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2015年11月

2015年11月30日 (月)

日本古代史におけるパラダイム転換/やまとの謎(110)

10月14日に古代史家の古田武彦氏が亡くなった。
⇒2015年10月18日 (日):古代史のイノベータ―・古田武彦/追悼(76)
上記記事に対し、C13シロウズという方からコメントを頂き、同氏のブログ(孤独な散歩者の観・閑・想)に大いなる示唆を受けた。

私は社会人になった頃、実家の近くにあった小さな書店の片隅で、偶然に安本美典氏の『数理歴史学-新考邪馬台国』筑摩書房(1970年3月)という本を手にし、興味をそそられた。
いわゆる邪馬台国問題に、数理統計的アプローチでアプローチしたものである。
⇒2008年11月16日 (日):安本美典氏の『数理歴史学』

安本氏は文学部の出身で、数理統計的手法で文体分析などやマーケティングへの活用を研究していたが、議論百出だった邪馬台国問題に数理統計を応用した。
以来、私は安本氏の著書が出ると買って読むようになり、安本氏は「季刊邪馬台国」の編集長となって、邪馬台国問題権威者の1人となった。

安本氏と激しい論争をしたのが古田武彦氏で、2人は「中央公論 歴史と人物/昭和55年7月号」という雑誌で、『熱論「邪馬台国」をめぐって』という対談を行った。
7時間にわたり、いろいろな論点を語り合っているのだが、その頃は安本ファンだったので、安本氏に分があるように感じた。

古田氏は親鸞の研究者だったが、古代史の分野の単行本デビュー作は『「邪馬台国」はなかった-解読された倭人伝の謎』朝日新聞社(1971年11月)で、安本とほぼ同時期ということになる。
文体も、安本氏が数理的な解説を淡々と記述するのに比し、古田氏はエキセントリックなように感じた。
⇒2008年11月18日 (火):「古田史学」VS「安本史学」

古田武彦氏の印象は、安本氏との対比で分が悪かったのだが、私の関心が建国問題にシフトするに連れ、古田氏の言説に興味を持つようになった。
古田氏は現在ミネルヴァ書房から「古代史コレクション」を刊行中である。
古田氏の提示した仮説は数多いが、代表的なものはやはり「九州王朝論」ではなかろうか。
古代史の通説では、「倭の五王=讃、珍、済、興、武」の時代には、大和朝廷が日本列島の大部分(東北、北海道を除く)を統一していた。
五王の比定には諸説あるが、年代は413年 - 478年である。

この通説に対し、古田氏は7世紀末まで日本列島を代表して中国と交渉していたのは、筑紫の九州王朝だとする。
7世紀末までは太宰府に首都をおく九州の王朝が日本列島の代表者だった、という「一元通念無効の指摘」である。
「一元通念無効の指摘」という言い方は、中小路駿逸氏の言い方で、一般には、「九州王朝説」とか「多元的王朝論」などと言われてる。

日本は昔、「倭」と呼ばれていた。
そして、「倭」が大和の王権によって、5世紀中には統一的に支配されていたというのが、古代史の「定説=標準理論」になっている。
つまり、聖徳太子や推古天皇などが大和で活躍したことは、疑う余地のない事実とされてきた。

「一元通念」とうのは、日本列島の支配者は大和朝廷以来、天皇家であるという考え方を指す。
私(たち)は、小学校以来、「悠久の大和」というような概念を刷り込まれている。
甚だしいのは国会の予算委員会で、八紘一宇を「日本が建国以来、大切にしてきた価値観」と言ってのけた三原じゅん子議員のような人だろう。
⇒2015年3月18日 (水):確信的「無知」の「無恥」・三原じゅん子/人間の理解(10)
しかし、三原氏は別としても、「倭の五王=讃、珍、済、興、武」を近畿大和の天皇家に比定するのは古代史の通説である。

その枠組みの中で、ことに「武=ワカタケル=雄略天皇」であるというのを論拠として、武の時には、統一王朝が成立していたというのが多数説だ。
行田市の稲荷山古墳から出土した鉄剣に刻まれた銘文と、熊本県玉名郡和水町にある江田船山古墳出土の鉄刀の銘文が共に「ワカタケル」と読むことができるから、5世紀後半にはすでに大王の権力が九州から東国まで及んでいたと解釈されるというわけである。

高松塚の壁画に描かれている光景のような記述が『続日本紀巻二』の文武天皇五年目の冒頭にある。
「大宝元年春正月乙亥朔、天皇御大極殿受朝」とある条で、「大宝元年」という年号が明記されている。
これに対し、『続日本紀巻一』では、文武に関して「高天原広野姫天皇十一年、立為皇太子」とあり、次に「八月甲子朔、受禅即位」とあって天皇への即位が記されているが、即位の年の年号は記されていない。
即位という重要な年に年号が記されていないのは不自然であろう。

古代史の分野に「郡評論争」と言われる有名な論争があった。
井上光貞氏(東大教養学部助教授)が、『日本書紀』の大化2(646)年正月条に記されている大化改新詔の用語が、後世の大宝律令によって大幅に修飾されていることを主張した。
地方行政単位のコオリ(郡)が、大宝令で初めて使用された用語であるとし、その後藤原宮から出土した木簡などによって立証さた。
当時、『日本書紀』の推古紀位以降は基本的には史実と考えられており、東大文学部国史学科の重鎮だった坂本太郎教授が否定して、日本史学界を二分する論争になった。
⇒2007年9月12日 (水):藤原宮木簡と郡評論争
⇒2008年4月 1日 (火):大化改新…⑤否定論(ⅱ)

白村江の戦いで弱体化した倭が壬申の乱を経て、近畿天皇家に代表の座を奪われたとするものである。
私も古田説の仮説としての効力は大きいと考える者の1人である。C13シロウズ氏の説の中で、興味深かったのは、『中小路駿逸の論文 「『日本書紀』の書名の「書」の字について」 1988年 』と『続・中小路駿逸の論文 「古田言説が出現してからーー中小路言説とのかかわり」 』である。
中小路駿逸氏の名前は目にしていた。
古田氏の『関東に大王あり―稲荷山鉄剣の密室』創世記(1979年11月)の中に「補編 友アリ遠方ヨリ来ル」という文章があって、中小路氏からの手紙が紹介されている。
中小路氏の自己紹介が次のように書かれている。

私は現在愛媛大学教養部に勤めておりまして、専門は国文学です。(昭和二十八年京大国文卒。)現在調べていますことは、同封の抜刷でごらん下されば幸いです。

そして、古田氏は、百万の援軍を得た思いを綴っている。
四面楚歌的状況にあって、中小路氏からの便りに如何に力づけられたかは良く分かる。
アカデミズムでは無視されてきたが、アマチュアの間では九州王朝の支持者は多い。
「倭の五王」について、九州の王とする説の一端を紹介する。

宋書には倭王武の上表文が、長文引用されている。この中で、「東は毛人を征すること五十五国、西は衆夷を服すること六十六国、渡りて海北を平ぐること九十五国」とある。従来これを「近畿を中心とした倭国版の中華思想のあらわれ」と見なした。だが、これはふさわしくない。倭王武の上表文にあらわれるとおり、倭王は、中国(南朝)の臣下として、厳にその立場を主張している。当然、自らを「東夷」の一角におき、東夷の王として中国の天子の威徳が及ぶ範囲を、広げてきた、と倭王武は語っている。

王道融泰にして、土を廓き畿を遥かにす。累葉朝宗して歳に愆らず。

この文言がすべてを物語っている。ここで語っている、東西+海北の範囲は以下のようだ。
<図>衆夷(西)を中心に北と東へ。
したがって、倭の五王の居城は九州にあったと見なすのが、最も自然である。
3.倭の五王

毛人のエリアについては、違和感があるが。

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2015年11月29日 (日)

税構造と日本経済の停滞の原因/アベノミクスの危うさ(60)

安倍首相は、「文藝春秋2015年12月号」に『「一億総活躍」わが真意』と題する一文を寄稿し、次のように書いた。

客観的に数値を見れば、「日本はもう一度成長できるのだ」という確かな自信を我々日本人は取り戻すことができるのではないでしょうか。

しかし、内閣府が16日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)は2期連続マイナス成長となり、日本経済の足踏みが長引いていることを示している。
⇒2015年11月18日 (水):虚妄の景気回復シナリオ/アベノミクスの危うさ(59)
日本経済が思わしくないのは明らかだろう。

企業業績が最高益な割であるが、賃金や投資はあまり伸びていない。
それがGDPの壁になっている。
そんな状況の中で、安倍政権は、法人税の実効税率を1年前倒しして、2016年度から20%台に引き下げる方針だ。
その代わりに(?)、16年も15年の実績を上回る賃上げを企業に求め、設備投資についても、企業側に18年度までに10兆円の上積みを誓わせる、という。
本来、企業の裁量の範囲にまで口を出そうというのだ。
祖父・岸信介譲りの統制経済ということだろうか?

日本企業の利益は、13年度と14年度に急増し、税引き前で年60兆円を越えた。
リーマン・ショック前をはるかに上回り、15年度も増益が見込まれる。
にもかかわらず景況が良くない。
個人消費が伸びないからで、それは賃金が伸びないからである。
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利益と賃金の好循環、知恵比べ促す市場

企業は利益から法人税など税金を納め、税引き後の利益は、配当や役員賞与に回り、それでも残った利益は内部留保(利益剰余金)となる。 
日本企業全体としてみると、13年度、14年度と配当や役員報酬は増えている。
しかしながら、それ以上に拡大しているのは内部留保である。
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利益と賃金の好循環、知恵比べ促す市場

そんな時法人税を減税すれば、減税分だけ税引き後利益は増える。
政権が重視する賃金(人件費)は、利益を計上する前の段階の話である。
「売上高-コスト=利益」であるが、コストの中で大きな部分を占めているのが人件費である。 
円安のおかげで利益は伸びても、売上高が伸び悩んでいる現状では、どうしても賃金を増やすことに慎重になりやすい。
コストである賃金は、売上高との見合いで決まるものと考えるのが自然だからである。

内部留保をそのまま積み上げるだけでは、家計にお金が行き渡らない。
内部留保へ課税したらどうかという考え方もある。
私は、現時点では、消費税を上げるのをやめて、法人税、所得税を増税すべきだと考える。
日本の税の内訳は以下のようである。
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国民をなめ切っている安倍政権の軽減税率論議

25年間に、所得税、法人税が激減して、消費税だけが突出して拡大している。
税の考え方は、大雑把に言えば、受益者負担と応能負担ということになる。
所得税や法人税は応能負担であり、消費税は受益者負担である。

消費税は逆進的である。
だからこそ軽減税率が問題になっているわけであるが、軽減税率の効果は小さい。
⇒2015年11月17日 (火):消費税への軽減税率導入の問題点/日本の針路(256)
⇒2015年11月19日 (木):軽減税率の効果は小さい/日本の針路(257)

与党が軽減税率の線引きで綱引きをするのが、目くらましに過ぎない。
本来、与党として取り組まなければならない課題は他にあるはずだ。
今の経済状況下で消費税を上げれば、日本経済の不振は低落の一途だろう。
不安定な非正規雇用を増やす政策をとり続ける安倍首相は、経済オンチと言うべきであろう。
「安保の次は経済」と思っても、「言うだけ番長」になるだけであろう。
⇒2015年10月17日 (土):「安保の次は経済」という2匹目のドジョウ・続/アベノミクスの危うさ(55)
⇒2015年10月20日 (火):「新3本の矢」の意図するもの/アベノミクスの危うさ(56)

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2015年11月28日 (土)

裁判員制度と統計的過誤/知的生産の方法(137)

オウム真理教の菊地直子元信者に対し、東京高裁は無罪判決を言い渡した。
懲役5年とした一審判決を破棄したもので、衝撃が広がっている。
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東京新聞11月28日

一審の東京地裁では、井上死刑囚から爆薬をみせられた際に菊地被告が「頑張ります」と応じたとして、殺人ほう助罪で有罪とされ、懲役5年の判決が出ていた。
しかし、菊地被告は一貫して無罪を主張し、運んだ薬品については「農薬をつくる実験に使われると思っていた」として否定した。
東京高裁の大島隆明裁判長は、一審で有罪の根拠となった井上死刑囚の証言を信用できないとして、一審の判決を取り消し、無罪を言い渡したのである。

菊地被告は、事件後17年間逃亡生活を続けいたが、2012年に逮捕された。
逃亡の事情を考えると、一審の判断も理解できる。
全国指名手配されている中で逃亡していたのだから、指名手配は何だったのかと思うが、それは擱いておく。
一審が裁判員裁判であったことをどう考えるか?

