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2015年11月26日 (木)

権力批判をしないメディアなんて・・・/日本の針路(260)

「TBSよお前もか?」と言いたくなるようなニュースである。
TBSの看板ニュース番組『NEWS23』で、アンカーの岸井成格氏(毎日新聞特別編集委員)が降板するらしい。
背景には、右派勢力による『NEWS23』と岸井攻撃がある。
今月14日の産経新聞、翌15日の読売新聞に、こんな異様なタイトルの全面の意見広告が掲載された。
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報道番組に「放送法遵守を求める 」意見広告と署名運動…TBS「NEWS23」岸井らに質問状も

この広告の出稿主は「放送法遵守を求める視聴者の会」なる団体。
呼びかけ人に、作曲家のすぎやまこういち氏や評論家の渡部昇一氏、SEALDsメンバーへの個人攻撃を行っていた経済評論家の上念司氏、ケント・ギルバート氏がおり、事務局長には、『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)の著者・小川榮太郎氏などである。
安倍政権応援団の極右人脈といえよう。

この広告で〈違法な報道〉と名指しされたのが、岸井氏と『NEWS23』だった。
9月16日の同番組で岸井氏が「メディアとしても(安保法案の)廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」という発言を取り上げ、「放送法」第4条をもち出して〈岸井氏の発言は、この放送法第四条の規定に対する重大な違法行為〉としたのである。

それでは放送法第四条の趣旨はどうだろうか?

(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
 公安及び善良な風俗を害しないこと。
 政治的に公平であること。
 報道は事実をまげないですること。
   意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送等の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。
放送法 (昭和二十五年五月二日法律第百三十二号)

本来は、放送事業者の倫理規範である。
Ws000000
東京新聞11月25日

安倍政権の放送事業者に対する介入は、NHKの「クローズアップ現代」でもBPOに批判された。
右派が神経質になっているのは、それだけ基盤に対する危機感が強いということだろうが、またしても応援団が足を引っ張る構図である。
⇒2015年7月 3日 (金):大西英男という安倍チルドレンの「懲りなねえ奴」/人間の理解(15)
⇒2015年7月12日 (日):「文化芸術懇話会」におけるリベラルアーツの欠落/日本の針路(195)

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