異次元緩和の効果と限界/アベノミクスの危うさ(58)
安倍政権は、安保法の成立後、経済政策に軸足を移し、「新3本の矢」を打ち出した。
⇒2015年10月17日 (土):「安保の次は経済」という2匹目のドジョウ・続/アベノミクスの危うさ(55)
⇒2015年10月20日 (火):「新3本の矢」の意図するもの/アベノミクスの危うさ(56)
ところで「旧(?)3本の矢」の成果はどうだったのだろう。
3本の矢は次の図で説明された。
経済再生のカギ握る“3本の矢”
財政政策は安倍政権固有の政策というわけではない。
成長戦略は今の時点でも不明確である。
唯一政策として具体化されたのが金融政策といっていいだろう。
金融政策は所期の効果を上げたのだろうか?
日銀は現状の金融政策を維持したまま物価目標の達成時期を先送りした。
「二年で2%の物価上昇目標」を、達成までに二倍の四年と見直した。
東京新聞10月31日
これは異次元緩和の限界を自ら認めたということであり、金融政策頼みだけではデフレ脱却が実現できないことを示している。
生活物資の値上がりが進んでいる。
にもかかわらず、好況感はなく、生活はむしろ苦しくなっている。
物価上昇が需要の増大ではなく、コストの上昇で起こっているからである。
⇒2014年6月14日 (土):「デフレ脱却」の正体/アベノミクスの危うさ(33)
異次元緩和により、行き過ぎた円高は修正されたものの、円安による食料品の値上げなど「悪い物価上昇」が起きている。国債買い取りで銀行に大量に資金が供給されても、資金需要がないので貸し出しに回らず、日銀の準備預金に積み増しされている。この超過預金に付く金利で銀行は潤うが、この金利は国民負担である。
さらに日銀が買い取った国債は金利が上がれば、大きな損失となってこれまた国民負担となる。金融緩和が長期化するほどさまざまなリスクが蓄積され、出口はより困難になる。こうした負の側面に目をつぶったまま異次元緩和の先延ばしは許されないはずである。
金融緩和頼みではデフレ脱却も、まして正常な経済は実現しないのは明らかだ。
物価目標先送り 「緩和」頼みは限界だ
トリクルダウンは幻想であった。
富裕層が得た富は庶民にも流れる「トリクルダウン理論」の問題点が一目で分かる画像
国民生活の底上げを図らなければ、日本経済の再生はない。
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