もちろん東京高裁では、法理的な解釈をより厳密にしたのだと考えられる。

教団の実行犯が人を殺傷するテロ行為を行うことを菊地元信者が認識して手助けしたと認めるには、合理的な疑いが残ると言わざるをえない。

つまり、疑わしきは罰せずということだ。
それは基本的にはいいことだと考える。
万が一にも冤罪の発生は防ぐべきだ。

もし、神のような存在がいたとして、実際の判決を評価することを想定する。
誤審には、次の2つのケースが考えられる。
1.本来有罪にすべきを無罪とする
2.本来無罪にすべきを有罪にする

冤罪は、2の場合である。
統計的判断における第一種の過誤、第二種の過誤である。
神ならぬ人間が裁判をするのであるから、過誤は避けられないとしても、冤罪だけは防ごうという法理である。
一般人が審理・判決に参加する裁判員制度に無理があるのではないだろうか?
⇒2009年1月24日 (土):裁判員制度に関する素朴な疑問
⇒2009年4月22日 (水):証拠判断と裁判員制度
⇒2009年6月 6日 (土):冤罪と裁判員制度
⇒2015年2月 6日 (金):最高裁の判断は裁判員制度の趣旨と矛盾しないか/日本の針路(104)

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2015年11月27日 (金)

紅葉の永観堂/京都彼方此方(10)

今年の紅葉シーズンも間もなく終わる。
紅葉の名所は全国にあるが、京都にも数多い。
先日、若い女性と話をしていて、「大覚寺がいちばん!」と言われた。
そう言えば昔流行った「女ひとり」という歌に、次のような一節があった。

京都 嵐山 大覚寺
恋に疲れた女がひとり
塩沢がすりに名古屋帯
耳をすませば滝の音
京都 嵐山 大覚寺
恋に疲れた女がひとり

作詞:永六輔、作曲:いずみたく、歌唱:デューク・エイセスである。
私も京都の紅葉について、ベスト10を考えてみた。
東福寺、三千院・・・
しかし永観堂を外すわけにはいかないだろう。

永観堂は、有名な哲学の道にある。
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哲学の道は、明治の頃、文人が多く住むようになり「文人の道」と称されていた。
その後、京都学派の哲学者・西田幾多郎や田辺元らが散策したため「哲学の小径」と云われたり、「散策の道」「思索の道」「疏水の小径」などと呼ばれた。
1972年(昭和47年)、地元住民が保存運動を進めるに際し、相談した結果「哲学の道」と決まりその名前で親しまれるようになった。

永観堂の正式名称は聖衆来迎山無量寿院禅林寺というが、中興の祖永観律師にちなみ、「永観堂」と呼ばれている。
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http://www.eikando.or.jp/keidaizu.pdf

例年、紅葉シーズンは大変な人出である。
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境内の与謝野晶子の歌碑が有名である。
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秋を三人椎の実なげし鯉やいづこ池の朝かぜ手と手つめたき

明治33年(1900年)11月、晶子は山川登美子、与謝野鉄幹と共に永観堂で紅葉を賞でた。
晶子と登美子とはそれぞれに若い師鉄幹に思いを寄せていたライバルであった。  
登美子は義理人情のしがらみの中で郷里の男と結婚せざるを得なくなって、晶子は鉄幹と結ばれた。
遠く若狭へ去った登美子を思い、詠んだ歌である。
『みだれ髪』所収

その池であろう。
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2015年11月26日 (木)

権力批判をしないメディアなんて・・・/日本の針路(260)

「TBSよお前もか?」と言いたくなるようなニュースである。
TBSの看板ニュース番組『NEWS23』で、アンカーの岸井成格氏(毎日新聞特別編集委員)が降板するらしい。
背景には、右派勢力による『NEWS23』と岸井攻撃がある。
今月14日の産経新聞、翌15日の読売新聞に、こんな異様なタイトルの全面の意見広告が掲載された。
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報道番組に「放送法遵守を求める 」意見広告と署名運動…TBS「NEWS23」岸井らに質問状も

この広告の出稿主は「放送法遵守を求める視聴者の会」なる団体。
呼びかけ人に、作曲家のすぎやまこういち氏や評論家の渡部昇一氏、SEALDsメンバーへの個人攻撃を行っていた経済評論家の上念司氏、ケント・ギルバート氏がおり、事務局長には、『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)の著者・小川榮太郎氏などである。
安倍政権応援団の極右人脈といえよう。

この広告で〈違法な報道〉と名指しされたのが、岸井氏と『NEWS23』だった。
9月16日の同番組で岸井氏が「メディアとしても(安保法案の)廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」という発言を取り上げ、「放送法」第4条をもち出して〈岸井氏の発言は、この放送法第四条の規定に対する重大な違法行為〉としたのである。

それでは放送法第四条の趣旨はどうだろうか?

(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
 公安及び善良な風俗を害しないこと。
 政治的に公平であること。
 報道は事実をまげないですること。
   意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
 放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送等の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。
放送法 (昭和二十五年五月二日法律第百三十二号)

本来は、放送事業者の倫理規範である。
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東京新聞11月25日

安倍政権の放送事業者に対する介入は、NHKの「クローズアップ現代」でもBPOに批判された。
右派が神経質になっているのは、それだけ基盤に対する危機感が強いということだろうが、またしても応援団が足を引っ張る構図である。
⇒2015年7月 3日 (金):大西英男という安倍チルドレンの「懲りなねえ奴」/人間の理解(15)
⇒2015年7月12日 (日):「文化芸術懇話会」におけるリベラルアーツの欠落/日本の針路(195)

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2015年11月25日 (水)

高尾山遺跡保存の方向へ/やまとの謎(109)

古代史の分野には多くの謎が残されている。
それは私たちの好奇心を刺激するが、日本の国の成り立ちを正しく知ることは重要であろう。

私は、老後の楽しみに邪馬台国関連著書を集めていた。
しかしいざ老後を迎えると、発症やら地震やらの影響で、家族から蔵書の処分を迫られ、邪馬台国関連本は殆ど処分してしまった。
私自身の興味が、日本の建国問題(大化改新、白村江の戦い、壬申の乱等)に移ったことも大きい。
そこに邪馬台国と同時代かも知れないという古墳が沼津市で発見された。
発症前に発掘調査を見学し、貴重品とされた大量の朱や破鏡などが発掘されたと聞き、これは重要な古墳かもしれないと、思っていた(当時は辻畑古墳という名称)。
⇒2009年9月20日 (日):沼津市で最古級の古墳を発掘
⇒2009年9月21日 (月):沼津市で最古級の古墳を発掘(続)
⇒2009年10月25日 (日):朱の効能

その直後、長い入院とリハビリの間に、高尾山古墳のことなどすっかり忘れていたが、新聞報道で、道路建設のために取り壊す予算が市議会で可決されたということを知った。
「地方創生」と言われ、「地域の宝探し」が行われている時に、何ということだと思って、微力ながら反対運動に協力してきた。
⇒2015年6月17日 (水):高尾山古墳の主は卑弥弓呼か?/やまとの謎(103)
⇒2015年6月25日 (木):高尾山古墳が存亡の危機という非常事態/やまとの謎(104)

その後、反対運動の盛り上がりなどもあって、市長は協議会を設けて両立の方策を探るとしてきた。

前提方針 
協議会では、初めに前回に市側が実施を約束した沼津南一色線の交通量推計が報告され、一日二五、八〇〇台であるとされた。この推計は、道路を二車線にするか四車線にするかの判断基準として実施され、一万二千台以下なら二車線化も可能になるとされていた。しかし、推計値は基準値を大きく超えたため、二車線化による道路設計は否定されることになった。
続いて、古墳の現地での現状保存については、文化庁の禰宜田氏から「移築では史跡指定の対象とはならない」との意見が出され、古墳移築は検討対象から除外された。
代替案 
前回協議会で委員達が要望していた新たな道路設計の代替案について、市側から九案が提出された。
この九案を設計するに当たり、市側は「古墳北側部分の高く盛り上がっている墳丘部を壊さない」「道路用地取得のための建物再移転は可能な限り避ける」「追加の用地買収は最小限に抑える」などの原則を設定。
・・・・・・
一長一短 各案には、それぞれ利点と欠点がある。
四車線が一体的にS字力ーブで古墳を迂回する方式では、用地買収面積が広くなり、過去に移転に応じた建物が再移転を迫られる件数が最も多くなる。
T字交差点方式は、事業費用が約五億円と九案の中では最少レベルであるのに対し、交差点の追加により、スムーズな車両通行に影響が出る。
トンネル方式は、四車線をすべてトンネル化した場合、事業費として最低でも五十億円以上が必要となる。事業費の半分は国負担となるが、平均の年間道路事業費が約八億円である沼津市にとっては重大な負担となる。
・・・・・・
T字方式の利点 新たに交差点を設けることになるT字交差点による古墳迂回方式は、スムーズな車両走行の妨げになる可能性があると指摘されたが、新たな用地取得や事業費が比較的少なくなることから、委員達からも大きく注目された。
それに伴い矢野委員は、「自分は道路の専門家ではないが」と前置きした上で、交差点の設置により車両の走行速度が落ちることから、交通安全の面では有益であると指摘した。
都市計画の専門家である久保田委員は「T字方式は、道路の専門家が見ると『びっくりたまげた』案であろう」と述べて非常識的なアイデアだとする一方で、「しかし、この場合は可能性のある案だ。近くには国道一号との交差点があり、沼津南一色線の走行車両は、必ず国道一号で止まることになる。どうせ、すぐに止まるのだから、その手前で一時止まるようなことになっても、交通への影響は限られるのではないか」と話した。
国交省の神田氏は、信号機付きの交差点が設置されることは、児童の道路横断にとって都合が良いものであり、交通安全の観点からプラスになる、と意見を述べた。
今回の結論議長役の大橋委員は、各委員からの意見表明を受けた上で、①四車線を一体的にT字交差点方式で古墳西側を迂回させる案、②片側二車線を古墳西側地上でS字カーブさせ、残り二車線をトンネル化する案、③片側二車線を古墳西側地上をT字交差点方式で迂回させ残り二車線をトンネル化する案の三案が有力になるだろう、と述べた。
これに対し、神田氏は、古墳と神社を分断する東西迂回案については、市民の意見を反映した上で今後の検討対象として残すことを要望した。
この意見を踏まえ、大橋委員は市に対して協議会の第3回開催以前に、パブリックコメントなどの実施による市民意見の聴取を市側に要望した。
【沼朝平成27年11月20日(金)号】

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2015年11月19日第2回高尾山古墳・道路整備両立協議会画像資料

私もT字案がいいように思う。
何とか保存の方向性が見えてきたようで、保存を願ってきた者の1人として一安心である。

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2015年11月24日 (火)

素粒子論の発展と日本人(7)/知的生産の方法(136)

