議」をもとに、これを改組してつくられ、やはり政治運動を行っていた。
神社本庁、解脱会、国柱会、霊友会、崇教真光、モラロジー研究所、倫理研究所、キリストの幕屋、仏所護念会、念法真教、新生佛教教団、オイスカ・インターナショナル、三五教等、宗教団体や宗教系財団法人等が「守る会」以来の繋がりで多数参加している。特に神社本庁とは、「建国記念の日奉祝式典」や皇室関連の問題への取り組み等、人的交流も盛んである。2015年の時点で、日本会議の役員62名のうち24名が宗教関係者である。

日本会議は安倍首相と近い団体であり、閣僚の多くが日本会議メンバーである。

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(2014年発足の第3次安倍内閣)
数ヵ月前、安倍首相の目的は、アベノミクスによる日本経済の再建だと、多くの日本人が思っていました。しかし現在、国民は、首相の真の目的は違っていたのではと考えています。経済再建は、憲法改正を国民が受け入れやすくするための手段だったのではないかということです。首相自身が創立当時からのメンバーである『日本(にっぽん)会議』の望むように、日本を帝国主義的な統治形態へ回帰させるのが目的ではないか、と疑っているのです。
国会議員の4割が参加する謎の団体「日本会議」とは

この日本会議が、夫婦別姓反対の急先鋒だという。

 まずは、日本会議の公式サイトに装備されたタグクラウドを見ていただきたい。タグクラウドとは、「そのサイトで利用される語句の出現頻度と更新頻度」を、フォントの大小と濃淡で表示する仕組みだ。出現頻度が高い文字は大きく表示され、最近登場した語句は濃く表示される。
Photo_5「ブラジル」が大きく濃く表示されているのは、直近に、ブラジル日本会議の活動内容を紹介する記事が公式サイトに立て続き投稿されたためである。
 この「ブラジル」を除けば、「夫婦別姓」が尖閣諸島や憲法改正などと並んで、高頻度で利用されていることがわかる。事実、彼らの公式サイトにはご丁寧にも、「夫婦別姓」のためだけのコーナーが設けられている。
 そして彼らは、夫婦別姓阻止をネット上で訴えたり、文書を配布したりするだけでなく、極めて熱烈な運動も展開している。
 2010年、日本会議は夫婦別姓阻止の運動を行うフロント団体として「夫婦別姓に反対し家族の絆を守る国民委員会」を結成した。発起人は、櫻井よしこ、長谷川三千子、工藤美代子などなどのおなじみの顔ぶれ。同委員会は200万筆の一般署名を集め国会議員の賛同人も百名を獲得するといった運動成果を短期間に叩き出している。
なぜ選択的夫婦別姓は最高裁で退けられたのか

こんなカルトまがいのグループが日本の政治を牛耳っているのだ。
安倍首相は下野時代、次のように言っている。

夫婦別姓は家族の解体を意味します。家族の解体が最終目標であって、家族から解放されなければ人間として自由になれないという、左翼的かつ共産主義のドグマ(教義)。これは日教組が教育現場で実行していることです。
「WiLL」ワック2010年7月号

最高裁判決は、憲法13条の「人格権」と憲法24条の「個人の尊厳と両性の本質的平等」に反しているとも考えられる。
最高裁判断は、現政権の考えを忖度した結果と言っていいだろう。
この国は、反知性主義に乗っ取られたと言えるのかも知れない。

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2015年12月25日 (金)

高浜原発再稼働に慄然とする/技術論と文明論(38)

福井地裁が、12月24日関西電力高浜原発3、4号機の再稼働を認めた。
運転差し止めを命じた4月の仮処分決定とは真逆の判断である。
⇒2015年4月15日 (水):福井地裁が高浜原発再稼働に不許可の仮処分/日本の針路(137)

司法は国策に逆らえないのか?
そして、これから原発再稼働が加速されていくのか?
慄然とする思いを禁じ得ない。
あたかも北野慶『亡国記』現代書館 (2015年8月)を後追いするかのような展開である。
核燃料サイクルが破綻した状態で原発再稼働を進める論理とはどういうことか?
⇒2015年12月 3日 (木):核燃料サイクルは延命させるべきか/技術論と文明論(35)
⇒2015年11月 6日 (金):もんじゅは廃炉にして原発政策を見直すべき/原発事故の真相(135)
誰も責任を負えないのにも拘わらず、GOサインを出すのは無責任の極みではなかろうか。
⇒⇒2015年11月 6日 (金):もんじゅは廃炉にして原発政策を見直すべき/原発事故の真相(135)

規制委は2月、高浜原発33、4号機を新規制基準に適合しているとした。
しかし、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、かねてより審査について「稼働に必要な条件を満たしているかどうかを審査したのであって、イコール事故ゼロではない」と述べている。
⇒2014年12月18日 (木):原発は審査基準に適合すればOKか?/原発事故の真相(122)
田中委員長は、必要条件と十分条件を区別しているのだ。
⇒2015年8月14日 (金):原発再稼働とメディアの姿勢/原発事故の真相(133)

百歩譲って、福井地裁の判断を認めるとしよう。
裁判所は事業者の取った対策が「新規制基準に適合する」という規制委の判断を「合理的」としただけである。 
今回の判断でも、「過酷事故の可能性がまったく否定されたものではない」と、はっきり述べている。
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東京新聞12月25日

新基準そのものの適否はどうなのか?
福井地裁の4月の「新規制基準は合理性を欠く」として、周辺住民が求めた再稼働差し止めを認める決定を下していたは、否定されたわけではない。
そもそも規制への適合は、必要条件であって、十分条件ではないのだ。
政府および事業者は、必要条件ではなく、必要性について納得できる論理を示すべきだ。
これは論理的思考の基礎である。
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永野裕之『数学的ロジカルシンキング』SCC(2015年9月)

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2015年12月24日 (木)

新国立競技場コンペに対する疑問/ブランド・企業論(45)

2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアム、新国立競技場が、建築家の隈研吾氏、大成建設、梓設計の3者が手掛けたA案に決まった。
新国立競技場については、当事者の無責任性と隠蔽体質により迷走が続いていた。
⇒2015年8月10日 (月):新国立競技場の迷走と情報の隠蔽/日本の針路(210)
⇒2015年7月17日 (金):新国立競技場の見直しだけで終わらせない/日本の針路(198)

無事、設計案が決まって、メデタシ、メデタシと言いたいところだが、幾つかの疑問が残されている。
一つは、応募案が2案しかなかったことだ。
A案以外には、竹中工務店などのB案だけであった。
きわめて限られた選択肢しかなかったと言えよう。

A案、B案共に、「杜のスタジアム」がコンセプトである。
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東京新聞12月15日

どちらも悪くはないと思うが、なぜ最初からできないのか、という疑問も湧いてくる。
2案が公開されてから決定までに1週間であるから、一般から意見を公募するというのも形ばかりということだろう。
Ws000001
東京新聞12月23日

A案かB案かという二者択一ならば、どちらでも大した違いはないように思える。
採点方法は、審査委員会の7人の委員がそれぞれ9項目を6段階で評価し、140点満点で点数化したというが、配点の重み付けなどさじ加減でどうにも変えられるだろう。

評価項目の配点は「事業費の縮減」と「工期短縮」が各30点で最も高い。10点の「維持管理費抑制」と合わせた「コスト・工期」で半分の70点を占める。「日本らしさに配慮した計画」「環境計画」など5項目ある「施設計画」は各項目10点ずつの50点、事業費の上限順守などへの評価である「業務の実施方針」は20点となっている。
新国立A案採用 隈氏デザイン「8点差」決定の舞台裏

980点満点でA案は610点、B案は602点だったというが、普通これを有意差とは言わないだろう。
JSCは決定後に会見し、工期短縮の実現可能性でA案が上回ったと説明したが、両案共に要求された工期の仕様には適合しているはずである。
とすれば、仕様以外条件が決め手であったということだろうか?
談合もしくは出来レースの匂いが充満しているようだ。

ちなみに、A案の大成建設には、菅官房長官の子息が在籍しているという。
辺野古の埋め立て工事も大成建設が受託しているようだ。
そういえば、年賀状を書くために昨年もらった賀状をみると、アベノミクスのお陰で会社は順調です、と書いてあった何枚かがあった。
いずれも、建設関連である。

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2015年12月23日 (水)

日本マグドナルドの行方/ブランド・企業論(44)

米マクドナルドが約5割を握る日本マクドナルドホールディングス株を売却する方針らしい。
最大約33%分を売却する方針で、譲渡先は筆頭株主として経営の主導権を握る可能性が強い。
売却額は1000億円規模の見通しで、米マ社は、大手商社や国内外の投資ファンドに打診を始めている。

