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2015年10月28日 (水)

素粒子論の発展と日本人(3)/知的生産の方法(132)

1897年、ジョセフ・トムソンによって電子が発見された。
真空中でフイラメントを加熱すると陰極線が出ることが知られていたが、その正体は何なのか分からなかった。

陰極線の正体をめぐってはエネルギーが振動している(波動説 干渉縞を検出できる)と考える説と、ある小さな粒子が飛び出している(粒子説 電界や磁界で進行方向の変化が検出できる)と考える説があった。
電波の実験で有名なドイツのヘルツは進行方向の変化が測定できないことから、波動説に傾いていた。
トムソンは電荷を持った粒子であれば、粒子の進行方向に直角な電界をかけると進行方向が変化するはずであり、その変化を測定できれば粒子説が証明できると考えた。

トムソンは進行方向の変化が測定できない理由は真空管内の真空度が低く、電荷を帯びた粒子が真空管内の他の物質と衝突して散乱してしまうためだと考えた。
そこで真空度を上げるため、真空ポンプの開発やデュワーによる残留気体除去法の開発、タウンゼントの荷電粒子の測定方法の開発、ウイルソンの霧箱の開発等の努力によってついに実験に成功したのだった。
Tomson
http://www.geocities.jp/hiroyuki0620785/k0dennsikotai/14discaver.htm

その粒子は水素原子の千分の1以下の質量を持ち、負に帯電していて、どんな物質からも出てくることを確認した。
これまで物質界で最小の基本粒子と見なされてきた原子よりも小さな粒子の存在を確認したのであり、原子論は終止符を打たれたのである。

トムソンの実験により、原子は負の電荷をもつ「電子」と、それを打ち消す正の電荷をもつ「何か」から成ることが明らかになった。
その「何か」をめぐって、さまざまな原子構造の提案がなされた。

具体的には、プラスの電荷を持った重い原子核の周りをマイナスの電荷を持った軽い電子が運動しているというちょうど太陽と惑星のような模型がラザフォードによって提唱され、実験ともうまく合致することが分かった。
しかしこのモデルは「加速度運動をする粒子(電子)は電磁波を出しながらエネルギーを失っていくが、なぜ電子は原子核に落ちて行かないのか?」という疑問に答えることはできなかった。
Ws000001_2
http://rikanet2.jst.go.jp/contents/cp0030/part2/chap01/com1_7_1.html

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コメント

「素粒子論の発展と日本人」シリーズ、楽しく拝読させて頂いております。

> なぜ電子は原子核に落ちて行かないのか?

もしかして、この禁断の質問は、ボーア先生のモデルの説明の為に、シュレーディンガー先生の波動方程式や、不確定性原理に繋がっていく前振りなのでしょうか。実は小生、もし将来余裕が出来たら、大学でキチンと量子論を勉強してみたいと考えておりまして、勿論、経済的理由その他であくまでも夢に過ぎず、現実は毎日アクセクと働いている訳でありますが・・・。

ま、自分がもう一度大学に行く前に、二人の息子が大学を卒業するまで学費を捻出しなければならないのでありました~。・・・ヂット手ヲ見ル・・・。

投稿: Yas | 2015年10月29日 (木) 16時22分

Yasさん

>シュレーディンガー先生の波動方程式や、不確定性原理に繋がっていく前振り

そんな大それた目論見ではなく、ただ梶田隆章教授の業績について基礎から振り返ってみようということです。湯川秀樹博士が受賞したときはまだ幼く、リアルタイムでの感激はありませんでした。高校の講演に来られた朝永振一郎教授が受賞した時は大学に入った後だったので感激は一入でした。
小柴-梶田と伝統が引き継がれていくのは素晴らしいことだと思います。

投稿: 夢幻亭 | 2015年10月30日 (金) 13時47分

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