ニュートリノは、極めて微細な粒子で反応性もないので、観測が難しい。
素粒子論の標準理論は、ニュートリノの質量は0として考えられている。
それを覆すのが今年の梶田隆章氏らの業績である。
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東京新聞11月23日

梶田氏らが受賞を決めた研究成果を初めて発表したのは1998年の国際会議だった。発表後に聴衆全員が立ち上がって拍手したという。
・・・・・・
宇宙には大きな謎が未解決で残っている。宇宙の質量の大半を占めるのは正体のわからない暗黒物質や暗黒エネルギーで、現在の理論で説明できる物質は約5%にすぎない。宇宙の誕生時には物質と、それとは性質が反対の物質(反物質)が同量あったはずだが、今は反物質が消えて物質ばかりになった。その理由も不明だ。
解決の糸口になるのが、不思議な振る舞いをする素粒子ニュートリノだ。物質と反物質の不均衡を説明する手がかりは粒子と反粒子の振る舞いに表れる微妙な違いだ。これを説明しようとしたのが、08年にノーベル物理学賞を受けた小林誠・益川敏英両氏の理論だ。
ただ「小林・益川理論」ではなお十分に説明できず、ニュートリノが注目されている。
それまでニュートリノの質量はゼロとされていたため、実験は不可能とみられていた。ニュートリノには3種あり、飛行中に頻繁に他のニュートリノに姿を変える。ニュートリノ振動と呼ばれる現象だ。これはニュートリノが質量を持っていることが条件となる。
梶田氏らによって確認されたニュートリノ振動と質量の存在の確認は、難題に迫る突破口を開いた。ニュートリノの性質を詳しく調べることで、標準理論を超える理論が構築できる可能性がある。京都大学の佐藤文隆名誉教授は「標準理論を発展させた大統一理論への足がかりになる成果だ」と評価する。
梶田氏らのグループは検出装置「スーパーカミオカンデ」を使い、2年間の実験データをもとに、このニュートリノ振動が実際に起きていることを98年に発表した。
「物質の謎」解明に道 ノーベル物理学賞に梶田氏

ニュートリノの性質をより詳しく調べるため、つくば市の高エネルギー加速器研究機構や、茨城県東海村の施設で人工的に発生させたニュートリノを、スーパーカミオカンデに向けて打ち込んで、ニュートリノ振動を観測する実験が進んだ。
K2Kすなわち、KEK to Kamioka の略で、KEKは高エネルギー加速器研究機構である。
人工的に発生させたニュートリノによってニュートリノ振動が起きているかどうかを検証する実験で、正式名称は「つくば神岡間長基線ニュートリノ振動実験」である。

平成11年(1999)から平成16年(2004)まで続けられ、KEKにある加速器でμニュートリノのビームを発生させ、約250キロメートル離れた岐阜県飛騨市の神岡鉱山にあるスーパーカミオカンデでニュートリノを検出した。
この実験により、大気ニュートリノで発見されたニュートリノ振動が、加速器で人工的に発生させたニュートリノについても同様の現象が起こることが確認された。
Photo
http://neutrino.kek.jp/news/2004.06.10/index-j.html

ニュートリノ振動は、名古屋大学の坂田昌一と中川昌実、京都大学の牧二郎の3人により、50年以上も前に予想していた。
ニュートリノ振動は、質量がある時だけ起こる。
ニュートリノ振動の確認は、質量の存在の確認である。
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東京新聞11月23日

素粒子論は、日本人の貢献がとりわけ大きな分野であると言って良い。



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2015年11月23日 (月)

野党は大阪のW選から何を学ぶか/日本の針路(259)

大阪府知事・市長のダブル選で、橋下徹大阪市長が率いる地域政党「大阪維新の会」が勝利した。
橋下氏が政治生命を懸けてきた「大阪都構想」は、住民投票の否決で受けたが、復活に向けた足掛かりを得たのであろうか。

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大阪ダブル選:橋下氏「背水の陣」奏功…大阪維新圧勝

来年の参院選に向けて、野党はこの選挙から、教訓として何を汲み取るべきか?
都構想が否決されたのは半年前である。
瀬戸際に立った橋下氏は政界引退表明に追い込まれたが、住民投票後の6月に自民の提案で設置された「大阪戦略調整会議」(大阪会議)の機能不全だったことを理由にした。
大阪会議は二重行政の解消を協議する場とされたが、大阪維新と自民が運営方法を巡って対立し、具体的な議論に入れないままだった。

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東京新聞11月23日

自民党は谷垣禎一幹事長をはじめ、党本部からも幹部や閣僚が来援しての総力戦を展開しただけに、惨敗のショックは大きいと言われる。
しかし、安倍晋三首相や菅義偉官房長官は、橋下氏の政策や憲法改正の主張などを評価している。
安倍政権対しては、おおさか維新は「完全野党」とは言えない。

さしあたって、安倍政権の一強的状況をどう打破するか?
民主党内では、前原誠司元代表と細野豪志政調会長が、年内に解党して維新の党との新党結成を主張している。
民主党独自では、ほとんど期待するものはない。

共産党は、安全保障関連法の廃止に向けた「国民連合政府」構想と野党間の選挙協力を提案している。
前原氏や細野氏が、野党であるのならば、共産党アレルギーを拭うべきだろう。
民主党解党などに拘っていると、民主党はおろか自分たちの未来もないであろう。

橋下氏に賛同はしないが、ぶれずに大衆を惹きつける姿勢は見倣うべきではないか。
共産党も中途半端に自民党と手を組むようなことはすべきではない。

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2015年11月22日 (日)

安倍政権のイヤな感じ(9)NHK私物化/日本の針路(258)

NHKの偏向が著しい。
会長に籾井勝人氏を据えてから、安倍政権と自民党にべったりの報道となった。
籾井氏の適格性と安倍首相の(任命)責任を問わなければならない。
⇒2015年3月29日 (日):品格なき籾井NHK会長の任命責任/日本の針路(128)

NHKは、『クローズアップ現代』でやらせ問題が発覚し、これに関してBPO(放送倫理・番組向上機構)が11月6日に意見書を公表して話題になったばかりである。
やらせについて批判されるのは当然だが、意見書の最大のポイントは、自民党がNHK関係者を呼んで事情聴取したことだろう。
BPOは、「政権党による圧力そのもの」、高市早苗総務大臣がNHKに対して「厳重注意」したことなどが指摘された。
⇒2015年11月 8日 (日):安倍政権のイヤな感じ(5)放送番組への介入/日本の針路(253)

NHKに対し、NHKのOBや市民ら約350人が11月7日、東京・渋谷のNHK放送センター前に集まり「“アベチャンネル”はゴメンだ! 怒りのNHK包囲行動」と題した抗議活動を行い、渋谷の街をデモ行進した。

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 ところが、圧力をかけた側の政府・自民党には反省の色が見られず、圧力を受けた側のNHKも抵抗する気配すらない。
 BPOから批判された高市総務大臣は、「放送法を所管する立場から、必要な対応を行った」という趣旨の弁を述べており、反省どころか開き直っている。
 一方のNHKは、やらせ疑惑については謝罪したものの、BPO意見書で指摘された「干渉や圧力に対する毅然とした姿勢と矜持」はまったく示しておらず、公共放送ではなく“アベチャンネル”として機能しているのが実態だ。だからこそ「毅然とした姿勢と矜持を示せ」と一般市民がNHKまで押し掛けて訴えたことに価値がある。
 放送センター西門前で始まったリレートークでは、東京狛江市から駆け付けた女性市民がマイクを握り、こう述べた。
「(報道に関しては)NHKは政府の広報チャンネル。でも、人のいい田舎のお爺ちゃん、お婆ちゃんは、報道が事実だと受けてしまう」
 素朴な表現だが、実は重大なポイントである。政府や与党自民党の応援といえば、読売新聞や産経新聞、その系列のテレビ局も同じだが、報道が信用できなければ御用新聞を購読しなければいいし、テレビを見なければいい。また、民放のテレビ番組には企業がスポンサーとしてカネを払っており、視聴者の懐は痛まない。
「アベチャンネル」化するNHK!受信料使って安倍首相と自民党の見解を垂れ流し&礼賛!

2014年夏、籾井勝人NHK会長の辞任を求める署名活動が、元NHK職員の間で始まった。
しかし現在も、籾井氏は会長の座に居座ったままだ。
そう言えば、最近は、NHKの番組を視聴することが少なくなった。

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2015年11月21日 (土)

一代年寄の相撲協会理事長・北の湖/追悼(77)

大相撲の第55代横綱で、日本相撲協会理事長の北の湖=本名・小畑敏満さんが、20日福岡市内の病院で亡くなった。
62歳、直腸がんによる多臓器不全が死因だった。

Kitanoumi_in_sumiyoshi_taisha_1__4 「北海道南部に怪童あり」との噂を聞きつけた多くの相撲部屋から熱心に勧誘され、中学へ入学した頃には引退したばかりの北葉山が自身の元を訪れたこともあったが、女将が手編みの靴下を送ってくれたことで三保ヶ関部屋に入門し、北海道から上京して墨田区立両国中学校へ転校した。
1967年1月場所に三保ヶ関の長男であり、後に大関となる増位山とともに初土俵を踏む。四股名の「北の湖」は、故郷にある洞爺湖に因んで三保ヶ関が命名した。湖を「うみ」と読ませたきっかけは水上勉の小説「湖の琴」(うみのこと)からの着想という。改名の多い角界においては、初土俵から引退まで一度も四股名を変えたことのない珍しい力士だった。
Wikipedia

現役時代は、体格と力が圧倒的で憎らしいような存在だった。
1975年9月 - 1978年1月までの15場所間の千秋楽結びの一番は全て「輪島 - 北の湖」という対戦で、、「輪湖時代」を築いた。
輪島との通算成績は21勝23敗でほぼ互角で、優勝は両者合わせて38回で、柏鵬の37回を上回る。
ちなみに、輪島 - 北の湖による千秋楽結び対戦回数は22回で、曙 - 貴乃花の27回に次いで、史上2位だった。

引退後は、現役時の実績から一代年寄「北の湖」を贈られ、これを受け入れて北の湖部屋を創設した。
北の湖部屋は同じく一代年寄である大鵬の「大鵬部屋」(現・大嶽部屋)と同じ江東区清澄に50mほどの距離で開かれた。
地元住民らはこの両部屋が面する通りを「横綱通り」と呼んだ。

引退相撲の直後に三保ヶ関と実父が1日違いで亡くなり、葬儀が同じ日に行われることになった。
この時は部屋関係者が帰郷を勧める中、「師匠は自分にとっては親以上の恩人」として、親戚中に手紙を出して父の葬儀を欠席し、師匠の葬儀へ出席した。

2008年9月、弟子の白露山の関与も明らかとなった大相撲力士大麻問題が発覚し、日本相撲協会の臨時理事会で、理事長を辞任して理事に降格した。
後任理事長の武蔵川が辞任した際の理事長選挙に再び立候補したものの、放駒に敗れた。
2012年1月、再び立候補し、理事長に当選選出された。

波瀾に富んだ人生だったと言えようが、62歳というのはいかにも若い。
大相撲力士の平均寿命は一般人に比べ短いようだが、体格作りのための食生活などが原因なのだろうか?
合掌。

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2015年11月20日 (金)

自爆テロと特攻/「同じ」と「違う」(88)

パリで起きたテロは、東京でも起きないと限らない。
無辜の人間を巻き添えにするテロは許されざるものであることは当然である。
この大規模テロをフランスのメディアでは、「kamikaze」(カミカズ)=カミカゼの仏語風発音=と表現しているらしい。
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東京新聞11月20日