 このほど米マクドナルド幹部が来日し、商社や投資ファンドなど計5社程度に譲渡を打診した。発行済み株式の15~33%分の相対売却を提案、来年1月中旬までの回答を求めている。その後、最有力候補に優先交渉権を与える見込み。売却が実現すれば米本社主導の経営体制から転換する。
 背景にあるのは日本事業の苦戦だ。2014年夏の期限切れ鶏肉の使用問題、今年1月には異物混入問題も表面化し、品質への信頼が傷ついた。15年12月期は380億円と2期連続で最終赤字になる見通し。足元の11月も3カ月連続で既存店売上高がマイナスになるなど客足回復には遠い。
Mac

 外部の資本導入を通じてブランドイメージを一新。日本市場を熟知した商社や、企業再生のノウハウを持つ投資ファンドの資金力を活用して改装や店舗統廃合など抜本的なてこ入れを進め、競争力の回復をめざす。
日本マクドナルド売却 米本社、ファンドなどに打診

日本の外食市場はピークの97年(約29兆円)から14年は約24兆円と2割弱縮小した。
日本マクドナルドホールディングスは、アメリカ・マクドナルドのフランチャイズ企業。
1971年に故藤田田氏率いる藤田商店と米マクドナルドが共同出資で設立し、同年7月に東京・銀座に1号店を開いた。
2001年にジャスダック上場。02年に持ち株会社に移行した。
03年に藤田商店と契約を解除し、米マクドナルド主導の経営体制となった。

日本国内のマクドナルドは2011年(平成23年)現在、約3,300店舗で展開している。
日本のハンバーガー市場におけるシェアは、1990年代後半から2000年代において60%台〜70%台を獲得してきた。
気軽に食べられるので、一時期は利用したが、飽きてくるのは仕方がないだろう。
これから撤退戦ということだろうが、前途は多難だろうなあ。

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2015年12月22日 (火)

ドイツ東西統一のコンダクター・クルトマズア/追悼(79)

現代ドイツの名指揮者クルト・マズア氏が19日亡くなった。
88歳だった。
ベルリンの壁崩壊につながったとされる1989年10月9日のライプツィヒの月曜デモにおいて、民主化を要求するデモ参加者が7万人に達し、秘密警察と軍隊の銃口が市民に向けられた。
4ヶ月前の天安門事件の二の舞になることを恐れたマズアは、東ドイツ当局に対して市民への武力行使を避け、平和的解決を要望するメッセージを発表した。
1994年5月にリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー大統領が退任した際には、一時キリスト教民主同盟の大統領候補に擬せられたこともあった。
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東京新聞12月21日

日本とも縁が深かった。
1979年に読売日本交響楽団の名誉指揮者に就任し、何度も共演を繰り返してきた。
声楽家の桜井偕子と結婚し息子ケン・マズア(Ken-David Masur)をもうけた。
1991年から2002年まで、ズービン・メータの後を受ける形でニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督を務めた。
2000年にロンドン・フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者に就任(2000-2007)し、2002年4月からはフランス国立管弦楽団の音楽監督(2002-2008)も務めた。

1990年代からライプツィヒにゆかりのあるフェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディの作品の研究と普及に努めた。
荒廃していた住居を再建したほか、1991年にフェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ基金を設立し、メンデルスゾーンの再評価を進めた。
合掌。

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2015年12月21日 (月)

バブル経済と名門企業の退場/戦後史断章(22)

戦後の経済でバブルと呼ばれるのは、Wikipediaで、次のように』説明する時期である。

バブル景気(バブルけいき)は、景気動向指数(CI)上は、1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月までの51か月間に、日本で起こった資産価格の上昇と好景気、およびそれに付随して起こった社会現象とされる。情勢自体はバブル経済と同一であり、平成景気(へいせいけいき)や平成バブル景気(へいせいばぶるけいき)とも呼ばれる。日本国政府の公式見解では数値上、第11循環という呼称で、指標を示している。
ただし、多くの人が好景気の雰囲気を感じ始めたのはブラックマンデーをすぎた1988年頃からであり、政府見解では、1992年2月までこの好景気の雰囲気は維持されていたと考えられている。

東京新聞の連載『甦る経済秘史(8)日銀「空白の1年」 バブル経済狂乱を放置』に次のような記述がある。

 一九八八年。住宅は次々マンションに、山はゴルフ場に変貌。東京圏の住宅地地価は一年で七割上がった。一軒三十一億円の建売住宅が売り出され、五百万円前後の日産自動車のシーマに予約が殺到。経済成長率は7%を超えていた。
 背後にいたのは銀行。土地を担保にどんどん金を貸した。
 「無担保なら五千万円、有担保なら五億円まで貸します」。日銀調査統計局長だった南原晃(82)の家にも銀行員が訪れ、不動産投資を勧誘。南原は「地価が崩れたらどうなるのか」と警鐘を鳴らすリポート作成に着手した。
 「銀行も証券もたがが外れて、めちゃくちゃに走ってる」。調査担当理事・鈴木淑夫(84)に、営業担当理事の佃亮二(84)は不安をぶつけた。
 だが「円卓」の座につけば皆、下を向き沈黙した。
 「総裁も副総裁も動けないのが分かっているのに、利上げを話題に出すこと自体、大人げない感じがあった」と鈴木が円卓の状況を証言する。米国の経常赤字削減のために円高を決めた八五年のプラザ合意を受け、日銀は景気への打撃を和らげようと2・5%まで利下げ。八七年には副総裁の三重野康が物価を簡単に火がつく「乾いた薪」に例えて利上げを探る。だが、十月に米国で株が急落する「ブラックマンデー」が発生。金融恐慌を警戒する米国に配慮、大蔵省は利上げをとどまるよう強力に圧力をかけていた。
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この時期、多くの名門企業が取り返しのつかない傷を負った。
日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、山一證券、三洋証券等々である。
⇒2008年7月19日 (土):旧長銀粉飾決算事件
⇒2009年1月26日 (月):長銀粉飾決算事件再考
⇒2009年1月27日 (火):長銀粉飾決算事件再考②

バブル期を代表する人物に故高橋治則氏がいる。
イ・アイ・イ・インターナショナルの社長として、リゾート施設を中心に総資産1兆円超の企業グループを構築した人である。
背任容疑で東京地検特捜部に逮捕・起訴されていたが、東京高裁より懲役3年6ヶ月の実刑判決を受け、最高裁判所に上告中の2005年クモ膜下出血により59歳で死去した。

高橋氏と親密交際が問題視されたのが、大蔵省主計局次長などを務めた中島義雄氏である。
1997年、京セラ入社して、京セラミタ専務、京セラ北京代表所首席代表等を経て、2005年、船井電機取締役兼執行役副社長に就任した。
その後、2009年にセーラー万年筆に常務取締役として入社し、12月に前社長死去に伴い社長に就任した。
最近、社長を解任されたことがニュースになった。

老舗の文具メーカー「セーラー万年筆」の社長交代をめぐり、会社側と前社長が対立する異例の事態となっている。同社は12月12日、代表取締役社長だった中島義雄氏が「代表権のない取締役」となり、代わりに比佐泰取締役が代表取締役社長になるという決議を、取締役会でおこなったと発表した。その2日後、この決議が、中島氏を除く4人の社内取締役による「社長解任」だったことが明らかにされた。
一方、中島氏は12月14日、「社長解任の決議は無効」として、社長の地位の確認を求めて、東京地裁に仮処分を申請した。そのような動きに対して、セーラー万年筆はウェブサイトで、中島氏の社長としての行動に問題があったので他の社内取締役たちが辞職を求めたが、拒否されたために社長解任を決議した、という経緯を説明。定時取締役会における解任決議の手続に問題はなく、有効であると主張している。
セーラー万年筆「社長解任劇」が話題

バブル経済を「概ね不動産や株式をはじめとした時価資産価格が、投機によって経済成長以上のペースで高騰して実体経済から大幅にかけ離れ、しかしそれ以上は投機によっても支えきれなくなるまでの経済状態を指す」(Wikipedia)としたら、現在もそうではないか、という気がする。

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2015年12月20日 (日)

COP21と中国大気汚染と日本の原発輸出/技術論と文明論(37)

地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」を採択した国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が閉幕した。
パリ協定は1997年に採択された京都議定書に代わる、18年ぶりの温暖化対策の世界的なルールである。
今世紀後半に温室効果ガス排出の「実質ゼロ」を目指し、条約に加盟する196カ国・地域が参加する初めての国際的な枠組みとなった。
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COP21合意 「全員参加」枠組み優先 途上国支援、協定に盛らず

科学的な議論にはなかなか確定的なことは言えないだろうが、身近なところで異常気象が頻発するようになっているのは事実だろう。
国家の利害を超えた問題であることについて、不十分なものであるにしても国際社会が協調しようということは大きな成果だろう。

