「新3本の矢」の意図するもの/アベノミクスの危うさ(56)
安倍晋三首相は9月24日の記者会見で「アベノミクスは第2ステージに移る」と宣言し、経済成長の推進力として新たな「3本の矢」を発表した。
旧「3本の矢」と併せると、6本の矢を放つことになる。
乱れ撃ちではないかというようなことは言わないで、その意図するところを、日本経済新聞の解説により、考えて見よう。
旧「3本の矢」と言われるものは、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」の3つであった。
このうち日銀の協力を得た金融緩和は、その是非は別として円安・株高を招来したのは事実である。
財政政策は一時的な刺激策で、アベノミクスに特有の政策とうわけではない。
3本目の矢の成長戦略は、不発だったと言わざるを得ないだろう。
金融緩和による円安は、企業業績を回復させた。
しかし生活者の視点で考えると、好況感はない。
消費増税と輸入品物価の値上がりで、むしろ生活は苦しくなっている。
新たな3本の矢は(1)希望を生み出す強い経済(2)夢を紡ぐ子育て支援(3)安心につながる社会保障――の3項目。
首相は「長年手つかずだった日本社会の構造的課題である少子高齢化の問題に真正面から挑戦したい」と意気込みを示した。
日本経済新聞は、今後の焦点は、新3本の矢を実現する具体策に移るとし、問題はそうした子育てや社会保障の充実策と、国の借金が1000兆円を超す財政再建策をどう両立させていくかだ、と総括している。
果たしてどの程度の人が「新3本の矢」に明るい未来を感じることができるだろうか?
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