このことに、語源となった神風特攻隊の元隊員から憤りの声が上がっているという。

 「日本をなんとか救おうと、愛国心の一念から仲間は飛び立ち、命をささげた。テロと特攻を一緒にするのは戦友に対する侮辱であり、残念至極だ」
 福岡県豊前市の末吉初男氏(88)は17日、産経新聞の取材にこう語った。
 末吉氏は16歳で陸軍少年飛行兵に応募し、昭和18年に陸軍飛行学校に入校した。18歳だった20年4月28日、特攻隊として、4機5人と台湾の飛行場から飛び立ったが、約1時間後、隊長機にトラブルが起きて沖縄・石垣島に全機不時着した。再出撃の命令は出ず、そのまま終戦を迎えた。
 末吉氏は、爆弾を積んだ小型ボートで敵艦隊に突入する特攻に旧海軍が「神風」という言葉を用い始め、国内に広がったと記憶している。鎌倉時代の元寇の際に暴風が起きたことから、「日本が最悪の状況に陥ったときには神風が吹く、国を守るために神様が加勢してくれると信じさせてくれる言葉だった」と振り返る。
「特攻とテロはまったく違う」 実行犯「kamikaze」仏報道に元隊員・末吉氏憤り

末吉氏の気持ちは分かる。
私の高校以来の愛読書は、学業を中断して特攻機に乗る若者を描いた阿川弘之さんの『雲の墓標』である。
⇒2008年5月27日 (火):偶然か? それとも……③『雲の墓標』
⇒2008年5月29日 (木):『言うなかれ、君よ別れを』
⇒2015年8月22日 (土):阿川弘之『雲の墓標』/私撰アンソロジー(40)

無差別に一般の市民を巻き添えにしたテロと同一視されたくはないだろう。
しかし、次のような言葉を見ると、果たしてどうなのかな、という気がする。

 末吉氏は、爆弾を積んだ小型ボートで敵艦隊に突入する特攻に旧海軍が「神風」という言葉を用い始め、国内に広がったと記憶している。鎌倉時代の元寇の際に暴風が起きたことから、「日本が最悪の状況に陥ったときには神風が吹く、国を守るために神様が加勢してくれると信じさせてくれる言葉だった」と振り返る。
 戦後70年、亡くなった戦友のことは片時も忘れず、冥福を祈り続けた。
 今回、パリの事件を報道で知り、「無差別に人を狙う、こんな恐ろしいことが起こる世の中になった」と残念な思いでいた。
 ところが、そんなテロの代名詞に「カミカゼ」が、誤って用いられている。
 特攻の攻撃対象は敵艦であり、乗っているのは軍人だ。無差別に一般市民を巻き添えにすることは決してなかった。末吉氏も、敵艦を攻撃するために特殊教育を受けた。
 航空母艦を標的とする際、鉄板の甲板に突っ込んでも空母は沈まない。格納している航空機の昇降口を狙うなど、課せられた任務を遂行するために、むやみな突入をしないことは絶対だった。
 「戦友は上司の命令に従い、国を守るため、天皇陛下のためと死んだ。特攻とテロが一緒にされるとは心外でたまらない。戦友に対して申し訳なく、はがゆい思いでいっぱいだ」
「特攻とテロはまったく違う」 実行犯「kamikaze」仏報道に元隊員・末吉氏憤り

「国を守るため、天皇陛下のためと死んだ」というのは、ジハードとどう違うのか?
国を守るというのは、空爆によって国土が荒廃させられているのだから、同じともいえる。
天皇陛下は現人神とされたのだから、一種の宗教である。
「課せられた任務を遂行するために、むやみな突入をしないことは絶対だった」というのは、テロ組織も同じだろう。
『雲の墓標』の主人公たちのように、特攻隊員も、軍国主義者たちの犠牲者だったとは言えるだろう。
しかし、いたずらに美化すると、本質を見誤る。

フランス大統領の言うように「戦争」だとすれば、原爆等も投下するという、まさに人道上許されないこともしてきたのではないか?
現在も空爆により無辜の市民が多数巻き添えになっている現実があるのだ。
自分たちの被害だけを言うのは、ダブルスタンダードになる。

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2015年11月19日 (木)

軽減税率の効果は小さい/日本の針路(257)

消費税率を上げる際に予定されている軽減税率の自民、公明両党原案は、次のように伝えられている。

 年間売上高が1千万円以下の零細事業者は消費税の支払い免除を維持する。5千万円以下の事業者は簡易なインボイス(税額票)か対象品目をどれだけ扱っているかを推計し納税額を決める「みなし課税」を選べるようにする。
 5千万円超の事業者は簡易インボイスを使う方式とし、売り上げ規模に応じて3つに分かれる制度とする。
 来週の両党の協議で、宮沢洋一、斉藤鉄夫の自公それぞれの税制調査会長がたたき台として示す。2016年度の税制改正大綱をまとめる12月にかけて詳細を詰める。
 売上高1千万円以下の事業者は現在も消費税が免除され、売り先からもらった消費税と仕入れで支払った消費税の差額が「益税」として手元に残る。税率が8%から10%に上がると益税の規模が広がる公算が大きい。
 5千万円以下の事業者は売上高に占める軽減対象品目の割合をあらかじめ設定し、その割合をもとに納税額を推計するみなし課税を選択できる。設定した割合が実際より高ければ、消費税をたくさん受け取る割に納税額が少なくて済む。
 納税額を厳密に計算できるインボイスは事業者の手間が増えるため、軽減税率の導入から3年後をメドに移行する。当面は事業者の売上高にかかわらず現行の請求書をそのまま使って商取引し、軽減品目に印を付けて税額を計算する。
消費税、売上高1000万円以下は免税 軽減税率で与党原案

消費税を増税すべきか否か自体が問題であるが、軽減税率という考え方が分かりにくい。
以下のような説明があった。

反対の理由1 コストが掛かり過ぎる
店舗はレジの設定を、ウェブサイトはシステムの設定を、その他、様々なところに影響が出ます。そのコストを負担するのは、事業者であり、国民です。

反対の理由2 対象品がわかりにくい
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加工品か生鮮品か、持ち帰りか、イートインか、など、様々なルールによって、対象品が変わってきます。新しいモノが出てくるたびにルールを作らねばなりません。世の中のすべてのものを区分するのは現実的に不可能です。

反対の理由3 すでに消費税が課税されないものが結構ある
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反対の理由4 税収が減る
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仮に食品だけを据え置きの8%にした場合、同じ税収を得ようと思ったら消費税を10%ではなく10.35%にする必要があります。

反対の理由5 実は金持ちのほうが恩恵が大きい
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軽減金額だけ見れば金持ちのほうが負担が減る感じがあります。(貧困世帯のほうがエンゲル係数は高いので、負担感が軽減されるという議論ですが、「負担感」の測定の難しさもあります)

反対の理由6 貧困者の救済策は他にも有る
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今回、軽減される税金の額が、1兆円。この金額を、貧困世帯数で割ると、1世帯あたり10万円です。消費税の負担を軽くするより、貧困世帯に10万円配るほうがよっぽど救済になります。
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同じ財源1兆円を、給付など他のやり方で、貧困世帯に手厚い方法で振り分けたほうが恩恵としては大きくなります。

誰が賛成しているのか?
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お金を貯めこんでいるのも同じお年寄り世代。老人世代の貯金を取り崩して若い世代への資産の移転が行われるのが望ましいのに、軽減税率制度はそれに逆行することになります。
僕が軽減税率には絶対反対な理由

どうだろうか?
私は消費税アップに反対である。
取りやすいところから取るでは、社会的公正は実現しない。

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2015年11月18日 (水)

虚妄の景気回復シナリオ/アベノミクスの危うさ(59)

安倍首相は、9月24日、自民党総裁に再選するや、「アベノミクスは第二ステージへ移る」と宣言し、その実現の方策として、「新3本の矢」を掲げた。
⇒2015年10月17日 (土):「安保の次は経済」という2匹目のドジョウ・続/アベノミクスの危うさ(55)
⇒2015年10月20日 (火):「新3本の矢」の意図するもの/アベノミクスの危うさ(56)

「新3本の矢」の当否はともかくとして、日本経済の現況について、大きな見誤りがあるようである。
「文藝春秋2015年12月号」に『「一億総活躍」わが真意』と題する一文を寄稿し、次のように自信たっぷりに書いている。

客観的に数値を見れば、「日本はもう一度成長できるのだ」という確かな自信を我々日本人は取り戻すことができるのではないでしょうか。

しかし、内閣府が16日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)は2期連続マイナス成長となり、日本経済の足踏みが長引いていることを示している。
けん引役と期待された設備投資が期待したように伸びていないし、個人消費や輸出の回復も力強さを欠いている。
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東京新聞11月17日

政府も民間エコノミストも4~6月期の落ち込みは一時的で、7~9月期はプラス成長に戻り、景気は緩やかに回復するとみていた。
中国やアジア経済の減速の度合いが想像以上で、企業が設備投資を先送りする動きが広がったことが大きいが、もともと楽観的状況認識に基づいた虚妄のシナリオだったのだ。

 日銀の9月の全国企業短期経済観測調査(日銀短観)によると、2015年度の大企業・全産業の設備投資計画は14年度比10.9%増と、6月調査(9.3%増)から上方修正された。企業収益は過去最高水準にあり、設備投資計画は依然強気だ。しかしGDPの設備投資は4~6月期の前期比1.2%減に続き7~9月期も1.3%減と2期連続のマイナスとなった。
 GDPの6割を占める個人消費は前期比0.5%増と、食料品などの値上げが相次いだ4~6月期(0.6%減)からの戻りは弱かった。GDPの実質雇用者報酬は前年同期比1.6%増と伸びているが、パートの増加が全体の報酬を押し上げている面がある。賃上げやボーナス増の広がりは乏しく、1人あたりの実質賃金は7~9月期で前年同期比0.3%増にとどまっている。
景気回復シナリオ誤算 7~9月GDP、2期連続マイナス 

1人あたりの実質賃金が伸びていないことが、トリクルダウンなどインチキであることを証明している。
GDPにはいろいろな要素がある。
Gdp
「GDP」とは?

2015年の1-3月期のGDPに関して、以下のように報じられていた。

2015年1〜3月の実質GDP速報値 前期比年率換算で+2.4%(FNN)
1~3月期GDP、年率2.4%増 設備投資プラスに(日経)
実質GDP、年率2.4%増 消費増税のダメージやわらぐ(テレビ朝日)
1~3月期のGDP、年2.4%増 2期連続のプラス成長(J-cast)

つまり年率2.4%の「成長」いうわけである。
しかし、下表を見てみよう。

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したがって、8項目のうち、増える事が年間に渡り好景気要因だとみなせるのは
・民間最終消費支出
・民間住宅
・民間企業設備
・政府最終消費支出
・公的固定資本形成
・純輸出
の6項目です。(但し、輸入が減ったことにより、相対的に純輸出が増えた場合は違います)
これら6項目である、上図の青枠内の数値を足し合わた場合の寄与度の合計はたったの0.1%年換算で0.4%しかないということになります。
GDP成長率の誤解!アベノミクスを軸に見た直近5年の日本経済を振り返る。その⑤【終章】

統計データを恣意的(楽観的)に解釈しているから、実態と乖離してしまうのである。

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2015年11月17日 (火)

消費税への軽減税率導入の問題点/日本の針路(256)

2017年4月に、消費税の8%から10%へ増税される。
安倍政権は、2015年10月からに1年半先送りするとして、その是非を問いたいと解散総選挙に打って出た。
消費増税の先送りに反対の人は少ないので、総選挙で圧勝し、安保法の成立に向かった。
明らかに詐術であるが、騙された方が悪いという論法も成り立たないわけではない。
そういう人は、参院選で、騙された無念を晴らすことにしたらいい。