時を同じくして、中国の大気汚染が深刻な状況になっている。
12月7日、北京市政府は重度の大気汚染が長く続くと予測されたことから、4段階ある警報のうち最も重い「赤色警報」を初めて出した。
TVなどで見る限り人間の棲息環境とは思えない。
日本でも高度成長期には、四日市等で大気汚染が進み、ぜんそくなどが多発した。
当時はPM2.5などという指標は用いられなかったように記憶する。

大気や海洋は流動するので、全地球規模に拡散する。
かつては拡散によって被害が発生する濃度以下になると楽観的に考えられていたが、キャパシティとの兼ね合いであることも広く認識されるようになった。
ローマクラブが「成長の限界」を提言したのは1972年のことだから、40年以上が経つ。
そろそろ本気で取り組まないと手遅れになるだろう。

COP21において、日本の存在感は小さかったようだ。
政府は、石炭火力や原発に執着し、再生エネ導入に消極的だ。
世界から温暖化にも後ろ向き、危機感の薄い国だと見られているのも致し方あるまい。

インドを訪問した安倍晋三首相はモディ首相と会談し、日本の原発輸出を可能にする原子力協定締結に原則合意した。
インドは核拡散防止条約(NPT)にも包括的核実験禁止条約(CTBT)にも加盟していない。
日本がNPT未加盟国と原子力協定を結ぶのは初めてで、唯一の被爆国として追求してきた「核なき世界」に逆行し、大きな禍根を残すものといえよう。

東京電力福島第1原発事故の収束のめども立っていないし、核燃料サイクルについても見通しが立っていない。
原発を輸出している場合ではないと考えるのは私だけではないだろう。

今や、風力や太陽光など再生可能エネルギーの時代である。
早く再エネに切り替えて脱炭素社会を築かないと、時代の趨勢に取り残されるだろう。
必然性を洞察し得るリーダーが期待される。

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2015年12月19日 (土)

五輪エンブレム選考における不正/知的生産の方法(138)

9月に白紙撤回となった2020年東京五輪の旧エンブレム(佐野研二郎氏デザイン)の選考過程に不適切な投票があった。
公表された外部有識者の調査結果によれば、、「1次審査で、(公募コンペに)事前に参加を要請した8人のうち2人に対して不適切な投票があった」。

 報告書では、審査委員代表だった永井一正氏は、組織委マーケティング局長だった槙英俊氏と、組織委クリエイティブ・ディレクターで審査委員を兼ねた高崎卓馬氏に、8人全員が2次審査へ進むよう事前に要望。1次は審査委員(8人)が104作品に対して1人1票、最大20作品に投票し、2票以上を得た作品が2次に進む仕組みだった。8人の作品を把握していたディレクターはうち2人の作品は1票しかないことを永井氏に耳打ちし、該当作品を指して教え、永井氏が2作品に投票した。報告書は「マーケティング局長やディレクターが、秘密裏に審査委員代表に追加投票させた行為はいわば隠れシード。明らかな不正」と認定した。
 ただ、2作品は2次で落選。調査した和田衛・元東京地検検事は「2次以降は(特定作品を)通すと話し合われた事実はなかった」とし、入選作の決定に影響は及ぼさなかったとした。
白紙撤回の五輪エンブレム選考過程で「不適切な投票」

報告書は、佐野氏の作品はいずれの審査過程でも最多得票で通過しており、「佐野氏の当選があらかじめ決まっていた『出来レース』ではない」としている。
しかし、それは甘い見方だろう。
週刊新潮9月17日号に、「出来レース」の様子が解説されている。

審査委員8人の中に1人だけ、早くから修正について把握していた人物がいる。大手広告代理店「電通」の社員、高崎卓馬氏(45)。彼はエンブレムの審査委員であるのと同時に、「五輪組織委員会のクリエーティブ・ディレクターでもある。
⇒2015年9月23日 (水):五輪エンブレム問題に見る知の衰退/知的生産の方法(128)

図解すれば次のようである。
Img_2
東京新聞12月19日

審査員については下図のような相関図がある。
Photo
http://deliciousicecoffee.blog28.fc2.com/blog-entry-5943.html

要するに、内輪のサークルの互助会のような形でやっているのだ。
オリンピックが商業化した必然的な結果なのだろうが。

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2015年12月18日 (金)

FRBの利上げの見通しと影響/世界史の動向(39)

米連邦準備理事会(FRB)が12月16日、9年半ぶりとなる政策金利の引き上げを決めた。
リーマン・ショック後の2008年12月に導入したゼロ金利政策を解除し、フェデラルファンド金利(FF金利)の誘導目標を0~0.25%から0.25〜0.50%へと変更した。

金利の動向は下図のようである。
Ws000001
米利上げ、どう進む 過去の局面と比較

過去の利上げの状況と今回の見通しは?
Ws000002
米利上げ、どう進む 過去の局面と比較

16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に3日続伸した。
米景気の回復が着実に進んでいるとの見方が広がり、運用リスクをとる動きが強まった。

日本市場に対してはどう影響するであろうか?
17日の日経平均は、300円余上げ、2日連続高だったが、18日は前日の上昇分を打ち消した。
Ws000000

12月に入ってからの波乱含みである。
「東洋経済」誌は次のように見る。

日本株については、為替相場がポイントになる。米利上げ後のドル円相場はドル安・円高に転換し、早ければ3月、遅くとも5月ごろにドルは底値をつけるだろう。過去の利上げ局面を前提とすれば、ドル円相場の想定は最低でも112円、メインシナリオで108円、最大で102円となる。これを受けて、日本株はいったん下押すだろう。その後は反転し、2016年末に向けてドルは上昇し、日本株も回復するだろう。当面は1万8500円から1万8000円程度までの調整を視野に入れながら、上値を買わないことが肝要だ。

1929年の世界大恐慌では、借入金利を上げた途端に歴史的大暴落が起きた。
株式市場からお金が一気に逃げ出して、株価の大暴落が起こる可能性が高いとも言われる。
アベノミクスの詐術的相場操縦が限界にきていることは間違いないだろう。

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2015年12月17日 (木)

夫婦は同姓でなければならないか?/日本の針路(267)

最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)が、家族のあり方をめぐる民法の規定について、憲法判断を示した。
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東京新聞12月17日

夫婦別姓を認めない民法750条が憲法違反かどうかが争われた訴訟では、「結婚時に夫または妻の姓(氏)を名乗る」との規定を「家族の呼称を一つに定めることには合理性があり、女性の不利益は通称使用で緩和できる」と、合憲と判断した。
女性のみ再婚を6カ月間禁じる民法733条をめぐる訴訟では、100日を超える部分を「生まれた子の父の推定には不要で違憲だ」とした。

民法の条文は以下のようである。
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なぜ選択的夫婦別姓は最高裁で退けられたのか

違憲とされた733条は、国会で改正されることになる。
ここでは750条について考えてみたい。

最高裁は、「いずれの姓を名乗るかは夫婦の協議に委ねており、規定には男女の形式的な不平等はなく、憲法違反とはいえない」とした。
ただ、希望すれば結婚前のそれぞれの姓を名乗れる「選択的夫婦別姓制度」にも一定の合理性を認め、「どのような制度にすべきかは、社会の受け止め方を踏まえ、国会で論じられ判断されるべきだ」と、国会での積極的な議論を促した。
果たして国会はどう判断するであろうか?

注目すべきは女性裁判官3人が全員、違憲と判断したことだ。
「多くの女性が姓の変更による不利益を避けるため事実婚を選んでいる。別姓を全く認めないことに合理性は認められない」などとした。
また4人の弁護士出身者の内、3人は違憲判断だった。
現在の規定が「合憲」との判決は、裁判官15人のうち10人の多数意見である。
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夫婦別姓認めぬ規定「合憲」 最高裁初判断 「家族の姓一つに合理性」


法相の諮問機関の法制審議会は、平成8(1996)年、選択的夫婦別姓を導入するよう東進している。
判決は「姓の変更で不利益を受けるのは女性の場合が多いと思われる」と認めたが、旧姓の通称使用が一般的になっていることなどから、「個人の尊厳と男女の平等に照らして合理性を欠く制度とは認められない」と結論づけた。

選択的夫婦別姓に対する慎重論は、「夫婦や親子など家族のあり方が損なわれる」というものが多いという。
確かに山極寿一『 「サル化」する人間社会』 集英社インターナショナル(2014年7月)で語られているように、家族というものが人間を特徴づける要素であるにも拘わらず、個体化とグローバル化の同時進行によって、家族が崩壊しつつあるように見える。
しかし、それが夫婦同姓か否かで変わるのであろうか?
基本的には無関係であろう。

私の知り合いにも、職場での通称として、旧姓を用いている人がいる。
だから「問題ない」とは言えないだろう。
今回の最高裁判決も、結局は問題を国会に預けているだけではないだろうか。
「違憲とは言えない」という消極的な合憲論である。
国会が動かないから裁判に訴えたのだと考えると、裁判所で積極的な見解を出すべきであったと思う。

