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2015年11月 6日 (金)

もんじゅは廃炉にして原発政策を見直すべき/原発事故の真相(135)

原子力規制委員会が高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の運営者を代えるよう、文部科学省に勧告した。

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 原子力規制委員会による各地の原発に対するこれまでの勧告は、ほぼ全てが安全面に関するものだ。今回のように運営面に踏み込んだ指摘を行うのは極めて異例と言っていい。しかし、JAEAや文科省がここまで手厳しい評価を下されるのも無理はない。2013年に行われた規制委員会の「もんじゅ」立ち入り検査では、非常用電源などの重要機器だけでも13件の点検漏れが発覚した上に、虚偽報告まで露見した。さらに2015年には、規制委員会の勧告に基づき改善項目の優先順位化を実施したものの、その分類が1400件近く誤っていたことが発覚。さらに一度も点検が実施されていない機器さえ存在することも判明し、たびたびJAEAの管理能力の低さが明るみになっているのだ。
 このような杜撰な運営体制に業を煮やした規制委員会が、文科省に対し、JAEAとは別の新たな運営主体を見つけるよう勧告するに至ったのも仕方あるまい。しかしJAEA以外、原子炉を保守・運営する能力を有する部局は政府内に存在しない。政府による選定作業は難航が予想される。
「もんじゅ」の頓挫が揺るがす日本の原発政策の根幹

高速増殖炉(FBR)の原型炉「もんじゅ」は、トラブルが相次ぎ、事実上機能していない。
今朝の日本経済新聞のコラム「春秋」は次のような言葉で始まる。

サンスクリット語ではマンジュシュリーというらしい。漢訳仏典が広く普及した日本では文殊菩薩と表される仏さまである。悟りにいたるまでの智慧をつかさどるとされ、信仰を集めてきた。17世紀に清朝を樹立した民族の名前「満洲」も、この仏さまに由来するとか。

満洲がマンジュシュリーに由来することは知らなかった。
私が連想するのは、オウム真理教の最高幹部だった村井秀夫のホーリーネームである。
TVカメラが回っているさ中に刺され、殺されたが、彼の不在がオウム真理教というカルト集団の本質を明らかにすることを困難にした。
実行犯を操ったのは誰だろうか?

本来、崇めるべき「もんじゅ」もロクな使われ方をされないというのが、現代という時代の特徴なのだろうか。
原子力規制委員会は「新たな運営主体」に切り替えるよう求めたが、「もんじゅ」を引き受ける組織体があるとも思えない。
もんじゅの冷却材には液体ナトリウムを使うが、1995年暮れに発電開始から4カ月足らずでナトリウム漏れ事故を起こした。
動燃(動力炉・核燃料開発事業団)は、事故を隠蔽しようとした。

20年間、ほとんど稼働実績はないが、運転は止まっていても、ナトリウムが固まらないよう電熱で温める必要がある。
その経費は、5500万円/日になるという。
なんというムダを続けていたのだろう。
一度動き始めた組織を止めることは難しい。
であるからこそ、原発政策を見直すべきではないのか。

使用済み燃料を再利用する核燃料サイクルは、日本の原子力政策の根幹で、「もんじゅ」はその中心に位置している。
中核施設が動かないということは、核燃料サイクルの破綻以外の何物でもない。
⇒2013年5月18日 (土):「もんじゅ」22年間の運転の実態/原発事故の真相(70)

規制委の勧告を好機として、原子力政策そのものを再考すべきだろう。

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