現時点では、消費増税の再延長は行わないとしているが、延長の理由だった「景気が10%増税に耐えられるほど十分回復していない」状況は、今でも変わっていない。
財務相は、酒を除く「飲食料品」への軽減税率に、国民全員に番号を割り振るマイナンバー制度を活用する案だという。
欧州などの軽減税率は、買い物時に対象品目に低い税率が適用される仕組みであるが、それとは異なり、たとえば消費者が1000円の飲食料品を買うと、一たんは10%の消費税を含む1100円を支払うが、そのうちの2%分(軽減後の税率を8%と仮定した場合)に当たる20円が後日還付される仕組みである。

1.消費者が飲食料品を買い物するたびに小売店にICチップを搭載したマイナンバーカードを提示する。
2.ICチップか、あるいは小売店の照合機を通じて還付金額などの買い物情報を記録して、確定申告か年末調整のときに還付金としてまとめて登録した金融機関に振り込む。
3.購入時にレシートなどでいくら還付されるかわかるようにする。

マイナンバーカード自体がさまざまな問題を抱えているというのに、直観的に「ムリ」だという気がする。
実際、マイナンバー制度を使った軽減税率の仕組みに、ネット上では以下のような声が高い。

「スーパーのレジでマイナンバーカードだしてポイントカードだしてクレジットカードを出すとか、わけわからない」
「どうせ面倒くさくなって誰もマイナンバーカード提示しないだろうし、財務省は税収が増えてウハウハだよ」
「こんな面倒くさいことやるくらいなら軽減税率やめようよ」
「これって、スーパーのレジが魚とトイレットペーパーを勝手に読み分けるん?」
「いっそT‐ポイントで納税できるようにしちゃえよ」
と、「還付手続きが面倒くさい」「レジが混乱するのでは」といった否定的な声が多い。
食料品の軽減税率、マイナンバーで還付 「手続きが面倒」「レジが混乱する」と否定的な声

軽減税率の対象となる飲食料品についても議論が多い。

 自民党は税率が8%で済む食品について、最大でも食品表示法の基準で「生鮮食品」に分類されるものに限定するよう主張している。これなら税収減は三千四百億円で収まるためだ。
 だが、区分が消費者からは分かりにくい品目もある。同じ刺し身でもマグロ一種類のパックは生鮮食品だが、マグロとハマチの盛りあわせは加工食品の分類となる。食品表示法の基準ではまぜることは「加工」とみなすためだ。生鮮食品は、水洗いや切断、冷凍された食品などに限定され、酢で漬けた「しめサバ」などは加工食品となる。だがスーパーでは刺し身と同じ売り場にあることが多く、消費者には分かりにくい。
 軽減税率の対象を加工食品まで広げた上、生活必需品とは言い難い菓子やジュースを除く案もある。ただ、これも何を「菓子」とみなすかが分かりにくい。
 加工食品は「めん・パン類」「菓子類」など二十五項目に分類されるが、どの項目に当てはまるのか不明確な食品も多いことが背景にある。一般にカレーパンは「パン類」、ドーナツは「菓子類」に分類されるが、カレードーナツはあいまい。くりきんとんやドライフルーツが菓子になるかも不明確で、業者ごとに分類が異なるのが実情だ。
 このほか外食を対象に含めるかどうかでも線引きが難しくなる。外食を対象から外すと、コンビニやファストフード店で食品を買う場合、持ち帰りや出前のときは軽減税率が適用されるが、店内で食べると「外食扱い」となり、税率が異なる可能性が出てくる。
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軽減税率の線引きで混乱も 刺し身マグロだけ→「生鮮」 盛りあわせ→「加工」

与党は軽減税率の議論を続けているが、そもそも消費税を上げる環境か?
内閣府が16日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)は2期連続マイナス成長であった。
日本経済の足踏みが長引いている。
アベノミクスの破綻ははっきりしている。

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2015年11月16日 (月)

原発ビジネスは成立しない!/ブランド・企業論(41)

東京電力は福島第一原発事故により、事実上企業体としての生命を断たれた。
⇒2015年8月19日 (水):福島原発事故の予見可能性/原発事故の真相(134)

高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)を運営する日本原子力研究開発機構は、原子力規制委員会からレッドカードを突きつけられ、事業者として失格であると烙印を押された。
⇒2015年11月 6日 (金):もんじゅは廃炉にして原発政策を見直すべき/原発事故の真相(135)

東芝は粉飾決算に大揺れであるが、その原因は原発事業にあった。
⇒2015年8月 2日 (日):東芝の粉飾と原発事業の「失敗」/ブランド・企業論(37)
また、米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)で、計1600億円の巨額減損が発生していたことが分かった。
⇒2015年11月12日 (木):原発再稼働は誰のため/原発事故の真相(136)

日本を代表するような、言い換えれば国策に近いところに位置する企業が、いずれも苦境にたたされている。
特に東芝は、東証から、9月15日、企業統治などの管理体制に深刻な問題があるとして、投資家に注意を促す「特設注意市場銘柄」に指定されたばかりである。
歴代3社長が辞任し、「みそぎ」を済ませたはずであるのに中核子会社のWHで減損した事実を伏せたままだった。

不正経理の責任を追及する「役員責任調査委員会」も、損害賠償を求めることが相当としたものの、20件の対象事業のうち、16件については責任を問えないとした。
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東京新聞11月10日

この状況だと、上場廃止といっや事態も視野に入れなければならないであろう。
東芝の2015年度上期セグメント別営業損益は下表のようである。
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スクープ 東芝、米原発赤字も隠蔽

東芝は、原発事業を収益の柱に位置付ける姿勢を変えていないが、見切りをつけるべきではないのか?
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東京新聞10月14日

原発事業は、マクロに見ても、ミクロに見ても、不幸を生み出すだけで富の生産に寄与していないのだ。
安倍政権が原発政策を転換しない限り、「新3本の矢」は的外れとならざるを得ない。

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2015年11月15日 (日)

パリ・惨劇の拡大再生産/世界史の動向(38)

今年1月、日本流に言えばまだ松の内にパリで起きたシャルリ・エブド襲撃事件は、もうずっと昔に起きた事件のように思える。
⇒2015年1月11日 (日):フランス連続テロ事件の衝撃/世界史の動向(30)
その後、イスラム国は日本人ジャーナリスト等を拘束た。
⇒2015年1月21日 (水):日本人をターゲットとしたテロと安倍政権/世界史の動向(31)
私は、もちろんテロには反対するが、安倍政権の対応の仕方にも反対である。
⇒2015年1月23日 (金):イスラム国とどう向き合うのか?/世界史の動向(32)

その後、残念ながら、心配されたように、日本人の殺害が実行されてしまった。
⇒2015年1月28日 (水):「イスラム国」のバックグランド/世界史の動向(32-2)
⇒2015年2月 1日 (日):「イスラム国」が後藤健二氏を殺害/世界史の動向(33)

その後、安倍政権は対決姿勢を鮮明にした。
⇒2015年2月 2日 (月):人命軽視の積極的平和主義/世界史の動向(34)
そして、イスラム国の脅威を奇貨として、安保法の可決まで突き進んだ。

そして、再びパリを舞台にした大規模なテロ事件である。

 パリ中心部と近郊で13日夜(日本時間14日早朝)に起きた同時多発テロで、過激派組織「イスラム国」(IS)は14日、インターネット上に「(ISの)戦士たちが“不貞の都”を攻撃した。爆弾と自動小銃で武装した8人の同胞がパリの選ばれた場所を標的にした」などと犯行への関与を主張する声明を発表した。AFP通信によると、死者は少なくとも128人に上っている。また、約300人が病院に搬送され、うち80人が重体。短時間のうちに劇場やレストラン、競技場など6カ所が襲撃されており、仏メディアは「フランスで起きた戦後最悪のテロ」と伝えた。
 オランド仏大統領は14日、国民向けのテレビ演説で、「フランスと、我々が世界中で守っている価値に対するISの戦争行為だ」と非難し、テロについてISの犯行と断定した。根拠は明かさなかったが、「国内の共犯者の支援を受け、海外で準備・組織・計画された」と指摘した。また、「全土は3日間の喪に服す」と述べた。
 ISの声明は「いまいましい十字軍とのパリでの戦い」と題され、「ISフランス州」名義で出された。従来のISの声明と共通の書式を使い、フランスが9月からシリアで参加している対IS空爆や、イスラム教の預言者ムハンマドに対する風刺を非難した。これとは別にネット上に投稿されたIS広報部門による映像では、「空爆を続ける限り平和はないと思え。(IS支配地域に)移住できない者は仏国内で作戦を実施せよ」とテロを扇動した。
パリ同時多発テロ:ISが犯行声明 128人死亡

安倍首相は、例によって「テロには屈しない。価値観を共有する国と共に戦う」としている。
しかし、一定比率の人間が、イスラム国にシンパシーを持っている以上、イスラム国は空爆によっては無くならない。
明らかに、米ロの空爆路線は行き詰まりを見せているのだ。
151115
東京新聞11月15日

テロを戦争に拡大するならば、イスラム国の思うつぼである。
「文明の衝突」ということになれば、世界大戦化は必至だろう。
日本人の宗教観、「山川草木悉皆成仏」の出番ではないか。

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2015年11月14日 (土)

安倍政権のイヤな感じ(8)民主主義ブックフェア中止・続/日本の針路(255)

MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店が、「民主主義ブックフェア」を批判を受けて中止した。
書店員が「非公式」に開設したアカウントで、「安倍政権批判」のツイートをして批判を受けたという経緯がある。
⇒2015年11月 5日 (木):安倍政権のイヤな感じ(4)民主主義ブックフェア中止/日本の針路(251) 

 店側は20日に非公式アカウントを削除し、21日夕にフェアの棚を撤去。運営する「丸善ジュンク堂書店」は22日、公式HPで「弊社の公式な意思・見解とは異なる内容です」などとして、ツイートに至る経緯を調査し、棚を撤去して内容を見直した上で再開する方針を示した。広報担当者は「フェアのタイトルに対して、陳列されている本が偏っているという批判を受けて、店側が自主的に棚を一時撤去した」と説明する。
ジュンク堂民主主義フェアを見直し 店員ツイートに批判

同書店は、11月13日、ブックフェアを再開したが、フェアのタイトルを、以前の「自由と民主主義のための必読書50」から、「今、民主主義について考える49冊」に変更した。
選書内容も、安保法制の反対デモを国会前で繰り広げた学生団体「SEALDs」による『SEALDs 民主主義ってこれだ!』などの本を外したものに変えた。
Photo

選書の自由は同書店にあると言えよう。
しかし、圧力に屈した印象は否めない。
私は、「必読書50」に入っていて「考える49冊」から外れた本に興味が湧く。
朝日新聞デジタルによると以下のようなタイトルである。
Original
丸善ジュンク堂、民主主義フェアを再開 外された本は...【前回との比較一覧

今はこういう本が圧力を受けるのだと理解しよう。
安倍政権が続けば、発禁処分が復活するかも知れないが、どうやら安倍政権は来年夏の参院選までもたないのではないか、という観測も出始めたようだ。

「選書が偏っている」などと批判を受けて中断していた民主主義に関する。

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2015年11月13日 (金)

安倍政権のイヤな感じ(7)放送番組への介入・続/日本の針路(254)

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が、NHK番組「クローズアップ現代」の過剰演出問題をめぐり、意見書を出した。
⇒2015年11月 8日 (日):安倍政権のイヤな感じ(5)放送番組への介入/日本の針路(253)

自民党の「圧力」は、「報道ステーション」や古賀茂明氏個人に対して行われていたことが明らかになっている。
⇒2015年4月16日 (木):タガが外れた自民党の言論抑圧/日本の針路(138)

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BPOが自民党に「放送の自由と自律に対する政権党による圧力そのものであるから、厳しく非難されるべき」