 

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2015年12月16日 (水)

今年の漢字についての違和感/ブランド・企業論(43)

今年の世相を1字で表す師走恒例の「今年の漢字」が「安」に決まった。
京都市東山区の清水寺で15日、森清範貫主が縦1.5メートル、横1.3メートルの越前和紙に特大の筆で揮毫した。

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森貫主は「来年は安全な社会をつくっていこうという皆さまの総意ではないか」と話した。
 インターネットやハガキなどからの応募総数12万9647票のうち「安」は5632票(4・34%)を集めた。
 ベストテンは2位「爆」3位「戦」4位「結」5位「五」6位「賞」7位「偽」8位「争」9位「変」10位「勝」。
“師走恒例”今年の漢字は「安」 2位は「爆」3位「戦」

主催者の公益財団法人日本漢字能力検定協会のリリースは以下のようである。
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http://www.kanken.or.jp/kanji2015/

なんだかなあ、という感じではなかろうか。
今年の世界情勢を振り返ると、「安」はとても選べないと思うが。
まあ、投票の結果であるから誰も責任を問われない。
日本漢字能力検定協会は、資金の莫大の流用が問題になったことがあるが、公益財団法人として生き長らえているらしい。
さも権威あるものの如くであるが、漢字に関する見識はどうなのだろうか?

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2015年12月15日 (火)

プロレスのような軽減税率の与党合意/日本の針路(266)

与党間で、再来年の消費税10%引き上げ時に導入される軽減税率の対象が「酒類と外食を除く飲食料品全般」で合意された。
果たしてスッキリと区分できたであろうか?

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 戸惑いは、修学旅行生らでにぎわう「京の台所」、錦市場(京都市中京区)でも同じだ。
 食べ歩けるよう、だし巻き卵などを串に刺して販売する「山元馬場(ばんば)商店」は魚介類などの生鮮・加工品を取り扱う。馬場節子さん(66)は「うちは持ち帰りが前提の加工品だ」といい、軽減対象になると考えている。
 一方、外国人観光客も多い錦市場では、店頭などで食べることができる仕組みを取る店舗も増えている。店内にイートインコーナーを設けている店のある男性店員は「路地が狭く、食べ歩きで迷惑がかかることがあるので、コーナーを設けた。外食にはあたらない」と自信をみせた。
 東京から来た女性観光客は「商品を持ち帰れば税金が安くなるのなら、持ち帰るお客が増えるのでは。外食店の意味がなくなる」と話した。
軽減税率 たこ焼きは8%?10%? 「ルールはっきりして」店に戸惑い…

しかし線引きの結果はともかくとして、軽減税率の対象品目の線引きをめぐる与党間の議論には違和感を覚える。
来年夏の参院選をにらんだ選挙対策が優先され、本来税のあり方はどうあるべきか、という議論が見えてこないのだ。
なぜ法人税率を引き下げ、消費税率を上げるのか?
所得税はどうなのか?

日本の税の内訳は以下のようである。
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⇒2015年11月29日 (日):税構造と日本経済の停滞の原因/アベノミクスの危うさ(60)

外食の範囲など、本質を逸らすための議論ではないか?
プロレスのような馴れ合いの議論の欺されてはいけない。

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2015年12月14日 (月)

国公立大学授業料は安くすべし/日本の針路(265)

2015年のノーベル賞授賞式が終わった。
まあ私が興奮することもないだろうが、日本のサイエンティストがごく当たり前のようにノーベル賞を受賞するのは、やはりすごいことではないか。
それにしても国立大学の授業料は高騰し続けているが、もっと低廉に収めるようにすべきだと思う。
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http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab200901/detail/1296707.htm

特に経済的理由で大学に進学できないようなことを極小化すべきである。
大村さんも梶田さんも、学部は地方国立大学であることが共通である。
下図は国公立大学授業料と奨学金制度である。
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http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpab200901/detail/1296707.htm

日本が授業料に比して奨学金制度が貧弱であることが分かる。
昔のことを言っても仕方がないが、私の学生時代の国立大学の授業料は安かった。
私立大学との授業料格差は今よりずっと大きかった。
特別奨学金を支給されれば、親の負担をミニマム化できたのである。

私のように母子家庭であったとしても、適度のアルバイトで大学に進学できた。
もちろんその頃でも、東大進学家庭はブルジョワが多かったのは事実であり、それは教育環境の格差が主たる原因であった。
しかし現在のような著しい格差はなかったのである。
教育の機会均等こそが「国家百年の計」ではないか。

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2015年12月13日 (日)

日本国民を窮乏化させる安倍政権/アベノミクスの危うさ(65)

総務省が11月17日に発表した10月の家計調査によると、2人以上世帯の実質消費は対前年比-2.4%に終わった。
実質個人消費は消費税率引き上げの影響を受けて 2014 年 4~6 月期に前期比
-5.0%と急減した後、前期比+0.3%程度での緩やかな持ち直し基調にあったが、家計は苦しくなっていると言って良い。
エンゲル係数の推移は下図のようである。
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三菱UFJリサーチ&コンサルティング

エンゲル係数とは、消費支出のうち、どれぐらい食料費に使われたかを示す数字であるが、2013 年度までは 22%程度で安定して推移していた。
消費税率引き上げの影響も加わって 2014 年度に水準が急速に切り上がった後、2015 年度に入ってからはさらに高くなっている。
生鮮食品も含めて食料品価格の値上がりが続いている影響が大きいと考えられる。
「「三本の矢」の政策によって経済を成長させ、(略)経済の好循環を我々は作り出すことができたわけでございます・・・・・・」と安倍首相が自賛するのは、とんでもない認識違いということだ。
現に、日本国民は窮乏化しているのだ。

国民は、14年4月の消費税増税で、実質賃金を一気に引き下げられた。
当然、実質消費も大幅にマイナスとなったが、その14年と比べてすら、15年は実質の所得や消費が減っているのが現実だ。
安倍首相達は何度も「民主党政権では経済が衰退した」と言ってるが、実は民主党政権時代に日本の経済は大幅に成長していた。
民主党政権の3年3ヶ月で日本のGDPは5%強も成長したのに対して、安倍政権の2年間で成長したGDPの値は僅かに1.5%だけとなっているのだ。
また、実質賃金に関しても民主党政権はリーマンショック時のマイナス5%から1年でプラス3%に回復させました。
これは東日本大震災の影響も合わせた値で、未だに実質賃金がマイナス状態の自民党政権とは雲泥の差がある。
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「民主党で経済衰退した」はデマ!逆に安倍政権の方が経済弱体化!

甘利明経済財政・再生相は27日午前の閣議後の記者会見で、同日に総務省が発表した10月の家計調査で実質消費支出がマイナスとなったことについて「ここが正念場になっているのだと思う」と話した。
担当大臣が、「正念場」「安心感」などの抽象用語しか発せられないのでは、改善は見込めない。
安倍政権は口先では「消費者に安心感を」などと言いつつ、労働者派遣法改正、外国人労働者受け入れ拡大等、雇用を不安定化させ、生産者の実質賃金を引き下げる政策ばかりを推進してる。
消費者が安心して消費を増やせる環境を作らないと、経済成長など夢のまた夢であることが分からないらしい。
お坊ちゃんたちは困ったものだ。

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2015年12月12日 (土)

続続・安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(64)

安倍首相はやはり「裸の王様」なんだと思う。
最近のアベノミクスについての発言は、「自画自賛」と「大言壮語」のてんこ盛りである。
アベノミクスの成果をことさらに強調し、「1億総活躍社会」実現の緊急対策でも、実現の道筋の見えない目標数値が並び、政策の体をなしていない。
⇒2015年12月 9日 (水):一億総活躍社会をどう実現するのか/日本の針路(263)

「文藝春秋」12月号の『「一億総活躍」わが真意』では、次のように書いている。

一ドル八十円を切るような行き過ぎた円高は、是正されました。日経平均株価も八千円台から二倍以上、上昇しました。・・・・・・

また、11月26日、「1億総活躍社会」実現に向けた緊急対策が発表された際、次のように述べた。

「三本の矢」の政策によって経済を成長させ、(略)経済の好循環を我々は作り出すことができたわけでございます・・・・・・

安倍首相の執務室には株価ボードがあるという話だが、罫線だけで経済を判断しているとしたら進路を誤るだろう。
「その国のGDPと上場株式の時価総額の総和を比べたもの」を、バフェット指標という。
投資の神様とも言われウォーレン・バフェットが愛用したことに因む、
2015年4月~6月の国内総生産(GDP )は、マイナス成長で約500兆円だった。
一方で、東証1部の時価総額 が610兆円と過去最高を更新した。
2012年12月の安倍政権発足時のGDPは約475兆円だった。
同じ時期の東証一部株式総額は約250兆円に過ぎなかった。その後の2年半で株価は2.4倍になった。