「クローズアップ現代」に関するBPOの意見は、当然と言えよう。
しかし、意見書で批判された高市早苗総務相や安倍首相が、反省はおろか逆に意見書を批判している。

 高市氏は文書による厳重注意の根拠として、「報道は事実をまげないですること」とした放送法第4条などの規定を挙げている。この点について、意見書は「放送事業者が自らを律するための『倫理規範』であり、総務相が介入する根拠ではない」と主張。同法が保障する放送の「自律」を侵害した、としている。
 安倍晋三首相は10日の予算委で「単なる倫理規定ではなく法規であり、法規に違反しているのだから、担当官庁が法に則(のっと)って対応するのは当然」とBPOに反論した。
 さらに意見書が「政権党による圧力」とした自民党情報通信戦略調査会の事情聴取についても、「NHK予算を国会で承認する責任がある国会議員が、事実をまげているかどうか議論するのは至極当然だ」と語り、正当性を強調した。
 同調査会は11日に幹部会を開き、意見書についても議論する見通しだ。
首相、BPO意見書に反論「法規違反に対応は当然」

しかし、高市総務相や安倍首相は、放送法の趣旨を理解していないのだ。

まず高市早苗総務大臣が「クロ現」に関し文書でNHKに厳重注意をした件。これについて、BPOは「個々の番組の内容に介入する根拠がない」と指摘した。放送法は「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」という原則を定めている。これを誤解しているというのだ。

「放送の不偏不党」「真実」や「自律」は、放送局に課せられた義務ではない。この原則を守るよう求められているのは、政府などの公権力である。政府が放送に介入することを防ぐために「放送の不偏不党」を保障し、政府が「真実」を曲げるよう圧力をかけるのを封じるために「真実」を保障し、政府による規制や干渉を排除するために「自律」を保障しているのである。

ここは放送法の解釈に関する重要な部分である。公権力が番組に圧力をかけたり介入することがないよう保障しているのが放送法であり、放送倫理を業界が自主的に守るためのチェック機関としてBPOが存在する。高市総務大臣はこの点についてほとんど理解していないように思える。

では、自民党についてはどうか。番組に干渉する資格が自民党にはないのだと、下記のように述べている。
自民党情報通信戦略調査会がNHKの経営幹部を呼び、「クロ現」の番組について非公開の場で説明させるという事態も生じた。
しかし、放送法は、番組編成の自由を明確にし「放送番組は法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」と定めている。
「法律に定める権限」が自民党にないことは自明であり、自民党が、放送局を呼び説明を求める根拠として放送法の規定をあげていることは、法の解釈を誤ったものと言うほかない。
今回の事態は、放送の自由とこれを支える自律に対する政権党による圧力そのものであるから、厳しく非難されるべきである。

自民党には放送局の幹部を呼んで説明を求める権限は放送法上、まったくないという見解である。したがって、報道ステーションの古賀発言に関しても、同じように、幹部に説明させる権限はなく、単なる嫌がらせや圧力といったたぐいに過ぎないのだ。
「放送弾圧」に警鐘を鳴らしたBPOに、脅しをかけた自民党議員の正体

結局、高市総務相や安倍首相は、「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」(大西英男議員)などといって憚らない「文化芸術懇話会」のレベルと同じと言えよう。

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2015年11月12日 (木)

原発再稼働は誰のため/原発事故の真相(136)

脱原発社会を目指して活動する小泉純一郎元首相が11日、静岡市内で講演した。
151112
東京新聞10月12日

「核廃棄物を放置したまま再稼働を進めるのは無責任。原発はクリーン産業ではなく汚染産業だ」と“小泉節”を展開し、原子力政策の転換を訴えた。
「もんじゅ」が動かない以上、核燃料サイクルは破綻しており、再稼働によって核廃棄物は増える一方なので、至極当然の指摘である。
⇒2015年11月 6日 (金):もんじゅは廃炉にして原発政策を見直すべき/原発事故の真相(135)

 小泉氏は、政府や電力会社が説明する原発の優位性について「安全でコストも安くクリーンなわけがない」と一刀両断。「事故を起こしたら取り返しがつかない。過去2年間原発ゼロでも停電はなかった」と主張した。
 原発を抱える自治体に交付する「電源立地地域対策交付金」についても「原発コストには含まれていない。この税金を再生可能エネルギーの研究に充てれば、自然エネルギーの依存度を上げられる」と指摘した。
 中部電力浜岡原発(御前崎市)の運転差し止め訴訟に関わる河合弘之弁護士も登壇し「小泉さんと原発ゼロに向け国民運動をやっていこう」と呼びかけた。
小泉元首相:原子力政策の転換訴え 静岡で講演

また、不正決算で旧経営陣の責任が追求されているが、東芝の米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)で、計1600億円の巨額減損が発生していたことが日経ビジネスの取材で分かった。

 WHは原発の新規建設が不調だったことなどを受け、単体決算で2012年度に9億2600万ドル(約1110億円)、2013年度に約4億ドル(約480億円)を減損処理した。資産価格を大幅に切り下げたことが損失となり、2012年度と2013年度はWH単体で赤字に転落している。だが、東芝は「当社の連結決算には影響がなく、会計ルール上も問題がない」(広報)として、本誌(日経ビジネス)の指摘があるまで開示してこなかった。
 東芝はこれまで、ほぼ一貫して原発関連事業は好調だと説明してきた。しかし、対外的な説明と内情が全く違っていたことが明らかになった。これに対して東京証券取引所の幹部は「WH単体で巨額の減損があったのなら、今までの説明とは食い違う。企業ぐるみの隠蔽と言わざるを得ない」と指摘する。
スクープ 東芝、米原発赤字も隠蔽

この問題は東芝の上場にも係る問題など影響が大きいので改めて扱いたいが、誰の、何のための原発政策なのか、改めて問いたい。

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2015年11月11日 (水)

北朝鮮工作員の拉致の手口/世界史の動向(37)

東京新聞が、北朝鮮の工作員を養成する「金正日(キムジョンイル)政治軍事大学」(平壌)でスパイ活動の目的や方法を教育する際に使用する内部文書を入手して、今日の1面のトップで報じた。

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 内部文書は、金正日政治軍事大学が発行した「金正日主義対外情報学」という題名の対外秘密に指定された文書。入手したのは、その上巻で、三百五十六ページという膨大な量に上る。労働党関係者によると、金正日氏が総書記に就任した九七年以降に作成され、少なくとも総書記が死去した二〇一一年まで、海外で活動する工作員を養成する過程で使われていたという。
 金総書記は〇二年九月に行った小泉純一郎首相との会談で、「八〇年代初めまで特殊機関の一部が妄動主義に走って」拉致を行ったと釈明した。しかし、今回の文書で、北朝鮮がその後も、少なくとも拉致に備えた準備を周到に行っていたことも併せて判明した。
 文書は冒頭で「首領(金日成(キムイルソン)主席)が創始した対外情報理論を、金正日同志は深化発展させ、党が対外情報事業(活動)で指針とするべき理論的武器を準備した」と強調。文書に盛り込まれた工作活動が、金総書記の指導に基づくことを明記している。「工作員を情報核心として養成すると同時に、派遣組織(の運営)事業をしっかりと行わなければならない」との金総書記の言葉を紹介する。
 拉致については「情報資料の収集や敵瓦解(がかい)をはじめとし、さまざまな工作で適用される」と説明。「拉致対象の把握では、住所や頻繁に出入りする所、日常的な通行ルート、利用する交通手段、時間などを具体的に把握しなければならない」などと列挙し、拉致における重要事項を挙げた。
 また「拉致した人物が抵抗する場合、処断することもできる。その場合には痕跡を残さぬようにしなければならない」と、拉致対象者の殺害にまで、内容は及んでいる。
北朝鮮拉致 国主導示す 工作員養成の内部文書入手

国家犯罪である。
強権的な政治、対立者がいない政治はこういうことになる。
わが国の戦前もこういう面があったことは否定できないだろう。
いまわれわれが心しなければならないことは、戦前回帰の風潮がこれ以上広がらないようにすべきだということであろう。

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2015年11月10日 (火)

安倍政権のイヤな感じ(6)辺野古に警視庁機動隊/日本の針路(254)

TV画像を見ていて、慄然とした。
誰が、何のために、誰を護ろうとしているのか?

安倍政権は、「地方創生」を重要政策としていたのではなかったのか?
沖縄こそ地方の代表格ではないのか?
結局「地方創生」というのは、強権と札びらで、中央の言うことに従うようにしろということか?

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 移設に反対する市民ら約80人が旧ゲート前に座り込んだが、県警と警視庁の機動隊総勢120人以上が数人1組で市民らを抱え、機動隊車両と鉄柵で囲った場所に排除した。
 シュワブ内の辺野古崎周辺では重機が稼働している様子が確認された。海上では目立った作業はない。市民らは抗議船4隻とカヌー十数艇で大浦湾に繰り出し、作業の停止を求めて抗議している。
 ゲート前には学生グループ「シールズ琉球」のメンバーが訪れ、14日午後1時からシュワブ前で辺野古緊急アピール行動を実施すると報告した
辺野古、機動隊の排除続く シールズ琉球、14日に緊急アピール

なぜ、「鬼」「疾風」などの異名を各隊が持つ屈強な部隊として知られる警視庁の機動隊を投入するのか?
都内でデモ対応などの経験があることで、即応力を備える「精鋭」と評価されたのだろう。
しかし、市民の中には過酷な沖縄戦やその後の米軍支配下を生き抜いてきたお年寄りもいる。
まさに現代の「琉球処分」と言えよう。

琉球処分について、Wikipediaの解説を引こう。

琉球処分とは、1872年から1879年にかけて、旧来琉球諸島の施政を委任してきた中山王府を廃し、県を置いた施策の事である。
鹿児島県は、中山王府の施政は時世に合っておらず不都合が多いとして、指導のため、明治5年1月5日、奈良原幸五郎、伊地知貞香を送った。在島中、宮古島島民遭難事件の生き残りが帰着し、伊知地らが事情聴取して報告書を書いた。
明治5年5月30日、大蔵大臣であった井上馨が、琉球国の版籍を収めしむる事を建議した。6月2日、正院はこれを是認し、「如此曖昧の事匡正せざるべからず。之を処分する如何して可ならん」と下問した。これが「処分」なる用語の始めである。これに応じて外務省から次の3ヶ条の申し立てがあった。外国との私交停止、尚泰を華族に列し、琉球藩王の宣下を賜う。
明治5年6月21日、鹿児島県から琉球在勤の官員が到着した。官員は次の命令を伊地知らに伝えた。概略「維新以来国王より慶賀の礼を修めし事無し。速やかに登京せしむべし」伊地知らは国王にこれを伝えた。結果、伊江王子尚健、宜野湾親方、喜屋武親雲上が慶賀の使節に任命された。7月27日、琉球使臣、鹿児島着。8月14日、東京着。
明治5年9月14日、天皇より、尚泰を藩王に封じ、華族に列せらるる詔勅が下される。尚健は「聖恩重渥恐感の至に勝へず」と答え、代理として詔勅を受ける。
明治5年9月20日、新貨幣並びに紙幣3万円が王に下賜される。
明治5年9月28日、琉球藩の外交権を、外務省に移す。
明治5年10月10日、琉球藩の負債20万両を政府が肩代わりする。
1873年(明治6年)7月29日、琉球藩より、貧しいので年貢をまけてくれ、具体的には賦米等の名目並びに砂糖納を廃止し、年に8200石の常額としてくれ、という請願があった。明治7年6月23日、この通り8200石に定まる。なお、藩内の百姓に藩政府が課す年貢が軽減された事実は一切ない。既述の通り、藩政府は負債が全てなくなり、3万円の小遣までもらったが、人民に還元する事は一切無かった。

安倍政権の本質が露呈した映像であった。

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2015年11月 9日 (月)

素粒子論の発展と日本人(6)/知的生産の方法(135)