バフェット指標を指数化した「バフェット指数」は、第二次安倍政権発足時が0.52で、15年5月は1.25だった。
約2.4倍である。
つまり、バフェット指数と株価がパラレルである。
GDPが成長していないのに、株価だけが高いのだ。
それがGPIFなどの公的資金投入によるものであることは既に指摘した。
⇒2015年4月14日 (火):株価2万円のカラクリ/アベノミクスの危うさ(51)
⇒2015年12月 1日 (火):究極の公私混同と言うべきGPIFの資金運用/アベノミクスの危うさ(61)

「第一ステージ」は、安倍首相の自賛とは裏腹に、目論見を実現し得ていないと言うべきであろう。
大前研一氏は、「第二ステージ」として「新三本の矢」を打ち出した目的を次のように説明している。

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1つは新しい時代を提案し気持ちを切り替えさせることです。これによって集団的自衛権問題ではなく、議論を呼ぶような内容を3つ提案したのでこちらに争点を移してくださいと言うメッセージです。
もう一つの狙いは、古い三本の矢がうまくいかないので、これを忘れてくださいということです。消しゴムで消すわけにはいかないので新しい目標を提案したというわけです。そしてその新しい目標では、GDPの目標は600兆円です。子育て支援では待機児童ゼロを目指し、社会保障の面では、問題になっている介護離職をゼロにすると言うのです。言葉だけ聞くとすべてにいいね!をつけたくなるような政策です。しかし具体的に考えると、GDP 2%の増加ができないアベノミクスに600兆円が実現できると言うのでしょうか。まさに目くらましの三本の矢であり、目に矢を入れて見えなくしようと言う狙いなのです。
http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/backnumber/20150930-2/

しかし、安倍首相は本気で、第一ステージはうまく行ったと思っているのかも知れない。
取り巻きが本当のことを言えない「裸の王様」だからだ。
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)
⇒2014年11月27日 (木):続・安倍首相は裸の王様か?/日本の針路(76)

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2015年12月11日 (金)

焼け跡闇市派のダンディズム・野坂昭如/追悼(78)

作家の野坂昭如さんが、9日、心不全のため亡くなった。
1930年、鎌倉に生まれたが、間もなく母が亡くなり、神戸市内の親類の養子となった。
昭和20(1945)年の神戸大空襲で家を焼かれ養父も亡くなり、義妹は疎開先の福井県で栄養失調で亡くなった。
代表作『火垂るの墓』は、このような体験を元にして生まれた。
反戦の姿勢は生涯を貫くバックボーンだった。

Photo
http://www.asahi.com/culture/news_culture/images/TKY201203150222.jpg

2003年に脳梗塞で倒れた。
「焼跡闇市派」を自任し、本業の作家以外にも作詞や政治など多彩な活動で話題を集めた。
参院議員にもなったが、脳梗塞後はリハビリを続けながら執筆活動を行なっていた。

昭和25(1950)年、早稲田大文学部仏文科に入学。
私の親しくさせて戴いていた先輩が同期生だったが、やはり今年亡くなった。
逞しく生きてきた「焼跡闇市派」も鬼籍に入る歳になったのだなあ、と思う。

昭和37(1962)年に刊行した『プレイボーイ入門』で「元祖プレイボーイ」として脚光を浴びた。
昭和38(1963)年に、「おもちゃのチャチャチャ」で第5回日本レコード大賞童謡賞を受賞するなど、作詞家としても活躍した。
昭和42(1967)年には、『火垂るの墓』『アメリカひじき』で直木賞を受賞し、作家・文筆家としての地位を確立した。
サングラスを愛用したのは、シャイの表れだったのだろう。
斎藤龍鳳流に言えば『何が粋かよ』であろう。

脳梗塞で倒れた後も旺盛な好奇心を持ち続けていたように思われる。
とかく厄介者扱いされたり、自分が積極性を無くしたりしがちである。
同病の先輩として見習うこと多しである。
合掌。

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2015年12月10日 (木)

新国立競技場問題は安倍一強状況の産物/日本の針路(264)

2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設計画は白紙撤回となった。
建築家の槙文彦氏らの問題の指摘があったにも関わらず、なぜ早期に計画の見直しができなかったのか?

新国立競技場の建設計画の問題点を、早くから指摘してきた(2013年8月の論文)。大枠では、景観への影響やキールアーチについて。細部では、ライブ会場として使用するには残響時間に対する高度な電気補助機能が必要になること、透過型屋根による室内温度上昇の懸念など。
槇グループとして、大野秀敏、中村勉、元倉眞琴、山本圭介、古市徹雄らも問題点追及に加わった。
なお、槇自身2012年の国際デザインコンペの応募資格を満たしていたが、応募しなかった。逆にほぼ著名建築家しか応募できないという条件への疑問、そして第一には敷地が広くないところでその10倍の施設をつくるという設計条件をミスマッチだと直感的に感じたため、という。「コンペへの不参加声明を出して、メッセージを出してもよかったのでは」という意見(高崎正治)もあった。
2015年7月のザハ・ハディド案の白紙化決定後も、縮小案を提案するなど活動している。ただし同月、やり直しとなる国際コンペへの参加を否定し、その審査委員の依頼があっても受けない姿勢を示した。
(8万人でなく)5万 - 6万人規模を推奨する理由として、立地上、災害などで避難誘導するのは難しいことも挙げている。
Wikipedia

東京新聞が文科省第三者委員会の聴取録を分析し、安倍晋三首相のスピーチがきっかけで後戻りしにくくなったことを示した。
安倍一強の状況が自由に議論することを妨げていると言えよう。
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東京新聞12月10日

 「どんな競技場とも似ていない真新しいスタジアムから財政措置まで、二〇年東京大会は確実に実行されます」
 アルゼンチン・ブエノスアイレスで一三年九月に開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会。安倍首相は英語のプレゼンテーションで招致を訴えた。巨大アーチが屋根を支える斬新なハディド氏のイメージ図も紹介された。
 JSCは当初千三百億円の工費を見込んだが、ハディド氏案を試算すると三千億円超に。IOC総会の一カ月前、文科省に報告した。二週間余り前には、工費削減を検討するため、千二百億~三千四百億円程度の七案も伝えた。
 聴取録からは担当者の危機感が伝わる。設計会社は「思い切ったことをやらないとだめ」、JSCは「二位案への変更は考えないのかと文科省に提案した」、文科省は「千三百億円程度に抑える作業を」-。
 だが招致決定後、総会での首相の“公約”に縛られる。JSCの河野一郎理事長(当時)は、首相のプレゼンで「ハディド案をベースに置くことは決まったと思う」と振り返る。別のJSC幹部も「周りの雰囲気は変わっていった」と話した。その後、工費がかかるとされたアーチなどには手を付けず、机上の試算が繰り返された。
 聴取録からは、硬直化した官僚組織もかいま見える。今月下旬に新計画の設計・施工業者が決まるのを前に、特集面で「先送りの内幕」を検証した。
新国立 首相演説が撤回の足かせ 第三者委聴取録を本紙入手

強権的な手法は、結局は高くつくのだ。
福島第一原発事故の汚染水問題といい、首相の独走(暴走)に歯止めをかける人材が自民党から消えてしまったのが問題である。

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2015年12月 9日 (水)

一億総活躍社会をどう実現するのか/日本の針路(263)

政府は、「一億総活躍国民会議」を開き、希望出生率1.8、介護離職ゼロなどの達成に向けて保育と介護の受け皿をそれぞれ、新たに50万人分拡充することなどを盛り込んだ、緊急対策を取りまとめた。
政府は、安倍総理大臣が掲げる一億総活躍社会の実現に向けた施策を検討する国民会議を、26日総理大臣官邸で開き、GDP=国内総生産600兆円、結婚や出産が希望どおり実現した場合の子どもの数=希望出生率1.8、介護離職ゼロの、3つの目標を達成するための緊急対策を取りまとめました。
緊急対策は、基本的に今年度の補正予算案で対応する、「特に緊急に対応すべき施策」と、来年度以降対応する施策に分類されています。
このうち「特に緊急に対応すべき施策」として、GDP600兆円に向けて、所得の低い年金受給者に対し、現金給付を行うとしています。
また、希望出生率1.8を実現するために、平成29年度末までに保育所などの保育サービスの受け皿を新たに50万人分拡充することや、不妊治療への助成の拡充、それに3世代同居のための住宅建設支援などを盛り込んでいます。
さらに介護離職ゼロに向けて、2020年代初めまでに特別養護老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅など介護サービスの受け皿を新たに50万人分拡充することや、都市部に特別養護老人ホームなどを確保するため、国有地の賃料を減額したり、設置基準を緩和したりすることを明記しています。
政府 一億総活躍社会へ 緊急対策取りまとめ
一億総活躍社会は、安倍首相が内閣改造にあたって掲げたスローガンである。
官邸のサイトには、次のような図で説明されている。
1
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/kinkyu_taisaku/hontai.pdf

的は、「GDP600兆円」「希望出生率1.8」「介護離職ゼロ」という数値である。
いずれもかなり達成するのが困難な的というのが、直感的に思うことである。

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東京新聞12月9日

2025年には団塊の世代が後期高齢者になる。
認知症患者を含め要介護人口は増大するのは避けられないと思われる。
厚労省は在宅医療・介護の方針が打ち出されているが、介護と職業生活をどう両立させるのか?

自民党の1億総活躍推進本部では27日、政府の緊急対策に対して「全体のつながりが見えない」などの批判が続出。同日の全国知事会議でも、1億総活躍が打ち出されたことで「地方創生」が後退しているのではないかとの声が相次いだ。
 党側が問題視するのは、子育て支援や介護の充実を打ち出したものの、財源が示されず、各府省の連携も不足しているとみられる点だ。わざわざ1億総活躍を掲げて期待に応えられなかった場合を懸念する声に対し、加藤氏は「来春に向けてしっかりと(正式なプランを)とりまとめていく」と繰り返した。
 一方、全国知事会は27日、「地方創生なくして1億総活躍社会の実現はない」との緊急決議を採択した。政権を挙げて1億総活躍に注力する中、昨年の看板政策だった「地方創生」がおざなりになりかねないとの懸念が知事会側にはある。1億総活躍で大都市での介護や保育の拡充が進めば、地方の人材不足が強まるとの危機感もある。
1億総活躍:緊急対策に批判続出 「地方創生おざなり」
そもそも「第一ステージ」の総括をもっと厳しく見ないと、「第二ステージ」もうまく行かないだろう。
PDCAという基本が重要であるが、自己陶酔型の安倍首相には無理だろうなあ。
⇒2015年11月18日 (水):虚妄の景気回復シナリオ/アベノミクスの危うさ(59)
⇒2015年12月 1日 (火):究極の公私混同と言うべきGPIFの資金運用/アベノミクスの危うさ(61)

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2015年12月 8日 (火)

開戦の大詔渙発と30年代戦争の捉え方/日本の針路(263)

昭和16(1941)年12月8日、アメリカ、イギリスに対する開戦の「大詔が渙発」された。
当時の雰囲気は新聞の紙面から伝わってくる。
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ハワイ真珠湾攻撃の検証

東條首相はラジオで次のように決意を述べた。

ただいま、宣戦の御詔勅が煥発されました。精鋭なる帝国陸海軍は今や決死の戦いを行いつつあります。東亜全局の平和は、これを念願する帝国のあらゆる努力にも関わらず、ついに決裂のやむなきに至ったのであります。
過般來、政府はあらゆる手段を尽くし、対米国交調整の成立に努力して参りましたが、彼は従来の主張を一歩も譲らざるのみならず、かえって英蘭支と連合して、
・・・・・・
帝国の隆替、東亜の興廃、正にこの一戦にあり。一億国民が一切を挙げて国に報い、国に殉ずるの時は今であります。八紘を宇となす皇謨の下に、この尽忠報国の大精神ある限り、英米といえども何ら恐るるに足らないのであります。勝利は常に御稜威の下にありと確信致すものであります。
私はここに謹んで微衷を披瀝し、国民とともに大業翼賛の丹心を誓う次第であります。終わり。
日本ニュース 第79号

今読めば、ずいぶんな時代錯誤と思うが、当時の圧倒的な時代の空気であったと言えよう。
しかし東條首相の演説にもあるように、12月8日に突然戦争が始まったのではない。
「過般來、政府はあらゆる手段を尽くし、対米国交調整の成立に努力して参りましたが」というのはあながち誤りとは言えない。

その前史をどう捉えるか?
今年の天皇年頭所感の中に次のような言葉がある。

本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています。

これに対し、池田信夫氏が「このように30年代以降の戦争を一まとめにするのは間違いのもとだ」と異を唱えている。

特に満州事変と日中戦争の違いを認識することは重要である。前者は明治維新(あるいは幕末)から一貫するロシア南下に対する防衛戦であり、戦略的な必然性があった。これは膨張主義といわれればその通りだが、全陸地の80%を領土にしたヨーロッパ諸国に比べれば、ごく控えめな膨張主義だった。
それが国際法にいう「侵略」だったことも間違いないが、丸山眞男もいうように、侵略という概念は1928年の不戦条約でできたもので、それ以前のヨーロッパ諸国の植民地支配は不問にして、その既得権に対する挑戦を違法化するご都合主義である。リットン調査団は日本の権益を認めたので、日本が国際連盟を脱退する必要はなかった。
川田稔氏も指摘するように、満州事変は関東軍の突出ではなく、陸軍中央の計画的な行動だった。永田鉄山も石原莞爾も、日本の戦力が不足していることを認識しており、対ソ戦だけで精一杯だと考えていた。日本の満州支配は、イギリスなどの植民地支配のように現地から掠奪するのではなく、満州に物資を供給して対ソ戦の橋頭堡にするもので、その収支は大幅な赤字だった。
最大の岐路は、満州事変より1932年以降の関東軍の南進にある。参謀本部に戻った石原はこれに強く反対したが、関東軍参謀の武藤章は「われわれは柳条湖で閣下がやったようにやっているだけです」と一笑に付した。その後も陸軍は上海から南京に戦線を拡大し、収拾がつかなくなった。
日中戦争(支那事変)は満州事変とは違ってまったく計画性のない、なりゆきまかせの戦線拡大だった。補給体制もなかったので「現地調達」になり、予備役まで動員されたため、軍紀が乱れた。「南京大虐殺」といわれるほど大規模な民間人の殺害があったとは考えられないが、そういう素地はあった。
だから戦争が泥沼化した最大の責任は、武藤に代表される陸軍の中間管理職にある。そしてこういう「空気」が醸成されたとき、政治家やマスコミが軍部より突出したタカ派になり、「爾後国民政府を対手とせず」という近衛声明で、日本は引き返せなくなった。
このように30年代の戦争は一貫した「15年戦争」ではなく、そのつど短期決戦で勝負がつくと考えて戦線を拡大し、失敗しては別の人物が同じことを試みる繰り返しだった。戦争中にも軍の指導者が3~4年のローテーションで転勤するサラリーマン型の人事システムで、戦略の一貫性が失われた。
あの戦争は「15年戦争」ではない

池田氏は何を言いたいのか?
満州事変は計画性があったからOKだが、関東軍の南進は計画性がないからNGだということか?
そういう面があることは確かだろうし、満州事変と日中戦争を分けて捉えることが有用なこともあろう。
しかし満州事変と日中戦争を一続きのものとして捉えることの有用性もあるのではなかろうか?

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2015年12月 7日 (月)

原発再稼働の前に汚染水統御を/技術論と文明論(36)

安倍首相は、2020年の五輪招致演説で、福島原発事故の汚染水は、アンダーコントロール(統御)さっれていると言った。
⇒2015年6月14日 (日):「福島原発事故を乗り越えた」という安倍妄言/原発事故の真相(130)
⇒2014年5月17日 (土):汚染水は完全にブロックされている?/原発事故の真相(113)
⇒015年2月26日 (木):汚染水はコントロールされていない/原発事故の真相(128)

しかし汚染水対策はトラブル続きである。
再稼働を急ぐ前に、汚染水の統御を急ぐべきだ。

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 東京電力福島第一原発で、配管の劣化や工事ミスにより、汚染水が漏えいするトラブルが相次いでいる。いずれも漏れた量は多くはなく、周辺の堰(せき)内で食い止められた。ただ、事故から五年近くがたち、機器の劣化が進むことから、大きなトラブルが起きる前に芽を摘んでおく必要がある。
 最近、漏えいが集中的に起きているのが、淡水化装置。建屋地下の高濃度汚染水から放射性セシウムを除去した処理水から、特殊な膜を通して塩分を除去する装置だ。二〇一一年六月に稼働し、事故収束用に設置された機器の中で最も古い部類に入る。
・・・・・・
 十月には塩化ビニール製の配管が破断し、一リットル当たり五五〇ベクレルの放射性セシウムを含んだ汚染水約一トンが漏れた。配管の端に切れ込みを入れ、この部分を挟み込んで装置に固定していたが、ポンプの振動が切れ込み部に伝わり続け、配管全体が割れた。十一月にも、ステンレス製配管同士をつなぐ金具から汚染水が約〇・三トン漏えいしていた。
 淡水化装置以外では、十一月五日、2号機にたまる高濃度汚染水を別の建屋に移送する樹脂製の配管から漏れた。その後の調査で、五月下旬に建屋の配管貫通部周りを止水材でふさぐ工事をした際、白熱灯が配管に接触。そのまま作業を続け、配管の表面が過熱して溶けた。その後、弱くなった部分に力が集中して割れた。狭い場所で、ミスに気付かなかったという。
福島第一汚染水漏れ続く 機器劣化も進行 トラブル温床に