ニュートリノは、有名な物理学者のヴォルフガング・パウリが苦し紛れに考え出したものだと言われる。
Wikipediaによれば、その間の事情は以下のようであった。

1900年代初め、理論によりベータ崩壊によって特定のエネルギーを持った電子が放出されると予測された。しかし1914年、ジェームズ・チャドウィックは連続したスペクトルを持つことを示した。
1930年、ヴォルフガング・パウリは未発見の粒子がエネルギー、運動量、角運動量を持ち去っているという理論を提案した。
1930年12月4日、パウリはチューリヒのPhysical Institute of the Federal Institute of Technologyに宛てて有名な手紙を書き、その中でベータ崩壊における連続スペクトルの問題を解決するために電子ニュートリノの存在を提案した。
・・・・・・
β崩壊のニュートリノを検出する装置は、1942年に王淦昌によって初めて考案された。そして、電子ニュートリノは、1956年にフレデリック・ライネスとクライド・カワンによって初めて検出された。この業績により、フレデリック・ライネスは1995年のノーベル物理学を受賞した。

ニュートリノは、もともとパウリがつじつまが合うように仮想的に考えた粒子であるから、観測が非常に難しい。
ニュートリノは1秒間に1m²あたり数十兆個も地球に降り注いでおり、われわれの身体を貫通している。
しかし、ニュートリノは非常に小さいので、われわれが感じることはない。
ニュートリノを人間と同じくらいの大きさにするためには、10億倍の更に10億倍に拡大する必要がある。
人間の身体を同じ倍率で拡大すると、太陽系の外側まで到達してしまう。つまりニュートリノを人間の大きさとした場合、電子は地球より大きい範囲を飛び回り、その中心にある原子核は1000m級の山一つ分ぐらいになる。
原子が連なった分子は、地球規模のスカスカの空間が連なっていることになり、細胞の膜は太陽系ほどの大きさといいうことになる。
言い換えれば、ニュートリノにとって生物の細胞は、人間にとっての太陽系に匹敵する大きさだということになる。

自然に発生したニュートリノの観測に成功したのが、小柴昌俊博士である。
岐阜県 神岡鉱山地下1000mに存在した観測装置・カミオカンデで、1987年2月23日、カミオカンデはこの仕組みによって、大マゼラン星雲でおきた超新星爆発 (SN 1987A) で生じたニュートリノを偶発的に世界で初めて検出した。

この業績により、2002年小柴昌俊博士は、ノーベル物理学賞を受賞した。
Wikipediaによれば、カミオカンデの仕組みは以下のようである。

Kamiokande89カミオカンデは、大統一理論の予言する陽子崩壊を実証するため1983年に完成した。
カミオカンデは3000トンの超純水を蓄えたタンクと、その壁面に設置した1000本の光電子増倍管からなる。ここで使用された光電子増倍管は研究グループと浜松ホトニクスが新規に共同開発した口径20インチのものである(一般に広く使われるのは口径2インチ型)。
カミオカンデが地下に設けられたのは、陽子崩壊時に放出されるニュートリノ以外の粒子の影響を避けるためである。ニュートリノはものを貫通する能力が高く、他の物質と反応することなく簡単に地球を抜けていってしまう。しかし、まれに他の物質と衝突することがある。カミオカンデは、このまれに起こる衝突を検出することで間接的に陽子崩壊を実証することを目的とした。
カミオカンデはニュートリノの衝突を検出するため、超純水をつかう。カミオカンデの内部には超純水がためられており、ニュートリノが水の中の電子に衝突したあとに、高速で移動する電子より放出されるチェレンコフ光は青白く発光し、壁面に備え付けられた光電子増倍管で検出する。
チェレンコフ光を検出した光電子増倍管がわかると、計算によりどの方角からきたニュートリノによる反応かがわかるしくみになっている。

上記のように、当初のカミオカンデのミッションは、陽子崩壊の実証であった。
しかしながら、期待された陽子崩壊は観測されず、予想以上に陽子の寿命が長いことが分かった。

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2015年11月 8日 (日)

安倍政権のイヤな感じ(5)放送番組への介入/日本の針路(253)

放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会(委員長・川端和治弁護士)が6日、「重大な放送倫理違反があった」とする意見書を公表した。
その中で、放送に介入する政府・与党の動きが見られたことから「放送の自由と自律に対する圧力そのもの」と厳しく批判した。
BPOが政府・与党を批判する意見書を出すのは極めて異例と言われる。
安倍政権になってからの放送への介入が余りに露骨ということだろう。
⇒2015年4月16日 (木):タガが外れた自民党の言論抑圧/日本の針路(138)
⇒2015年4月19日 (日):圧力、イジメ、ハラスメント/日本の針路(139)

テレビ報道を巡っる政府・自民党の動きは以下のようである。
Ws000001
「番組介入許されない」 BPO、強い姿勢見せる

政府・自民党はなめているとしか思えない。
安保法の中央公聴会で、元最高裁判事濱田邦夫弁護士が、夏目雅子の名セリフ(鬼龍院花子の生涯)で「司法をなめたらいかんぜよ」と公述したのに倣えば、「国民をなめたらいかんぜよ」である。
来夏の参院選で思い知らせてやるべきであるが、民主党や維新が自民党の補完をしているだけにすぎないことがはっきりしてきた。
真の野党は、「共産党」や「生活」だけなのだろうか?
しかし、共産党と小沢一郎氏が共闘する時代が来ようとは。

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2015年11月 7日 (土)

再生可能エネルギー利用を加速せよ/日本の針路(252)

「もんじゅ」の失敗は、原発政策総体の失敗を意味している。
核燃料サイクルが破綻しているのだから、原発を再稼働させれば、核廃棄物が増える一方である。
⇒2015年11月 6日 (金):もんじゅは廃炉にして原発政策を見直すべき/原発事故の真相(135)

再生可能エネルギーの実用化を急ぐべきだ。
浜松市は11月6日、浜松新電力(浜松市)の設立記者会見を行った。
浜松市は、10月16日に、再生可能エネルギーの地産地消を推進する新電力を官民連携により設立したと発表していたが、浜松市と浜松新電力の間で、「エネルギー政策に関する連携協定」が締結された。

 記者会見では、浜松市の鈴木康友市長のほか、出資する8社の幹部が顔を揃えた。鈴木市長は、「浜松市は日照に恵まれ、太陽光発電の設置が進み、今年4月に発電量で全国の市町村でトップとなった。こうした市内の太陽光発電の電力を買い取り、市内の需要家に販売する地産地消に取り組む。エネルギーの自給率を高めることで、強靭で低炭素な社会を築きたい。浜松新電力がその基盤になる」と述べた。
 浜松市は、浜松新電力の出資者であり、政策連携協定を結んだことで、来年4月から随意契約で新会社から電力を購入する。浜松新電力は、当面、太陽光の出力カーブと需要動向(ロード)の近い、公共施設や学校、民間企業に対し、一般電気事業者よりも低価格で電力を供給する。
 出資企業のうち、遠州鉄道、須山建設、中村建設の3社はメガソーラー(大規模太陽光発電所)を運営しており、浜松新電力に売電する。浜松新電力は、3社以外の市内企業からも含め、太陽光発電で約8MW、これに市の清掃工場でのバイオマス(廃棄物)発電(約1.5MW)を加えた、約10MWの再エネ電源を確保している。
浜松新電力と浜松市がエネルギーで「政策連携協定」、太陽光主体に地産地消

また、山梨県では2015年5月末時点で、出力ベースで25.6万kW(キロワット)の太陽光発電施設が稼働中である。
既に固定価格買い取り制度における設備認定を受けている設備は、約134.6万kWに達しており、さらに今後建築が加速することが予測されている。
Km_yamanashi1
山梨県が太陽光発電施設の設置ガイドライン策定、防災・景観・環境の観点で

山梨県の旧明野村(現北杜市)は日照時間が日本で一番長いところとして知られている。
都道府県別のランキングは以下のようだ。

◇08年の年間日照時間
 (1)山梨県 2224.7時間
 (2)高知県 2182.7時間
 (3)宮崎県 2143.7時間
 (4)岐阜県 2141.4時間
 (5)徳島県 2141.1時間
 (6)埼玉県 2140.1時間
 (7)愛知県 2132.9時間
 (8)兵庫県 2114.4時間
 (9)静岡県 2108.2時間
(10)群馬県 2106.0時間
   全国平均 1925.7時間
 ※県庁所在地で比較
甲府や北杜は「日照時間日本一」? 県庁所在地ではトップ /山梨

山梨や静岡などは、太陽光発電の適地と言えよう。

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2015年11月 6日 (金)

もんじゅは廃炉にして原発政策を見直すべき/原発事故の真相(135)

原子力規制委員会が高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の運営者を代えるよう、文部科学省に勧告した。

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 原子力規制委員会による各地の原発に対するこれまでの勧告は、ほぼ全てが安全面に関するものだ。今回のように運営面に踏み込んだ指摘を行うのは極めて異例と言っていい。しかし、JAEAや文科省がここまで手厳しい評価を下されるのも無理はない。2013年に行われた規制委員会の「もんじゅ」立ち入り検査では、非常用電源などの重要機器だけでも13件の点検漏れが発覚した上に、虚偽報告まで露見した。さらに2015年には、規制委員会の勧告に基づき改善項目の優先順位化を実施したものの、その分類が1400件近く誤っていたことが発覚。さらに一度も点検が実施されていない機器さえ存在することも判明し、たびたびJAEAの管理能力の低さが明るみになっているのだ。
 このような杜撰な運営体制に業を煮やした規制委員会が、文科省に対し、JAEAとは別の新たな運営主体を見つけるよう勧告するに至ったのも仕方あるまい。しかしJAEA以外、原子炉を保守・運営する能力を有する部局は政府内に存在しない。政府による選定作業は難航が予想される。
「もんじゅ」の頓挫が揺るがす日本の原発政策の根幹

高速増殖炉(FBR)の原型炉「もんじゅ」は、トラブルが相次ぎ、事実上機能していない。
今朝の日本経済新聞のコラム「春秋」は次のような言葉で始まる。

サンスクリット語ではマンジュシュリーというらしい。漢訳仏典が広く普及した日本では文殊菩薩と表される仏さまである。悟りにいたるまでの智慧をつかさどるとされ、信仰を集めてきた。17世紀に清朝を樹立した民族の名前「満洲」も、この仏さまに由来するとか。

満洲がマンジュシュリーに由来することは知らなかった。
私が連想するのは、オウム真理教の最高幹部だった村井秀夫のホーリーネームである。
TVカメラが回っているさ中に刺され、殺されたが、彼の不在がオウム真理教というカルト集団の本質を明らかにすることを困難にした。
実行犯を操ったのは誰だろうか?