政府や電力会社は原発再稼働に前のめりだ。
私は、東京電力や東芝の例を見ても原発ビジネスは成立し難いと考える。
まして、核燃料サイクルが砂上の楼閣であって見通しが立っていない状況である。
早く見切って、再生エネルギー(地上資源)にシフトすべきだと思う。
⇒2015年12月 3日 (木):核燃料サイクルは延命させるべきか/技術論と文明論(35)
⇒2015年11月12日 (木):原発再稼働は誰のため/原発事故の真相(136)
⇒2015年11月 6日 (金):もんじゅは廃炉にして原発政策を見直すべき/原発事故の真相(135)
⇒2015年1月29日 (木):「地上資源文明」の可能性/技術論と文明論(15)

福井県高浜町の野瀬豊町長が、関西電力高浜原発3、4号機の再稼働への同意を表明した。
福井地裁は4月に運転差し止めの仮処分を決定しているので、現状では動かすことはできない。
関電が申し立てた異議は審理を終えた段階であって、結論が出るのはまだ先になる。
町長はなぜそんなに急ぐのか?
いわゆる原発マネー(原子力発電を受け入れた地域に、その危険性に引き換えに交付されているお金)のためであろうが、町長として本末転倒というべきであろう。

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2015年12月 6日 (日)

特定秘密秘密の範囲と国民の知る権利/日本の針路(262)

北野慶『亡国記』現代書館 (2015年8月)の冒頭に、次のような記述がある。

特公(特別公安)刑事たちだった。特別公安部は本来、特定秘密保護法に基づいて設けられたスパイ対策の公安部署だったが、原発はテロ対策上、国の重要機密に属するという岸辺三郎政権の勝手な解釈によって、脱原発、反原発活動の監視・取締りにもあたるようになっていた。

最近のようにテロが多発すると、それを口実に特定秘密の範囲が拡大解釈されやすいだろう。 
国民の「知る権利」と特定秘密保護法は対立する。
特に、安保法との関連は重要であるが、
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東京新聞12月6日

政府は3日、参院情報監視審査会が求めていた特定秘密3件を提示した。
特定秘密が審査会に提示されたのは衆参両院の審査会で初めてである。
金子原二郎会長(自民)は会合後、記者団に「政府側の説明を聞いて、秘密指定は妥当だと了承した」と述べた。
つまり政府の言いなりである。

Photo 金子氏は記者団に「(特定秘密の)保護措置の関係で詳細は言えない」として件名以外の詳細な説明をしなかった。「政府側から特定秘密の中身を詳しく聞くわけではない」とも述べ、秘密の詳細は審査していないと認めた。
 ほかの委員は「省庁によって、秘密指定のあり方が統一されていない」と話した。
 参院審査会の委員は金子会長のほか自民三人、民主二人、公明と維新がそれぞれ一人。審査会が調査のため必要と判断した場合、秘密の提示を関係省庁に求めることができ、問題があると判断すれば、是正を勧告できる。いずれも強制力はない。政府が「わが国の安全保障に著しい支障を及ぼす恐れ」があると判断すれば、提示を拒める。
 審査会は非公開。国会議員が提示された特定秘密を外に漏らせば、五年以下の懲役となる恐れがある。政府は年一回、秘密保護法の運用状況をまとめた報告書を国会に提出することが義務付けられているが、内容は指定件数や大まかな類型にとどまる。
特定秘密を国会に初提示 参院審査会了承

確かに安倍政権は選挙という手続きを踏まえて選出されている。
しかし、国民はフリーハンドを与えたわけではない。
あくまで主権者は国民であることを忘れてはならない。

NHKに代表されるように、メディアも権力迎合的である。
特に放送法と中立を盾にした干渉は、弾圧と紙一重ではなかろうか。
⇒2015年11月26日 (木):権力批判をしないメディアなんて・・・/日本の針路(260)

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2015年12月 5日 (土)

辺野古移転をめぐる利権の構造/日本の針路(261)

辺野古移転に関連して支払われた経費の一部が、自民党沖縄県連などに寄付の形で還流していた。

Photo 沖縄県の米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設関連工事を二〇一四年度に受注した県内の建設会社など四社(JV参加企業を含む)が、同年十二月の衆院選で当選した沖縄選出(比例含む)の六議員側に、計三百二十万円を寄付していたことが分かった。四社のうち三社と、別の地元三社から計七百八十五万円寄付を受けた自民党沖縄県連分を含めると、地元の受注七業者からの一四年の寄付は千百五万円にのぼる。辺野古(へのこ)の新基地建設の是非が法廷闘争に発展する一方で、すでに国の移設関連費の一部が、寄付の形で国会議員らに流れている構図が明らかになった。
 六議員は国場(こくば)幸之助、宮崎政久、比嘉(ひが)奈津美、西銘(にしめ)恒三郎(以上自民党)、下地幹郎(しもじみきお)(おおさか維新の会)、玉城デニー(生活の党)の各氏。それぞれが代表を務める政党支部が十万~百万円の寄付を受けた。玉城氏は沖縄3区で当選、他の五氏は小選挙区で落選し、比例代表で復活当選した。
・・・・・・
 辺野古沖の新基地建設をめぐっては、今年十月末に本体工事が始まる前から、政府による関連業務の発注が行われている。
 日米両政府がV字形滑走路建設で合意した〇六年度の契約額は計三十億三千三百八十五万円。〇八年度は八十六億五千百五十五万円に急増した。
民主党政権下では「普天間飛行場の移設先をゼロベースで検討し、最低限必要な発注にとどめた」(防衛省)ため十一億円台だったが、一四年度は前年度の約四十二億円から五百三十三億円に一気に膨らんだ。
辺野古経費 寄付で「還流」 6議員・自民県連に1105万円

前回沖縄県知事選は、事実上、辺野古移設のための政府の埋め立て申請していた仲井眞氏と、これに反対する翁長氏の一騎打ちであった。
翁長氏はかつて自民党の沖縄県連の幹事長を務めていたが、反自民となって沖縄VS中央の色彩になった。
2014年11月14日 (金):普天間基地移転問題と沖縄県知事選/日本の針路(68)

辺野古移設反対をやわらげる狙いであろうか、日米両政府は4日、沖縄県内の米軍施設のうち、普天間飛行場(宜野湾市)の東側など2カ所を先行返還することで合意した。
先行返還されるのは、普天間飛行場の約4ヘクタールと、米軍牧港補給地区(浦添市)の国道沿いの約3ヘクタールで、交通渋滞緩和のための市道建設用地などとして、両市が返還を要望していた。
基地負担軽減への努力をアピールする狙いだろうが、今回の合意は計7ヘクタールで、返還計画全体1048ヘクタールの1%にも満たない。

Photo_2 日米両政府は一三年四月、嘉手納基地以南の六カ所の米軍基地返還計画に合意。普天間飛行場の返還は新基地完成を条件とするなど、細かい条件や手順を定めた。全面返還の時期は普天間飛行場が二二年度以降、牧港補給地区は二五年度以降としている。
 このほか、米軍キャンプ瑞慶覧(ずけらん)(宜野湾市など)の区域の一部を、高架道路建設のため日米で共同使用することでも合意した。
 ただ、辺野古への新基地建設をめぐっては、政府と県側の対立は深まる一方。翁長雄志(おながたけし)知事が埋め立て承認を取り消し、県と政府による法廷闘争に発展する中、政府は工事を継続している。
普天間の一部など返還 日米合意 負担軽減アピール

たとえ僅かなものであっても前倒しされるのは喜ぶべきであろうが、今のタイミングを考えると、選挙対策の感を拭えない。

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2015年12月 4日 (金)

「化血研」の血液製剤を不正製造/ブランド・企業論(42)

国内有数の薬品メーカー「化学及血清療法研究所」(化血研、熊本市)が、40年以上にわたり血液製剤を不正製造していた。
「化血研」に対する第三者委員会報告が、2日公表された。

報告は不正製造の大きなきっかけとして、1980年代後半から90年代前半の薬害エイズ問題を挙げる。
輸入された非加熱製剤が原因で多くの感染者が出たため、政府は血液製剤を国内生産に切り替える方針を打ち出し、化血研もこの波に乗ろうとした。

血液製剤は感染リスクをなくすため、国が認めた承認書通りに製造することが厳格に求められている。
しかし、化血研は89年以降、新薬の製造工程で止血効果がなくなるなどの問題が生じた際、発売の遅れを恐れた担当理事の指示で製造工程を変更し、承認書にはない方法で添加物を投入することで問題を解決した。

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 組織ぐるみの隠蔽に事実上の「ゴーサイン」を出したのは、96年9月の常勤理事会だった。血液製剤の製造部門の担当者が、承認書と実際の製法が異なることを説明。国の査察では虚偽の製造記録を提示することも示唆し、出席した理事から疑義は出なかった。
 同じ時期に医薬品業界では、国際化の流れに合わせ、国による査察の厳格化の動きが強まっていた。製造部門の幹部は98年、部下からの相談に、「このままでは(国に)見せられん。製品供給継続を第一に、しばらくは見せられる記録で対応しよう」と応じた。
 製造部門では、過去の記録も査察で示す必要が生じたため、古く見えるように紫外線を紙に浴びせて変色させたり、筆跡を過去の関係者に似せたりした。査察に見せる虚偽の記録は字体を変えて取り違えを防ぐ念の入れようだった。
 不正はその後も放置され、昨年に新薬の承認を受ける際も、添加物を不正に投入することを隠した。
化血研、発売遅延恐れ不正…常勤理事会で隠蔽ゴーサイン

「化血研」は、1945年に旧熊本医科大の実験医学研究所を母体に設立された。
血液製剤の売上高は国内2位である。
インフルエンザワクチンでは、国内シェアの3割を占める。
このため、同社の出荷自粛のより供給不足になり、出荷自粛を解除した。
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東京新聞12月4日

しかし薬害エイズ訴訟中に不正製造を継続していたとは驚きである。
「他社製品に比べて突出して副作用は認められない」という厚労省担当者の説明は腑に落ちない。

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2015年12月 3日 (木)

核燃料サイクルは延命させるべきか/技術論と文明論(35)

北野慶『亡国記』現代書館 (2015年8月)は、2017年4月に発生する南海トラフ地震によって、静岡県の島岡原発が爆発し、日本が危機を迎える近未来を描いた反ユートピア小説である。
政権に復帰した岸辺三郎内閣の下で、原発はテロ対策上、重要機密に属するという理屈で脱原発・反原発運動は厳しい弾圧を受けていた。
島岡原発再稼働に慎重だった静岡県知事の抵抗も、防潮堤が完成するまで遅らせるのが精一杯だった。

原発を稼働させれば、必ず核廃棄物が発生する。
従来、政府や電力会社は、核廃棄物をリサイクルするとしてきた。核燃料サイクル構想である。
その構想の中核施設の「もんじゅ」について、原子力規制委員会が、運転主体の日本原子力研究開発機構の適格性に重大な懸念があると判断して変更を勧告した。

夢のエネルギー開発と言われた核燃料サイクルだが、「もんじゅ」は20年間ほとんど稼働実績がなく、破綻していることは明らかである。
夢のような構想は、単なる夢物語、幻想に過ぎなかったのだ。
⇒2015年11月16日 (月):原発ビジネスは成立しない!/ブランド・企業論(41)

核廃棄物処理の展望も定かではないにも拘わらず、原発再稼働を進めるというのは、とても正気とは思えない。
今まで「もんじゅ」を中心とした核燃料サイクル事業に要した費用は、12兆円を越えると試算されている。
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核燃料サイクルに12兆円 コスト年1600億円 国民負担続く

今後も事業を継続するとすれば、この額はさらに増える。
国家プロジェクトであるから原資は税金である。
この事業費を再生可能エネルギー開発に使えば、効果は大きいだろう。

ところが驚くべきことに、経済産業省の有識者会議は、「核燃料サイクル」の延命を図る案をまとめたという。
11月30日、国が監督する認可法人を新設し、電力会社に再処理費用の拠出を義務づけることを柱とする方針で、来年の通常国会に関連法改正案を提出する。
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核燃料再処理:認可法人を新設へ 経産省会議が見直し案

性懲りもなくと言うか、盗っ人猛々しいという方が当たっているだろう。
不手際をテコとして天下り先を増やそうとしているのだ。
先ず、「核燃料サイクル構想」の適否を問うべきだろう。

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2015年12月 2日 (水)

日経平均という指標の代表性/アベノミクスの危うさ(62)

11月16日に発表されたGDP統計では、2015年7-9月期の実質経済成長率は、年率換算で-0.8%のマイナス成長となった。
4-6月期に続いて2四半期連続のマイナス成長である。
⇒2015年11月18日 (水):虚妄の景気回復シナリオ/アベノミクスの危うさ(59)

安倍首相が胸を張るように、アベノミクスは大きな成果を上げているとはとても言えないのが実体だ。
年率換算の経済成長率は以下のように推移している。
2014年4-6月期   -7.7%
2014年7-9月期   -1.1%
2014年10-12月期  +1.2%
2015年1-3月期   +4.6%
2015年4-6月期   -0.7%
2015年7-9月期   -0.8%
米国の定義では、2四半期連続のマイナス経済成長に陥った場合、「リセッション=景気後退」としている。
アベノミクスは落第だったというべきである。

これに反して、日経平均株価は高い。
日経平均株価の推移は以下のようである(5年間)。
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今年8月の下落はイレギュラーのように見えるが、株式市場は常にイレギュラーであると言うべきであろう。
安倍政権が発足した12年末以来の上昇は、GPIF等の動員によるものであり、それが限界に近づいている。
⇒2015年12月 1日 (火):究極の公私混同と言うべきGPIFの資金運用/アベノミクスの危うさ(61)

ここでは、そもそも日経平均という指標が、株価全体を代表するものではないことを、塚澤健二『そして偽装経済の崩壊が仕組まれる』 ビジネス社(2015年11月)から引用しよう。
下図は、日経平均の株式市場への寄与度である。
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1980年には日本の株式相場=日経平均株価と言っても良かったが、逐年寄与度は低下していき、現在は1/3程度なのである。
日経平均の上昇をアベノミクスの成果というのは、二重の誤りということになる。

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2015年12月 1日 (火)

究極の公私混同と言うべきGPIFの資金運用/アベノミクスの危うさ(61)

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は30日、2015年7~9月期の運用損益が7兆8899億円の赤字に転落したと発表した。
赤字は6四半期ぶりで、四半期の赤字額としては過去最大となった。
記者会見したGPIFの三石博之審議役は「10月以降の市場環境は回復しており、今年度の直近までの収益額はプラスに転じる基調だ」と強調したが、それだから許されるというものではないだろう。
GPIFの資金運用方針そのものが問われなければならない。

そもそも国民の大切な資金である。
リスクの高い市場で運用することが適切なのか?

安倍政権が、高株価を演出するために、GPIFの資金を動員してきたことは周知の事実である。
「文藝春秋」12月号で、『「一億総活躍」わが真意』で、「日経平均株価も八千円台から二倍以上、上昇しました」と得意げに語っているが、政策的に形成された株価で実体経済とは乖離したものであることは、GDPが2四半期下落していることでも分かる。
⇒2015年11月18日 (水):虚妄の景気回復シナリオ/アベノミクスの危うさ(59)

15年4月~6月の国内総生産(GDP )はマイナス成長で約500兆円だった一方で、東証1部の時価総額 が610兆円と過去最高を更新した。
GDPに対する株式時価総額の比率を指数化した「バフェット指標」というものがある。
アメリカの投資家のウォーレン・バフェットが愛用することから呼ばれている。

2012年12月の安倍政権発足時のGDPは現在と変わらない約475兆円だった。
同じ時期の東証一部株式総額は約250兆円ほどに過ぎなかったので、この指数では「安すぎ」とされた。
その後の2年半で株価は2.4倍になったが、GDPはほぼ同じまま成長しませんでした。
バフェット指標で日本株は高すぎる GDPと株価総額は同額であるべき

もちろん、バフェット指数が絶対とは言えない。
しかし安倍政権の高株価が実体経済と遊離したものであることは確かである。
塚澤健二『そして偽装経済の崩壊が仕組まれる』 ビジネス社(2015年11月)に下図が載っている。
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割高な株価を形成してきたのがGPIFなどの資金である。
⇒2015年4月14日 (火):株価2万円のカラクリ/アベノミクスの危うさ(51)
そのことは上掲書に載っている下図が見事に示している。
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見事であるとしか言いようがない。
同書で塚澤氏は次のように書いている。

 だが、安倍政権の本当の目的は、今後の日経平均を二万一〇〇〇円台、二万二〇〇〇円台に押し上げることではない。
 黒田総裁が政府よりな金融政策で株価を上げている間に、集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法案の成立を筆頭に、安倍政権がやりたいことをやれるようにするために他ならない。TPP参加についても、なし崩し的に決まってしまった。

人為的に挙げられた株価は、いつか元に戻る。
自分の政策のために公的資金をつぎ込むというのは、究極の公私混同である。

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