本来、崇めるべき「もんじゅ」もロクな使われ方をされないというのが、現代という時代の特徴なのだろうか。
原子力規制委員会は「新たな運営主体」に切り替えるよう求めたが、「もんじゅ」を引き受ける組織体があるとも思えない。
もんじゅの冷却材には液体ナトリウムを使うが、1995年暮れに発電開始から4カ月足らずでナトリウム漏れ事故を起こした。
動燃(動力炉・核燃料開発事業団)は、事故を隠蔽しようとした。

20年間、ほとんど稼働実績はないが、運転は止まっていても、ナトリウムが固まらないよう電熱で温める必要がある。
その経費は、5500万円/日になるという。
なんというムダを続けていたのだろう。
一度動き始めた組織を止めることは難しい。
であるからこそ、原発政策を見直すべきではないのか。

使用済み燃料を再利用する核燃料サイクルは、日本の原子力政策の根幹で、「もんじゅ」はその中心に位置している。
中核施設が動かないということは、核燃料サイクルの破綻以外の何物でもない。
⇒2013年5月18日 (土):「もんじゅ」22年間の運転の実態/原発事故の真相(70)

規制委の勧告を好機として、原子力政策そのものを再考すべきだろう。

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2015年11月 5日 (木)

安倍政権のイヤな感じ(4)民主主義ブックフェア中止/日本の針路(251)

MARUZEN&ジュンク堂書店は10月23日、渋谷店で実施されていた「自由と民主主義のための必読書50」と題するブックフェアを中止し、店頭にあった書棚を撤去した。

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店頭に並べられていた本は、安保法制の反対デモを国会前で繰り広げた学生団体「SEALDs」と作家の高橋源一郎さんによる『民主主義ってなんだ?』や、アメリカ・ニューヨークのウォール街占拠デモを紹介した『私たちは“99%”だ――ドキュメント ウォール街を占拠せよ』などがある。
渋谷店や関係者によると、ブックフェアは9月下旬から従業員の発案による企画として始まった。「幅広い意見を紹介していくのが書店の使命。広く書籍を集めて展開した」と店長は説明する。
一方でTwitterでは18日から「ジュンク堂渋谷非公式」というアカウントが、ブックフェアを告知。「夏の参院選まではうちも闘うと決めましたので!」「うちには闘うメンツが揃っています。書店としてできることをやります!一緒に闘ってください」といったツイートを発信していた。
これに対しTwitterなどで「反日」「もう買わない」といった非難や、安倍政権に批判的な書籍を選んだことが「偏向している」といった批判が相次いだ。MARUZEN&ジュンク堂書店は20日に以下のような公式アカウントで説明し、「非公式」アカウントは削除された。
丸善ジュンク堂渋谷店、「自由と民主主義のための必読書50」ブックフェアを中止

安倍政権の強権的な安保法可決のお陰で(?)、民主主義がテーマの本の売れ行きが良いらしい。
「SEALDs 民主主義ってこれだ!」は、ネット販売の分野別売れ筋ランキングで1位になるなど「異例の売れ行き」(版元の大月書店)だという。
書店がフェアを開催するのは当然とも言えよう。

フェアに圧力をかけたり、嫌がらせを試みたりするのは逆効果であると知るべきである。
それにしても、フェアを実際に中止に追い込んだのだから、圧力側も本気である。
こういうことがニュースになるのは、嘆かわしいことではあるが、現在の状況を知るという意味では一面の効果はあるのかも知れない。

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2015年11月 4日 (水)

辺野古に考古遺跡か?/やまとの謎(108)

米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、埋め立て予定地の米軍キャンプ・シュワブ沿岸から新たに土器や石器が発見されたことが分かった。
発見場所は文化財の「碇石」が見つかった現場付近で、仮設岸壁や仮設道路建設予定地に一部が重なる。
土器などが文化財だった場合、市教育委員会は一帯を遺跡に認定するよう求める方針だという。

Photo 市教委は10月13~16日と26~30日の間、碇石発見現場付近で、歩いて遺物の有無を確かめる踏査を実施した。その結果、干潮時の海辺で土器や石器が数点見つかった。現在は市教委が保管している。市は遺失物法に基づいて名護署に届けを出し、同時に米軍に公開許可申請を提出する。その後県教委が文化財保護法に基づいて、土器や石器を鑑査し、文化財と認められた場合、その一帯を遺跡と認定するかを検討する。
 遺跡と認められた場合、工事の前に遺跡の規模を調べる試掘調査が必要となる。さらに、記録を残すための調査を実施する場合もある。市の担当者は「防衛局の工事の規模が分からない」と前置きし、「現在実施している調査すら本年度中で終わるとはとても思えない。(遺跡と認められた場合の)試掘調査はその後になる」との見通しを述べた。
シュワブ沿岸に土器 遺跡認定なら辺野古工事遅れ

沖縄は、考古学的にどのような位置づけにあるのだろうか?
琉球大学名誉教授で、噴火と地震に関する独自の理論の実績が注目されている木村政昭氏に、『邪馬台国は沖縄だった!―卑弥呼と海底遺跡の謎を解く』第三文明社(2010年5月)という著書がある。
邪馬台国位置論は、まさに汗牛充棟であるが、『魏志倭人伝』に描かれている倭の習俗は、どう考えても南方系である。
その頃の気候条件がどうだったかは別とすれば、九州はともかく、畿内とは思えないというのが率直な印象である。
決して突飛な議論ではない。

そもそも沖縄は、琉球弧と呼ばれる地理的条件にある。

 琉球弧とは、日本列島西南端の九州島から南約1,260kmの洋上に199余の島々が花緑のように分布し、地理学上で「南西諸島」「琉球列島」などと総称される。現在の行政区分上では北半分の薩南諸島38島は鹿児島県に、南半分の琉球諸島161島は沖縄県に所属する。ちなみに南西諸島という呼称は明治時代中期以降の行政的名称で、それ以前は「南島」や「南海諸島」「西南諸島」と呼称されてきたが、ここでは広く地理学・地学的名称として、国際的に認知される「琉球弧」という名称を使用する。
 琉球弧はユーラシア大陸東端の太平洋沿岸に、世界最強の「黒潮」(日本海流・暖流)の流路に沿って弧状に分布する島嶼群である。この地理的位置から先史時代以来多くの人々が琉球弧を往来し、「南西陸橋」「道の島」「海上の道」などと呼称されている。そして今日の「日本文化の基層」には、この琉球弧経由の文化要素が多く看取され、日本人・日本文化の源流を辿る時、この島嶼地域が重要な役割を果たした証左が解明されつつある。
琉球弧の考古学

沖縄(琉球弧)は日本の文化・文明の基層と深く関連している。
文化財保護の観点からも、辺野古移設は再考されるべきではなかろうか。

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2015年11月 3日 (火)

杭打ちデータの偽装・流用はどこまで広がるか/ブランド・企業論(40)

マンションの杭打ちデータの偽装・流用問題は、例外的なものだったとは言えなくなりつつある。
旭化成建材が杭工事の施工データを偽装していた問題で、同社が過去10年間で杭を打った工事のうち約1割の約300件でデータ偽装の疑いがあることが分かった。
傾いた横浜市のマンションの現場責任者を含め、数十人の現場責任者が関わっているという。
旭化成と言えば、医薬品や医療品だけでなく、繊維や建材などを展開する日本の代表的化学メーカーである。
その旭化成の子会社が手抜き工事とは日本の製造業の現況を示しているように感じられる。

杭打ち工事とは、その名の通り、地面にものすごく大きな杭を打ち込む事によって建物の基盤を安定させる、基礎工事の一つです。
この杭が、支持層(構造物の鉛直荷重を基礎や杭で伝達して、その構造物を支えることができる地盤または地層)まで到達する事でその建物をしっかりと支える事が出来るのです。
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旭化成の子会社が横浜のマンション手抜き工事で傾かせた原因は?

旭化成の株価は事件発覚後急落し、持ち直すかに見えたが、事件が常態だったように思われる報道により、長期的に低落する傾向にある。
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 横浜のマンションでのデータ偽装が発覚した後、旭化成建材は杭工事をした45都道府県の3040件について、施工報告書を調べてきた。旭化成関係者によると、約300件で杭のデータ偽装の疑いがあり、50人近くの現場責任者の関与が判明した。
 横浜市のマンションでデータ偽装をした現場責任者の件数が多く、過去10年に関わった9都県の41件のうち半数近くで偽装が確認されたという。
杭データ偽装疑い計300件、50人関与か 旭化成建材

問題は、偽装をしたのが当該現場責任者だけではないことである。
また、旭化成建材以外の業者も同じようなことをしているのではないか。
日本の「モノ作り」の矜恃はどこへ行ったのだろうか?




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2015年11月 2日 (月)

異次元緩和の効果と限界/アベノミクスの危うさ(58)

安倍政権は、安保法の成立後、経済政策に軸足を移し、「新3本の矢」を打ち出した。
⇒2015年10月17日 (土):「安保の次は経済」という2匹目のドジョウ・続/アベノミクスの危うさ(55)
⇒2015年10月20日 (火):「新3本の矢」の意図するもの/アベノミクスの危うさ(56)

ところで「旧(?)3本の矢」の成果はどうだったのだろう。
3本の矢は次の図で説明された。
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経済再生のカギ握る“3本の矢”

財政政策は安倍政権固有の政策というわけではない。
成長戦略は今の時点でも不明確である。
唯一政策として具体化されたのが金融政策といっていいだろう。
金融政策は所期の効果を上げたのだろうか?

日銀は現状の金融政策を維持したまま物価目標の達成時期を先送りした。
「二年で2%の物価上昇目標」を、達成までに二倍の四年と見直した。
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東京新聞10月31日

これは異次元緩和の限界を自ら認めたということであり、金融政策頼みだけではデフレ脱却が実現できないことを示している。

生活物資の値上がりが進んでいる。
にもかかわらず、好況感はなく、生活はむしろ苦しくなっている。
物価上昇が需要の増大ではなく、コストの上昇で起こっているからである。
⇒2014年6月14日 (土):「デフレ脱却」の正体/アベノミクスの危うさ(33)

 異次元緩和により、行き過ぎた円高は修正されたものの、円安による食料品の値上げなど「悪い物価上昇」が起きている。国債買い取りで銀行に大量に資金が供給されても、資金需要がないので貸し出しに回らず、日銀の準備預金に積み増しされている。この超過預金に付く金利で銀行は潤うが、この金利は国民負担である。
 さらに日銀が買い取った国債は金利が上がれば、大きな損失となってこれまた国民負担となる。金融緩和が長期化するほどさまざまなリスクが蓄積され、出口はより困難になる。こうした負の側面に目をつぶったまま異次元緩和の先延ばしは許されないはずである。
 金融緩和頼みではデフレ脱却も、まして正常な経済は実現しないのは明らかだ。
物価目標先送り 「緩和」頼みは限界だ

トリクルダウンは幻想であった。
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富裕層が得た富は庶民にも流れる「トリクルダウン理論」の問題点が一目で分かる画像

国民生活の底上げを図らなければ、日本経済の再生はない。

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2015年11月 1日 (日)

安倍政権のイヤな感じ(3)日野市封筒黒塗り/日本の針路(250)

憲法は憲法遵守義務を定めている。

第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

安保法の審議の過程は、内閣がこの義務を遵守していないことを示した。
そのせいか、憲法に触れることに過剰にナーバスになっている。
さいたま市の公民館が「9条俳句」掲載を拒否するなどの動きである。
⇒2014年7月31日 (木):「九条俳句」とさいたま市教育長批判/日本の針路(16)

東京都日野市で、市の公用封筒に印刷された「日本国憲法の理念を守ろう」という言葉をフェルトペンで「墨塗り」して使った。
その画像がツイッターに投稿され、同市に全国から電話やメールで抗議が殺到する事態となっている。

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 別の箇所を消すようにという上司の指示を職員が勘違いしたとして、市は「政治的意図はなかった」と釈明に追われている。
 市によると問題の封筒は2011年までに作られた旧型で、今は保持していない環境基準ISO14000の文字が最上部にある。同市緑と清流課の課長は今年2月、課で使う分について「文字を消すように」と職員に指示。消す場所ははっきり伝えなかった。
 13年に作られた新型の公用封筒では「日本国憲法の理念を〜」の言葉がなくなっていたため、職員は、旧型封筒の憲法部分を消せばよいと勘違い。約1200枚をペンで塗りつぶし、このうち約700枚が市民への書類送付などに使われた。
東京・日野市:市役所封筒「憲法守ろう」黒塗り 抗議殺到、市が釈明

新型封筒で憲法部分が削られたのを、市は「デザインをシンプルにするため」としている。
素直に説明を受け取りたいが、昨今の風潮は真綿のように締め付けてくる感じがすることが否めない。

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